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映画『サクラメント 死の楽園』あらすじネタバレ結末と感想

映画『サクラメント 死の楽園』の概要:70年代に実際に起こった事件、カルト教団「人民寺院」による集団自殺をモチーフにしたフェイクドキュメンタリー映画。イーライ・ロスが製作、タイ・ウェストがメガホンを取った。

映画『サクラメント 死の楽園』 作品情報

サクラメント 死の楽園

  • 製作年:2013年
  • 上映時間:103分
  • ジャンル:サスペンス、ホラー
  • 監督:タイ・ウェスト
  • キャスト:ジョー・スワンバーグ、AJ・ボーウェン、ケンタッカー・オードリー、エイミー・サイメッツ etc

映画『サクラメント 死の楽園』 評価

  • 点数:65点/100点
  • オススメ度:★★☆☆☆
  • ストーリー:★★★☆☆
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★☆☆☆

[miho21]

映画『サクラメント 死の楽園』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)

映画『サクラメント 死の楽園』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む

映画『サクラメント 死の楽園』 あらすじ【起・承】

突撃潜入取材で知られるVICEに、フリーカメラマンのパトリックが訪ねて来る。
ドラッグ中毒の治療中だった妹キャロラインが姿を消し、共同体の更生サークルに入ったという手紙を送ってきたが、国外に出たようで嫌な予感がするというのだ。

VICEのサムは、カメラマンのジェイク、依頼人パトリックと共にキャロラインを救出するため共同体へ向かう。
「エデン教区」という名の共同体に到着したサムたちだったが、武装した男性たちが立ち入りを許さない。
キャロラインの説明で、なんとか教区内に入れたサムたち。

兄妹で過ごすという2人とは別行動で、共同体の取材を始めるサムとジェイク。
老若男女、黒人も白人も仲が良く、ネットも無く質素ではあるが、幸せそうに見える人々が生活していた。
しかし、全財産をなげうって共同体に入るという話が気になるジェイク。
そして口のきけない少女サヴァンナと母親の態度に違和感を感じ取る。
パトリックは、キャロラインのドラッグ中毒が改善されているのを目にし、妹を共同体に残してもいいと考えていた。

やがて、共同体のリーダー「ファーザー」へのインタビューが、住民たちの目の前で行われる。
しかし、本名チャールズ・A・リードこと「ファーザー」への取材は、まともな答えが返ってこない始末で、サムの妻と子供の命を脅かすような発言までしていた。

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映画『サクラメント 死の楽園』 結末・ラスト(ネタバレ)

その夜、サムはサヴァンナから「助けて」と書かれたメモを渡される。
そしてパトリックの姿が見えなくなり、キャロラインのドラッグ中毒は治っていないと判明する。
教区から出ようとしたサムたちの前にサヴァンナと母親が現れ、ほとんどの住民は洗脳されている、助け出して欲しいと頼まれる。

翌朝、共同体から出ていくことを望む人と、それを止めようとする人でパニック状態になっていた。
パトリックがなだめても、パニックは収まらない。
サムはサヴァンナだけでも助けようとし、ジェイクはヘリの操縦士に確認するが、断られた挙句、共同体のメンバーに襲撃される。
教区に残っていたサムも襲撃され、「ファーザー」は彼のカメラで全てを記録するようキャロラインに告げた。

やがて「ファーザー」は、外から来た人のせいで楽園は壊滅すると言い、殺されるくらいなら全員で旅立つと宣言する。
共同体のメンバーは毒を飲み、集団自殺を図った。
嫌がる人は無理やり毒を飲まされ、パトリックはキャロラインの手で殺されてしまう。

ジェイクが操縦士に促されて「エデン教区」にサムとパトリックを迎えに行くと、そこは惨劇の後だった。

隠れていたサヴァンナは母親に殺され、母親も銃を手にした人物に射殺される。
キャロラインは焼身自殺を図り、「ファーザー」も自ら命を絶つ。

捕らえられていたサムを助け出し、銃を手にした人物に促されて2人はエデン教区から逃げ出した。

映画『サクラメント 死の楽園』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『サクラメント 死の楽園』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

