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映画『ミス・シェパードをお手本に』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ミス・シェパードをお手本に』の概要:イギリスの著名な劇作家のアラン・ベネットが、自分の経験をもとに書き上げたほぼ実話の物語。「ハリー・ポッター」シリーズのマクゴナガル先生役でおなじみのマギー・スミスが、気高いホームレの“ミス・シェパード”になりきって、素晴らしい演技を見せている。

映画『ミス・シェパードをお手本に』の作品情報

ミス・シェパードをお手本に

製作年:2015年
上映時間:104分
ジャンル:ヒューマンドラマ、コメディ
監督:ニコラス・ハイトナー
キャスト:マギー・スミス、アレックス・ジェニングス、ジム・ブロードベント、フランシス・デ・ラ・トゥーア etc

映画『ミス・シェパードをお手本に』の登場人物(キャスト)

ミス・シェパード(マギー・スミス)
ロンドンのカムデンタウンで路上生活をしているホームレスの老女。道に駐車した車で寝泊まりしていたが、退去命令を出されてしまい、車ごとアランの自宅駐車場に居座るようになる。ホームレスだが非常に気高い女性で、かなりの偏屈。
アラン・ベネット(アレックス・ジェニングス)
劇作家。自由な雰囲気のカムデンタウンに家を購入し、そこでミス・シェパードと出会う。軽い人助けのつもりが、15年も彼女と同じ敷地内で暮らすことになり、奇妙な親交を深めていく。

映画『ミス・シェパードをお手本に』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ミス・シェパードをお手本に』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ミス・シェパードをお手本に』のあらすじ【起】

1970年、ロンドンのカムデンタウン。ウェストエンドの劇作家をしているアラン・ベネットは、カムデンタウンに手頃な物件を見つけ、その家を購入する。

引越しの日、アランは“ミス・シェパード”と呼ばれているホームレスの老女に声をかけられる。彼女が寝泊まりしているボロボロのバンが、故障して動かなくなったらしい。彼女は“病気なんだ”とアランに泣きつき、車を押すよう命令する。

この町の人々はミス・シェパードを寛容に受け入れており、自宅前の路上に彼女がバンを駐車しても、無理やり追い払うようなことはしない。町の人々は彼女に声をかけ、食べ物を差し入れしたりもする。しかし、ミス・シェパードは非常にプライドが高く気難しい女性で、嫌いなものは受け取らないし、低姿勢で感謝したりもしない。それどころか、気にくわないことがあると、遠慮なく文句を言って、自分の主張を通す。アランは、そんな彼女と町の人々の関係を、興味深く眺める。

近所の女性の話によると、ミス・シェパードは元修道女で、戦争中には救急車の運転手をしていたらしい。しかし、彼女は本名や過去を語りたがらないので、誰も彼女について詳しいことは知らなかった。

ある日、トイレを我慢できなくなったミス・シェパードが、アランの自宅に駆け込んでくる。彼女は勝手にトイレを使い、さっさと帰っていく。アランは文句も言えず、念入りにトイレ掃除をするのだった。

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映画『ミス・シェパードをお手本に』のあらすじ【承】

それがきっかけとなり、ミス・シェパードは頻繁にトイレを借りにくるようになる。いつのまにか、アランは彼女の友達ということにされ、彼女の連絡先もアランの自宅になってしまう。アランは非常に迷惑だったが、作家として彼女に惹かれる部分もあり、なんとなく交流を続けていた。

そんなある日、アランはミス・シェパードがフランス語を話せることを知る。彼女は、“35年前にフランスへ留学し、音楽を学んだ”と言葉少なに語る。しかし詳しい話は聞かせてくれなかった。

ずっと路上駐車してきたミス・シェパードの車に、ついに行政から移動命令が出る。彼女は腹を立てていたが、行政の命令には従うしかない。彼女の存在を受け入れてきた町の人々も、自宅の敷地内に彼女の車を置くことはさすがに嫌がる。

ある晩、ミス・シェパードの車に近づく不審な男性を目撃したアランは、自宅の2階から声をかけ、その男を追い払う。その男は、彼女を脅して金を巻き上げているようだった。他にも彼女の車にイタズラをする若者が現れたりし、アランは彼女を放っておけなくなる。そして、数ヶ月のつもりで、彼女の車を自宅前の駐車スペースに置くことを許可する。

ミス・シェパードは、“他にもツテはある”と憎まれ口を叩きつつ、古いバンを処分して、寄付された新しいバンをアランの駐車場に停車させる。そして、機嫌よくそこに居座ってしまう。

ロンドンへやってきたアランの母親は、ミス・シェパードがこのまま息子の家に転がり込むのではないかと心配し、施設に入れるべきだと文句を言う。母親は、彼女の放つ悪臭も嫌がっていた。

