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映画『ヤクザ戦争 日本の首領』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』の概要:飯干晃一の『日本の首領』を原作とした壮大なヤクザ映画。主人公のモデルは山口組3代目組長の田岡一雄であるが、物語は多くのフィクションが盛り込まれた内容になっており、ヒューマンドラマとして楽しめる。佐分利信、鶴田浩二、菅原文太といった豪華キャストに相応しい、スケールの大きな作品に仕上がっている。

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』の作品情報

ヤクザ戦争 日本の首領

製作年:1977年
上映時間:132分
ジャンル:ヒューマンドラマ、フィルムノワール
監督:中島貞夫
キャスト:鶴田浩二、佐分利信、松方弘樹、梅宮辰夫 etc

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』の登場人物(キャスト)

佐倉一誠(佐分利信)
大阪を拠点とする関西最大の暴力団組織「中島組」の組長。中島組系組員1万2千人の頂点に立つ男で、いずれは日本の首領になりたいという野望を持つ。家族は妻と娘が2人(長女・登志子、次女・真樹子)いるが、いずれも養女。
辰巳周平(鶴田浩二)
中島組若頭。佐倉を日本一の親分にするのが長年の悲願であり、中島組を大きくしてきた1番の功労者。武闘派として知られる中島組系辰巳組の組長でもあり、昔気質の任侠道を貫く人物。
松枝四郎(松方弘樹)
辰巳組の若衆で、佐倉の秘書兼ボディガードに抜擢される。東大出のインテリで、中島組の資金稼ぎのために発足した「浪速政治経済研究所」の責任者を任される。
迫田常吉(千葉真一)
中島組系迫田組組長で、中島組の幹部。抗争の時は常に先頭を切って突進する切り込み隊長。体を張って組に尽くすので、辰巳に深く信頼されている。
片岡誠治(成田三樹夫)
中島組の幹部。社交性があるので、組と企業の仲介役などをしている。
一宮恭夫(高橋悦史)
佐倉の長女である登志子と結婚し、佐倉ファミリーの一員になる。大学病院の勤務医だったが、佐倉に病院を建ててもらい、一宮病院の院長になる。
島原嘉兵衛(西村昇)
総合企業グループ「アベ紡績」の専務。先代からの大番頭であり、アベ紡績を大きくするため、中島組を利用する。抜け目のない人物。
大山喜久夫(内田朝雄)
政財界に顔のきく右翼の大物。ヤクザではないが、絶大な権力と資金力があり、日本を影で操っている人物。
岩見栄三(菅原文太)
関東で幅を利かせる暴力団組織「錦城会」の会長。中島組の関東進出を阻み、武闘派の辰巳と対立を深めていく。辰巳よりも賢く立ち回る経済ヤクザタイプ。
小野伴水(神田隆)
次期総理候補の政治家。現在は与党副総裁。佐倉とは同郷で、深い繋がりがある。佐倉から多額の賄賂を受け取り、警察に圧力をかけている。
田口彰治(金子信雄)
アベ紡績の不正を暴こうとしている衆議院議員。アベ紡績を恐喝したため、中島組の制裁を受ける。

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』のあらすじ【起】

昭和42年、春。関西を中心に1万2千人の組員を抱える「中島組」の本部事務所を、総合企業グループ「アベ紡績」の専務、島原が訪ねてくる。島原は、アベ紡績の社長がヤクザの美人局に引っかかって恐喝されているので、その解決を組長の佐倉に依頼する。佐倉は、島原が持参した500万円の謝礼は受け取らずに、この問題の解決を約束する。

社長を恐喝しているのが500人ほどの構成員を持つ共和会の幹部だとわかり、中島組若頭の辰巳は、中島組幹部の中で最も戦闘的な迫田にこの問題を一任する。迫田の命令で迫田組の若い衆が共和会の幹部を襲撃し、返り討ちに遭って射殺される。迫田は若い衆を殺された報復として、共和会の会長と幹部をまとめて射殺する。