リアリティを求めすぎて盛り上がりに欠けた

短編ホラー映画集「V/H/S シンドローム」の中で、カルト教団の施設内で起こる集団自殺をモチーフにした「SAFE HAVEN」の監督タイ・ウェストが、再びカルト教団の集団自殺を描いた作品。

本作は、実際にあった事件をモチーフにしているせいか、あからさまに狂気を見せるような行動は控えていて、違和感が徐々に広がっていくという不気味さを演出している。
「ファーザー」のインタビューでも、もっともらしい事を言っているようでサムの身重の妻の命を狙うとほのめかしたり、質問の答えではなく自分たちの主張を語り始めたりと、カルト教団の洗脳というイメージがじわじわと広がる。
洗脳されていないサヴァンナと母の行動が、洗脳された共同体の中では異質に見えるのも、なかなか面白味がある演出だ。

しかし、共同体の表側の姿ばかりを描いていて闇の部分が描かれていないため、どうして集団自殺にいたったのかなど、説得力に欠ける。
また、盛り上がりにも欠けていて、すべてが淡々と進んでいく。

POV(主観映像)撮影の効果もあって、リアリティを出すことには成功しているが、蚊帳の外に置かれたような感覚のまま終わるのにはもったいなさを感じる。

無名の俳優だけではないPOV映画

モキュメンタリー映画では、本物っぽさを演出するために有名な俳優は起用しないことがお約束となっている。

しかし本作には、「ビューティフル・ダイ」や「サプライズ」のAJ・ボーウェンがサム役で出演。
俳優であり監督としても活躍するジョー・スワンバーグは、ジェイク役として出演。
パトリック役も、俳優として活躍しながら監督も務めることがあるケンタッカー・オードリー。

代表作は少ないが、「ファーザー」役にハマりきっていたジーン・ジョーンズの怪演は見ものだ。

実際に起こったカルト教団の集団自殺という、ナイーブな部分も秘めている作品だからこそ、フィクション要素としての配役なのだろう。


宗教施設による集団自殺を描いた作品であるが、何よりこれが実際に起こった事件をモチーフにしているというのが本当に恐ろしい。
施設へと足を運ぶと、門では武装した人間が見張りをしている。かと思えば、施設にいる人々はみな平和で素晴らしい施設だと口を揃えて言う。細かな描写全てが実際にある宗教施設やそこで暮らす人々の心理を描いているようで、とてもリアルである。
終始不気味な雰囲気を纏ったオカルトホラー作品ではあるが、過激な描写も少なく、話題となった『ミッドサマー』に比べ、比較的観やすい作品ではないだろうか。(女性 20代)


実際に起きた事件をベースに作られた作品ということで、かなりリアリティを追求しているなと感じました。映画によくある大袈裟で過激な描写がほとんど無いので、逆にこれが真実なのかもしれないと恐怖を感じました。
今作に登場する教団に入っている人たちは洗脳されていると言いますが、集団自殺を図る際に嫌がっている人もいて、完全に洗脳がされていない「中途半端」な教団だと言うことが分かるでしょう。ファーザーがインタビューに答える際にもそれを強く感じると思います。
完璧じゃないところがむしろリアルで、じわじわと恐怖を感じさせてくる作品でした。(女性 30代)

映画『サクラメント 死の楽園』 まとめ

トロント国際映画祭やヴェネチア国際映画祭で公開され、注目を浴びたホラー映画。
盛り上がりに欠ける部分はあるがリアリティがあって、カルト教団の怖さがうまく描かれている。
1978年に南米で実際に起こったカルト教団の集団自殺をもとにしているが、本来の事件については知らないまま見たほうが引き込まれる作品。

監督のタイ・ウェスト、ジェイク役のジョー・スワンバーグ、パトリック役のケンタッカー・オードリーは、「V/H/S シンドローム」、「V/H/S ネクストレベル」にも出演しメガホンを取っている。

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