この記事では、映画『64 ロクヨン 後編』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『64 ロクヨン 後編』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『64 ロクヨン 後編』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ミステリー
監督:瀬々敬久
キャスト:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣 etc
映画『64 ロクヨン 後編』の登場人物(キャスト)
- 三上義信(佐藤浩市)
- 昭和64年に起きた未解決の少女誘拐殺人事件、通称ロクヨンを捜査していた刑事。広報官となった今、記者たちに少しでも多くの情報を伝えるため、新たな誘拐事件の捜査指揮車に乗り込む。
- 雨宮芳男(永瀬正敏)
- ロクヨン事件の被害者・翔子の父親。事件当時、警察が録音できなかった犯人の声を聞いた唯一の人物。
- 松岡勝俊(三浦友和)
- 三上と共にロクヨン事件の捜査をしていた刑事。今は参事官に出世している。
- 幸田一樹(吉岡秀隆)
- ロクヨン事件の時、自宅班だった元刑事の男。事件後すぐに警察を辞め、スーパーの駐車場で働いていたが、そこも辞めて姿をくらました。
- 秋川(瑛太)
- 記者クラブのリーダー的存在。東洋新聞記者。誠意を見せた広報官・三上を信頼し始める。
- 目崎正人(緒方直人)
- 新たな誘拐事件の被害者・目崎歌澄の父親。17歳で不良少女の歌澄の他に、11歳で大人しい早紀という娘もいる。スポーツ用品店を営んでいる。
映画『64 ロクヨン 後編』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『64 ロクヨン 後編』のあらすじ【起】
電話帳を開き、公衆電話から電話をかけている男がいる。男は「あゆみ!」と叫ぶ三上美那子と夫・義信の声を聴き、何も言わずに受話器を置いた。その男はロクヨン事件の被害者遺族・雨宮芳男だった。
昭和64年の少女誘拐殺人事件・通称ロクヨン事件の時効があと一年に迫り、警視庁長官が県警に視察に来ることになっていた矢先、新たな誘拐事件が発生した。犯人はロクヨン事件を模倣しているようである。
広報官の三上義信は、記者クラブと報道協定を結ぶよう指示されたが、模倣犯の可能性もあるため、被害者の実名が伏せられていた。匿名のまま記者クラブとの仮協定は結べたが、記者たちは実名が出なければ本協定は結べないと言っている。三上は、ロクヨン事件を共に捜査しており、現参事官の松岡から被害者の実名を聞き出した。被害者の父の名前は目崎正人で、17歳の女子高生が誘拐されたという。
長官の視察が中止になり、三上は雨宮にその報告に行った。雨宮は、娘の翔子がメーダマという枝にカラフルな団子をつけた正月飾りが好きだったと、思い出話を語り始めた。

映画『64 ロクヨン 後編』のあらすじ【承】
東京からの記者も集まり、大規模な記者会見が始まった。しかし、そこに現れたのは大事な情報を何も知らない二課長・落合だった。落合は、事件前、被害者宅に何度か無言電話があったことだけ話した。記者たちは怒り、別の奴を連れて来いと言っている。
雨宮が、目崎家の下の娘の早紀を車に乗せている。誘拐するつもりだったようだが、雨宮は泣きながら彼女を家まで送り、メーダマの入った紙袋を渡した。
何度目かの記者会見で、犯人の電話の発信地は玄武市内だという新しい情報が入って来た。しかし、記者はもっと細かく場所を特定しろと怒鳴る。東京の記者たちは騒ぎ続けているが、三上と散々やり合ってきた地元記者クラブの秋川たちはぐっと堪えている。三上は玄武署へ向かった。
三上は捜査指揮車に乗せてもらいたいと松岡に懇願した。松岡は、記者への報告に20分のタイムラグを設けることを条件に、三上の乗車を許可した。
目崎の家に犯人から電話がかかってきた。警察にも会話は聞こえるようになっている。犯人はヘリウムガスで声を変え、ロクヨンと同じ場所を次々と目崎に指示した。三上は20分という時間を守り、随時部下に報告した。
映画『64 ロクヨン 後編』のあらすじ【転】
犯人が指示を出していると、ガスが切れて地声が出た。犯人はロクヨン事件の時に県警の隠蔽工作を目の当たりにした幸田という元刑事だった。幸田は自力で声を変え、目崎に指示を出し続けている。そんな中、目崎歌澄が万引きで補導されたという情報が入った。幸田は、家出した歌澄の携帯を盗み、誘拐を装っていたのである。
三上は娘が無事だったことを早く目崎に伝えろというが、松岡は伝えようとしない。幸田は、空き地に置かれたドラム缶の中に金を入れて燃やせと目崎に指示した。そして、娘は缶の下だと言って電話を切った。
