映画『ホムンクルス』の概要:過去の記憶や感情も欠如している車上生活の男性に、突如第六感を芽生えさせる手術の話が持ちかけられる。原作は山本英夫の同名漫画。主演に綾野剛を迎え、清水崇がメガホンを取る。
映画『ホムンクルス』の作品情報
上映時間:119分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:清水崇
キャスト:綾野剛、成田凌、岸井ゆきの、石井杏奈 etc
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映画『ホムンクルス』の登場人物(キャスト)
- 名越進(綾野剛)
- 車上生活を送りながら、高級ホテルで食事をするような金銭的な余裕がある男性。自分探しを続けているが、「保険の審査員」であった過去や感情が欠如している。
- 伊藤学(成田凌)
- 優雅な生活とホームレスの狭間に身を置く名越に興味を持ち、「トレパネーション手術」の話を持ち掛けた青年。研修医として働く一面を持つが、孤独感溢れる一面も見え隠れする。
映画『ホムンクルス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ホムンクルス』のあらすじ【起】
ある手術室。全身に手術用のドレープをかけられた患者が横たわっている。一人の女医は患者に電気メスを入れ、ぐっとのぞき込むのだった。
名越は車上生活を送っている。名越には過去の記憶が無く、ホームレスとして路上生活を送っていた時期もあった。久しぶりにホームレス仲間の元を訪ねると、世話になった一人が亡くなったことを知らされる。
安定しない生活を送っているように見える名越だが、ホテルのレストランで食事をする余裕はある。出所が不明確なお金は常に持っていた。名越がホームレスの“ような”生活を送っているのは「自分探しのため」なのだ。
ある夜、奇抜な装いの青年・伊藤が名越の車をのぞき込み、声をかけてきた。著名な医師の息子だという伊藤は、頭蓋骨に穴を開けさせてほしいと言うのだ。「トレパネーション」という実験を行うために名越ではないと駄目だと食い下がる伊藤。しかし金に困っているわけではない名越は、ぞんざいに断るのだった。
新宿の公園に路上駐車していた名越の車が、レッカー移動されてしまった。唖然として立ち尽くす名越の前に、再び伊藤が現れ「あなたに生きる意味を与える」と告げた。
なぜか伊藤に興味を惹かれた名越は、「トレパネーション」を受けることにした。伊藤の部屋について行くと、そこには良い趣味とは言えない写真や資料が壁一面に貼られていた。
自分の過去に興味がない名越に欠如している感情を取り戻すためにも「トレパネーション」が必要だと語る伊藤。赤ん坊の時にだけある脳内の空洞を創り出すことで、第六感を目覚めさせ潜在的な能力を開放することが目的だと明かすのだった。
映画『ホムンクルス』のあらすじ【承】
自分の身を伊藤に委ねた名越。術後もこれといった変化は感じられなかったが、伊藤の実験は続く。第六感を使い、伏せたカードの図柄を当てるというテストを伊藤は始めた。
「全ての意識を左側に集中させろ」と言う伊藤の指示通り、名越は左目だけを使いカードの図柄を言い当てた。喜ぶ伊藤と対照的に、名越はくだらなそうに店を後にした。
繁華街に向かった名越は、通行人の数人が奇妙な見た目になっていることに気付く。戸惑い、慌てふためいた名越は、ヤクザの組長にぶつかってしまう。路地裏へ連れ込まれた名越には、組長はロボットに見えていた。
名越の小指を切り落とそうとする組長に対して、名越は「自分を傷つけちゃだめだ」と諭す。周囲は理解できず名越を責めるが、組長は小刻みに震えだしその場を去った。
名越は、伊藤にあったことを話すと「人間の深層心理が形になったものだ」と告げる。伊藤はにやにやとしながら、名越に起きた現象に「ホムンクルス」と名付けた。
伊藤は名越を女子高校生専門の風俗店へと連れていった。控えている女子高校生の内、一人だけ砂のようになっている少女・ユカリがいることに名越は気付く。
