様々な経験を乗り越え、仲間との絆を深めていった私立蒼秀館高等学校の男子新体操部。繋がった絆はやがて美しい演技となり、観ている者の心を魅了した。そして、彼らはとうとう、インターハイの舞台へと羽ばたく。
映画『バクテン!!』の作品情報
- タイトル
- バクテン!!
- 原題
- なし
- 製作年
- 2022年
- 日本公開日
- 2022年7月2日(土)
- 上映時間
- 90分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
アニメ - 監督
- 黒柳トシマサ
- 脚本
- 根元歳三
- 製作
- 森彬俊
岩崎紀子
新宅潔 - 製作総指揮
- 高瀬透子
- キャスト
- 土屋神葉
石川界人
小野大輔
近藤隆
下野紘
神谷浩史
村瀬歩
小西克幸 - 製作国
- 日本
- 配給
- 不明
映画『バクテン!!』の作品概要
『ずっとおうえん。プロジェクト 2011+10…』というプロジェクトを知っているだろうか。2011年、それは、痛ましい震災が日本を襲った年である。それから10年、このプロジェクトが発足された。このプロジェクトは、震災地となった岩手、福島、宮城を舞台としたアニメ作品を制作するというもの。そして、この『バクテン!!』シリーズは、そんなプロジェクトの一環として制作された。そのため、物語の舞台は宮城県の岩沼市。最新作ではインターハイへと駒を進めるため、正確には被災地が舞台ではなくなってしまうが、被災地への想いは変わることはない。あの災害は、人々の心に残り続ける。本作のヒットを受け、さらなる被災地復興への一助としたいところ。
映画『バクテン!!』の予告動画
映画『バクテン!!』の登場人物(キャスト)
- 双葉朔太郎(土屋神葉)
- 中学生の頃、私立蒼秀館高等学校の男子新体操部の演技を見て夢中になる。その勢いのまま、私立蒼秀館高等学校へと入学する。
- 美里良夜(石川界人)
- 朔太郎のチームメイト。男子新体操ジュニア大会準優秀という華々しい経歴を持つ逸材。
- 筑館敬助(近藤隆)
- チームの副キャプテンで、ミスのない演技と優しさ溢れるフォローで、チームメイトから慕われている。
映画『バクテン!!』のあらすじ(ネタバレなし)
『それ』は、中学生だった双葉の心を大きく動かした。男子新体操に魅入られた少年は、高校進学と共に、自らもその世界に飛び込む決心を固めた。そして、入学した私立蒼秀館高等学校で男子新体操部に入学した双葉。そこで出会った、多くの個性的な仲間達。最初はバラバラだった部員達も、多くの経験を積むことで次第に一つになっていく。何より団結力、一体感が求められる新体操で、彼らは素晴らしい結果を残したのだった。そして、舞台は次のステージへ。今作で彼らが挑むのは、全国の猛者達が集うインターハイ。果たして彼らは、インターハイの舞台でどれだけ自分達を表現することができるのか。彼らの最後の戦いが始まる。
映画『バクテン!!』の感想・評価
徹底的な演技再現
新体操をテーマにしている本作は、やはりその演技で視聴者の心を掴みたいところ。新体操は、その一体感のあるダイナミック且つ洗練された動きが魅力。その魅力をより忠実に再現するため、本シリーズはなんと、モーションキャプチャーという手段を取っている。そして、そのモーションキャプチャーに協力しているのは、国士舘大学や青森山田高校といった現役新体操部の高校生らや、『BLUE TOKYO』という新体操のパフォーマンスグループ。この拘りから、製作陣がどれだけこの作品に情熱を注いでいるかが伺える。新体操ファン、さらには現役選手にも納得してもらえるような仕上がりになっているのだ。本作で、新体操の魅力に取り憑かれるかもしれない。
男子新体操のこれから
男子新体操は、男子がその鍛え抜かれた肉体と、洗練された団体行動で観客を魅せるスポーツである。しかし、女子新体操と比べると、イマイチ知名度が劣るように感じるかもしれない。それもその筈。実は男子新体操は日本が発祥の地であり、世界的にはまだそれほど普及した競技ではないのである。女子新体操とはまた違った魅力を持つ男子新体操。確かに、現段階では知名度はあまり高くないかもしれない。しかし、既に海外でも男子新体操に注目している者もいることは確か。なんと、あの世界が誇るシルク・ド・ソレイユも、男子新体操の選手を何人かスカウトしているのだ。これから男子新体操は日本を飛び出し、海外でも受け入れられていくことだろう。本作は、その先駆け的な存在となる。
胸を打つ青春もの
これまで数多くの部活をテーマにした作品が世に送り出されてきたが、いずれも視聴者の心を大きく震わせている。特に、自身も学生時代何かに打ち込んでいた人には、刺さるものがあるのではないだろうか。勿論、青春時代は学生の時だけとは限らない。大人になっても思い出深い経験は幾度となくできる。学生で青春を謳歌しなかったという人も、大人になってから初めての青春を迎えるということもあるだろう。しかし、やはり学生時代の思い出、部活での思い出というものは特別なもの。部活に真剣に取り組めば取り組むほど、いつか振り返った時、その思い出は自分を支える特別なものとなる。私立蒼秀館高等学校の彼らにとってもそれは同じ。きっとこの日々は、生涯彼らの中に残り続けることだろう。
