映画『1303号室』の概要:日本人キャストで製作されているが、製作総指揮、製作会社等はアメリカであり邦画ではなく洋画に分類される2007年のホラー映画。監督は及川中、主演は中越典子で、原作は大石圭の同名小説。
映画『1303号室』 作品情報
- 製作年:2007年
- 上映時間:94分
- ジャンル:ホラー
- 監督:及川中
- キャスト:中越典子、古田新太、大谷直子、板谷由夏 etc
映画『1303号室』 評価
- 点数:50点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★☆☆☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★☆☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『1303号室』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『1303号室』のあらすじを紹介します。
13階建ての海が見える高級マンション。
格安だったという理由で、そのマンションの1303号室に引っ越してきた沙弥香だったが、引越しパーティーの最中、友人たちの目の前で謎の投身自殺を遂げる。
沙弥香の姉の真利子が荷物を片付けるために部屋へ行くと、1303号室の隣人の少女から「隣の部屋に住む女の人は全員死んでしまう」と不吉な事を告げられる。
その日、真利子は1303号室に泊まりこんで妹の荷物を片付けるが、和室の押入れから漂ってくる異様な臭いや、妹のものではないピアスが落ちているなど、奇妙な体験をする。
翌日、部屋を引き払うと、外で桜井という刑事が待っていた。
1303号室ではこれまでに、沙弥香を含めた5人の女性がベランダから投身自殺しているのだという。
最初は杉内幸世という女性で、彼女は母親から虐待されて育ち、彼女が亡くなってから母親の遺体が死後半年以上経過した状態で、押入れから発見されたのだ。
嫌な予感がした真利子は、部屋で拾ったピアスを桜井に預ける。
分析の結果、それは幸世のピアスと同じものだと判明するのだった。
真利子は、杉内親子の事件について書かれた本を読むうちに、折り合いが悪い自分と母親との関係を重ねていた。
そして真利子は幸世と思われる女の幽霊を見かけるようになっていく。
1303号室に新しい住人が入ったと知った真利子と桜井刑事は、再び投身自殺が起こったと聞きいてかけつける。
慌てて1303号室に向かった真利子は、幸世の幽霊と対峙することになる。
映画『1303号室』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『1303号室』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
見たことがあるシーンの多さと、前半と後半の大きな差
前半部分は、Jホラー独特のジトっとした雰囲気がどこかしらに漂い、1303号室に入ったら決して逃れられない死が待っているというのを、真利子がどうやって逃れるのかという期待も感じられる。
しかし後半で全て台無しになっており、真利子と幸世の幽霊が対峙するシーンで、異様に伸びた髪の毛で襲い掛かってくるの幸世の幽霊がツッコミどころ満載。
他のホラー映画「エクステ」からアイディアを借りたようにしか思えないのと、雑な合成にはがっかりさせられる。
また、本を読んで幸世に同情した真利子が、夢の中で幽霊に手をつかまれるシーンは「キャリー」にそっくりだ。
事故物件なのにそれを黙って貸すという事自体がおかしいのと、5人が亡くなった部屋を黙って貸す、引き払って1週間足らずで次の住人が入りそれも告知していない様子というのがリアリティを失わせており、世界観に入り込むことができない。
前半部分の怖がらせ方が上手く出来ているだけに、残念な出来になっているのが一層目立つ。
キャストの演技力を台無しにさせる映像技術
中越典子のサバサバとした真利子役が似合っており、ヘビースモーカーのようにタバコを吸うシーンの多さはあまり好ましくないが、亡くなった妹のために何かをしたいと必死になる姉の姿は好印象で、感情移入できるものがある。
幸世役の初音映莉子はもともと透明感のある女優なので、幽霊になってからも親子の家を守ろうとする歪んだ感情や笑い方が、恐ろしいほど似合っている。
それを消し去っている演出が多く、ラストの対決シーンは残念としか言いようが無い。
1302号室の少女と母親の正体はラストまで意味がわからず、2人が幽霊で幸世に協力している、という事意外は存在すら謎だが、その表情から不気味なものを感じ、演技の上手さがにじみ出ている。
古田新太は他の出演作のイメージから、笑いに走りそうな演技が見受けられ、後半のストーリーの迷走を加速させている。
色々なホラー映画から影響を受けたんだろうなというのがよくわかる今作。何となく見た事のあるような描写に、先が読めてしまう展開は多くのホラー映画ファンが感じたのではないでしょうか。
事故物件なんて優しい言葉じゃ片付けられないほどヤバい部屋なのにそれを説明せずに新しい入居者がやってきては自殺し…という展開はなんだか笑えてしまいました。
ドッグフードや幽霊の正体などよく分からないシーンもあったので少しモヤモヤしましたが、ちょうど良い怖さでサクッと見られるホラー映画でした。(女性 30代)
映画『1303号室』 まとめ
原作の大石圭の小説「1303号室」は、プロットから細部の描写までしっかり描かれていて怖い小説なのに、映画の設定はひどい部分が多い。
特に前半から後半へと、坂道を転がり落ちるように雑になっていく展開にはあきれてしまう。
ハリウッドでリメイクされたミーシャ・バートン主演の「アパートメント1303号室」という映画も存在するが、そちらの出来もあまりよくはない。
原作は良い作品なのだが、勿体無いと感じる。
及川中が監督と脚本を担当した1999年のホラー映画「富江」が良作だっただけに、この作品の特殊映像の残念さは目に余る。
真利子の夢の中で砂浜から幸世の手が出てきて驚くシーン、幸世の髪が縦横無尽に伸びるシーンなど、1976年の映画「キャリー」、日本のホラー映画「エクステ」からパクッたようなシーンが多いのも問題だろう。
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