この記事では、映画『マレーナ』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『マレーナ』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『マレーナ』の作品情報
上映時間:92分
ジャンル:青春、戦争、ラブストーリー
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
キャスト:モニカ・ベルッチ、ジュゼッペ・スルファーロ、ルシアーノ・フェデリコ、マティルデ・ピアナ etc
映画『マレーナ』の登場人物(キャスト)
- マレーナ・スコルディーア(モニカ・ベルッチ)
- 27歳の女性。耳の不自由は父親を連れ、シチリア島のニノ・スコルディーアのところへ嫁に来たが、わすか2週間で夫が出征してしまう。あまりにも美しいため男たちに注目され、女たちの嫉妬を買う。そのせいで辛い思いをする。
- レナート・アモローソ(ジュゼッペ・スルファーロ)
- 島で暮らす12歳の少年。マレーナに恋をして、密かに彼女を追い続けている。早く大人になって彼女を守りたいと願っている。マレーナの父親が学校の先生。
映画『マレーナ』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『マレーナ』のあらすじ【起】
第二次世界大戦時のイタリア・シチリア島。1940年の春、12歳半になるレナートは、自転車を買ってもらい、年上の少年たちの仲間に入れてもらう。今、彼らが夢中になっているのは、マレーナという美しい人妻で、レナートも彼女に一目惚れする。
27歳のマレーナは、この島で暮らすニノのもとへ嫁いで来たばかりだった。しかしニノは結婚して2週間で出征してしまい、マレーナは孤独な日々を送っている。学校でラテン語教師をしている耳の悪い父親も一緒に島へ来たが、住まいは別だった。
マレーナに恋をしたその日から、レナートは早く大人になりたいと熱望するようになる。半ズボンを子供っぽいと感じたレナートは、父のズボンを勝手に仕立て直して自分用の長ズボンにしてしまう。そのせいで父親から厳しく叱責されるが、レナートはくじけない。
夜、マレーナの家を覗きに行くと、彼女は夫の写真を胸に抱き、音楽に合わせて踊っていた。レナートはそのレコードを手に入れ、音楽を聴きながら彼女のあれこれを妄想する。
マレーナは仕事を探していたが、よそ者で浮いた存在の彼女を、雇ってくれる人はいない。美しいマレーナが街を歩くと、男たちの視線を一身に集める。女たちは、そんなマレーナを悪い女と決めつけ、敵意をむき出しにする。マレーナには、すでに愛人がいるという噂まで立っていた。

映画『マレーナ』のあらすじ【承】
レナートはマレーナの後を追い続け、彼女の真実を目にしていく。彼女は一途に夫を愛し、老齢の父親を気にかける優しい女性だった。
戦況が激しさを増し、年給や恩給の支払いは延期されるようになる。そんな時、ニノが戦死したという電報が届く。マレーナは絶望のあまり、ニノの追悼会にも出られなかった。
レナートは、マレーナのパンツをかぶって寝ているところを父親に見つかってしまい、部屋に監禁される。レナートは断食をして抵抗し、自由を勝ち取る。
学校で教鞭をとっていたマレーナの父親に、“あなたの娘は町中の男と寝ている”という嫌がらせの電報が届く。レナートは、マレーナのことをからかった友人と大喧嘩をする。
カデイ中尉は、未亡人になったマレーナを口説き落とし、とうとう彼女をものにする。しかし女好きの歯医者も彼女を狙っており、彼女の自宅前で2人が鉢合わせして大喧嘩となる。歯医者の妻は激怒し、夫とマレーナを裁判に訴える。そのせいでマレーナの父親は、学校をクビになってしまう。父親にまで拒絶され、マレーナはますます孤独になる。レナートは彼女のことが心配でたまらなかった。
