この記事では、映画『クライム・ヒート』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『クライム・ヒート』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『クライム・ヒート』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
監督:ミヒャエル・R・ロスカム
キャスト:トム・ハーディ、ノオミ・ラパス、ジェームズ・ガンドルフィーニ、マティアス・スーナールツ etc
映画『クライム・ヒート』の登場人物(キャスト)
- ボブ・サギノフスキ(トム・ハーディ)
- マフィアの売上金の集金場所に割り当てられているバーで働くバーテンダー。寡黙で控えめな性格をしており、拾った子犬に愛情を注ぎ込む優しさの持ち主。
- ナディア・ダン(ノオミ・ラパス)
- 子犬を介してボブと知り合う孤独な女性。子犬の世話をするにつれてボブと親しくなっていく。かつてエリックと付き合っていた。
- カズン・マーヴ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)
- バーの元オーナー。元々は自ら経営していたが、借金を負ってマフィアに奪われてしまった。ボブの親戚でもある。
- エリック・ディーズ(マティアス・スーナールツ)
- ナディアの元恋人で、ボブが拾った子犬の飼い主でもある。何年も前に失踪したウィーラーを自分が殺したと吹聴している。
映画『クライム・ヒート』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『クライム・ヒート』のあらすじ【起】
何年も前に死亡したウィーラーを偲ぶ友人がバーに集まり、ボブは店のおごりで酒を振る舞う。ボブはバーからの帰り道にゴミ箱に捨てられていた子犬を見付ける。ゴミ箱はナディアの家の前に置かれていたものだった。ナディアが自宅から顔を出し、2人はケガした子犬を治療してあげる。子犬はナディアが一時的に預かることになる。
マーヴとボブが店仕舞いをしていると、2人組の強盗が現れ、売り上げを奪っていく。ボブは通報で駆け付けた刑事に強盗が壊れた腕時計をしていたことを説明する。バーはマフィアのボスのものでマーヴとボブは損害を補填しなければならなくなる。ボブは子犬を引き取りに行き、ナディアと一緒にペット用品を買いに出掛ける。そして2人で子犬をロッコと名付ける。
マフィアのボスがやって来て、マーヴとボブに金を見つけ出すように命じる。夜中に出掛けたマーヴは強盗の片割れと密会する。実はマーヴが強盗を仕組んでいたのだ。マーヴは次の山としてマフィアの売上金がバーに集められる機会を狙っていた。
映画『クライム・ヒート』のあらすじ【承】
失職したナディアはロッコの世話係として働かせてほしいとボブに頼み、ボブはそれを快諾する。一方、マーヴは父親の医療費が嵩んでいることを姉から愚痴られる。ボブが犬を散歩させていると、エリックに声を掛けられる。そしてエリックはボブの家に押し掛けて来て、ロッコが自分の犬だと主張して去って行く。
ある日、ナディアがケガをした顔でボブの前に現れる。そしてナディアは自分でピーラーを使って傷付けたと説明する。ボブはバーの裏口にぶら下がっていたゴミ袋の中に切断された腕と血まみれの金を見付ける。腕には壊れた腕時計が掛けられていた。その後、バーにエリックが顔を見せてナディアのことを口にするが、マーヴが追い返す。そしてマーヴはエリックがリッチーを殺したと吹聴していることを説明する。
ボブはナディアにエリックと知り合いかを確認する。しかし、ナディアは質問に答えずに高圧的な態度を示して去ってしまう。バーにマフィアのボスが姿を見せ、ボブは洗った金を手渡す。ボスはスーパーボウルの夜に売上金を預かるように指示する。
映画『クライム・ヒート』のあらすじ【転】
刑事がリッチーの事件についても聞き込みを始める。ナディアがボブの家の前で待っており、ボブに謝る。そしてエリックとかつて付き合っていたことを明かす。ボブはナディアと飲みながらかつてマーヴと一緒に悪事に手を染めていた時期があったことを説明する。マーヴは再び強盗の片割れと会うが、相方を殺された片割れは怖じ気づいており、再びバーを襲撃するのを断る。そこでマーヴは相手を轢き殺し、エリックに声を掛ける。
エリックはボブにロッコが欲しければ1万ドルを渡すように要求する。スーパーボウル当日にマーヴは所有していたバーがマフィアに奪われたことを愚痴り、体調が悪いから休むとボブに告げる。ボブはマーヴが危険なことをしようとしていなか確認するが、マーヴは何も語ろうとしない。
エリックがナディアの家に侵入し、ナディアを脅して外に連れ出す。ボブがバーに立ちながら、マフィアが運んできた金を金庫に保管する。するとバーにエリックがナディアを連れて現れる。エリックはボブに飲み物を注文し、マーヴと電話で連絡を取る。
