映画『ヴィダル・サスーン』の概要:その男は、ハサミ1つで世界を変えた。’60年代スウィンギング・ロンドンで『ウォッシュ&ゴー(洗ってそのまま)』スタイルカットを確立した美容師・ヴィダル・サスーン。彼の生涯と信念に迫る。
映画『ヴィダル・サスーン』 作品情報
- 製作年:2010年
- 上映時間:91分
- ジャンル:ドキュメンタリー、伝記
- 監督:クレイグ・ティパー
- キャスト:ヴィダル・サスーン
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映画『ヴィダル・サスーン』 評価
- 点数:75点/100点
- オススメ度:★★★☆☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★☆☆
- 設定:★★★☆☆
映画『ヴィダル・サスーン』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ヴィダル・サスーン』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ヴィダル・サスーン』 あらすじ【起・承】
時は’60年代、スウィンギング・ロンドン。
ミニスカートにベリーショートカットのマリー・クワントがカメラに向かって微笑む。
彼女の髪を手がけたのがヴィダル・サスーンだった。
サスーンのサロンには、ツイギー、バレリーナのナンシー・クワンなど著名人が次々に訪れた。
グラマラスで、ロングヘアな女性こそ美女という固定概念を覆したのが、この時、編み出した『サスーンカット』だった。
彼が現れる前まで、ヘアカットは髪の流れに逆らうものだった。
パーマと逆毛で『盛り』、被せのドライヤーでセットしてスプレーを振る。
サスーンは頭の骨格と髪の流れを考え、カットするという、現在では当たり前、当時は幾何学的ともいわれた『ジオメトリックカット』を編み出した。
’54年に彼は、保守的な美容院から独立し、自身のヘアサロンを作る。
彼は、既存の『パーマの後は毎日セットしなければいけない』という面倒な作業から女性を解放する為、
9年の歳月をかけ、スタイルをさらに進化させる。
そうして産まれたのが、頭を振っても元通りになるファイブ・ポイント・カットや、
洗ってもスタイルそのままとう、ザ・グリースゴッテスだった。
映画『ヴィダル・サスーン』 結末・ラスト(ネタバレ)
革命的カットスタイルを生み出したヴィダルは、’28年生まれ。
小学生の時、第二次大戦が始まる前にロンドンの孤児院に入れられユダヤ人排斥の波で、戦争と貧困を生き抜いた。
母に言われ美容師になったのが14歳の時。
イーストエンドのNo.1美容室『アドルフ・コーエン・サロン』など保守派の美容室を点々とする中で、
お客様が求めているヘアスタイルは、果たしてこんな不自然なものだろうか、と考えるようになったのだ。
ヴィダルは、自分のメゾットを各地、各国に広める為に、アカデミーを設置。
そこの卒業生たちが、また別の人材を育てていく連鎖を誇りに思っていた。
彼自身、私生活では結婚離婚を繰返しているが、会社の経営上波乱があった事と言えば、会社を早く売りすぎた事だという。
美容大手に売却をもちかけられ売ってしまったというヴィダル。
結果として、ヴィダルはいい顧客を失い、会社は人材であり金でない事を悟る。
映画は、ヴィダルのインタビューと過去の映像を織り交ぜながら終わっているが、
エンディングテロップで、ヴィダルはこの映画日本公開を待たずして、白血病で亡くなった事が書かれている。
映画『ヴィダル・サスーン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ヴィダル・サスーン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
既存の概念を打ち破るヒントが隠されている
映画が完成した当時’10年、配給元は小品を買い付ける事で知られるアップリングに決定した。
しかし美容関係者はアップリンク社長に、これは一般向けではないと忠告したらしい。
映画、特に小品を観たいと思う観客は、現在当たり前にあるテクノロジーや、技術が、誰がどの様に、
開発したかを知りたいと思う。
ヴィタル・サスーンが、サスーンカットを9年かかって編み出した理由も、これに含まれるのではないだろうか。
戦前は当たり前ではなかった、ハサミ1つで骨格と髪の流れに添って髪を切ること。
これは私たちが映画館で常にドキュメンタリーに対して求めている事が含まれている。
既存の概念をどうやって打ち破ったのか、打ち破る勇気とヒントが隠されていたのではないかと。
美容業界の先駆けの本を出版
仕事に打ち込む為には健康な体と魂が必要だと語る彼は、二番目の妻で女優のビヴァリーの影響を受け、
ヨガやスイミングに打ち込み、その様子を『美容と健康の1年』という本に記している様がドキュメンタリーに出ている。
有名人がこの手の本を出版するのは、’70年代には珍しい事で、発売から1年で30万部突破。
事実、ヴィダルサスーンアカデミーに入り、入社したディレクターは、入社した時以上に太ってはいけないらしい。
教えは現在も徹底している。
いい所だけを描いたわけではない伝記
これだけ高名な人間の伝記映画となると、いい所ばかりとりあげらがちになるが、この映画は、ヴィダル自身が、
自分の弱い所もインタビュワーの前で、包み隠さす述べている所が好感が持てる。
長女カチャの薬物中毒による夭折、3度の離婚、息子の死など、彼は華々しいキャリアの影に背負わされる過去の重さもあったはずだ。
それをあえて話す彼のすがすがしさには、心の広さが垣間見える。
ヴィダル・サスーンが人の名前だとは知らなかった私。ヘアケア商品のメーカーだとしか思っていなかったので、女性の髪型に革命を起こした「カリスマ美容師」だったとは知らずとても驚きました。
マリー・クヮントもツィギーも私が思うショートカットが似合う女性は皆ヴィダル・サスーンにカットしてもらっていたのだと知り更に驚きましたが、新しいテクニックは簡単に万人受けするものではなく、とても困難な道を歩んできたのだと知りました。
全てはお客様のためを思って工夫されたもの。それは現代の私たちの仕事にも通ずると思います。とても勉強になる作品でした。(女性 30代)
映画『ヴィダル・サスーン』 まとめ
アップルが新入社員に送るメッセージには、こう書いてある。
『ただの仕事とあなたの人生の仕事がある。それは貴方の指紋が残る仕事。妥協をしない仕事。
週末を犠牲にしても構わない仕事、アップルならそれが可能です』とある。
ヴィダルに来る人も、そうではないだろうか。
給料だけ貰いに来ている人の口から出る言葉というのは、同じ言葉でも、説得力もなければ、
情熱も感じられない。昨今は哀しいながら、その様な人が多くなってしまっている。
働く事の意味を考えさせられる伝記でもある。
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