アベ紡績の社長は、この荒っぽいやり方に怒りを感じるが、島原は中島組の行動力を高く評価し、これからも彼らの力を利用するべきだと考える。島原は佐倉に、アベ紡績と付き合いのある約100社と中島組で親睦会を作り、会費という名目で月々10万円程度の金を徴収してはどうかと提案する。これが実現すれば、中島組は年間1億円以上の資金を手にすることができる。

組の幹部が集まる幹部会で、経済界とのパイプ役をしている片岡は、「浪速政治経済研究所」を発足し、辰巳組若衆の松枝を研究所の責任者にすると発表する。松枝は東大出のインテリで、同時に佐倉の秘書も務めることになる。辰巳は不満そうな他の幹部たちを黙らせ、「戦争はこれからや」と発破をかける。「佐倉を日本一の親分にする」というのが辰巳の口癖であり、経済界への進出は、中島組が天下を統一するための大きな第一歩だった。

誰もが恐れるヤクザの大親分の佐倉も、家庭では2人の娘を愛する優しい父親だ。自分のことが障害になって、長女の登志子と医者の一宮の結婚話が進んでいないと知った佐倉は、松枝を伴って一宮が勤務する大学病院を訪ねる。親に反対されて結婚しても、娘は幸せになれないのではないかと心配する佐倉に対し、一宮は「必ず登志子さんを幸せにします」と言い切る。

一宮は信じられると判断した佐倉は、島原に登志子の仮親になってもらい、アベ紡績の社長夫妻に仲人を依頼する。登志子は戦争の焼け跡で佐倉夫婦が拾った孤児で、次女の真樹子も流れ者が連れてきた捨て子だったが、佐倉は2人を養女にして大切に育て、2人のために実子を作らなかった。その話を聞いた社長は佐倉を見直し、登志子の仲人を引き受ける。

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映画『ヤクザ戦争 日本の首領』のあらすじ【承】

昭和42年、秋。島原は、アベ紡績が吸収合併を条件に再建に着手した建設会社の社長を連れて、中島組本部事務所を訪れる。この建設会社は、3年前に岐阜の三浦商事から1千万円の借金をしたのだが、三浦商事の正体はヤクザの三浦組で、今年になって3億円の手形を要求されて困っていた。アベ紡績では、手形の買い取り資金として1億円を用意しており、中島組は3億円の手形の回収を引き受ける。

まずは片岡が元金の1千万円で手形を引き取りたいと三浦に申し出るが、当然ながら交渉は決裂する。

登志子の結婚式当日。佐倉の関係で、会場のホテルには右翼の親玉の大山喜久夫を初めとする政財界の大物が続々と駆けつけ、結婚式は盛大なものになる。

同じ頃、岐阜では中島組系宮之浦組の鉄砲玉が三浦組の賭場で発砲し、三浦組の組員に殺害される。すでに岐阜入りしていた迫田は、辰巳に戦闘開始の許可を得て、片岡と共に三浦の自宅に乗り込む。妻を殺されそうになった三浦は、手形のある名古屋銀行の貸金庫へ2人を案内するが、警備員に裏口から逃してもらってピンチを脱する。

三浦は錦城会の熱海支部長を頼り、妻と共に熱海のホテルへ逃亡する。錦城会は中島組でも簡単には手出しできない関東のヤクザ組織であり、三浦もこれで大丈夫だと安心する。しかし、先に部屋へ入っていた妻が首を切断された状態で殺害されており、三浦は正気を失う。その後、三浦組を引き継いだ2代目は、3億円の手形を1千万円で中島組に売った。

昭和43年、この事件を皮切りに、中島組は近畿一円から東に向かって凄まじい勢いで勢力を伸ばしていく。常に斬り込み隊の先頭に立ったのは、迫田とその一派だった。しかし、中部から関東にかけては錦城会の抵抗が極めて激しく、中島組は日本海に沿って勢力を拡張。その結果、中島組と錦城会は東日本を縦に二分した形で対立を深めていく。