マレーナは裁判に勝つため、やり手だがブ男のマザコンとして有名なチェントルビ弁護士を訪ねる。チェントルビはマレーナ目当てで、弁護を引き受ける。裁判は、チェントルビの活躍により、マレーナが勝訴する。チェントルビは高額な弁護費用をタダにする代わりに、マレーナを自分のものにする。レナートは、薄汚いチェントルビに汚されていくマレーナを見て、悔し涙を流す。
映画『マレーナ』のあらすじ【転】
チェントルビはマレーナと結婚したがっていたが、母親に猛反対されて結婚は実現しない。そして2人は別れる。
ニノを亡くし、父親にも絶縁され、マレーナの生活は困窮していく。さらに、イタリア南部では連合軍による空襲が続き、人々は不安な日々を送っていた。マレーナの父親も、ある日の酷い空襲に巻き込まれ、命を落としてしまう。
食べるものにも事欠くようになったマレーナは、アントニオという男の斡旋で、売春婦になる決意をする。仕事も後ろ盾もないマレーナが生き残る道は、もはやそれしかなかった。
マレーナは自ら長い黒髪を切って、派手な赤毛に染める。明らかに商売女となったマレーナに男たちは群がり、女たちは憎しみを募らせる。
男たちは貢物を持ってマレーナの自宅を訪ね、彼女を抱く。どんどん転落していくマレーナを見て、レナートは自分の無力さを痛感する。マレーナがドイツ兵とまで寝ていると知り、レナートは気絶してしまう。
母親はそんな息子を心配し、悪魔祓いをしてもらう。しかし父親はレナートが男になる時期なのだと察し、息子を売春宿に連れて行ってやる。レナートが選んだのは、以前のマレーナに似た黒髪の売春婦だった。
映画『マレーナ』の結末・ラスト(ネタバレ)
戦争が終わり、ムッソリーニ政権は終焉を迎える。シチリア島にもアメリカ軍がやってきて、ファシストたちは弾圧されていく。ドイツ兵を客にしていたマレーナも弾圧の対象となり、町の女たちに路上へ引きずり出され、リンチを受ける。
マレーナは公衆の面前で裸にされ、殴る蹴るの暴行を受け、髪を丸刈りにされてしまう。酷い怪我を負って震えているマレーナに、誰も手を差し伸べようとはしない。それからすぐ、マレーナは汽車に乗って町から出ていく。レナートは黙って彼女を見送り、あのレコードを海に投げる。
しばらくして、右腕を失くしたニノが帰ってくる。ニノの戦死は誤報で、彼は生きていた。ニノはすぐに自宅へ帰るが、自宅には避難民が住み着き、マレーナの姿はなかった。町の人々はニノに真実を伝えられずにいた。
レナートはマレーナを探し求めているニノに匿名で手紙を書く。レナートは手紙で、マレーナはニノだけを愛していたが、町の人々は悪意に満ちており、彼女は生きていくために仕方なく売春婦をしていたのだとニノに伝える。そして彼女がメッシーナ行きの汽車に乗ったことも教えてやる。
それから1年後。町にニノとマレーナが帰ってくる。つらそうなマレーナを、ニノがしっかりと支えていた。町の女たちもようやく彼女をシチリア女と認め、彼女の存在を受け入れる。レナートは買い物帰りのマレーナに、“お幸せに マレーナさん”と初めて声をかける。マレーナは不思議そうにレナートを見つめていた。
レナートはそれだけ言って、逃げるようにペダルを漕いで彼女から遠ざかっていく。その日レナートは、少年時代と初恋の女性と決別したのだった。
映画『マレーナ』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
お隣のお姉さん物と言えばいいのだろうか。少年の純粋さも良いが必死に戦中の世界を生きるマレーナがとてもいい。モニカ・ベルッチは脱ぐことで話題になることが多いけどこの映画でもわかるとおりに単純に演技もうまい。色気がありすぎてそこが先行してしまうのも理解できるんだけど、もったいない気もする。全然、似たようなことがなかったのに、主人公の少年に共感できてしまうあたり、なかなか人間観察力にとんだ脚本と表現力だ。(男性 30代)
