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映画『シド・アンド・ナンシー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『シド・アンド・ナンシー』の概要:伝説のパンクバンド「セックス・ピストルズ」のシド・ヴィシャスと恋人のナンシー・スパンゲンが過ごした愛と破滅の日々を描く。若かりし頃のゲイリー・オールドマンが、完璧な役作りで、シド・ヴィシャスというカリスマ的なパンクロッカーを演じ切っている。

映画『シド・アンド・ナンシー』の作品情報

シド・アンド・ナンシー

製作年:1986年
上映時間:113分
ジャンル:ラブストーリー、音楽、伝記
監督:アレックス・コックス
キャスト:ゲイリー・オールドマン、クロエ・ウェッブ、ドリュー・スコフィールド、トニー・ロンドン etc

映画『シド・アンド・ナンシー』の登場人物(キャスト)

シド・ヴィシャス(ゲイリー・オールドマン)
1970年代後半、イギリスを中心に活躍した伝説のパンクバンド「セックス・ピストルズ」のベーシスト。ルックスの良さと過激なパフォーマンスで注目を集め、退廃的な若者たちから熱狂的に支持された。違法薬物の過剰摂取により、自滅していく。
ナンシー・スパンゲン(クロエ・ウェッブ)
シドの恋人。アメリカ出身の不良娘で、シドと出会った時には、すでにヘロイン中毒になっていた。彼女の影響で、シドもヘロイン中毒となり、バンドのメンバーから見放されていく。感情の起伏が激しく暴力的。
ジョニー・ロットン(ドリュー・スコフィールド)
セックス・ピストルズのボーカリスト。シドとは学生時代からの親友であり、プライベートでも仲がいい。ジョニーの攻撃的なボーカルスタイルは、後世のバンドにも多大な影響を与えた。
スティーヴ・ジョーンズ(トニー・ロンドン)
セックス・ピストルズのギタリスト。パンクロッカーというより、ロック系の音楽全般を愛するタイプ。まともに演奏できないシドに、反感を持つようになる。
ポール・クック(ペリー・ベンソン)
セックス・ピストルズのドラムス。スティーヴと気が合い、ジョニーやシドとは対立していく。
マルコム・マクラレン(デイヴィッド・ヘイマン)
セックス・ピストルズのマネージャー。このバンドの仕掛け人であり、裏で彼らを操っていた人物。かなりのやり手で、彼らの売り方を常に計算していた。

映画『シド・アンド・ナンシー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『シド・アンド・ナンシー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『シド・アンド・ナンシー』のあらすじ【起】

1978年10月13日。ニューヨークのチェルシーホテル。人気パンクバンド「セックス・ピストルズ」の元ベーシストだったシド・ヴィシャスは、恋人のナンシー・スパンゲンを殺害した容疑で逮捕される。ナンシーは、腹部をナイフで刺され、バスルームで息絶えていた。シドは事情聴取を受けながら、ナンシーとの日々を思い出していく。

1977年のロンドン。シドとナンシーは、共通の友人であるSM嬢の家で初めて会った。シドは、昔からの友人のジョニー・ロットンと共に、セックス・ピストルズ(以下ピストルズ)というパンクバンドでライブ活動をしていた。アメリカから来たばかりのナンシーは、ピストルズのことを知らなかったが、その夜のギグに顔を出し、シドの過激なライブ・パフォーマンスを気に入る。

ナンシーは重度の薬物中毒者で、違法薬物の売人とも親しかった。馴染みの酒場でナンシーを見かけたシドは、彼女に薬物の調達を頼む。翌日、ナンシーはヘロインを調達してきて、シドにそれを注射してくれる。違法薬物の使用は初めてではなかったが、ヘロインの覚醒効果は強烈だった。すっかりハイになったシドは、ナンシーを相手に麻薬と性行為を繰り返す日々を送り、互いに離れられなくなっていく。

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映画『シド・アンド・ナンシー』のあらすじ【承】

ピストルズのファースト・アルバムを作成することになり、スタジオでの録音作業が始まる。しかし、ジョニーは右翼系の活動家に襲われて大怪我をしており、シドはヘロイン中毒で、曲を覚えられない状態が続いていた。ナンシーは片時もシドから離れず、ジョニーにまで偉そうな口をきく。シドと長い付き合いのジョニーは、彼をダメにしていくナンシーを、嫌うようになっていく。

エリザベス女王の在位25周年を祝う式典の日、ピストルズはテムズ川の船上でゲリラライブを決行する。ピストルズの過激な活動は、イギリス当局からも警戒されており、このライブに参加した多くの若者が逮捕される。

シドとナンシーの絆はますます強くなり、バンドのメンバーやスタッフから孤立していく。シドと結婚の約束をしたナンシーは、アメリカの母親に電話をかける。結婚祝いの金を送ってくれという娘の頼みを、母親は冷たく断る。アメリカでも素行の悪かったナンシーは、すでに家族からも見放されていた。怒り狂うナンシーを、シドは優しく抱きしめてやる。

ピストルズは人気バンドになっていたが、昔からのコアなファンは、彼らのパフォーマンスに飽き始める。その大きな原因は、ライブでまともな演奏ができないシドにあった。シドの身体は、流行性肝炎と薬物使用でボロボロになっており、ベースを弾けるような状態ではなかった。メンバーからも不満が噴出していたが、ナンシーと一緒にいる限り、シドの暴走は止められそうになかった。

ギターのスティーヴとドラムのポールは、シドを脱退させるよう、マネージャーのマルコムに訴える。しかし、マルコムは、このバンドのシンボル的な存在として、どうしてもシドを残したかった。そこで、シドとナンシーを引き離すためのアメリカツアーを計画する。

