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映画『トーク・トゥ・ハー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『トーク・トゥ・ハー』の概要:看護師のベニグノは植物状態のダンサーを、ジャーナリストのマルコは昏睡状態の恋人を想い続けている。共通項を認める二人の間に、堅い友情が芽生える。スペインの巨匠ペドロ・アドモドバルが、一途な愛と孤独を鮮やかに描き出す。

映画『トーク・トゥ・ハー』の作品情報

トーク・トゥ・ハー

製作年:2002年
上映時間:113分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:ペドロ・アルモドバル
キャスト:ハビエル・カマラ、ダリオ・グランディネッティ、レオノール・ワトリング、ロサリオ・フローレス etc

映画『トーク・トゥ・ハー』の登場人物(キャスト)

ベニグノ・マルティン(ハビエル・カマラ)
有能な看護師。植物状態のアリシアを献身的に世話している。母の介護のため独学で看護を学んだ。女性経験が無い。
マルコ・ズルアガ(ダリオ・グランディネッティ)
ジャーナリスト。昏睡状態のリディアにずっと付き添っている。旅行関係の書籍も執筆している。感情が昂ると泣く癖がある。
アリシア(レオノール・ワトリング)
ベニグノが思いを寄せるダンサー。ベニグノの自宅の斜め向かいのバレエ教室に通っている。交通事故により植物状態になる。
リディア・ゴンザレス(ロサリオ・フローレス)
女闘牛士。マルコの恋人。試合中に牛に突かれて大怪我を負い昏睡状態になる。
エル・ニーニョ(アドルフォ・フェルナンデス)
人気の闘牛士。以前は恋人でもあったリディアとチームを組んでいた。
カタリナ・ビロヴァ(ジェラルディン・チャップリン)
アリシアのダンスの師匠。母親のいないアリシアの成長をずっと見守っている。
ロンセロ医師(エリオ・ペドリーガル)
アリシアの父親の精神科医。ベニグノが性的目的でアリシアを看護しているのではないかと疑う。
マティルデ(ロラ・ドゥエニャス)
ベニグノの同僚の看護師。ベニグノと共にアリシアの看護を担当する。

映画『トーク・トゥ・ハー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『トーク・トゥ・ハー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『トーク・トゥ・ハー』のあらすじ【起】

ある現代舞踊の公演を観ている看護師のベニグノは、隣席の男が感激して涙を流していることに気づく。隣の男はジャーナリストのマルコ。感情が昂ると泣く癖がある。

ベニグオは、入院中の植物状態のダンサー、アリシアを献身的に介護している。エステやマッサージの技術も持っているベニグオにより、アリシアは常に美しさを保っている。ベニグオは、何も答えないアリシアに向かって常に語りかけている。

マルコは、あるTV番組で知った女闘牛士リディアの記事を書くために、試合後のリディアに声をかける。マルコはリディアを車で自宅に送る道中、インタビューを開始する。始めは取材に好意的なリディアだったが、マルコが闘牛についてではなく、自分を絶望した女性として取材しようとしていると知り、腹を立ててインタビューを拒否する。

帰宅後、蛇に怯えたリディアは叫び声を上げながら自宅から飛び出し、マルコに助けを求める。マルコはリディアの自宅へ入り、蛇を退治する。マルコは、家に居たくないというリディアをホテルまで送り、マルコを信用したリディアは取材を受けることを承諾する。

6ヶ月後、リディアとマルコは恋人関係になっている。ある日、リディアはマルコに、闘牛試合後に伝えたいことがある、と告げる。その直後、リディアは試合中に全身を牛に突かれて大怪我を負い、昏睡状態に陥る。

3週間が経過しても、リディアの意識は戻らない。以前、公私ともにリディアのパートナーであったエル・ドラードが見舞いに訪れるが、マルコは追い返す。

リディアの主治医の部屋へ向かう際、マルコはアリシアの病室の前を通りがかる。扉の隙間から、マルコは生理現象で目を開けたリディアと偶然目が合い、急いで立ち去る。

マルコは主治医から、リディアはいつ回復するか全くわからないと告げられ消沈する。

マルコが再びアリシアの病室の前を通ると、ベニグオがアリシアの世話をしている。ベニグオは覗いているマルコを招き入れ、マルコが現代舞踊の公演を観て泣いていた男だと気付く。二人の交流が始まる。

アリシアの父ロンセロは、ベニグオが性的な目的でアリシアを介護しているのではないかと疑う。ベニグオは以前に患者としてロンセロの精神科クリニックを訪れており、二人には面識がある。

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映画『トーク・トゥ・ハー』のあらすじ【承】

ベニグノはアリシアの病室を訪れたマルコに、自分とアリシアとの出会いを話す。

4年前、ベニグノは自宅の向かいのバレエ教室に通うアリシアに、眺めるだけの恋をしていた。ある日、いつものように窓からをアリシアを見つめていたベニグノは、アリシアが帰り際に財布を落としたことに気がつき、財布を拾って彼女を追いかける。アリシアはベニグノに礼を言い、二人はアリシアの自宅前まで歩きながら会話する。ベニグノはアリシアの自宅がロンセロ精神科だと確認する。