数日前、雨宮が犯人を見つけたと幸田に報告している。警察が録音できなかった犯人の声を聞いていた雨宮は、電話帳の片っ端から電話をかけ、ようやく見つけたのが目崎正人であった。
ドラム缶から炎が上がり、野次馬が集まっている。捜査指揮車もカメラで目崎の様子を伺っている。目崎は、油の入っていた一斗缶の下から「犯人へ 全て14年前のままだ 娘は小さな棺に入っている」と書かれたメモを見つけた。そこに、妻から歌澄がいたという連絡が入った。目崎はメモを半分破き、飲み込んだ。警察は目崎を保護した。
映画『64 ロクヨン 後編』の結末・ラスト(ネタバレ)
目崎は取り調べを受け、メモの前半に何が書かれていたのか聞かれるが、答えない。目崎が犯人であることは間違いなかったが、警察は雨宮が聞いた声が証拠だとは言えず、他に決定的な証拠がないため、彼を釈放した。
目崎家では、今度は早紀がいなくなっていた。三上は、雨宮の漬物工場で早紀を保護した。早紀は、前にメーダマを渡してきた雨宮が、父の秘密を知っているのではないかと思い、探っていた。
目崎家に電話をかけた三上は、小さな棺に娘がいると言った。目崎はロクヨン事件の遺体発見現場へ向かった。目崎が廃車のトランクを開けようとしていると、三上が現れた。三上が、なぜ小さな棺がトランクだと思ったのか尋ねると、目崎は逃げた。
三上と目崎が揉み合いになっているところに警察が到着した。早紀は、警察に連行される父を見て泣き叫んでいる。
幸田は自主をした。三上は警察を辞め、自力で娘を探すという。
平成15年1月15日。三上はどんど焼きの会場で雨宮を見つける。雨宮は翌日出頭すると言った。三上は、雨宮に早紀から預かった紙袋を渡した。雨宮はメーダマを土に挿し、翔子の描いた絵などは火の中へ投げ入れた。
映画『64 ロクヨン 後編』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
オープニングでは、前編で描かれていたシーンが別角度から描かれている。連続物には振り返りシーンが入ることが多いが、今作は単なるおさらいではないと違和感を抱いていると、予想外の事実が次々に明かされ驚いた。
新たな誘拐事件の被害者の父親役で出ていた緒方直人が、誰だか分からないくらい見た目が変わっていたのにも驚いた。出演者それぞれのキャラクターが確立しているので、登場人物が多くても混乱することはない。原作小説やNHKのドラマ版もあるので、そちらも見てみたいと興味を持てる作品だった。(女性 40代)
前編に色々な伏線があるだろうと、色々と想像をしながら観たが、期待をし過ぎた感がある。
緒方直人の演技力には目を見張るものがあり、佐藤浩市や萩原聖人のそれまでの熱演がすっかり霞んでしまった。模倣事件の被害者の父親であると同時に、64の犯人であったという難しい役どころだが、犯人の顔に変わる瞬間があまりにリアルでぞっとした。
記者クラブと警察のやり取りは正直あまり見応えがなく、ありきたりだった。
原作は未読なので、ぜひ映画と比べるためにも読んでみたい。(女性 40代)
前後編の後編。いよいよ事件の本質に迫っていく。前編よりもペースアップしているが、時系列が入り組んでいるため一瞬今自分がどこにいるのか分からなくなることがあった。前編が主人公中心の印象だったのが、後編は少し俯瞰するかのようにその他の重要人物の印象が濃くなる。オチやそこに至る展開は十分に骨太で味わい深い。邦画でここまで重厚な刑事物は珍しいのではないだろうか。役者陣の熱演も光り、原作のどこかを端折った感じもしない、映画として楽しめる作品。(男性 40代)
前編から張り詰めた空気のまま後編に突入。終盤、ついに「ロクヨン事件」の真相が明らかになったときの衝撃は言葉を失うほど。まさかあの人物が…という展開に鳥肌が立ちました。記者クラブとの対立や、警察組織の隠蔽体質など、社会派サスペンスとしても一級品。三上の葛藤と覚悟がリアルに描かれていて、彼の背負うものの重さに胸が締めつけられました。重厚な人間ドラマに圧倒されました。(30代 男性)
最後まで息が詰まるような緊張感で、観終わったあと深く息を吐きました。事件の裏に隠された真実と、それに翻弄され続けた人々の苦しみが胸に迫ります。特に、刑事としてではなく一人の人間としての三上の決断が印象的。愛娘のことも含め、彼の痛みがにじみ出ていて、涙をこらえきれませんでした。前編とのつながりもよく、完成度の高い後編でした。(40代 女性)
後編では過去と現在の捜査が交錯し、真相に近づく緊張感が常に漂っていました。昭和の未解決事件が平成にどのような影響を与えたかが丁寧に描かれ、サスペンスとしての満足感は非常に高いです。真犯人の登場シーンは静かなのに異様な迫力があり、背筋が寒くなりました。『64』は単なる刑事ドラマではなく、組織、家族、正義といった多くのテーマを含んだ社会派映画だと再認識しました。(50代 男性)