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』のあらすじ【転】

昭和44年、早春。佐倉は懇意にしている次期総理大臣候補の小野と故郷の越前高田を訪れ、陣中見舞として多額の賄賂を渡す。小野は佐倉から金を受け取る代わりに、警察が中島組を取り締まらないよう圧力をかけていた。しかし、警察は中島組への警戒を強めており、小野は注意するよう佐倉に忠告しておく。越前高田の料亭では、故郷の英雄の小野と佐倉を迎える盛大な歓迎会が開かれた。中島組は、北陸地方一帯を制圧しつつあった。

登志子と結婚したことで、一宮が大学病院で微妙な立場に立たされていると知った佐倉は、「一宮病院」を建てることにする。一宮は、自分の病院を持てることを喜んでくれた。

一方、素行の悪い次女の真樹子は、佐倉の運転手をしていた辰巳組の若い衆を自ら誘惑し、肉体関係を持つ。2人の関係を知った松枝は、その若い衆を密かに始末する。若い衆が姿を消してから、真樹子はほとんど家に帰らなくなり、両親に心配をかけていた。

中島組と手を組んでから、アベ紡績は順調に業績を伸ばし、念願の中央進出を果たして一流企業の仲間入りをする。アベ紡績東京本社発足祝賀パーティーに出席した佐倉は、大山から錦城会の岩見を紹介される。

パーティー後、大山は佐倉と岩見を食事に誘い、来年の安保改正に備えて政治団体を作りたいので、協力して欲しいと2人に頼む。経済ヤクザタイプの岩見は、大山と手を組むことに異存はなかったが、佐倉は「1万人の組員に飯を食わせるだけで精一杯ですから」と言って、大山の申し出を断る。その場に同席した辰巳は、極道の意地を張り通した親分の姿に感動する。

その夜、岩見は辰巳を赤坂の料亭に呼び出し、衆議院議員の田口を紹介する。田口は、サンゼン石油が横浜に石油化学コンビナートを建設する件で、アベ紡績が不正を働いて土地の買収や漁民との交渉を進め、工事関連の仕事を独占しようとしているという情報をつかんでいた。田口はそれをネタに金儲けしようと考えており、辰巳にアベ紡績を裏切って自分たちと手を組まないかと打診する。辰巳はその申し出をきっぱり断るが、アベ紡績はすでに錦城会へ寝返っているらしい。岩見も、アベ紡績から正式に依頼があったと言っており、辰巳は島原の裏切りを疑う。それでも辰巳は田口の話には乗らなかった。

昭和45年、冬。サンゼン石油とアベ紡績は、不正をバラされたくなければ5億円よこせと田口に脅され、中島組を頼ってくる。辰巳は田口を拉致して半殺しの目に遭わせ、2度と人様に金品を強要しないという書類にサインさせる。その見返りとして、中島組は横浜のコンビナートの土砂運搬を全て任せてもらい、大きな資金源を確保する。

映画『ヤクザ戦争 日本の首領』の結末・ラスト(ネタバレ)

これに反発した錦城会は、横浜に進出した中島組系の運送会社を大型トラックで襲撃し、工事の邪魔をする。錦城会の圧力に恐れをなしたアベ紡績の島原は、莫大な金を用意して、土砂運搬の件を白紙に戻して欲しいと中島組に頭を下げる。東のことは東に任せないと、これからも揉め事が起こるというのが、アベ紡績側の言い分だった。しかし、辰巳は納得せず、錦城会との全面戦争に向けて動き始める。

中島組は迫田を切り込み隊長にして、200人以上の組員を横浜に送り込む。岩見は徹底抗戦の構えを見せ、警察も中島組の動きに警戒を強める。そんな中、真樹子がマリファナの使用容疑で警察に捕まる。今回は起訴されずに済んだが、マスコミは佐倉家を「恐るべき暴力ファミリー」と書き立て、真樹子は再び姿を消してしまう。

