映画『福福荘の福ちゃん』の概要:どこまでも人のいい32歳の独身男・福ちゃん。過去のトラウマから女性が苦手になってしまった福ちゃんを、原因を作った張本人が訪ねてくる。愛されキャラの福ちゃんを森三中の大島美幸が好演。藤田容介監督の演出が光る秀作。
映画『福福荘の福ちゃん』の作品情報
上映時間:111分
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ、ラブストーリー
監督:藤田容介
キャスト:大島美幸、水川あさみ、芹澤興人、飯田あさと etc
映画『福福荘の福ちゃん』の登場人物(キャスト)
- 福田辰男(大島美幸)
- 通称福ちゃん。32歳。塗装業。手作りの凧をあげるのが趣味。福福荘で一人暮らしをしている。ぽっちゃり系の坊主頭で女性は苦手だが、人が好くて面倒見がいいので男たちからは慕われる。純朴でとにかく優しい。目隠しして絵が描ける。
- 杉浦千穂(水川あさみ)
- 福ちゃんの中学の時の同級生。外資系の大手企業に勤めるエリートだったが、怪しげなアーティスト系写真家の沼倉ヒサシの写真に刺激を受けてプロの写真家を目指す。オカルト系のライターをしている下田悠子と同居中。
- 島木拓郎(荒川良々)
- 通称シマッチ。福ちゃんの同僚であり親友。福ちゃんと見た目も似ている。良美という若い嫁とラブラブ。お人好しの福ちゃんをいつも心配している。
- 馬渕典彦(芹澤興人)
- 福福荘の住人。東大卒だが現在はフリーターで、孤独を癒すために大蛇を飼っている。人付き合いが下手で、些細なことに感動してすぐに泣く。
- 野々下彰(飯田あさと)
- 福福荘の住人。下着泥棒をした過去があり、被害妄想型の神経症を患っているためナイフを携帯している。四国八十八ヶ所を巡礼後も都内でお遍路を続け人々の幸福を祈っている。
映画『福福荘の福ちゃん』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『福福荘の福ちゃん』のあらすじ【起】
福田辰男32歳、通称福ちゃんは、どこにいても弱者の味方になってやる心優しい男だ。今日もやんちゃなシマッチにからかわれて仕事を辞めると言い出した新入りを福ちゃんが救ってやる。
福福荘へ帰った福ちゃんは住人の野々下から“隣の馬渕が大蛇を飼っているのが嫌だ”という相談を受ける。馬渕は野々下は心が病んでいると反論し、下着泥棒をした野々下の過去を持ち出す。野々下は“死んでやる”と叫んで飛び出していく。
野々下を探していた福ちゃんと馬渕は、公園で巨大な肉まんを食べている野々下を発見する。安心した福ちゃんは馬渕を将棋に誘い、その後帰ってきた野々下も合流する。福ちゃんは二人のためにたこ焼きを焼いてやるのだった。
都内で外資系大手企業に勤めている千穂は、神と崇める写真家・沼倉ヒサシが主催する写真コンテストで大賞を受賞する。沼倉は千穂の才能を絶賛し、写真一本にする気はないのかと声をかける。しかし千穂には会社を辞める勇気はなかった。
シマッチ夫婦はあまりに女気のない福ちゃんの行く末を心配し、良美の同僚の笠原勝子を紹介する。ぽっちゃり系が好みの勝子は福ちゃんの見た目を気に入っていたが、女性が苦手な福ちゃんは何もしゃべれない。
映画『福福荘の福ちゃん』のあらすじ【承】
千穂は会社を辞めて沼倉に弟子入りする覚悟を決める。沼倉は専用スタジオに千穂を招き、アーティストとしての心得を熱弁。その後写真を撮り合おうと言い出し、いきなり全裸になる。千穂は裸になることを拒むが沼倉は諦めず、抱きついてきた沼倉をカメラで殴って流血させてしまう。そのまま千穂は逃げ出す。
