映画『花とアリス殺人事件』の概要:岩井俊二監督の実写映画「花とアリス」の前日譚のアニメ。花とアリスの出会いと、ユダが4人のユダに殺されたという殺人事件の謎を追う間に親友になる様子を描いた。本作の監督も岩井俊二。
映画『花とアリス殺人事件』の作品情報
上映時間:100分
ジャンル:青春、ヒューマンドラマ、アニメ
監督:岩井俊二
キャスト:蒼井優、鈴木杏、勝地涼、黒木華 etc
映画『花とアリス殺人事件』の登場人物(キャスト)
- 有栖川徹子(蒼井優)
- 通称「アリス」。両親の離婚で、黒柳から有栖川になった。勝気で活発な女の子。母親の影響で、しっかりした性格をしている。考えるよりも先に行動するため、トラブルを起こしやすい。バレエを習っていた経験がある。
- 荒井花(鈴木杏)
- 通称「花」。ひきこもり。アリスの隣の家、通称「花屋敷」に住む女の子。1年留年したため、アリスよりも1歳年上。頭の回転は早いが、思い込みが激しい。
- 陸奥睦美(鈴木蘭々)
- アリスのクラスメイト。長いスカートを穿いていて、クラスのリーダー的存在。不思議な力があると思わせているが、イジメから逃れるためにやっている。強烈な見た目の母親を持つ。
- 湯田光太郎(勝地涼)
- 4人のユダに殺された、殺人事件の被害者と噂されている男子生徒。アリスが住む家の前の住人。
映画『花とアリス殺人事件』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『花とアリス殺人事件』のあらすじ【起】
田舎町に引っ越してきた、中学生の有栖川徹子。
“花屋敷”と呼ばれる隣の家の窓から、同年代の少女が覗いているのに気を取られて、2階の窓から落ちそうになる。
部屋には、前の住人が忘れていったテスト用紙があった。
新しい中学に転入したアリス。
しかし制服が在庫切れで、前の学校のブレザー制服で通うことになる。
クラスメイトは、2つの空席のうちの1つに座ったアリスに対して、よそよそしい態度を取る。
いじめに似た雰囲気が漂うが、強気なアリスは気にも留めない。
子供の頃に、一緒にバレエを習っていた友人と偶然会い、バレエ教室に通い始めたアリス。
そこで、中学で1年前に殺人事件があったと教えられる。
1学年上の男子ユダが4人のユダに殺されたらしい。
殺された男子がいたのは3年2組、アリスのクラスだった。
放課後、クラスメイト全員から、アリスに対する態度の原因を説明される。
アリスが席に座ったことで、ユダの魂を封印している結界を破ったらしい。
映画『花とアリス殺人事件』のあらすじ【承】
アリスの後ろの席の生徒は、魔界に飛ばされてしまったという。
魔界からよみがえったと言うクラスメイト、陸奥睦美からお祓いを受けさせられるアリス。
そして不思議な体験をする。
だが小説家のアリスの母は、お祓いのトリックを簡単に暴いた。
登校途中、クラスメイトの千葉に絡まれるアリス。
しかしアリスは反撃に出る。
話を聞くと、上級生のユダは4人の妻に殺されたらしい。
ユダの霊は授業中に睦美に取り憑き、睦美はトイレで呆然としているところを発見された。
翌日から睦美は長いスカートを穿き、短かった髪はロングヘアになった。
一晩で髪が伸びたと言い、ユダの魂を封印したと言った睦美。
それまで睦美はいじめられっ子だったが、今ではクラスを牛耳る存在になった。
リレーの選手に選ばれ、ランニングをするようになったアリス。
担任と“花屋敷”のおばさんが話し込んでいるのを見かける。
そして、“花屋敷”に住んでいるのはクラスメイトの荒井花だと知る。
花は引きこもりだった。
映画『花とアリス殺人事件』のあらすじ【転】
お互いに強烈な母親を持つとわかった、アリスと睦美。
睦美に詳しくユダの話を聞こうとするが、いじめから逃れるために演技をしたのだと言う。
そして、ユダについては何も知らなかった。
だが、事件当時の3年2組の生徒で留年中の花なら、何か知っているかもしれないと言う。
その後、残っていたテスト用紙を確認したアリスは、今住んでいる家はユダが住んでいた家だとわかる。
そして話を聞くため、花の家に向かう。
花は湯田光太郎を知っていたが、彼は転校しただけだと言う。
アリスは花に手伝ってもらい、湯田について調べることにする。
花のアドバイスに従い、湯田の父の会社に行くアリス。
花はこっそりあとを付けていた。
湯田のフリをして湯田の父に接触しようとするが、アリスは自分の名前を言ってしまう。
さらに、湯田の父の同僚が代わりにやって来るなど、計画は狂いっぱなし。
途中で見つけた湯田の父を見つけた花は、尾行をはじめる。
そしてアリスは、湯田の父と思っていたのが別人だと知らされる。
映画『花とアリス殺人事件』の結末・ラスト(ネタバレ)
花は湯田一家が住むマンションを見つけ、アリスを呼び寄せる。
マンション前で湯田を待つ花とアリスは、終電を逃してしまう。
その夜、花は湯田について話し始める。
湯田光太郎は花の幼馴染だった。
毎年バレンタインにチョコを渡していた花は、中学2年の時に婚姻届を添えて渡した。
そして中学3年になり、湯田と花は同じクラスになる。
喜ぶ花だったが、湯田は告白してきた女子生徒全員に婚姻届を渡しているとわかる。
苛立った花は、教室にいた蜂を捕まえて前の席の湯田の背中に投げ込んだ。
転校が決まっていた湯田は、挨拶をしようとして倒れた。
湯田を殺したかもしれないと思い悩むようになった花は、家から出られなくなった。
トラックの下で暖を取りながら、朝まで過ごした花とアリス。
翌朝、花がトラックに轢かれたと勘違いしたアリスは、騒ぎを起こす。
呆れた花がアリスを連れて逃げようとすると、湯田が通りかかる。
湯田と言葉を交わした花は浮かれていた。
その後、アリスのセーラー服が届く。
引きこもりをやめた花は、アリスと一緒に学校へ向かった。
映画『花とアリス殺人事件』の感想・評価・レビュー
岩井俊二作品ならではの彩りと世界観、雰囲気が満載の作品だった。ストーリー的に物足りない部分はあるが、個人的にはこの世界観を堪能できただけで満足だった。また、声を演じた俳優陣の実力も素晴らしい。雰囲気を壊すことなく、むしろ一緒に作り上げているような演技だった。
観ている者に想像させるような描写が多く、まるで小説を読んでいるかのような気持ちにさえなった。しかし全体的に好き嫌いが分かれそうな作風であり、向かない人にとっては面白くないと感じるだろう。(男性 20代)
「花とアリス」の続編に当たる今作。キャラクターとストーリーのテンポが独特で、多少好き嫌いが分かれそうな作品ではある。観ている人に判断させる余白があり、小説を読んでいるような感覚があった。
「花とアリス」で主演をしていた二人が声優を担当していたこともあり、声に違和感がなかったのがよかった。ロトスコープでの映像は珍しく、とても新鮮だった。背景からキャラクターが浮いている印象があったのが少し残念だと感じたが、全体的に飽きずに楽しめる映画だった。(女性 20代)
みんなの感想・レビュー