映画『鬼談百景』の概要:「残穢 住んではいけない部屋」の前日譚で、10本の短編ホラーで構成されたオムニバス作品。「貞子VS伽椰子」の白石晃士監督をはじめ、6人の監督が参加している。ナレーションは竹内結子。
映画『鬼談百景』 作品情報
- 製作年:2015年
- 上映時間:100分
- ジャンル:ホラー
- 監督:中村義洋、白石晃士、安里麻里、岩澤宏樹、大畑創、内藤瑛亮分
- キャスト:岡山天音、藤本泉、森崎ウィン、吉倉あおい etc
映画『鬼談百景』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★★
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『鬼談百景』 あらすじネタバレ(ストーリー解説)
映画『鬼談百景』のあらすじを紹介します。※ネタバレ含む
映画『鬼談百景』 あらすじ【起・承】
「追い越し」中村義洋監督
怪談話が好きな仲間たちと、心霊スポットを巡って遊んでいたUさん。
ある晩、いかにも幽霊という長い黒髪の女性を車で追い越した。
スピードが出始めた車のサイドミラーを見ると、青白い顔の女性が車と同じスピードで追ってきていた。
「影男」安里麻里監督
実家に幼い2人の息子を預けたKさん。
Kさんの母は、孫たちと一緒にうたた寝をしてしまった。
ガラスを叩く音で目が覚め、ガラスと叩いていた黒い人物に口をふさがれてしまう。
電話の音で目が覚めたKさんの母は、鼻血を出していた。
母娘で奇妙な夢の話をしていると、夢と同じようなガラスを叩く音が聞こえ始めた。
「尾けてくる」安里麻里監督
高校生のSさんは、帰り道にある公園で立ち尽くす作業服の男性を見かけた。
通りかかった初老の男性に助けを求めるが、作業服の男性は首を吊って死んでいた。
その後、Sさんは薄暗い場所にいる作業服の人の中に、身動きをしない人物を見かけるようになった。
「一緒に見ていた」大畑創監督
一度だけ関係を持った事務員の女性をふった男性教師。
女性は放課後の学校で自殺し、他の教師たちが動き回る間、その教師が遺体のそばについている事に。
隣の教室の窓から校庭を眺めていると、校庭に事務員の姿を見え、後ずさった彼の肩には女性の手が触れた。
「赤い女」大畑創監督
高校の転入生のAさんは、Nさんに前の学校で流行っていた赤い女の怪談話を聞かせる。
その後、新しい友人たちを前に、自分が語った怪談話をするようNさんをせかすが、異変が起こりはじめる。
AさんはNさんに、赤い人は話を聞いた人に付きまとうが、誰かに話せば助かると語る。
だが、Nさんに話したはずのAさんは赤い人に襲われた。
映画『鬼談百景』 結末・ラスト(ネタバレ)
「空きチャンネル」岩澤宏樹監督
勉強中に偶然、個人の流す違法電波をラジオで拾ってしまったY君。
彼は、恨みつらみを語るその空きチャンネルに夢中になり、次第におかしくなっていった。
友人T君はY君の異様な姿を目撃するが、Y君は自殺してしまった。
「どこの子」岩澤宏樹監督
高校に赴任してきたばかりの教師が残業していると、同じように遅くまで残っていた教師から、幽霊が出るから遅くまで残らないほうがいいと忠告される。
赴任してきたばかりの教師は、校内に入り込んでいた少女見かけて注意しようと追いかけるが、彼女は異様な姿に変化していた。
学校を出た教師は忘れ物をし、学校に電話を掛けたとたん、不気味な影に襲われた。
「続きをしよう」内藤瑛亮監督
突然、お墓で遊ぶことになった子供たち。
最初のひとりをきっかけに、ケガをしたら帰るという暗黙のルールができた。
ひとり、もうひとりといなくなり、最後にKちゃんが残った。
それでも遊びを催促する声が聞こえ、血まみれの子供が走ってきた。
「どろぼう」内藤瑛亮監督
子だくさんの家の奥さんは、妊娠しているように見えたが太ったと言い張っていた。
やがてそのお腹のふくらみは消え、周囲では子供を殺したと噂になった。
Tさんはその家の子から、どろぼうが溝に流して自分は死んだ、と聞かされる。
奥さんは、卵巣の病気のせいだったと笑った。
「密閉」白石晃士監督
別れた元カレが残した荷物に迷惑しているKさん。
