映画『30日の不倫』の概要:他言しがたいパートナーへの不満を都合よく埋め合わせる既婚の男女を描く。イタリアのゴールデングローブ賞にノミネートされた一作。日本では劇場未公開である。
映画『30日の不倫』の作品情報
上映時間:126分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:シルヴィオ・ソルディーニ
キャスト:アルバ・ロルヴァケル、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、テレーザ・サポナンジェロ、ジュゼッペ・バッティストン etc
映画『30日の不倫』の登場人物(キャスト)
- アンナ(アルバ・ロルヴァケル)
- 保険会社に勤めながら、穏やかな夫と平凡な毎日を過ごしていた。ある日出会った男性と互いに惹かれ合い、既婚のみでありながら恋愛に没頭していく。
- ドメニコ(ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ)
- 育児ノイローゼな妻と、働けど苦しい生活に疲弊する2児の父。アンナと出会い、本能のまま妻以外の女性を求めてしまっている。
- アレッシオ(ジュゼッペ・バッティストン)
- アンナの夫。穏やかな性格であるがふくよかな体型はアンナの好みではなく不満を抱かれてしまう。友人との関係を重視している。
- ブルーノ(ファビオ・トロイアーノ)
- アンナ・アレッシオ夫妻の友人。妻の出産に立ち会ってもらう関係の友人夫婦が不倫で壊れてしまうことを危惧し、何気なく気づかせるような助言をする。
映画『30日の不倫』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『30日の不倫』のあらすじ【起】
イタリア、ミラノ。慌てた様子で車を出し、産気づいた友人を迎えに行くアンナ・アレッシオ夫妻。二人はそのまま友人の出産に立ち会っていた。無事に出産を終えた友人を見守った二人はだが、この夫婦の間には子供はいない。しかし、実はすぐにでも子供が欲しい夫のアレッシオは、友人の出産に立ち会ったのをきっかけに気持ちを高めていた。しかし仕事にプライベートに充実している妻のアンナはタイミングに悩んでいたのだった。
ある日、会社の同僚と集まるホームパーティーに参加していたアンナ。家庭のことや、子供のこと、将来へのことを語り合いながら食事をしていた。そしてホームパーティーに魚料理を提供しに来たドメニコと初めて出会う。話が弾んだ二人だったが、次の仕事があるドメニコは名刺を渡しその場を離れた。翌日、アンナは仕事中にもらった名刺の連絡先へメールを送った。「コーヒーはいかが?ナイフを持った女より」と。その夜、アンナはなんだか浮かれていた。実はドメニコと食事する約束を取り付けていたのだった。
映画『30日の不倫』のあらすじ【承】
約束の時間。先に店についたアンナは、アレッシオ以外の男性と久しぶりに食事するため、ソワソワと落ち着けずにいた。ドメニコが来る前に帰りたい衝動にかられ、店を出ようとする。そのタイミングでちょうどドメニコがやってきてしまうのだった。オフィスに戻らなければならないという嘘をついたアンナだったが、ドメニコはオフィスまでついていき終わるのを待つという。二人きりのオフィスで会話をするうちに、二人は自然とキスをしていた。そこへ同僚のカーナが現れ、二人は一線を越えず離れた。冷静になったドメニコは、自分には妻子があることを告げ、一瞬の過ちを忘れてほしいとアンナに申し出た。
何事もなかったかのように、趣味の絵画や仕事に没頭するアンナ。しかし街角で幸せそうなカップルを見かけると内心うずうずとしていた。衝動を抑えきれなくなったアンナはドメニコに再び連絡をしてしまう。とある曇りの日の昼下がり、二人はカフェで待ち合わせ再会した。周囲の目を気にするドメニコはすぐに外に出ようと提案した。そして細い路地に入りこみ、激しくアンナを求めた。タイミング悪く人が通りかかり二人は大通りへ戻ったが、次の水曜日に再び会う約束をするのだった。その夜、アンナはアレッシオに水曜日に仕事が入ったと嘘をついた。実は毎週水曜日は友人夫婦と食事をすると決めていたのである。
待ちに待った水曜日。お互いの車で待ち合わせ場所に落ち合った二人。アンナはドメニコの車に移りモーテルへと向かった。鏡だらけの妖美な部屋についた二人は、この時を待っていたと言わんばかりに求め合った。そして非日常の時間は終わり、二人はそれぞれに日常の過程へと戻っていくのだった。
映画『30日の不倫』のあらすじ【転】
