映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の概要:ヒット作が多い岩井俊二監督の最新作。あっさり結婚した普通の女性が、式の人数合わせに代理出席サービスを使ったことから、何でも屋の思惑に巻き込まれ嵐のような日常に身を置くことになる。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の作品情報
上映時間:180分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:岩井俊二
キャスト:黒木華、綾野剛、Cocco、原日出子 etc
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の登場人物(キャスト)
- 皆川七海(黒木華)
- 声が小さく、おとなしい女性。臨時教員をしながらコンビニでバイトをしていたが、仕事をクビになり、お見合いサイトで出会った彼氏と結婚する。両親は離婚しているが、鶴岡には内緒にしていた。クラムボンという名前でSNSサイトに登録していたが、鶴岡にバレそうになり、カムパネルラという名前に変えた。離婚後は安室が持ち込むバイトをすることになる。
- 安室行舛(綾野剛)
- 何でも屋「安室商会」を経営している男性。いくつも名前を持っていて、俳優業もしていると言う。七海から結婚式の代理出席サービスを依頼されて知り合う。ランバラルという名前でSNSサイトに登録し、七海に代理出席サービスの存在を教える。
- 里中真白(Cocco)
- 華奢な体つきの明るい女性。表向きは売れない女優と言っているが、プライドを持ってAV女優をしている。結婚式の代理出席のバイトで七海と知り合う。リップヴァンウィンクルという名前でSNSサイトに登録している。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』のあらすじ【起】
皆川七海は、お見合いサイトで彼氏を見つけた。
ワンクリックで買い物をするように、あっさり手に入った彼氏だった。
七海は正式採用を目指して中学校の臨時教師をしているが、コンビニでもバイトをしていた。
やがて、生徒たちの悪ふざけがきっかけで仕事をクビになる。
登校拒否の女生徒だけは七海を信頼し、ネットを介しての授業を続けることになった。
彼氏と結婚が決まるが、友人が少ないことで披露宴の席が埋まらない。
困った七海は「なんでも屋」の安室に、代理出席サービスを頼むことになる。
無事に式は終わり新婚生活が始まる。
部屋の中で女物のピアスを見つけた七海は、再び安室に会い、浮気調査を依頼する。
突然、自分の彼女と鶴岡が浮気している、という男性が部屋に押しかけてくる。
相手は、同窓会で再会した元生徒だという。
浮気相手の恋人の男から、ホテルに呼び出された七海。
恋人とは別れたという男は、鶴岡への復讐として七海を抱こうとする。
とっさにトイレに逃げ込むと、安室に助けを求めた。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』のあらすじ【承】
部屋にやってきた安室は、男のことを知っていた。
安室は部屋に仕掛けられていた隠しカメラを回収し、七海を助けたフリをした。
鶴岡家に行くと、両親が離婚しているのを秘密にしていたこと、式の代理出席のことを、義理の母から詰問される。
ホテルの隠しカメラ映像を見せられ、浮気しているだろうと言われた七海は離婚を言い渡される。
翌日、七海は東京の自宅から追い出された。
ホテルに泊まった七海は、そこでパートを始める。
安室から浮気調査依頼の報告を受け、離婚の事を話す七海。
安室は「別れさせ屋」の仕業だろうと告げ、雇った人物は鶴岡の母だろうと推測した。
鶴岡はマザコンで、義理の母と豪華なホテルで食事をしたり、七海がいない時には勝手に部屋に入っていた。
安室から、結婚式の代理出席のバイトを紹介された七海。
そこで、売れない女優の里中真白と出会う。
意気投合してお酒を飲むが、帰り道で真白は姿を消した。
交換したSNSサービスのアカウントにも、返事はなかった。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』のあらすじ【転】
安室から怪しげなバイトを紹介された七海。
住み込みのメイドとして、誰も住んでいない豪邸の掃除をしながら生活するだけのバイトだった。
そこで七海は、もう一人のメイドとして雇われた真白と再会する。
家の持ち主であるオーナーが飼っている、毒のあるクラゲやサソリといったペットの世話をしながら、家事をする七海。
真白は、女優の仕事で外出することが多かった。
ある日、真白は体調を崩す。
電話をしてきた恒吉という女性と共に病院に連れて行こうとするが、真白は仕事に執着した。
そして真白は、七海が簡単におんぶできるほど軽かった。
恒吉から、真白がオーナーだということ、AV女優をしていることを聞かされる七海。
安室に相談すると、七海の雇い主は友達がほしかったのだという。
七海はバイトを辞めると真白に言い、安い部屋を借りて2人で暮らそうと提案する。
部屋を決めた後、七海と真白はウェディングドレスを試着して、記念写真を撮ってもらう。
そのまま豪邸に帰り、2人きりのパーティーを楽しむ。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の結末・ラスト(ネタバレ)
真白は、自分には世界が優しすぎると語る。
お金を払って幸せを買えば、壊れずにすむと泣きながら言う。
そして七海に、一緒に死んでほしいと頼んだ。
七海はそれでいいと答え、2人は愛を誓いあって眠りについた。
翌朝、安室が豪邸にやって来る。
リップヴァンから依頼されたという葬儀屋も、家の前に来ていた。
真白は末期癌に侵されていて、余命わずかだった。
真白から安室への本当の依頼は、一緒に死んでくれる人が欲しいということだった。
ペットの毒で自殺した真白だったが、七海は生きていた。
真白から自殺するというメッセージを受け取った安室は、慌てて屋敷に駆け付けたのだと嘘を吐く。
真白の葬儀には、結婚式の代理出席で家族を演じた人々も集まった。
真白の母は葬儀にも出席せず、遺骨すら受け取らなかった。
仕方なく、真白の母のもとへ向かう七海と安室。
真白の母は娘の仕事を軽蔑しつつ、理解しようと服を脱ぎだす。
安室も泣きながら服を脱ぎ、七海は泣き笑いの表情を浮かべていた。
一人で暮らし始めた七海は、粗大ゴミから家具を調達してきた安室から最後の給料を受け取った。
映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』の感想・評価・レビュー
黒木華の醸し出す現実離れしたような空気感、透明感のある映像、そして陥落シーンで流れるクラシック楽曲の全てのバランスが良く、美しくて、映画の雰囲気に序盤から一気に引き込まれました。さすが岩井俊二監督の作品だな、と思います。
Coccoや綾野剛の役柄も、独特な個性を持っているので、少しリアリティに欠ける部分はあるのですが、だからこそとても魅力的に感じさせられました。
観終わった後の余韻も、美しい作品を観たなぁ…と、とても満足した気持ちになります。
心を空っぽにして観て欲しい作品です。(女性 20代)
とても綺麗な映画でした。掴めそうで掴めないストーリーや、演出や音楽から生み出される透明感が魅力的で、岩井俊二監督の独特の世界観だと感じました。
綾野剛さんのこれまでのイメージから、岩井俊二監督の作品に出演するのは意外でしたが、しっかりと作品に溶け込み強い存在感があり、演技の幅広さに驚きました。爽やかそうで怪しいような、でも良い人のような最後までふわふわした不思議な役柄で、この作品の空気感を作り出していたと思います。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー
モヤッとしたけど、綾野剛のカラダが良かったッス。冷酷そうな顔も好きだし。