シマッチ夫婦は福ちゃんと勝子の親睦を深めるためピクニックを企画する。しかし福ちゃんはピクニックを羨ましがった馬渕と野々下を連れてきてしまい、シマッチたちをシラけさせる。馬渕や野々下と遊んでばかりいる福ちゃんを見て、勝子は帰ると言い出す。シマッチは福ちゃんの良さを語って何とか勝子を引きとめようとするが、勝子に“自分が好きなのはシマッチさんみたいな人だ”と言われて、この話は流れてしまう。
自分に嫌気がさした千穂は、写真をやめて酒ばかり飲んでいた。悠子はまた写真を撮るよう説得するが、千穂は聞く耳を持たない。とある喫茶店で時間を潰していた千穂は、そこの女主人から“今の状況は過去に人を傷つけたツケを払っているのだ”と言われる。霊感のある女主人には、千穂に深く傷つけられた中学時代の福ちゃんが見えていた。
映画『福福荘の福ちゃん』のあらすじ【転】
中学時代。太っていた福ちゃんはいじめられっ子だった。千穂や同級生たちはそんな福ちゃんをからかい、千穂が福ちゃんのことを好きだというドッキリを仕掛ける。千穂は福ちゃんを散々笑い者にした過去を思い出し、深く後悔する。
千穂は福ちゃんを訪ね、いきなり土下座して謝る。福ちゃんは動揺するが、謝りにきてくれた千穂の気持ちを受け入れ、笑顔で千穂を許す。千穂は福ちゃんの笑顔を見て、福ちゃんをモデルにして写真を撮りたいと思うようになる。
しかし千穂はそれを福ちゃんに言い出せず、河川敷で凧揚げをしていた福ちゃんたちを隠し撮りする。それに気づいた野々下は自分が撮られていると勘違いしてナイフで千穂に襲いかかり、そのピンチを福ちゃんが救う。千穂は勇気を出して“モデルになってほしい”と告げるのだが、福ちゃんはまたからかわれていると勘違いして男泣きをする。しかし千穂が本気であることがわかり、モデルになることを引き受ける。
最初こそぎこちなかったが、そのうち2人の距離も縮まり、福ちゃんは千穂の前でも自然体でいられるようになる。千穂はそんな福ちゃんを常に追いかけて写真を撮り続け、福ちゃんも楽しい時間を過ごす。しかしシマッチは福ちゃんが千穂に恋をしていることに気づき、福ちゃんが傷つくことを心配する。
映画『福福荘の福ちゃん』の結末・ラスト(ネタバレ)
シマッチは千穂を呼び出し“その気がないならこれ以上誤解を招くようなことはするな”と忠告する。確かに福ちゃんはすっかり舞い上がっていた。千穂は福ちゃんのことが大好きだったが、男女の関係になる自信はなかった。
出版社に伝のある悠子が尽力してくれ「福福荘の福ちゃん」というタイトルの写真集が出版される。出版記念パーティーはアットホームな雰囲気となり、みんなご機嫌だった。千穂は遅れてきた野々下に声をかけ、何気なく野々下の写真を撮る。しかしそれが野々下の神経を刺激し、野々下はナイフで千穂を刺そうとする。福ちゃんは身を呈して千穂をかばい、腹部を刺されてしまう。
幸い福ちゃんの命に別条はなかったが、千穂は毎日福ちゃんの見舞いに通う。シマッチは嬉しそうな福ちゃんを見て“友達でいいからそばにいてやって欲しい”と千穂に頼む。しかし千穂は無期限で撮影旅行に出る決意をしていた。福ちゃんは謝罪に来た野々下の父親に野々下の病状の深刻さに気づけなかった自分の責任だと詫びていた。
千穂は旅立ち、回復した福ちゃんも仕事に復帰する。しかし福ちゃんは寂しかった。そんな時、千穂を忘れようと努力していた福ちゃんを誰かが訪ねてくる。扉の向こうには福ちゃんの大好物のカレーを持った千穂が立っていた。
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