映画『ヘアスプレー(2007)』の概要:ぽっちゃり系の超前向きな女子高生が持ち前の明るいキャラクターでテレビの人気者となり、さらには人種差別問題まで解決してしまう痛快なミュージカル・コメディ。2007年公開のアメリカ映画。
映画『ヘアスプレー』 作品情報
- 製作年:2007年
- 上映時間:116分
- ジャンル:ミュージカル、青春、ラブストーリー
- 監督:アダム・シャンクマン
- キャスト:ジョン・トラヴォルタ、ニッキー・ブロンスキー、ミシェル・ファイファー、クリストファー・ウォーケン etc
映画『ヘアスプレー』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★☆☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★☆☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★☆☆
[miho21]
映画『ヘアスプレー』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『ヘアスプレー(2007)』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『ヘアスプレー』 あらすじ【起・承】
1962年、ボルチモア。トレイシー(ニッキ・ブロンスキー)は丸々太った元気な女子高生。体型へのコンプレックスなど物ともせずヘアスプレーでビッグ・ヘアーをバッチリ決め、夢は人気テレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー(以下ショー)」で歌って踊ることだ。
ある日、同番組でダンサーのオーディションをしていることを知ったトレイシーは、それを受けたいと言い出す。しかし娘の何倍もビッグな体型をひどく気にして家に引きこもっている母のエドナ(ジョン・トラボルタ)は、娘が傷つくことを恐れて反対する。落ち込むトレイシーに父のウィルターは“夢を実現しなさい”と言ってくれる。
翌日、オーディションを受けに来たトレイシーはプロデューサーで人種差別主義者のベルマ(ミシェル・ファイファー)から体型と顔だけで不合格だと言われてしまう。
この頃のボルチモアでは人種差別の色が濃く、テレビでも学校でも黒人と白人はいつも別に扱われていた。しかし、天真爛漫なトレイシーは黒人たちともダンスを楽しむ。その様子を見たリンクはトレイシーをショー主催のダンスパーティーに誘う。リンクはショーにも出演しているトレイシー憧れのイケメンだった。
ダンスパーティーに来たトレイシーはダンスの輪に入って踊り出す。彼女のダンスを番組ホストのコーニーも気に入り、トレイシーは番組の新メンバーに抜擢される。
個性的なトレイシーの人気はうなぎのぼりとなり、彼女のビッグ・ヘアーを真似るためヘアスプレーがバカ売れする。これには番組スポンサーも大喜びで、ヘアスプレーコンテストでもトレイシーがミス・ヘアスプレーに選ばれるだろうと噂になる。
そんなトレイシーの活躍をベルマはどうしても許せない。毎年ミス・ヘアスプレーはベルマの娘のアンバーが獲得しており、ベルマは何とかトレイシーを引きずり降ろそうと躍起になる。
映画『ヘアスプレー』 結末・ラスト(ネタバレ)
トレイシーの変化によってエドナも変化していく。売れっ子になったトレイシーのマネージャーとして外へ出ておしゃれも楽しむようになる。
トレイシーはリンクと一緒に黒人のパーティへ行く。パーティの主催者はショーのブラック・デー(黒人だけのショー)の司会を担当しているメイベル(クイーン・ラティファ)だった。
しかし、メイベルからこれはブラック・デーが打ち切りになった打ち上げパーティだと聞かされ、トレイシーはデモをしようと言い出す。みんなは乗り気になるが、リンクはテレビの仕事がしたいのでデモには参加できないと言う。トレイシーはそのことに深く傷つく。
翌朝、トレイシーは家を抜け出し黒人のデモに参加する。それはとてもリスクの高いことだったが、トレイシーは自分の正義を信じていた。テレビ局の前まで来て、デモ隊は警察ともみ合いになる。先頭で警察とやりあったトレイシーはデモの扇動者としてテレビで報道され、指名手配犯になってしまう。
そんなトレイシーを見てリンクは自分の間違いと彼女への愛に気づく。一方トレイシーは黒人地区に身を隠していた。
翌日、テレビで生放送中のヘアスプレーコンテストではベルマの裏工作がうまくいきアンバーが票を伸ばしていた。ミス・ヘアスプレーが発表されようとしたその時、密かにスタジオへ潜り込んでいたトレイシーがストレートのヘアースタイルで姿を現す。
トレイシーの出現によりショーは異様な盛り上がりを見せ、黒人たちもダンスの輪に入る。その中でメイベルの娘アイネスが華麗なダンスを見せ、視聴者からの人気投票で彼女が今年のミス・ヘアスプレーに選ばれる。裏工作が生放送されてしまったベルマは番組から降ろされ、ショーには今まで通り黒人も参加できることになる。みんなが大盛り上がりする中、トレイシーとリンクはキスをして愛を確かめ合う。
映画『ヘアスプレー』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『ヘアスプレー(2007)』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
圧巻のベテラン勢