映画『シド・アンド・ナンシー』のあらすじ【転】

アメリカツアーへの同行を拒まれ、ナンシーは激怒する。しかし、「このままではシドを外すしかない」と言われ、泣く泣くアメリカ行きを諦める。ナンシーは、独りぼっちになることを極端に恐れ、シドに不安を訴え続ける。さすがのシドも、ナンシーのしつこさに嫌気がさし、追いすがる彼女を振り払って、ツアーへ出発する。

アメリカでもピストルズは評判になっており、ライブには多くの観客が詰めかける。しかし、シドは薬物の禁断症状に苦しみ、ナンシーに会いたくなる。精神的に不安定になったシドは、アメリカでも問題ばかり起こす。ピストルズは、アメリカのメディアに酷評され、ジョニーはツアー中にバンドを脱退してしまう。続いて、スティーヴとポールも脱退を表明し、ピストルズは事実上の解散へ追い込まれる。

ロンドンへ戻ったシドは、空港からまっすぐ病院に搬送される。レコード会社は、「彼は精神を病んでいる」と発表し、シドを病院に隔離する。しかし、ナンシーが病院に姿を現し、シドは彼女のもとへと戻っていく。そして、また2人の破滅的な日々が始まる。

レコード会社とマルコムの意向で、シドはソロ活動を開始する。ナンシーは乗り気だったが、シド自身はあまりやる気がなかった。シドはずっと薬物を使用しながら、やりたくもない仕事をこなす。しかし、まともなことはほとんどできず、周囲から見放されていく。

アメリカへ渡った2人は、ニューヨークのチェルシーホテルに滞在し、怠惰な日々を送る。ナンシーは祖父母の家を訪ね、シドのことを自慢するが、全く受け入れてもらえない。ショックを受けたナンシーは、退廃的な生活から抜け出すため、2人で麻薬クリニックへ通い始める。

ナンシーは、有名なライブハウスの支配人と交渉して、シドの出演契約を取ってくる。ナンシーは本気で立ち直ろうとしていたが、シドは再びヘロインに手を出し、彼女を失望させる。

映画『シド・アンド・ナンシー』の結末・ラスト(ネタバレ)

シド・ヴィシャスという名前は売れていたので、ライブハウスにはそれなりの数の客が集まるが、シドはまともに歌うことさえできない。再びジャンキーになってしまったシドは、アメリカの仲間からも見放され、自暴自棄になっていく。ナンシーも、この状況に絶望し、再び薬物にはまっていく。懐の乏しくなった2人は、タチの悪い売人から安物のヘロインを購入し、廃人同然になっていく。この頃には、性欲も湧かなくなっていた。

ナンシーのことをよく知る売人は、シドに彼女と別れることを勧める。ナンシーと一緒にいる限り、シドがますます転落していくことは、誰が見ても明らかだった。しかし、今のシドには、ナンシーと別れることなど考えられなかった。

ヘロインでおかしくなっていた2人は、タバコの不始末からボヤ騒ぎを起こし、ホテルの一室を焼いてしまう。消防隊が到着した時、2人はベッドの上で燃え盛る炎を見ていた。2人は、このまま死んでもいいと思っているようだった。

シドとナンシーは、薬物が切れると苛立ち、喧嘩を繰り返すようになる。ナンシーは「死にたい」と繰り返し、シドはそんな彼女に疲れていく。

このままではいけないと感じたシドは、イギリスへ帰ることを決意し、渡航手続きに向かおうとする。ナンシーは捨てられることを恐れ、シドにすがりつく。そのまま2人は揉み合いになり、シドは思わずナイフを手にする。すると、ナンシーが自らナイフに向かって飛び込んでくる。

ナンシーは腹部を負傷し、大量に出血するが、病院には行こうとしない。薬物のせいで、シドもまともな判断ができず、2人はそのままベッドで眠る。その日の深夜、気分が悪くなったナンシーはバスルームへ行き、そこで息絶える。

翌朝、2人の部屋を訪れた売人は、ナイフを持って呆然としているシドと、血まみれのナンシーを発見する。シドには、何が起きているのかわからないようだった。そのため、警察の事情聴取でも、何も話すことができない。

留置場に入ったシドは、薬物の禁断症状に苦しんだ末、レコード会社が払った保釈金で保釈される。シドはひとりで街をぶらつき、ナンシーの幻を見る。そして、シドとナンシーは、どこかへ去っていく。

それから約4ヶ月後の1979年2月2日。シドは薬物の過剰摂取により死亡する。まだ21歳の若さだった。

映画『シド・アンド・ナンシー』の感想・評価・レビュー

バンド名は聞いたことがある程度で鑑賞しました。熱狂的な人気を得て売れに売れ、廃れ破滅に向かい、21歳で亡くなるという太く短い人生。大学生の自分と同じ長さの人生なのに、これ程差がつくのかと思えるほどの波乱万丈っぷりです。才能に若さを掛け合わせた破滅的な生き方は、決して真似しようとは思えませんが痺れました。内容の本筋とはずれますが、脈絡のない会話や奇行がこの物語には多く、薬物は危険性が身に染みた作品にもなりました。(男性 20代)


矢沢あいの漫画『NANA』がど世代だった私にとってシド・ヴィシャスはセックス・ピストルズよりもレンなんです。レンがシドに憧れて身に着けていた南京錠のネックレス。そこからシド・ヴィシャスを知った人も多いでしょう。私もその1人でした。
そんなセックス・ピストルズを知らない私がこの作品を見た理由、それはシドを演じていたのがゲイリー・オールドマンだったから。たったそれだけですが、シドが乗り移ったかのように身体を張って演じていたゲイリー・オールドマンを見ると、間違いなく見てよかったと思うはずです。(女性 30代)

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