社会派ミステリーの最高峰だと思います。後編では三上の個人的な事情や過去の苦悩がより浮き彫りになり、事件の捜査と彼自身の物語が重なっていきます。娘との関係、記者会見の葛藤、警察内部の圧力…どれも現実にありそうで、リアリティがすごい。エンタメというよりは、骨太な人間ドラマとして見応えがありました。ラストの選択も静かだけど重く心に残ります。(30代 女性)
ミステリーとしての伏線回収が見事で、すべてがつながった瞬間には「なるほど」と唸ってしまいました。三上が独自に捜査を続ける姿勢に胸を打たれましたし、組織の中で声を上げる難しさがリアル。事件解決と同時に、警察という組織の暗部にもメスが入り、単なる犯人探しにとどまらない深みがありました。静かでありながら強烈なインパクトを残す映画です。(60代 男性)
ラストシーンで三上が記者会見を開く決意をした瞬間、涙があふれました。事件の真相と同じくらい、彼の心の変化が感動的。過去の事件と向き合い、真実を伝える覚悟がこれほどまでに胸を打つとは…。また、失踪した娘への想いが物語全体を通して響いてきて、親子の絆の物語でもあったように感じました。すべてが重く、でも見る価値のある傑作です。(40代 女性)
事件の真相も衝撃的でしたが、何よりも、正義とは何かという問いを突きつけられる作品でした。特に印象的だったのは、警察内部の人間関係と情報操作の描写。加害者だけでなく、被害者家族、警察、報道、それぞれの立場の人間がもがく様子がリアルでした。冷たく重い空気の中に、三上の熱い想いが光る。『ロクヨン』は語り継がれるべき社会派ドラマだと思います。(50代 女性)
映画『64 ロクヨン 後編』を見た人におすすめの映画5選
クライマーズ・ハイ(2008)
この映画を一言で表すと?
報道の最前線で人間の葛藤と情熱を描いた、心震える社会派ドラマ。
どんな話?
日航機墜落事故という未曾有の大事件を、地元新聞社の記者たちがどう伝えるかを描いた作品。巨大組織の圧力と人命の重みの間で揺れる記者の姿が、リアリティを持って描かれます。『64』同様、重厚で真摯な社会派ドラマです。
ここがおすすめ!
一人の新聞記者が真実をどう報じるかを問う姿勢が、『64』で描かれた“正義”と重なります。個人と組織の葛藤、仕事と信念のぶつかり合いに心を揺さぶられるはず。緊張感あふれるドラマ展開とリアルな演技に注目です。
愚行録(2017)
この映画を一言で表すと?
人間の闇と偽りを抉り出す、静かで恐ろしい心理サスペンス。
どんな話?
ある一家惨殺事件の真相を追う記者が、関係者の証言をたどる中で徐々に露わになっていく“真の顔”。登場人物すべてに裏があり、誰もが何かを隠している。ラストに明かされる真実は、観る者に衝撃を与えます。
ここがおすすめ!
『64』と同じく、事件の背後にある人間の悲しみや業を丁寧に描いています。物語は静かに進行しながらも、観る者を精神的に追い詰める緊迫感があります。巧妙な構成と、見る者を裏切る結末の余韻は圧巻です。
日本のいちばん長い日(2015)
この映画を一言で表すと?
決断を迫られる人間たちの極限の葛藤を描く、歴史ドラマの傑作。
どんな話?
終戦間際の1945年、ポツダム宣言を受け入れるか否かで揺れる日本政府と軍部。その中での阿南惟幾陸軍大臣の苦悩と決断に焦点を当て、日本の“終わり方”を描いた重厚な群像劇です。
ここがおすすめ!
個人の信念と国家の運命が交錯するドラマは、組織の中で苦悩する三上の姿と重なります。緊迫感あふれる政治劇でありながら、人間の良心や理想への問いかけが深く心に響く一作です。
半落ち(2004)
この映画を一言で表すと?
“正しい行為”とは何かを問う、刑事と人間の狭間で揺れる名作ドラマ。
どんな話?
自ら妻を殺したと自供した元刑事が、なぜか事件の“空白の2日間”について語らない。捜査が進む中で見えてくる真相と、彼の苦悩の理由に、心を揺さぶられます。重厚なテーマが観る者に深い問いを投げかけます。
ここがおすすめ!
『64』同様に、“正義”や“人としての在り方”について深く考えさせられる作品。派手な演出はないですが、静かな演技と緻密な構成で真実に迫っていく過程は圧巻。感情の余韻がじんわり残る名作です。
検察側の罪人(2018)
この映画を一言で表すと?
正義の名のもとに揺れる信念――2人の検事がぶつかり合う心理戦。
どんな話?
同じ検察に所属するベテランと若手検事が、ある殺人事件の捜査を進める中で正義の定義を巡って対立。一つの事件が、価値観と信念のぶつかり合いへと発展していく。重厚なテーマと衝撃の展開が話題を呼びました。
ここがおすすめ!
『64』で描かれた「正しさ」と「組織」の間で揺れる三上と同様に、検事2人の苦悩と衝突が非常にリアル。社会派ドラマとしての骨太なメッセージに加え、圧巻の演技合戦が見どころ。観終わった後に深い余韻が残ります。
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