頼みの綱だった小野が脳溢血で倒れ、佐倉は警察の逮捕を逃れるため、一宮病院へ緊急入院する。組長代行となった辰巳は、佐倉から「無理をするな」と忠告されるが、強気の姿勢を崩さない。

岩見はプロの殺し屋を雇い、迫田の舎弟を射殺する。1番可愛がってきた舎弟を殺され、迫田は泣き崩れていた。相次ぐ抗争事件に危機感を抱いた警察は、横浜にいる中島組の組員に時間制限付きの撤退命令を出す。迫田から連絡を受けた辰巳は、大阪へ戻ってくるよう命じる。しかし、辰巳は佐倉の代わりに小野の葬儀へ出席するため、翌日には東京へ行くことになっていた。そのため、迫田は辰巳のボディガードとして東京に残る。

小野の葬儀後、辰巳は岩見の雇った殺し屋に銃撃される。しかし、迫田がいち早く気づいたため、辰巳は無事だった。ところが、また別の若い衆が至近距離から発砲してきて、辰巳はケガを負う。若い衆はその場で迫田に射殺され、殺し屋は警察に逮捕された。

岩見は辰巳銃撃事件への関与を否定していたが、逮捕された殺し屋は錦城会の幹部から金を渡されたと話していた。迫田は堂々と岩見の前に姿を現し、岩見の胸を撃つ。しかし、岩見は防弾チョッキを着用していて無事だった。岩見の部下に取り押さえられた迫田は銃を乱射し、流れ弾に当たった一般人の女性が命を落とす。

この事件を受け、佐倉は迫田を中島組から破門する。辰巳は最後まで反対したが、佐倉は組のイメージがこれ以上悪くなることを恐れ、迫田の破門を強行する。中島組のために体を張ってきた迫田の破門は、迫田本人だけでなく、辰巳や他の幹部にもショックを与える。

警察はこの機会に中島組を叩き潰そうと考え、こじつけの微罪で松枝や片岡といった幹部連中を逮捕し、厳しい取り調べを開始する。辰巳は保険金詐欺の容疑で逮捕され、辰巳組の解散声明を出したら、佐倉の脱税容疑は見逃してやるという司法取引を持ちかけられる。警察は、辰巳組を解散させることが佐倉にとって最大のダメージになると考えていた。

辰巳は心臓の持病が悪化し、心身共にギリギリの状態で、警察の取り調べに耐えていた。そこへ、留置所で迫田が自殺したというニュースが飛び込んでくる。迫田の自殺に衝撃を受けた中島組の主要幹部たちは、次々と組を解散する。共に戦ってきた迫田の死は、辰巳に組の解散を決意させる。

釈放された辰巳は、組を解散したいと佐倉に申し出る。佐倉は激怒して辰巳を殴り、自分の分身とも言える辰巳が組を解散することは、自分の敗北を意味するのだと力説する。

辰巳は極度の疲労で心臓発作を起こし、そのまま一宮病院に入院する。佐倉には止められたが、辰巳は部下を通して、解散声明を出すことを警察に伝える。辰巳は万が一のことを考え、直筆の解散声明も書き始めるが、再び心臓発作を起こしてしまう。辰巳の妻に呼ばれた一宮は、苦しむ辰巳に大量のモルヒネを投与する。致死量のモルヒネを投与された辰巳は、そのまま息を引きとる。松枝は一宮が意図的に辰巳を殺害したことを見抜き、黙って書きかけの解散声明を処分する。この裏工作により、辰巳組の解散は実現せず、佐倉のメンツは保たれた。

辰巳の死を知らされた佐倉は、一宮に死因を尋ねる。一宮はその質問には答えず、「お父さん、私は佐倉ファミリーの一員ですよ」と語る。全てを悟った佐倉は、一宮に「よくやってくれた」と声をかけるのだった。

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