マレーナ演じるモニカ・ベルッチの圧倒的な美しさ、同じ人間とは思えません!特に、娼婦になり金髪にし、タバコを吸うシーンのマレーナは美しすぎて鼻血が出そうでした。女の嫉妬は怖いなと感じました。特にマレーナをリンチするシーンは中々の胸糞です。この戦時中という荒んだ時代が、さらに憎悪を悪化させたのでしょうか?それとは対照的に少年レナートの彼女を守りたいという真っ直ぐで純粋な気持ちが際立っており、感情移入がしやすかったです。モニカ・ベルッチの美しさを思う存分堪能できる作品。(女性 30代)
思春期真っ只中の12歳の少年の、届くはずのない、年上の人妻女性への純粋で強い片思い。最後まで愛し、見守り続ける少年が愛おしく、時にコミカルで、時に切なくもあった。そんな女性マレーナを演じるのは、イタリアの至宝モニカ・ベルッチ。振る舞い一つとっても、しなやかで優雅。どの時代も、美しさが一際目立つ女性は、嫉妬の対象となり得るのだろう。
ノスタルジックなシチリアの街とエンニオ・モリコーネの音楽、モニカ・ベルッチの端麗さ、映像全てに酔いしれる。(女性 20代)
美しくも切ない青春の一幕を描いた『マレーナ』は、心に深い余韻を残しました。特に、モニカ・ベルッチ演じるマレーナの存在感が圧倒的で、周囲の嫉妬や欲望に翻弄される姿が痛々しくもありました。少年レナートの淡い恋心が、大人への成長と共に変化していく過程もリアルで共感しました。戦争という時代背景がさらに彼女の悲劇性を際立たせ、観終わった後もずっと心に引っかかる作品です。(20代 男性)
周囲からの偏見と孤立に耐えるマレーナの姿が、本当に胸に刺さりました。女性であるがゆえに受ける理不尽な扱い、そして守る者すらいない孤独感が、見ていて本当に辛かったです。美しさは祝福ではなく、呪いでもあると感じさせる映画でした。少年レナートの視点だからこその純粋さも、逆に現実の残酷さを浮き彫りにしていました。(30代 女性)
『マレーナ』は一言で言えば「痛みと成長の物語」。レナートの目を通して描かれるマレーナの運命は、儚くもあり、悲劇的でもありました。彼女の美貌が引き起こす周囲の嫉妬、そして自らを守るために下す決断が、あまりにもリアルでした。少年の成長譚であると同時に、女性の生きづらさを描いた社会派ドラマとしても秀逸だと感じました。(40代 男性)
モニカ・ベルッチの美しさに目を奪われながらも、その裏に隠されたマレーナの孤独と苦悩に涙が止まりませんでした。特に終盤、すべてを失った彼女に再会する場面は胸が締め付けられました。誰も助けない、けれど誰もが彼女を見ている――そんな残酷な世界がとてもリアルでした。戦争中のイタリアという舞台設定も印象的です。(50代 女性)
初めてこの映画を観たとき、ただの美しい女性の物語かと思いました。しかし、マレーナが置かれた状況は想像以上に過酷で、無力なレナートを通して見る世界の不条理さに打ちのめされました。見た目だけで判断される怖さ、孤立の恐怖、そしてそれに耐える強さ――すべてが詰まった映画だと思います。(10代 男性)
モニカ・ベルッチが演じるマレーナの存在は、ただ美しいだけではありませんでした。彼女が耐える痛みや屈辱がリアルに描かれ、胸が締めつけられる思いでした。特に、レナートが成長して彼女を「神聖視」するのではなく、現実を受け入れるシーンに深い感動を覚えました。大人になったレナートの複雑な感情が痛いほど伝わってきました。(30代 男性)
『マレーナ』は、美しさが時にどれほど残酷な運命をもたらすかを描いた悲しい物語でした。特に、マレーナが町の女性たちから集団暴行を受けるシーンは衝撃的で、胸が痛みました。誰も助けない社会の冷たさを、これほどまでにリアルに描いた作品はなかなかないと思います。レナートの純粋な憧れも、切なさをさらに引き立てました。(40代 女性)
映画『マレーナ』を見た人におすすめの映画5選
シネマ・パラダイス
この映画を一言で表すと?
