映画『東ベルリンから来た女』の概要:ニーナ・ホス主演で描く、ベルリンの壁崩壊時の東ドイツが舞台の人間ドラマ。共演はロナウド・ツェアフェルト。「あの日のように抱きしめて」のクリスティアン・ペッツォルト監督の2012年ドイツ映画。
映画『東ベルリンから来た女』 作品情報
- 製作年:2012年
- 上映時間:105分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー、サスペンス
- 監督:クリスティアン・ペッツォルト
- キャスト:ニーナ・ホス、ロナルト・ツェアフェルト、ライナー・ボック、ヤスナ・フリッツィ・バウアー etc
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映画『東ベルリンから来た女』 評価
- 点数:80点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★★
[miho21]
映画『東ベルリンから来た女』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『東ベルリンから来た女』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『東ベルリンから来た女』 あらすじ【起・承】
1980年の夏。医師のバルバラ(ニーナ・ホス)は、左遷されてバルト海の小さな診療所に赴任してきた。彼女には、西ベルリンに住む恋人ヨルク(マルク・バシュケ)がいて移住を申請したのだが、許可されなかったのだ。
一緒に働く同僚の医師アンドレ(ロナウド・ツェアフェルト)は、温厚で医療に情熱を持っていた。しかし、彼女はあえて孤立する道を選んだ。なぜなら、左遷されてからは、秘密警察シュタージの諜報員シュルツ(ライナー・ボック)に監視されていたためだ。
そんな監視下に置かれていても、バルバラは恋人ヨルクとの密会を重ね、東ベルリンからの脱出計画を進めていた。
ある日、バルバラの帰宅が少し遅れてしまった。そのために秘密警察の家宅捜索が強制的に行われていまう。部屋の中を調べられるだけでなく、屈辱的な身体検査もされてしまう。バルバラは、じっと耐えるのだった。
数日後、バルバラの勤務する病院に強制収容所から逃げ出してきたという少女ステラ(ヤスナー・フリッツィー・バウワー)が運ばれてきた。髄膜炎に罹り、心身共に傷ついた少女を、バルバラは献身的に治療した。すると、彼女はバルハラにのみ、診療を許すのだった。
また彼女を調べた結果、妊娠していることが分かった。しかし、少女ステラは、強制的に収容所に戻されてしまう。
映画『東ベルリンから来た女』 結末・ラスト(ネタバレ)
その後、病院には、3階から落ちて頭を強く打った少年マリオンが運ばれてきた。恋愛のもつれで自殺未遂をしたらしい。
医師アンドレは、彼の脳にできた血栓を取り除くためには外科手術が必要だと考えた。そして、彼の脳外科手術がバルバラの東ドイツへ脱出する日に決まってしまう。
バルバラは、医師としての責務をまっとうするのか、恋人のいる東ドイツへ行くのか迷っていた。そんな折、同僚の医師アンドレから、誤って子供の目を失明させたという過去を告白されます。
彼のまっすぐな思いに揺れるのだが、西ドイツへの脱出計画を実行しようと決意した。ところが、再び、少女ステラが強制収容所から逃げ出してきた。以前よりも痛々しい様子のステラ。
西ドイツへ脱出する日が迫っていた。最後まで迷っていたが、西ドイツへの脱出を希望するステラを放っておけなかった。バルバラは、ステラを約束していた場所に連れてゆき、脱出を手助けする男に彼女を預けた。
医師アンドレは、バルバラが脱出するつもりであることを分かっていた。そして、彼女の部屋を訪ねるが、秘密警察によって家宅捜索された後だった。翌朝、バルバラはいつも通り病院に出勤してきた。
そっと少年マリオンのそばに寄り添う、バルバラとアンドレ。ここにいることが秘密警察に分かれば危険が及ぶだろうが、彼女に後悔の念はなかった。
映画『東ベルリンから来た女』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『東ベルリンから来た女』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ベルリンの壁崩壊前の激動の時代を描いた秀作!国家か?それとも個人を選ぶのか
ニーナ・ホス演じるバルバラは、寡黙で煙草をずっとふかし続けています。なんだか取っつきにくい感じがする女性だけど、ベルリンの壁が崩壊する前の話だと分かると納得しますね。
社会主義体制の監視や密告制度の中では、気軽に話を楽しむこともできない。何をするにしても、他人の視線や言葉が気になってしまう。その一方で、西ドイツに住む恋人との逢瀬はとても大胆です!
世界では、社会主義体制から抜け出せずにいる国が多くあります。生まれた国を捨てないと生きてゆけない現実は、映画を1本観たくらいでは到底、理解できたとは思いません。
この映画では、女性が医師の仕事を選ぶか、自分の生活を優先させるかで迷いますが、最後に医師としての生き方を選びます。私は、少女ステラにバルバラが希望を託したのだと思います。
また秘密警察とのやり取りや、西ドイツに住む恋人との逢瀬など緊迫した状況が、良質なサスペンス小説のようにドキドキさせます。邦題を見るとサスペンスのように感じますが、原題の「バルバラ」もシンプルでいい。
圧倒的な存在感を魅せた、女優ニーナ・ホス
知的でクールな印象を持つ、ニーナ・ホスは40歳。クリスティアン・ベッツォルト監督の「東ベルリンから来た女」と「あの日のように抱きしめて」の2作に主演しています。
本作では、東ドイツの社会主義体制に翻弄される美人医師を演じていますが、一言で言うと”嫌われる女”だと思います。ただ、勤務先に行くまでの自転車のシーンに開放感があっていいんですよね。
張り詰めた空気が少しほどかれたような。2作とも淡々としたシンプルな作りで、無表情&無音で進むことが多い。(「あの日のように抱きしめて」では、名曲「スパーク・ロウ」は必聴!)そんな静かで重い空気が作品を覆っています。
ドイツ映画は、哲学的で難しいと言われていた時代がありましたが、戦後のドイツをリアルに映し出すベッツォルト作品にこれからも期待したい。
映画『東ベルリンから来た女』 まとめ
1989年にベルリンの壁は崩壊し、東西ドイツの往来が可能になりました。その時はまだ子供だったので、その大きな政治的な意味は分かっていませんでした。
改めて、ベルリンの壁が崩壊する以前の市民の生活を映画の形で観ることが出来て、考えさせられることばかりです。
個人の自由や人権は、決して国家の力で奪うことはできないものだということ。この映画が単なるメロドラマだったら、悲恋で終わってしまうけど、そうはならない。
未来への希望が残っています。ニーナ・ホス演じるバルバラに、国家の力に屈しない精神力を魅せつけられた思いです。
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