映画『アンブレイカブル』の概要:列車横転事故の大惨事から、ただ1人無傷で生き残った男。彼は病気もケガもせず、超人的な力を持っていた。ヒーローの素質を見出された中年男性がヒーローとなるまでを描くサスペンス。M・ナイト・シャマラン監督、ブルース・ウィリス主演。
映画『アンブレイカブル』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ、サスペンス
監督:M・ナイト・シャマラン
キャスト:ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ロビン・ライト・ペン、スペンサー・トリート・クラーク etc
映画『アンブレイカブル』の登場人物(キャスト)
- デヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)
- 列車事故の唯一の生存者。ケガも病気もすることがなく、超人的なパワーと触れた相手の悪事を見抜く能力を持っているが、本人はそれに気づいていなかった。妻のオードリーとは別居寸前。元大学アメフトのスター選手だったが自動車事故を機にやめ、今はスタジアム警備の仕事をしている。
- イライジャ・プライス(サミュエル・L・ジャクソン)
- 先天性の骨形成不全症を患う男性。デヴィッドにヒーローの素質を見出す。すぐ骨が折れてしまうため子供のころは外に出たがらなかったが、母親から贈られたヒーロー漫画に、外へ出る勇気をもらった。それ以来ヒーロー漫画に傾倒し、現実世界にもヒーローがいるはずと探し続けて来た。
- ジョゼフ(スペンサー・トリート・クラーク)
- デヴィッドの小学生の息子。デヴィッドが本物のヒーローかもしれないというイライジャの話を信じこんでいる。列車事故以前は、父親とはあまり親しい関係ではなかった。
- オードリー(ロビン・ライト)
- デヴィッドの妻。心理療法士の仕事をしている。デヴィッドとの結婚生活は破たん寸前だったが、列車事故を機に関係を修復したいと思うようになる。デヴィッドがアメフト選手をやめたことが結婚のきっかけになった。
映画『アンブレイカブル』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アンブレイカブル』のあらすじ【起】
1961年、フィラデルフィアにイライジャという男の子が生まれた。彼は生まれつき骨がもろく、胎内ですでに両腕両足を骨折していた。母親はイライジャの過酷な運命に涙する。
現在。フィラデルフィア行きの列車に乗ったデヴィッドは、凄惨な列車横転事故に巻き込まれる。病院で目覚めたデヴィッドは、自分が事故の唯一の生存者であること、そして奇跡的にかすり傷すら負っていなかったことを知る。妻のオードリーと息子のジョゼフに付き添われ、デヴィッドはフィラデルフィアの我が家に戻る。実は今回の1人旅は、妻との別居を控えての転職先探しが目的だった。
犠牲者の追悼式に参加したデヴィッドは、車に「リミテッド・エディション」からの手紙が挟まっているのを見つける。そこには「あなたは今までに病気になったことがあるか?」と書かれていた。自分でも気になったデヴィッドは、勤め先やオードリーに自分の病歴を聞くが、これまでの人生で病気になった覚えがなかった。
1974年、フィラデルフィア。イライジャはすぐ骨が折れるので、学校で「ミスター・ガラス」とあだ名をつけられ家に閉じこもっていた。母親は今逃げてはいけないと考え、家の外にプレゼントを置いてイライジャを外におびき出す。プレゼントはヒーローもののコミックだった。母親は外に出るたびコミックの続きをプレゼントすると約束する。
現在。イライジャは成長し、ヒーロー漫画の原画を集めた画廊を開いていた。画廊の名は「リミテッド・エディション」。イライジャがデヴィッドに手紙を送った張本人だった。答えを知りたいデヴィッドは、ジョゼフを連れてイライジャを訪ねる。
映画『アンブレイカブル』のあらすじ【承】
イライジャがデヴィッドにしたのは途方もない話だった。イライジャは骨形成不全症で、自分とはま逆の、決して怪我も病気もしないヒーローのような人間がどこかにいるはずと探し続けて来たのだ。生存者0の大惨事群のなかで、デヴィッドだけが無傷で生き残ったため、イライジャは彼がヒーローだと信じ込んでいた。しかしデヴィッドはそれを詐欺だと疑い、自分が大学時代に自動車事故で怪我し、アメフトをやめていることを明かしてその場を去った。
その夜、家庭内別居状態だったオードリーが、もう一度やり直したいと申し出て来た。事故を機にデヴィッドの大切さを実感したのだ。デヴィッドは言葉を返せずにいた。
デヴィッドが警備の仕事をしているスタジアムに、イライジャがやってきた。デヴィッドが武器を持っている人間を見抜いたのを見て、イライジャは自分の考えに確信を持つ。その男を見たデヴィッドの頭には、銃の映像が浮かんでいた。イライジャは男がその通りの銃を持っているか確かめようとして、階段から落ち大けがをしてしまう。男はデヴィッドが見たのと同じ銃を持っていた。
デヴィッドは体を鍛え始める。ジョゼフとのトレーニング中、デヴィッドは160kgものバーベルを持ち上げられることに気が付き驚く。
一方、複雑骨折したイライジャのリハビリに、療法士をしているオードリーが付くことになった。イライジャはデヴィッドが怪我したという自動車事故にオードリーも一緒だったこと、オードリーがアメフト選手とは結婚したくないと思っていたことに興味を持つ。イライジャはデヴィッドが結婚を見据えて怪我をしたふりをしたのではと考えていた。