少年と映画館を巡る、人生で一度は観てほしい珠玉の成長物語。
どんな話?
イタリアの小さな村を舞台に、少年トトと映画技師アルフレードの友情、成長、別れを描いた物語です。映画を愛し続けたトトが大人になり、過去を振り返るとき、胸を締め付けるような感動が押し寄せます。ノスタルジックで温かな余韻が残る名作です。
ここがおすすめ!
少年の成長とともに描かれる、映画への純粋な愛、師弟愛が心に沁みわたります。特にラストシーンは涙なしでは観られません。『マレーナ』同様、イタリアの美しい風景と哀愁漂う空気感に浸りたい人にぴったりの一本です。
ライフ・イズ・ビューティフル
この映画を一言で表すと?
笑いと涙で包み込む、戦争下の奇跡の父子愛。
どんな話?
第二次世界大戦中、ユダヤ人収容所に送られた父と息子。父グイドは、息子に現実を悟らせないよう「これはゲームだ」と言い続け、必死に守ろうとします。シリアスな題材ながら、ユーモアと愛情に溢れた展開が心を打ち、ラストは深い感動へと誘います。
ここがおすすめ!
絶望的な状況の中でも希望と愛を忘れない強さに、胸を打たれます。『マレーナ』が持つ戦時下の人間ドラマと共通するテーマがあり、感動したい方には必見。俳優ロベルト・ベニーニの名演技も見逃せません。
ある愛の詩
この映画を一言で表すと?
短くも美しく燃え上がる、永遠のラブストーリー。
どんな話?
裕福な家の青年オリバーと、貧しい家庭出身のジェニーが、身分差を超えて恋に落ち、結婚。しかし、幸せも束の間、ジェニーは重い病に侵されます。純粋で切ない愛を、静かに美しく描いた1970年代を代表するラブストーリーです。
ここがおすすめ!
静かなトーンで描かれる究極の愛が胸に深く響きます。『マレーナ』で味わった「美しさと儚さ」が好きな人には、この映画の純粋な悲しみに共鳴できるはずです。名曲「ある愛の詩」のテーマ曲も必聴!
ぼくのエリ 200歳の少女
この映画を一言で表すと?
孤独な少年と不老の少女が紡ぐ、美しくも不穏な友情の物語。
どんな話?
いじめられっ子の少年オスカーと、隣に引っ越してきた謎の少女エリ。エリには恐ろしい秘密がありました。北欧の雪景色の中、二人の淡くも強い絆を描く、ホラー要素を持ちながらも限りなく純粋な物語です。
ここがおすすめ!
恐ろしくも切ない、独特の美しさが全編に漂います。『マレーナ』のように、少年の心情に寄り添った作品を求める人にはぴったりです。映像美と音楽、静かな空気感がとても魅力的な一作です。
イングリッシュ・ペイシェント
この映画を一言で表すと?
愛と喪失を、壮大なスケールで描く名作ラブストーリー。
どんな話?
第二次世界大戦末期、重傷を負った男の過去の恋愛が回想されていく壮大な愛の叙事詩です。砂漠での禁断の恋、戦争が引き裂いた運命、全てがドラマチックに描かれます。美しい映像と重厚なストーリーに心を奪われます。
ここがおすすめ!
『マレーナ』と同じく、戦争という大きな時代背景の中で紡がれる個人の悲劇と愛情が深く胸に刺さります。映像美、音楽、ストーリーテリング、すべてが一級品。壮大な愛の物語に没入したい人におすすめです。
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