映画『愛と追憶の日々』の概要:1983年公開のアメリカ映画。ぶつかり合いながらも深いところで結ばれた母と娘の物語をシャーリー・マクレーンとデブラ・ウィンガーが好演し高い評価を得た。同年アカデミー賞で5部門を受賞。他、受賞多数。
映画『愛と追憶の日々』 作品情報
- 製作年:1983年
- 上映時間:132分
- ジャンル:ヒューマンドラマ
- 監督:ジェームズ・L・ブルックス
- キャスト:デブラ・ウィンガー、シャーリー・マクレーン、ジャック・ニコルソン、ジョン・リスゴー etc
映画『愛と追憶の日々』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『愛と追憶の日々』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『愛と追憶の日々』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『愛と追憶の日々』 あらすじ【起・承】
オーロラ(シャーリー・マクレーン)は早くに夫と死別し、娘のエマ(デブラ・ウィンガー)と2人で生きてきた。
お嬢様育ちのオーロラはプライドが高く意地っぱりだが、エマは飾らない性格で素直に感情を表に出す。2人は対照的な性格をしていた。
エマは成長し、大学講師をしているフラップ(ジェフ・ダニエルズ)と結婚を決める。
向上心のないフラップが気に入らないオーロラは結婚式を欠席する。
長男のトミーが生まれ、2人目を妊娠中のエマは、夫の転勤で地元ヒューストンからデイモンへ引っ越していく。
残されたオーロラは、隣人の元宇宙飛行士で女好きのギャレット(ジャック・ニコルソン)と接近し始める。しかし、プライドが邪魔をしてなかなか踏み込めない。
オーロラとエマは親友同士のように毎日長電話をしていた。
数年後、エマは3人目の子を身ごもっていたが、家計は逼迫し、浮気をしているらしいフラップとは喧嘩が絶えない。
そんな中、スーパーで自分の窮状を救ってくれた銀行員のサムと親密になる。
オーロラもついにギャレットとハジけたデートをし、恋人同士となる。
3人目の子メラニーが生まれてすぐに、フラップの浮気現場を目撃したエマは子どもを連れてオーロラのもとへ帰ってくる。
オーロラも大歓迎し、数日親子水入らずの楽しい時間を過ごすが、結局エマはフラップを許し、帰っていく。
そして、特定の女性へ深入りすることを恐れるギャレットはオーロラに別れを告げる。
映画『愛と追憶の日々』 結末・ラスト(ネタバレ)
数年後、フラップの転勤でネブラスカに暮らしていたエマは、フラップがまだ浮気相手と切れていなかったことを知り、ショックを受ける。
しかも、メラニーと一緒に予防注射を受けに来たエマの脇の下にしこりが見つかり、それが悪性の腫瘍だと判明する。
医者からエマは長くないと聞かされたオーロラは、エマに親友パッツイのいるニューヨークへの旅行をすすめる。
子育てに追われてきたエマが喜ぶと思って計画したが、エマは楽しめないまま帰ってくる。
オーロラは3人の孫の面倒を見ながら、エマの看病を続けるが、エマの病状は悪くなる一方で、オーロラも疲れ果てていく。
そんな中、ギャレットがヒューストンからネブラスカにいるオーロラを訪ねてくれる。
2人はやっと素直にお互いの気持ちを告げることができる。
エマに最期の時が近づき、エマは覚悟を決め、フラップと子どものこれからを話し合い、3人ともオーロラのもとで育ててもらうことにする。
そして、長男のトミー、次男のテディと最期の別れをする。
エマはオーロラに無言のメッセージを送って息絶える。
オーロラはエマの前では涙を見せず、エマの死後、フラップにすがりつき泣き崩れる。
エマの葬儀の後、オーロラの家には孫たちにやさしく接するギャレットの姿があった。
オーロラは娘の死に打ちひしがれながらも、その様子を見て微笑む。
映画『愛と追憶の日々』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『愛と追憶の日々』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
深い愛情で結ばれた母と娘
シャーリー・マクレーン演じる母のオーロラとデブラ・ウィンガー演じる娘のエマは独特の親子関係を築いている。
一見、オーロラは自己中心的でわがままな母親に見えるが、実はそうではない。
2人の関係は常に対等で、母から娘へ意見は言うが束縛はしない。
そして、世界中の誰よりも(恋人のギャレットや孫よりも)一番娘を愛している。
娘もその母の愛を確信しているから、母の顔色を気にしたりせず思った通りに生きる。
この母と娘の関係性を、シャーリー・マクレーンとデボラ・ウィンガーが実によく理解し、息の合った演技で、清々しく演じている。
もちろん、監督ジェームズ・L・ブルックスの脚本と演出もうまい。
本作で母親役のシャーリー・マクレーンは5度目のノミネートにして初のオスカーを手にしているが、それはデボラ・ウィンガーの演じたエマがいてこその受賞だろう。
かわいい2人、オーロラとギャレット
シャーリー・マクレーンとジャック・ニコルソン。
この超ベテラン2人が演じるオーロラとギャレットの熟年カップルの存在が、この物語の中で味のいい絶妙なスパイスになっている。
とにかく、このカップルが年甲斐もなくかわいい。
特にシャーリー・マクレーンが少女のように恋している様子はいじらしく、それでいて笑いを誘う。
女好きでキザな元宇宙飛行士を演じるジャック・ニコルソンも、コミカルさをうまく匂わせ、いやらしさを感じさせない。
悲しい結末を迎えた後のラストシーンでも、ギャレットの存在がオーロラだけでなく、私たち観客の救いにもなってくれる。
ついつい応援したくなる素敵なカップルだ。
私と母は親子と言うよりも親友のような関係でお互いに言いたいことを言うし、恋愛の相談や仕事の悩みなど友達に話すような感覚でとにかくなんでも話します。今作のオーロラとエマを見ていると二人の間にある絆や愛情を深く感じ、また自分たちと重ね合わせてしまう部分もありとても心に残る作品でした。
母には自由にやりたいように、幸せに生きて欲しいと思っていますが、母も私に対して同じように考えてくれているのかなと感じました。お互いの思いやりや尊重あってのことなので、親子でありながら親友のような関係を築けていることがとてもありがたく感じました。(女性 30代)
映画『愛と追憶の日々』 まとめ
本作で描かれるエマという女性の一生は、結末も含めては決してハッピーとは言えない。
しかし、本作を観終わって“悲しい映画”だったと思う人は少ないだろう。
人の一生を描くような長い時間経過の映画は輪郭のぼやけた退屈な作品になりやすいが、本作は各エピソードをテンポ良く並べ、親子、夫婦の葛藤とその心情変化をとてもわかりやすく、明るいトーンで描いている。
そして、エマの病気という深刻な事態を迎える後半もそのトーンは変わらない。
死にゆくエマと、それを見送るオーロラの無言の別れの挨拶。
この親子の愛を全て凝縮したような数秒間には胸を打たれる。
“いい映画だったな…”と、じわじわ熱いものが込み上げてくるような、いい映画だ。
みんなの感想・レビュー
アカデミー賞を含め、多くの賞を受賞した本作。
昔の映画なので何回も見ていますが、子供の親になると共感できる部分も多くなっていまいた。
母親、娘ならきっと心情的に共感できるはず。