数日間、アリシアはバレエ教室に来ていない。気になったベニグノは、患者を装いロンセロのクリニックに入る。性的嗜好を尋ねるロンセロに対し、ベニグノは自分はゲイだと適当に応える。

診察後、ベニグノはアリシアの私室を覗く。ベニグノがアリシアの髪留めを持ち出し急いで去ろうとするところへ、シャワー後で半裸のアリシアが現れる。ベニグノは驚くアリシアに謝り、クリニックを後にする。

数日後、アリシアは交通事故に遭い、ベニグノが勤める病院へ運び込まれる、植物状態となったアリシアの看護を、有能なベニグノと同僚のマティルダが担当することになる。

最愛の女性の世話ができることに充実感を覚えているベニグオとは反対に、マルコはリディアに対する無力感に苛まれている。ある日、リディアの病室を訪れたベニグノは、マルコにもっとリディアに語りかけるべきだとアドバイスする。ベニグノとマルコは一層親交を深める。

映画『トーク・トゥ・ハー』のあらすじ【転】

リディアが大怪我を負う日、以前の恋人の結婚式に参列していたマルコは、リディアが同じく式場に来ていることに気付く。リディアは、清らかな結婚式に感動して涙を流す。リディアは、ある重要なことを伝えるためにマルコを追ってきたのだという。その後の試合中にリディアは事故に遭い、リディアが伝えたかったことは何かわからないままであった。

ある日、マルコはリディアの見舞いに訪れたエル・ドラードから、リディアとエル・ドラードが交際を再開していたことを知らされる。リディアがマルコに伝えようとしていたのはこのことだった。

傷心のマルコはしばらく旅に出ることにする。マルコはベニグオに別れの挨拶をし、餞別に自著の旅行本を贈る。別れ際、ベニグノはアリシアと結婚したいという本心を打ち明けるが、マルコは常軌を逸していると諌める。

数日後、アリシアの生理が来ないことから妊娠が発覚し、レイプ容疑をかけられたベニグノは投獄される。

ヨルダンに滞在していたマルコは、新聞でリディアの死亡を知る。詳細を聞くために病院に電話したマルコは、ベニグノの同僚からベニグノの逮捕を知る。

急遽帰国して刑務所へ面会に訪れたマルコに、ベニグノはアリシアが現在どうしているか教えて欲しいと頼む。

マルコはベニグノの自宅を借りて滞在する。窓から向かいを覗くと、動けるようになったアリシアがバレエ教室に来ている。植物状態のまま流産したアリシアは、その後意識を取り戻し、杖をつきながら一人で歩けるようになっている。アリシアは師匠カタリナのもとでリハビリを受け始める。

マルコはベニグノの弁護士から、アリシアの回復をベニグノに伝えることを禁じられる。マルコはベニグノに面会するが、アリシアはまだ植物状態であると嘘をついてしまう。ベニグノはアリシアが生きていることに安堵する。

映画『トーク・トゥ・ハー』の結末・ラスト(ネタバレ)

翌朝、マルコの携帯にベニグノから録音メッセージが届く。ベニグノの自殺を示唆する言葉を聞いたマルコは、タクシーで急いで刑務所に向かう。

刑務所に着いたマルコは、自分に宛てたベニグオの遺書を受け取る。アリシアに二度と会えないことに絶望したマルコは、睡眠薬を大量摂取して自ら命を絶っていた。

マルコはベニグノの墓を参り、ベニグノがアリシアに語りかけていたように、ベニグノの墓に向かって自分の心情を全て吐露する。

ある夜、有名アーティストの公演を訪れたマルコは、カタリナとともに来場しているアリシアを見つける。公演の幕間に、マルコとアリシアは偶然言葉を交わす。マルコは、アリシアとは面識のないフリをしている。

アリシアとマルコが離れた後、マルコとベニグノの交友関係を知っているカタリナは、アリシアと何を話したかマルコに詰め寄る。マルコがベニグノの死去を伝えると、カタリナはこの件について改めて話をしようとマルコに提案する。

話をすることは簡単だと言うマルコに、カタリナは、この世に簡単なものなどない、という一言を残して座席へ戻っていく。

映画『トーク・トゥ・ハー』の感想・評価・レビュー

本作は、事故で昏睡状態になった2人の女性を愛する2人の男性の友情や、それぞれの愛に関する孤独や苦悩、希望を描いたラブロマンス映画。
ベニグノの余りにも献身的すぎる看護の理由は衝撃的だった。
しかし、アリシアを見守るマルコとベニグノの深い友情、究極の愛の切なさ、奇跡や希望などといったドラマのある物語となっている。
また、淡々と静かに深い感動を味わえ、心に染み入る作品でもある。
ペドロ・アルモドバル監督は『私が、生きる肌』のような変態的な作品のイメージが強かったが、本作はそのイメージを覆した。(女性 20代)

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