映画『巴里のアメリカ人』の概要:「巴里のアメリカ人」(原題: An American in Paris)は、1951年のアメリカ映画。監督は「若草の頃」がデビュー作となったヴィンセント・ミネリ。主演は「踊る大紐育」、本作の翌年に大ヒットする「雨に唄えば」のジーン・ケリー。ヒロイン役に本作が映画デビューとなったレスリー・キャロン。
映画『巴里のアメリカ人』 作品情報
- 製作年:1951年
- 上映時間:113分
- ジャンル:ミュージカル、ラブストーリー
- 監督:ヴィンセント・ミネリ
- キャスト:ジーン・ケリー、レスリー・キャロン、オスカー・レヴァント、ニナ・フォック etc…
映画『巴里のアメリカ人』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★★
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★★
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★★
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『巴里のアメリカ人』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『巴里のアメリカ人』のあらすじを紹介します。
パリに住むアメリカ人ジェリー(ジーン・ケリー)は、画家を目指している青年である。パリに留まり絵描きになることが夢だが、絵の勉強は一向に進まない。アメリカ人のピアニスト、アダム(オスカー・レヴァント)やフランス人の歌手アンリ(ジョルジュ・ゲタリ)などの友達はたくさんできた。ジェリーの絵はパリジャンに全く受け入れられなかったが、モンマルトルで開いた個展にアメリカの金満家のミロ(ニナ・フォック)が訪れ、彼の才能を認め保証人になってくれたが、どうやらミロは絵よりもジェリーに興味がある様子だった。ミロと一緒にキャバレーにいったジェリーは、チャーミングで清楚なパリ娘のリズ(レスリー・キャロン)をに一目惚れし、強引に彼女の電話番号を聞き出した。
翌日からジェリーとリズはデートを重ね、互いに愛し合う仲となった。だがリズはジェリーの友人でもある歌手のアンリと内々に婚約していることを隠していた。リズは戦争中に両親を失い、献身的に面倒を見てくれたアンリに深く感謝し、愛情には結びつかなかったものの、受けた気持ちに恩を感じて婚約したのだった。
やがてアンリはアメリカへ演奏旅行に出発することが決定し、彼はリズに結婚して一緒にアメリカへ行こうと申し出た。複雑な心境の中でリズはこれを承諾し、ジェリーにすべてを打ち明けた。ジェリーが落胆したのは言うまでもなかったが、ミロだけはそのことを一人喜んだ。そしてミロを連れて美術学生の舞踏会に出かけたジェリーは、偶然リズとアンリに出会う。人影ないバルコニーで、ジェリーとリズは最後の別れを惜しむように見つめ合った。アンリは偶然に二人の話を立聞きし二人が愛し合っていることを知った。彼は自ら身を引きジェリーとリズは晴れて結ばれる。
映画『巴里のアメリカ人』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『巴里のアメリカ人』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
ジーン・ケリー絶頂期の名作
この時代のミュージカルには必ずと言っていいほど名脇役がいる。本作ではオスカー・レヴァント扮するアダムなのだが、彼はジーン・ケリーの引き立て役という感じであまり出番もないのだが、指揮者やピアノ、ドラムなど一人で何役もこなしている。声援を送る観客までこなし飄々とした風貌でジーン・ケリーを輝かせているバイプレーヤーとして好感が持てる。そして主演のジーン・ケリーは狭いセットやピアノの上を、ところ構わず全てダンスフロアに変えてしまう驚異的なパフォーマンスを見せる。そして圧巻のクライマックスでは18分にも及ぶガーシュウィンの交響詩、「パリのアメリカ人」をフルに踊り切るスーパーマンぶりを発揮する。フランスを代表する画家である、デュフィ、ユトリロ、ルソー、ゴッホ、ロートレックなどのイメージが表現された大がかりなセットを背景に、繰り広げられる優雅なダンスと芸術のコラボレーションは、パリに対するリスペクトも込められており、背筋がゾクゾクするような演出効果である。
役者は肉体で語る
ガーシュウィンのリズミカルな楽曲がストーリーと絶妙のバランスで展開され、ジーン・ケリーは水を得た魚のように力強くシャープなダンスでキレまくる。ミュージカルというものは時としてストーリーなどどうでもよくなってしまう場合があるが、ジーン・ケリーのミュージカルはその典型なのかも知れない。つまり喜びも悲しみも殆どのポイントがダンスと歌で表現されているのだから、英語が理解出来なくても充分に楽しめる作りになっているのである。どうせ恋愛物でしょ。という風に解釈すれば表情から喜びも悲しみも読み取れるわけであり、サイレント映画的なダンスシーンが展開されるのだから、音楽さえあればセリフはそう重要な役割を担っていない。初期のチャップリンの喜劇を観るような感覚で楽しむというのが正しいのではないだろうか。チャップリンの凄さはその動きと表情であるが、同じようにジーン・ケリーも肉体で語ることの出来る数少ない役者である。
1秒も目が離せなかった!圧倒的な表現力と演出に成功したミュージカル映画として、絶対に忘れることができない作品になった。やっぱオールドハリウッドは”マーヴェラス”だ。この世の理屈全部無視して無条件に笑えてハッピーなストーリーは今ではメジャーな作品だとあまり描かれないから、この時代の映画は新鮮だ。
「夜は若い」という言葉が印象に残った。他にもキャラクターたちが発するワードの中にいくつか自分の心に響くものがあり、また見返したいと思った。(女性 20代)
映画『巴里のアメリカ人』 まとめ
とにかく夢に溢れた大人の映画である。ダンスというものを何故映画の表現に使うのかという疑問を感じる人も、ジーン・ケリーの映画を観ればそんな理屈は必要ないのだということが理解出来るだろう。絵画を鑑賞するのと同じである。これほどまでに楽しく、美しく、驚きに満ちているパフォーマンスを白けた目で見るような人がいれば、そんな人は映画など観ない方が良いのである。
みんなの感想・レビュー
素晴らしい。
79歳になる人生の中で4、5回は見たと思いますが この度BS放送で感動しました。
有り難う御座います。