映画『アンブレイカブル』のあらすじ【転】
ジョゼフはデヴィッドが無敵のヒーローだと信じ込んでいた。ジョゼフがヒーローのまねをして怪我をしてしまい、デヴィッドは学校に呼び出される。話をした保健の先生はデヴィッドが小学生のころからいるベテランで、デヴィッドがプールでおぼれ、肺炎になりかけた思い出を語ってくれた。デヴィッドは病気になったことがあったのだ。それでも父親が無敵だと信じたいジョゼフは、拳銃をデヴィッドに向ける。不死身なら撃たれても死なないと思ったのだ。デヴィッドにこっぴどく叱られたジョゼフは、ひどく落ち込んでしまう。
ジョゼフが危ないことをし始めたため、デヴィッドはイライジャにもう付きまとわないよう強く言い放つ。デヴィッドがプールでおぼれたと知ったイライジャは落胆していた。
デヴィッドとオードリーは結婚後初のデートに出かける。お互いの知らない一面を聞きあううち、デヴィッドが「この結婚はうまくいかない」と感じた瞬間が、「怖い夢を見た時にオードリーを起こして安心させてもらうことをためらってしまったこと」だったとオードリーは知る。帰宅すると、イライジャからの留守電が入っていた。イライジャはデヴィッド=ヒーロー説をまだ信じており、水がデヴィッドの弱点なのだと主張していた。
デヴィッドは自動車事故の事を思い出していた。イライジャの言う通り、デヴィッドは事故で怪我をしたふりをし、超人的な力で妻を車から助け出していた。デヴィッドはヒーローになることを決め、イライジャに電話する。
映画『アンブレイカブル』の結末・ラスト(ネタバレ)
デヴィッドは人ごみに入り、触れた人の悪事を垣間見ていく。その中に殺人事件があり、デヴィッドはその犯人のあとをつける。犯人は一家の父親を殺し、家に押し入っていた。デヴィッドは家に入り込み、子供2人を救い出す。しかし母親を助けようとしたところで犯人に見つかり、プールに落とされてしまう。デヴィッドは溺れそうになったが、子供たちに助けられ、犯人をやっつけた。母親はすでにこと切れていたが、子供たちを救い、「謎のヒーロー」として新聞に取り上げられる。翌朝デヴィッドは新聞をジョゼフに見せた。ジョゼフが正しかったのだと伝えるために。ジョゼフは母親にばれないように、うれし泣きをするのだった。
デヴィッドはヒーローとなる決心をし、イライジャの展覧会を訪れる。しかしイライジャと握手したデヴィッドには、イライジャのしてきた悪事が見えてしまった。イライジャはヒーローを探し出すため、生存者0の大惨事を多数起こしてきたのだ。その中には、デヴィッドを襲った列車事故も含まれていた。デヴィッドはイライジャの悪の面を知り、イライジャもまた、自分がヒーローの敵である「悪役」となる運命だったことに気づく。
デヴィッドはイライジャのもとを去り、警察に通報した。イライジャは列車事故を含む3大テロの証拠を見つけられ、重度の精神病患者として入院することとなる。
映画『アンブレイカブル』の感想・評価・レビュー
いわゆる単純なヒーロー映画とは異なり、超人的な力を持つデヴィッドが、自らも知らないその力に気付かされ、その力の使い道や可能性を見出していくという作品。なぜ超人的な力をデイヴィッドが保有していたのかまではそこまで触れていないのだが、きっと作品としてその部分は重要視するべき部分ではないのだろう。デイヴィッドの超人的な力を気付かせたイライジャが全ての黒幕というオチはなかなか驚いたが、良く考えると納得出来る流れではある。(男性 30代)
『シックス・センス』で一躍トップ監督の仲間入りを果たしたM・ナイト・シャラマン監督の期待された新作はどうも掴みどころのない映画として大衆を落胆させた。ブルース・ウィリスのむやみに深刻な表情も相まって、なんとも言えない霧の中にいるような雰囲気づくりには成功しているが、霧の中にいるままで映画が終わってしまう。最近、長年の沈黙を破って第二作、三作が発表されたが、三作目を観終わってすらまだ霧の中なのは、ある意味で感動すら覚える。(男性 30代)
M・ナイトシャマラン監督の「シックスセンス」以来の作品ということで期待して観賞した。前作があまりにもヒットしたために評価が低い作品ではあったが、個人的にかなり面白かった。
大どんでん返しもその一つだが、その設定も含めた発送が何とも素晴らしい。
ブルース・ウィリス演じるデイビッドは、怪我や病気とは無縁なヒーロー的存在。一方、サミュエル・L・ジャクソン演じるイライジャは、先天的な病気の持ち主。この対極にある二人の「生きる」ことへの価値観が、人間ドラマを生み、こちらへ訴えかけるのだ。ただのエンターテインメントではないシャマラン作品を今後も観たいと思う。(男性 40代)
パパはヒーロー。子供ならみんな、パパはヒーローであって欲しいと願いますよね。そんな子供のために頑張っちゃうパパのお話。ブルース・ウィリス演じるデヴィッドは、ある事故からたった一人奇跡の生還を果たします。なぜ自分だけが生き残ったのか?その謎が徐々に解けていく過程がとても面白く、惹き付けられました。
この作品に出てくるのはダークで地味なヒーロー。派手さはありませんが、あまりにも人間味のあるヒーローで、もしかしたら自分の身近にも…と感じてしまいました。(女性 30代)
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