映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の概要:死んだはずの魂が、自殺を図った高校生の肉体に転移する。“ホームステイ”先となった高校生の自殺の原因を探るファンタジー作品。原作は直木賞作家、森絵都の『カラフル』。
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の作品情報
上映時間:136分
ジャンル:ファンタジー、ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:パークプム・ウォンプム
キャスト:ティーラドン・スパパンピンヨー、チャープラン・アーリークン、サルダー・ギアットワラウット、スークワン・ブーラクン etc
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の登場人物(キャスト)
- ミン(ティーラドン・スパパンピンヨー)
- ある事情を抱え自殺を図った高校生。遺体安置室で目を覚まし、ミンの肉体に“ホームステイ”する代わりに自殺の原因を探るミッションをこなすこととなる。
- パイ(チャープラン・アーリークン)
- ミンの先輩であり憧れの存在。特進クラスで勉強に励んでいて、科学オリンピックの選抜メンバーにも選ばれている。雰囲気の変わったミンに惹かれていく。
- リー(サルダー・ギアットワラウット)
- ミンの同級生で応援部の仲間。うつ病を抱えていたミンを誰より心配していた存在。ミンのホームステイ後も一番近くで変化を見守っていく。
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』のあらすじ【起】
遺体安置所で目を覚ました少年。暗闇の中で「当選しました」という声が響き渡ったのだ。
仄暗い空間で彷徨う少年。突如、目の前に「管理人」と名乗る男が現れた。
以前の記憶がない少年。管理人は生前の記憶を消したと語り、少年の魂は自殺を図った高校生・ミンの体に転生していると説明した。しかし、ミンの体に寄生していられるのは100日間だと言う。この期間内に、ミンの自殺の原因を明らかにしないと少年の魂は消えることも告げられたのだった。
飛び起きた少年の姿に周囲は混乱する。緊急手術が行われ、ミンとして生まれ変わった少年は家族と共に帰宅した。
ミンの兄は、どこかミンを拒んでいるようだった。ミンの母親は、自室ではなく兄の部屋で生活するように促す。幸運にも帰宅したミンに対して、仕事熱心な父親は無関心なようだった。
自殺の原因を探るため、ミンは自室へ行こうとするが鍵がかかっていた。兄が出かけた隙に鍵を開けようとするが合うものが無かった。諦めきれないミンは窓をつたって部屋へ入る。しかしそこには何もなく、物音を立てたことで母親に気付かれてしまった。
自殺前にミンは自分の部屋から全ての物を捨てたと母親は話す。学校に送り届けてくれたが、自殺のことは隠すように諭されるのだった。
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』のあらすじ【承】
登校するとミンの親友・リーが声をかけてきた。当然名前などわからないミンだが、家族以外からの意見も聞きこむために明るく話を続ける。そして、リーに連れられ応援部のマスゲームのデザイン会議に参加することになった。
ミンが描いたデザインは悪趣味なものばかりである。戸惑うミンに、リーはうつ病の進行状況を尋ねるのだった。
教室に戻ると先輩のパイからの置き手紙が机に残されていた。待ち合わせに指定された図書館へ向かう途中、特進クラスの前を通ったミン。財布に入っていたバッジが特進クラスの生徒の証だと分かるが、ミンはそのクラスの生徒ではなかった。
パイと初めて顔を合わせたミンは一目惚れをしてしまう。勉強を教えてくれるパイに好かれようと、テストにも熱心に取り組みお洒落にも気合いを入れるミン。パイもまた、雰囲気が変わったミンの姿に惹かれていくようになる。
ミンに残された時間が70日となった頃、父親に言われ生前通っていたカウンセリングに出向くことになった。しかしそこへ管理人が姿を変えて現れる。ミンは悠長に恋愛している場合ではないと急かされるのだった。