1000人の中からトレイシー役を勝ち得たニッキー・ブロンスキーは健気で明るいポッチャリさんの主人公にぴったりのキャラクターで、歌もダンスもよく頑張っていたし小動物のように可愛い。
そんな主人公の母親エドナ。何というインパクトの強い女優さんかとびっくりしていたら、あのジョン・トラボルタが女装していたというのでさらにびっくり。特殊メイクで巨体の女性に変身してもヒールを履いても彼のダンスはやっぱり軽やかで、さすがの一言。
さらに悪役ベルマを演じたミシェル・ファイファーも憎たらしい差別主義者のプロデューサーを好演しており、彼女の歌う“Miss Baltimore Crab”はかなりカッコイイ。
そして何と言っても圧巻の歌声を聴かせてくれたのがメイベル役のクイーン・ラティファ。デモ行進をしながら彼女が歌い上げる“I know Where I’ve been”には鳥肌が立った。終始コミカルでポップな雰囲気が続く中、静かなトーンのこのシーンには人種差別反対の強い想いが込められており、彼女の歌声とともに非常に印象に残る。
シンデレラガールのニッキーを支えるベテラン勢の重厚な存在感がしっかりとした厚みになっているので、ただの青春映画では終わらない大人も楽しめる懐の広さを持った作品に仕上がっている。
差別や偏見という難問
この作品はトレイシーという純粋無垢な少女の目を通して、人種差別への反対をかなりストレートに訴えている。
物語の舞台は50年以上前のアメリカなので、当然今よりずっと黒人への差別意識は強烈だったのだろう。しかし現在のハリウッドにもそういう差別がやはりあるようだ。
今年度のアカデミー賞を黒人の映画監督スパイク・リーが人種差別問題を理由にボイコットすると表明したことでもわかるように、映画の世界でも人種差別は未だに続いている。
差別や偏見が間違えた考えであることはきっとみんなわかっているのに、トレイシーのようにまっすぐな正義感を貫くことは現実社会ではとても難しい。
そして作品や俳優がその実力のみで評価されることはもっと難しいのかもしれない。それはとても残念なことだ。
1960年代のボルチモアを舞台にした、ポップな音楽とお洒落なファッションが印象的なミュージカル映画。
ぽっちゃりした自分の体型を気にせず、自慢のダンスを披露するトレーシーの姿に、誰もが元気と勇気を貰えるだろう。
この作品は「人種差別」を一つのテーマにしているが、暗くてネガティブなシーンはほとんどない。しかし昨今の人種差別問題を早急に解決するべきだという強いメッセージ性が込められている。ラストシーンのトレーシーの衣装にも注目してみて欲しい。(女性 20代)
ジョン・トラボルタ演じるママが最高に可愛かった!女性が演じていたらあんなにチャーミングにはならないかもしれません。ママひとすじのパパも素敵でした。
主人公トレイシーを見ていて、コンプレックスというものは自分で作り出しているだけなんだなと思いました。トレイシーのように人目を気にせずに堂々と自信を持っていれば、誰でも輝ける。でも、それが一番難しいですけどね。
エネルギッシュな歌とダンスで気分を上げてくれるハッピーな映画でした。(女性 40代)
ぽっちゃりの女子高生が人気者になっていくミュージカルコメディ。60年代の歌とダンス、ファッションも見所で、思わず一緒に踊りたくなるようなハッピーな気持ちになれる。
内容としては人種差別やマイノリティを乗り越えたいという社会的なテーマが描かれ、前向きに立ち向かっていくトレーシーに勇気をもらえる。ラストのダンスシーンで、トレーシーが黒と白の衣装で登場する姿にも強いメッセージを感じた。(女性 30代)
純粋に楽しくて、幸せになれる映画ってやっぱり良いなと思える作品に出会えた。それぞれが悩みを抱えながら、見た目のコンプレックスや人種差別にも屈することなく進んでいく姿に元気を貰える。
ザック・エフロン、ジョン・トラヴォルタなどダンスと歌にはもってこいのキャスト揃いなため、ミュージカル映画としても満点。パワフルで眩しい彼らのパフォーマンスに思わずノリノリになってしまう。(女性 20代)
基本は愉快なミュージカル。音楽の入り方が自然なので、普通に話していた人がいきなり歌い出す違和感が苦手な方でも大丈夫かもしれない。憎めない主人公と大変身したジョン・トラボルタが爽快に飛ばし、ミシェル・ファイファーがスパイスを効かせ、クイーン・ラティファが締めるところを締めるといった感じで色々な役者のそれぞれの味を楽しめる。また人種や体型等色々な差別の問題にも切り込んでいるが、問答無用の明るさで難しく考えさせることなく勇気と希望が湧いてくる良作。(男性 40代)
映画『ヘアスプレー』 まとめ
正直に言うとミュージカルは得意ではないのだが(突然歌ったり踊ったりし始める展開にどうも馴染めない)本作はとても楽しく見られた。
主人公の一途なキャラクターは理屈抜きで共感できるし、歌とダンスのシーンも非常に見応えがある。若者たちのキレキレダンスは単純にすごい。ミュージカルが本来苦手な人でも楽しめるのは、やはり出演者にしっかりとした実力があるから。この一言に尽きる。もし、この演出で出演者の歌やダンスが下手だったら、ムカついてとても見られない。だって、ものすごく歌とダンスだから。
ミュージカル映画はついつい敬遠してしまうというシャイな?人も勇気を出して挑戦してみれば意外に楽しめるはず。すごく顔は怖いのになぜか可愛いジョン・トラボルタの女装も必見だ。
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