映画『クライム・ヒート』の結末・ラスト(ネタバレ)
客が去り、バーにはボブとエリック、ナディアが残される。ナディアはエリックが銃を持っているのに気付き、こっそりとボブに伝える。ボブはエリックに1万ドルを渡すが、エリックは金庫の金を渡すように要求する。大口を叩くエリックに苛立ったボブはマーヴと自分が金目的にリッチーを殺したことを明かす。そして、そのことを告げ終わると同時にエリックを撃ち殺す。困惑したナディアは涙ながらにバーを去る。
マーヴはエリックに電話するが、ボブが電話口に出る。マーヴはそこで計画が失敗したことを悟る。ボブはマフィアのボスに預かっていた大金を渡し、強盗に遭ったことを報告する。ボスはマーヴを殺したことを明かし、バーをボブのものにすると告げる。
ボブは何事もなかったようにバーを営業していると、刑事が姿を見せる。そしてエリックの居場所を知らないかと尋ねる。ウィーラーもエリックも最後に目撃された場所がこのバーだった。刑事はボブへの疑いを口にし、去って行く。エリックはロッコを連れてナディアに会いに行き、犬の散歩に誘う。ナディアはその申し出を受け、支度のために自宅に戻る。
共に金の横領を誤魔化すために大金を手にした若者を殺したことを打ち明ける。その若者こそがリッチーだった。ボブはそのこと告げると、エリックを撃ち殺す。ナディアは涙ながらにその場を去る。
映画『クライム・ヒート』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
デニス・ルヘイン原作らしい重厚な犯罪ドラマ。派手なアクションや暴力的なシーンはなく、むしろ登場人物の語りを通じて複雑に絡み合うそれぞれのドラマを楽しむ作りになっている。トム・ハーディの無骨で孤独に満ちた雰囲気も良かったが、それ以上に返り咲きを狙って凶行に及ぶジェームズ・カンドルフィーニの哀愁を帯びた演技に引き付けられた。ただ、作品全体の仕上がりとしては『ミスティック・リバー』に比べて物足りない。(MIHOシネマ編集部)
静かなサスペンスが好きな私にはドンピシャでした。ボブと犬とナディアの小さな幸せを壊そうとする者たちを、ボブが迷いなく排除するラストが衝撃的。トム・ハーディの繊細な表情がとても印象的でした。ジェームズ・ガンドルフィーニの最後の映画でもあり、感慨深かったです。(30代 女性)
一見ただの冴えないバーテンダー、でも実は…という展開が最高でした。ボブの「何者か」を隠しながら描く脚本がうまく、ラストの伏線回収も見事。ノワール好きにはたまらない一作。地味だけど、見れば見るほど味わい深い映画です。(40代 男性)
全体的に地味なトーンだけど、その中に張り詰めた緊張感があって、終始引き込まれました。特に犬とナディアを守るためにボブが覚悟を決める過程が好き。静かな怒りを溜め込んだ演技がリアルで、トム・ハーディの魅力が存分に発揮されていました。(50代 女性)
最初から最後まで静かだけど、どこか常に不穏な空気が漂っていて、それがすごくクセになりました。ラストでボブが過去の”正体”を見せる瞬間は鳥肌モノ。ギャングものだけど派手な銃撃戦ではなく、リアルな人間ドラマとして楽しめました。(20代 女性)
淡々と進む物語の中で、登場人物たちの思惑が絡み合っていく様子にゾクゾクしました。特にボブの過去が明かされた瞬間、映画全体の意味が変わって見えてすごかったです。派手な演出に頼らず、緻密な脚本と演技力で勝負している本格派のクライム映画です。(30代 男性)
犯罪ものなのに、優しさや温かさを感じさせる場面があったのが意外でした。ボブが犬を必死で守ろうとする姿が切なくて、彼の優しさの裏にある冷酷さが明かされたとき、ますます彼という人物に惹かれました。静かな傑作だと思います。(40代 女性)
最初は少し地味かなと思ったけど、観るうちにジワジワと引き込まれました。ナディアとの関係性や犬との絆が、犯罪の世界と対照的に描かれていて、より一層ボブの人間性に深みを持たせていました。しみじみ余韻が残る作品です。(50代 男性)
トム・ハーディの無言の演技に痺れました。大声を出さず、暴れもせず、ただ静かに、でも確実に相手を追い詰めるボブの姿にゾクッとしました。善悪の境界線が曖昧な世界観も最高。地味だけど、濃厚なクライム・ノワールが好きな人にはたまらない作品です。(10代 女性)
ラスト、バーの外で雪が舞う中、ナディアと犬と一緒に歩くボブの姿がすごく印象的でした。彼が「普通の生活」を求めていることに、かすかな希望を感じました。ただのクライム映画じゃなく、人間ドラマとしても一級品。静かなラストが沁みました。(60代 男性)
映画『クライム・ヒート』を見た人におすすめの映画5選
ウィンド・リバー
この映画を一言で表すと?