映画『バクテン!!』の公開前に見ておきたい映画
劇場版 Free! the Final Stroke 前編/後編
いずれも男子高校生がスポーツに直向きに取り組むシリーズであり、そして、『一体感』を大事にしている作品である。最新作のテーマとなっている新体操は団体競技。個人種目もあるものの、一糸乱れぬ団体行動は、見ているものの目を釘付けにする。本作は水泳をテーマとして描いているが、その中でもリレー競技は、作中何度も登場する重大な要素である。主人公の遙は、水に愛された天才。しかし、それでも尚、水泳に心から熱中できずにいた。そんな彼を変えたのは、リレーという仲間との団体競技だった。長年愛され続けた本シリーズだが、2022年の本作をもってとうとう完結。遙の、そして、仲間達の長い戦いが、一度終わりを迎える。
詳細 劇場版 Free! the Final Stroke 前編
詳細 劇場版 Free! the Final Stroke 後編
ちはやふる 上の句
本作で取り上げられるのは百人一首。百人一首とは鎌倉時代から日本で伝わる伝統的な文化であり、学校などでも学ぶ機会があるだろう。そして、現代においても、全国各地で大会が開催されており、学校でも『かるた部』が存在する。最新作の男子新体操部同様、全国的に見てもそれほど数がない、非常に珍しい部活である。そんな珍しい部活に青春を捧げる少年少女達の姿を描いたのが、この『ちはやふる』シリーズ。同タイトルの原作が大ヒット、後にアニメ化、そして、本作を含む全3部作からなる劇場版化が公開された。伝統的な文化ではありながら、現在ではそれほど知名度が高いとは言えなくなった競技かるたを世に大きく知らしめ、その競技人口上昇に大きく貢献した。
詳細 ちはやふる 上の句
オーバー・ザ・リミット 新体操の女王マムーンの軌跡
新体操といえば女性のスポーツ。そう思っている人は少なくないだろう。男子新体操が現時点では殆ど日本のみでしか行われていない点を鑑みると、そう思われてしまうのは幾分仕方ないところがあるかもしれない。本作は、女子新体操に焦点を当てたドキュメンタリー作品。新体操は非常に美しいスポーツである。繊細さと優雅さを兼ね備え、床や平均台の上で軽やかに舞う姿は見ている者を魅了する。しかし、新体操は決して華やかだけの世界ではない。日々の厳しい練習、コーチ陣からの厳しい指導、集中力を必要とする技の数々。こうして、選手の精神は徐々に摩耗していく。本作を通じて、私立蒼秀館高等学校の彼らが挑んでいることがどれだけ大変なことか、イメージが湧きやすくなるかもしれない。
映画『バクテン!!』の評判・口コミ・レビュー
「映画 バクテン!!」観た。予告で察せられたがそういう展開で来たかと。競技人口も少なく、五輪もプロも無い学生だけの競技だからこそ先輩達が作った居場所をどう繋いで行くか。ライバルとの関係性も含め王道スポーツ物から少し外して出来た圧巻のクライマックス。TVシリーズの続きとして納得の締め。 pic.twitter.com/7SMFqSe0iV
— f.a.たちばな (@fa_tachibana) July 2, 2022
映画バクテン観ました。
体操ファンの目線抜きにしても良い作品。
ゆかを蹴る音がおそらく本物なんだろうけどとにかく再現度が凄い。
男子新体操を初めて観た時の整然とした美しさに感動した記憶が蘇った。
今界隈が課題にしてる体操新体操のショーアップについてのヒントもあるんじゃなかろうか。— 翔gym (@sho_gym_681) July 3, 2022
『映画 バクテン!!』観た。テレビほぼ見てないけど映画の内容は分かりやすすぎて問題なく理解できた(多分)。ストーリーはともかくキャラが地味だなーと思った。 双葉翔太郎は主人公なのか?新キャプテンの亘理の方が目立つけど。面白かったからどーでもいいか。 #バクテン pic.twitter.com/WuouXPhYgT
— タナカ (@hhhllaa1) July 2, 2022
映画『バクテン!!』のまとめ
若さとは貴重なものだ。まだ人生において未体験のことが多く、毎日が新鮮で、感情の振り幅が大きく、その分、毎日が充実したものとなる。勢いもあり、失敗を恐れにくい分、大人では考えられないような行動力を発揮できる。本シリーズの主人公、双葉もそう。彼は偶然目にした男子新体操部の演技に心を奪われ、結果、そのまま進学先まで決めてしまった。大人になると、自分の将来を大きく左右しかねない事柄を、そう易々とは決められなくなる。だからこそ、子供のその行動力が時に非常に眩しいもののように思えるのかもしれない。人間誰しも歳を重ねる。大人になってからも楽しいことは数多くあるだろう。しかし、学生時代の青春はこれきり。きっとこの日々は、彼らにとって一生心の中で輝き続けるものとなるだろう。
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