そして、元カレが拾ったキャリーバッグが置いてあるクローゼットが怖くなり始めていた。
リボンでクローゼットの扉を結ぶが、徐々に開き始め、キャリーバッグの中に青白い女性が引きずりこまれていくのを見る。
荷物を取りに来た元カレも、中に引きずり込まれてしまった。
Kさんはそれを捨てた。
映画『鬼談百景』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『鬼談百景』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
中村義洋監督、安里麻里監督、大畑創監督の5作品
怪談やホラーの王道ともいえるストーリーの「追い越し」。
「影男」は、影男がどことなく影に見えず、黒い服を着て顔も黒くしただけのクオリティなのがもったいない。
目の前で首つり死体を見つけただけでも怖いであろう「尾けてくる」。
最後に、遠目からズームしていくと、本当に動かず立ち尽くしているだけの作業服らしき男が見える瞬間、ゾッとさせられる。
「一緒に見ていた」も、遺体と一緒にいなければならなかったら幽霊がいるように感じても仕方がないという部分と、校庭の生徒が死んだはずの事務員の存在を認識しているという、なんだかモヤモヤとした感覚が残る作品。
「赤い女」は、人間なのか幽霊なのか区別がつかないのが気持ち悪い。
お化けといえば、ゆっくり近寄ってくるのが定番なのに、走って現れるという予想外の登場の仕方が面白く、そして怖い。
岩澤宏樹監督、内藤瑛亮監督、白石晃士監督の5作品
「空きチャンネル」はVFXを多く使っているが、やりすぎなイメージ。
延々と恨みつらみを語る空きチャンネルの、抑揚のない声が不気味。
よくわからないのは「どこの子」。
白塗りの赤いスカートの女の子は、トイレの花子さんの怪談を連想させるが、学校限定と思わせておいて電話でも移動するのは、ホラーとしてルール違反だ。
「続きをしよう」は、子供たちの怪我の酷さにグロテスクなイメージが残る。
最後に出てきた真っ赤な子供には驚かされる。
「どろぼう」は、どちらかと言えば人間の怖さがメイン。
子だくさんの家の母親役の小橋めぐみの、目が笑っていない演技は秀逸。
「密閉」は、とにかく後味が悪い。
キャリーバッグから出てくる幽霊も怖いが、元カレを見捨てた女性役の三浦透子の笑顔も「どろぼう」に負けず劣らずゾッとさせられる。
夏になるとジャパニーズホラーの不気味でひんやりとした雰囲気を感じたくなり、この作品を鑑賞しましたが、想像以上に怖かったです。
オムニバス形式で短い作品がいくつも見られるので、見終わったあとの余韻と言うよりも、映像を見ているその時の驚きや恐怖がとても強く、短編でありながらどの作品も物凄くクオリティが高かったです。
個人的に一番好きなのは「密閉」です。とても後味が悪いのですが、それがまたクセになる作品でした。(女性 30代)
種々さまざまな怪談話が10本、詰め合わせてあります。コストパフォーマンスの良いホラー映画です。ショートムービーですから、サクッと肝を冷やせます。そして、監督によって作風ががらりと変わるので、バラエティに富んだ怪談を堪能できます。どの話も怖かったですが影男、赤い女、空きチャンネルあたりがとりわけゾクゾクしました。恐怖心を煽る音の演出が上手いです。全話、竹内結子の「こんな手紙が届いた」という語りから始まるのが、とても良いですね。(女性 30代)
映画『鬼談百景』 まとめ
「残穢」のスピンオフであり、前日譚でもあり、「残穢」の中で竹内結子が演じていた作家の「私」が連載していた実話怪談を実写化した、という体の本作。
ナレーションを担当した竹内結子の、しっとりとして抑揚の少ない声も、ホラーのショートストーリーにはピッタリ。
短編10作品からなるオムニバス形式の作品のため、気軽に見ることができる。
中村義洋監督が携わっていたホラーシリーズ「ほんとうにあった!呪いのビデオ」の監督も務めたことがある岩澤宏樹、「貞子VS伽椰子」の監督の白石晃士作品もあり、夏にはピッタリの作品だ。
「残穢」を見る前でも後でも楽しめるのも良い。
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