「静かな絶望と怒りが、吹雪の中で燃え上がるサスペンス」
どんな話?
ワイオミング州の雪深いインディアン居留地で少女の死体が発見され、ハンターと新米FBI捜査官が真相を追うクライムサスペンスです。過酷な自然と閉ざされたコミュニティの中で、少しずつ明かされる真実が心を締め付けます。
ここがおすすめ!
自然の厳しさと人間の闇を静かに、しかし強烈に描き出す傑作。『クライム・ヒート』同様、派手なアクションではなく、張り詰めた緊張感と人間ドラマで魅せるタイプの映画を求める人にぴったりです。
ヒストリー・オブ・バイオレンス
この映画を一言で表すと?
「平穏な顔の下に隠された、過去の業が暴かれるドラマ」
どんな話?
田舎町でカフェを営む男が、ある日強盗を撃退したことで、彼の過去が暴かれ始めるスリラー。愛する家族との絆を守ろうとする姿と、消し去れない過去との葛藤が交錯します。衝撃的な展開に目が離せません。
ここがおすすめ!
ヴィゴ・モーテンセン主演、デヴィッド・クローネンバーグ監督による、静かに燃え上がるバイオレンスと人間ドラマの傑作。『クライム・ヒート』が好きな人には、この静かな緊張感と暴力性に絶対ハマるはずです。
オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分
この映画を一言で表すと?
「たった一人の車内で、人生のすべてが崩れ落ちていくドラマ」
どんな話?
建設現場監督の男が、夜の高速道路を車で走りながら、家族や仕事の問題に一つずつ向き合っていく一夜の物語。舞台はほぼ車内のみ、登場人物も彼一人だけという超ミニマムな構成が新鮮です。
ここがおすすめ!
トム・ハーディの一人芝居が光る異色のドラマ。彼の細かな表情と声だけで、観客を最後まで引っ張る力量に圧倒されます。『クライム・ヒート』で見せた静かなる内面の葛藤を、さらに濃密に味わいたい人におすすめです。
裏切りのサーカス
この映画を一言で表すと?
「スパイたちの静かな裏切りと信頼が交錯する、極上の知的サスペンス」
どんな話?
1970年代冷戦下のイギリス諜報部を舞台に、組織内に潜む二重スパイを炙り出すために奔走する元諜報員の物語。派手なアクションは一切なし、静かに疑心暗鬼が蔓延する空気感がたまりません。
ここがおすすめ!
ゲイリー・オールドマンを筆頭に超豪華キャストが揃った、渋く緻密なスパイ映画。ゆっくりと確実に進んでいく展開と、深い心理戦が好きな人にはたまらない一作。『クライム・ヒート』の静かな緊張感が好きなら間違いなしです。
ナイトクローラー
この映画を一言で表すと?
「成功を求めて狂気に堕ちていく男の姿を描く、衝撃のドラマ」
どんな話?
ロサンゼルスの夜を舞台に、事故や犯罪現場を撮影してテレビ局に売る”ナイトクローラー”として成功を目指す男の物語。成功への執念が常軌を逸していく様子が生々しく描かれます。
ここがおすすめ!
ジェイク・ギレンホールの怪演が凄まじく、観る者に不快感と中毒性を同時に与えます。静かで不気味な狂気がじわじわと広がる感じが、『クライム・ヒート』の持つ薄暗い世界観にハマった人にはピッタリです。
みんなの感想・レビュー