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』のあらすじ【転】
パイと付き合い始めたミン。科学オリンピックに向けて勉強に励むパイだが、弱気になっていた。パイを励まし、支えることもミンには幸せの一つになっていた。
ある日、母親が父親の愚痴を話しているところをミンは立ち聞きしてしまう。別居し家族でも孤立している母親は、生前、ミンが苦手だったドリアンを美味しそうに食べる姿を見てとても喜ぶのだった。
期限は刻一刻と迫っていく。パイと花火大会に出向いたミンの前に、再び姿を変えた管理人がミンの前に現れる。帰り道、ミンはマスゲームのデザインを思いつき、応援部に立ち寄る。そこでミンが生前使っていたパソコンを見つけた。
同じパソコンを兄が持っていたことに気付いたミンは、帰宅後兄の持ち物を探る。そこで兄がドイツ留学を控えていたが諦めたことをミンは知る。そして、ミンの顔だけが塗りつぶされた家族写真を見つけてしまうのだった。
帰宅した兄は、パソコンを開いているミンを見かけ、焦った様子でパソコンを取り上げる。窓の外へ放り投げられたパソコンを取りに行ったミンは、三度姿を変えた管理人と鉢合わせた。
なんとかパソコンを修復したミンは、身勝手な父親への不満や兄への嫌悪感を綴った遺書を目にする。それは唯一自分を愛してくれる母親に宛てた手紙でもあった。
特進クラスのバッジをパイに返すため、図書館にいるパイに会いに行く。しかしミンは、図書館で密会するパイと特進クラスの担任の姿を見かけてしまった。翌日、ミンはパイを責め立てた。しかし、パイは深くは語らず泣き崩れるのだった。
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の結末・ラスト(ネタバレ)
失望したミンは、母親が一人暮らしをする家を訪ねた。「また来たの?」と話しかけてきた隣人から母親の留守を知らされたミン。帰り道、見知らぬ男性と幼い娘と幸せそうに歩く母親の姿を見かけてしまった。そこでミンの自殺の原因は母親への失望だったのだと悟る。しかし、それは正解ではないようでミンへのミッションは続いた。
ミンの様子を心配するリー。しかしミンは冷たくあしらってしまう。それでもリーはミンの支えになろうとしてくれたのだった。
父親と母親に連絡し、食事をすることにしたミン。帰り道、ミンは母親に車で送ってもらった。車中、母親に恋人がいることを知ったと明かす。動揺する母親だが、恋人と別れたことを告げた。しかし、その車は事故に遭い、二人は緊急搬送されたのだった。
意識を取り戻したミンだが、母親は意識不明の重体だった。駆けつけた兄は、ミンに留学を辞めたのは自分の意志だと告げる。母親の不貞を知っていた兄がミンを傷つけないように隠していたことを知り、ミンは家族への不信感を取り払っていく。
パイとの関係も修復したいミンは話し合うことに決めた。パイと向き合った帰り、マスゲームのリハーサル会場に立ち寄ったミンは、パイと花火を見た帰りに書き上げたデザインが自分の名前で起用されていることに気付く。
一緒に居たリーから、生前のミンが提出していたのではないかと聞かされ、ミンは意識を失う。目を覚ましたミン。目の前の鏡には、ミンの姿をした管理人が映し出された。
「ミンは自分のせいで死んだ」と管理人に見出した答えを告げるミン。正解した少年の魂は自分の体に戻った。それはミンの体であった。生き続けられることを喜ぶミンは、意識を取り戻した母親へ会いに行き、感謝を伝えた。
後日、パイは科学オリンピックでメダルを獲得した。その報告を受けたミンは、これからの人生も幸せであるように願掛けをするのだった。
映画『ホームステイ ボクと僕の100日間』の感想・評価・レビュー
結末は予想外なところに着地した。灯台下暗しというが、まさにこの物語にピッタリなワードだろう。俯瞰することはなかなか難しいが、この物語ではその重要さを知らせるような展開を見せる。違和感だらけの生活もいつしか心地よくなり、過去の裏切りも向き合い直せば違う視点が開ける。そんな普遍的なことを思い返させてくれた。小説のストーリーと大筋は同じだが、オリジナリティもあるため日本版のアニメ映画と併せて世界観を堪能したい。(MIHOシネマ編集部)
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