ドメニコの家庭は決して余裕がある経済状況ではなかった。娘の子育てに追われる妻は精神的にも余裕がなく、ドメニコにきつく当たる。ダメもとで社長に給料の交渉をするドメニコだったが、案の定はぐらかされてしまう。帰り道、路面店を営む兄の元に向かった。娘の予防接種代が足りないという愚痴を聞いてほしかったのである。同情され卑屈になったドメニコは、気づけばアンナに電話していた。アレッシオの目を盗んでドメニコと会う時間を作っていたアンナ。初めて身体を重ねたモーテルで再び二人は夜を共にした。非現実的な快楽に溺れ始めたアンナ。優しく愛情を注いでくれるアレッシオに物足りなさを感じさせていた。
一方でドメニコは育児ノイローゼな妻と厳しい現実に疲弊しきっていた。仕事よりも自分を優先するようになってしまったアンナと家族を天秤にかけることができず、さらに困惑していく。そして二人は街角で揉めているところを友人のブルーノに目撃されてしまう。
アンナはドメニコが家族サービスをしているはずのプールに立ち寄った。娘に熱心に手を振るドメニコの「父親」としての一面を目の当たりにし耐えきれなくなってしまうのであった。自身の家族との時間にまで介入してきたアンナに電話で怒鳴り散らしてしまったドメニコ。アンナは徐々に情緒不安定になっていき、とある日同僚にドメニコの存在を打ち明けてしまった。その夜、いつも通り友人夫婦とディナーをするアンナ・アレッシオ夫妻。旅行の計画を練っていた4人だが、ドメニコと揉めているアンナの姿を目撃していたブルーノはこっそりとアレッシオにアンナの浮気を匂わせるのであった。
映画『30日の不倫』の結末・ラスト(ネタバレ)
旅行を直前に控えたアンナに、ドメニコは一緒にいてほしいとわがままを言う。断り切れなかったアンナは、アレッシオに仕事が入ったと嘘をつきドメニコとの時間を存分に楽しんでいた。しかし幸せな時間は続かない。ドメニコの行動は妻にバレていたのである。自宅で待ち構える妻は激怒し、抑制しきれない状態であった。一方でアンナも自宅へ戻ると、アレッシオが旅行を早く切り上げアンナの帰りを待っていた。なんとか誤魔化したもののギクシャクした空気は変えられずにいた。
数日後、親戚の集まりの席で子供に関する質問を受け続けたアンナ。アレッシオとの子づくりを考えられないアンナは耐えきれなくなり、会を抜け出した。追ってきたアレッシオに対して、冷たく当たるアンナ。一人になり思わずドメニコに電話してしまったが、出たのは娘だった。ドメニコに裏切られたと感じたアンナが自宅に戻ると、友人がアレッシオと神妙な面持ちで話し合っていた。帰り際の友人から軽蔑の視線を向けられたアンナは孤独に襲われ、泣くことしかできなかった。
これまで以上に家族サービスに精を出すドメニコ。しかし内心はアンナを求めており、何とか話し合う機会を伺っていた。しかしアンナは関係を諦めなければならないとわかっている。街中でアンナを待ち構えるドメニコと口論になるも、二人の関係は切っても切れない。互いのパートナーを欺き旅行へ出かけていた。実はアンナはこの不倫旅行の前にアレッシオにすべてを打ち明けていた。「時間をやる」とだけ言われ判断を託されていたアンナ。しかし、ドメニコは家族を捨てる勇気と覚悟は持ち合わせていなかった。「今」を楽しもうという曖昧なドメニコの発言に困惑するアンナ。最終日の朝、覚悟を決めたように一人ベランダで朝日を眺めていた。空港につき、飛行機を待つ間にドメニコはトイレへと向かう。一人になったアンナは、頼まれたドメニコの荷物を受け取ることなく、乗り換えの飛行機へと乗り込んだ。楽しかった夢の時間は終わりを迎え、アンナは涙を浮かべながら現実の家庭へと急ぐのであった。
映画『30日の不倫』の感想・評価・レビュー
とても色濃い男女の物語であった。大変静かな展開だが、暖色が彩る妖美さは大変印象的で現実味ある不貞の様を物語っていた。小さなコミュニティ内での葛藤はあくまで一時的な「非現実」を創り出すのみで決して益は生み出さない。男女でのめり込み方が逆であり、徐々に冷静さを取り返していくアンナを見守るほど、この120分は切なさで満たされた。見る年代や境遇で受け取り方は大きく変わってくる議論しがいのある作品。(MIHOシネマ編集部)
不倫をしているのに自分や不倫という行為自体を肯定しようとする男女。見ていてイライラするお話ですが、こういうのってあるあるなんだろうなと感じてしまいます。
映画によくある美男美女の不倫では無くて、今作の男女はかなりリアルでした。言い方は悪いかも知れませんが、こういう「不倫なんてしませんよ」みたいな真面目っぽい田舎臭いおばさんが意外と不倫してたりするのかななんて思ったり。
男と女の価値観の違いが描かれているので、不倫している人や不倫しようと思ってる人にぜひ見てほしいです。戒め的な意味で。(女性 30代)
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