ホムンクルスと関係を持ちたい伊藤はユカリに話しかけるが、女性経験がないため発作のような症状が出てしまった。ユカリの携帯電話を盗んだ伊藤は、名越に託しその場を去った。
一人になった名越の元に、組長の子分が現れた。事務所へ連れていかれた名越は、組長に詰め寄られ、もう一度左目で組長を見つめ直す。すると、ロボットの中に子供がいることに気付いた。
幼い頃の組長が抱いた罪悪感を名越は言い当てた。組長の深層心理に抱えたトラウマを解きほぐしたことで、名越は大いに感謝される。
映画『ホムンクルス』のあらすじ【転】
帰り道、名越はホームレス仲間に誘われた。感情と記憶を取り戻し始めた名越は、初めてホームレス仲間に「保険の査定員」だったことを明かす。余計なことまで話してしまった名越は、ホームレス仲間に殴り掛かられるが、ユカリからの着信があり名越はその場を離れた。
ユカリは名越を見つけ、車に乗り込んできた。もう一度名越はユカリを左目で見つめ直す。砂だと思っていたユカリの「ホムンクルス」は、記号の集合体であると気付く。母親の束縛から逃げるため、自分を必要としてくれる存在を求めていたユカリ。
名越に満たされたことで、ユカリの「ホムンクルス」は消え去った。しかし、翌日名越は自分の体に組長とユカリの「ホムンクルス」が転移していることに気付く。伊藤を問い詰めようと病院に向かった名越。待合室で赤い服を着た顔の無い「ホムンクルス」に「空っぽ」と言われ、取り乱すのだった。
伊藤は「名越自身」が深層心理に抱えたトラウマと対峙する必要があると告げる。名越は自分の過去を掘り起こそうと、車内を探り「奈々子」と書いた名刺を見つける。
差定員として働いていた名越は不自由ない生活を送っていたが、偶然出会った奈々子に初対面で「空っぽ」と言われていた。病院の待合室で名越が見た女性は奈々子によく似ていたのである。
名越は病院で待ち伏せをして、彼女と接触する。しかし彼女も記憶を失っていた。名越は奈々子と暮らしていた部屋に連れていき、過去の話を聞かせる。彼女は名越に寄り添い一夜を明かした。奈々子と共に過ごしたことで、名越のトラウマは消え「ホムンクルス」が見えなくなる。しかし、彼女の額に「トレパネーション」の跡を見つけるのだった。
映画『ホムンクルス』の結末・ラスト(ネタバレ)
慌てて伊藤へ連絡を取った名越。伊藤は知っている真実を明かさず、「今の現実は、自分の脳が作り出した、都合の良い幻想かもしれない」と告げた。名越が伊藤を探している中、伊藤はななこを訪ねていた。
名越はもう一度「ホムンクルス」を見るため、自分の額にドリルを向けた。ななこの待つ部屋に戻ると、ななこは「私は、奈々子さんじゃない」と嘆く。実は名越が奈々子と重ねていた女性は、運転中の恋人と喧嘩したことで事故を起こし奈々子をはねていた過去を抱えていた。
真実を知った名越は、泣き続ける女性を抱きしめる。そこへ訪れた伊藤を改めて左目で見つめた名越。伊藤は水のような「ホムンクルス」を持っていると気付く。その水なのかを一匹の金魚が泳いでいた。
伊藤は幼い頃から父親に褒めて欲しいと思っていたが、父親は金魚への興味の方が強かった。幼い頃の伊藤は金魚に嫉妬し、殺めてしまう。泣き崩れた伊藤に「俺達は、自分の事しか見えていなかったんだ」と名越は声を掛けた。
伊藤は自ら「トレパネーション」を施し、自分が見たかった世界を手に入れた。名越はななこと呼んでいた女性を助手席に乗せ、車を走らせるのだった。
映画『ホムンクルス』の感想・評価・レビュー
期待値の高い中で鑑賞してしまい、少し残念な部分が多かった一作ではある。原作が好きな人間からすれば、所々をちぎって繋げたような展開にも思えてしまうのだ。実力派のキャストが揃っている中で、設定を活かしきるには2時間では当に足らないのだろう。「ホムンクルス」を再現するにあたり、中途半端なCGでは興ざめするのが目に見えている以上、現代で良かったというのが唯一の救いである。(MIHOシネマ編集部)
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