安住の地を手に入れたミス・シェパードは、バンを黄色のペンキで塗りつぶし、お気に入りの装飾を施す。アランは呆れつつも、彼女の嬉しそうな笑顔を見ると、“出ていけ”とは言えない。

映画『ミス・シェパードをお手本に』のあらすじ【転】

同じ敷地内で暮らすようになり、アランは少しずつミス・シェパードのことがわかってくる。あの晩彼女を脅していた男は、彼女の過去の弱みを握っているらしく、ずっと嫌がらせを続けていた。そして彼女は、レコードをかけると決まって怒り出すのだった。

その理由を尋ねると、彼女は修道女の見習いだった頃の話をする。彼女は指導係のシスターにピアノを禁止されたらしい。その話をするとき、彼女はとても悲しそうだった。

月日は流れ、高齢になった母親は施設に入る。しかしミス・シェパードは、まだアランの駐車場に居座っており、どこからか三輪自動車まで手に入れてくる。アランは事故が心配で、彼女が三輪自動車を運転することに反対する。彼女はそれに反発し、アランは珍しく感情的になる。アランの中で、彼女と母親の姿が重なっていた。

ミス・シェパードは車を運転し、時々どこかへ行ってしまう。彼女は海辺の町へ行き、知り合いらしき男性の家を訪ねていた。しかし、その男性の家には入れてもらえない。

ミス・シェパードは車椅子を利用するようになっても、今の生活をやめようとしない。彼女は施設に入ることを極端に嫌がっていた。アランは彼女の意思を尊重し、汚物の後始末までしているというのに、社会福祉士から彼女の扱いについて注意を受ける。アランは非常に腹立たしかったが、社会福祉士はアランを彼女の介護者と認識していた。

ミス・シェパードが居着いて15年の歳月が流れ、ついに彼女が福祉施設に行くことを承諾する。彼女は救急車に乗る前、アランに近親者の名前が書かれたメモを渡す。そして、“戻ってくるからね”と告げ、施設へ運ばれていく。

アランは、そのメモを頼りに彼女の近親者の家を訪ねてみる。そこはあの海辺の町の家で、ミス・シェパードの弟夫婦が暮らしていた。弟は姉に幾らかの援助はしていたが、妻が偏屈な義理の姉を嫌っているので、家には入れないようにしていた。アランは弟から、ミス・シェパードの過去を聞かせてもらう。

映画『ミス・シェパードをお手本に』の結末・ラスト(ネタバレ)

ミス・シェパードは、音楽祭でも演奏したことのあるピアニストで、留学先のフランスでは、高名なピアニストに弟子入りして修行を積んでいた。しかし、修道院で“神への忠誠を誓うならピアノをやめろ”と言われ、それに反発したため、修道院を追い出されてしまう。周囲は彼女の頑固さや純粋さを理解できず、彼女を騙して精神病院に入れる。彼女はそこを逃げ出し、ホームレスになったのだった。

施設に行ったミス・シェパードは、お風呂で清潔にしてもらい、ピアノの前に座る。彼女は上品な音楽家に戻り、幸せそうにピアノを奏でる。

アランは施設へ面会に行くが、彼女は勝手に車へ戻っていた。精神病院で彼女を見たという女にしつこく声をかけられ、施設が嫌になったらしい。

花束を買ってきてくれたアランに、彼女は、なぜ自分が音楽を避けるようになったのかを話す。信心深い彼女は、ピアノを弾くのが祈るよりも楽だということに不安を感じ、その気持ちを司祭様に話す。司祭様に、“その弱さから悪魔が入り込む”と言われ、彼女は音楽全般を自ら禁じたのだった。そのことで、彼女はずっと苦しみ続けていた。

話し終えると、彼女は遠慮がちに“手を握って、きれいだから”とアランに頼む。アランはしばらく彼女の手を握ってやり、静かにバンの扉を閉める。そして翌朝、社会福祉士が冷たくなった彼女を発見する。アランは、自分が第一発見者でないことが残念だった。

ミス・シェパードの葬儀には、彼女を脅していた男も姿を見せる。男は元警察官で、“彼女は逃亡者だ”と話す。彼女が救急車の運転手をしていた時、停止していた車にバイクが猛スピードで突っ込んできて、運転手の若者が死んだ。彼女は当然無実なのだが、自分が若者を死なせたと思い込み、警察を呼ばずに現場を離れてしまう。それで彼女はお尋ね者となり、男はその件で彼女を脅していたのだ。

話を聞いたアランは、彼女の波乱万丈の人生に感服する。ミス・シェパードは、今頃自分の無実を知り、大笑いしながら天国へ召されているだろうと、アランは想像する。

その後アランは、ミス・シェパードの本を書き上げる。彼女が暮らした場所には、“ミス・シェパード居住の地”という記念のプレートが掲げられていた。

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