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映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』のあらすじ・感想・評判・口コミ(ネタバレなし)

全世界で100万人以上の観客を震え上がらせた同名舞台劇を映像化した英国ホラー映画。どうしても解明できない3つの怪奇現象を検証し始めたオカルト否定派の心理学者が、体験者の話を聞くうちに、恐怖のどん底へ引きずり込まれていく。

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の作品情報

ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談

タイトル
ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談
原題
Ghost Stories
製作年
2017年
日本公開日
2018年7月21日(土)
上映時間
98分
ジャンル
ホラー
監督
ジョレミー・ダイソン
アンディ・ナイマン
脚本
ジョレミー・ダイソン
アンディ・ナイマン
製作
クレア・ジョーンズ
ロビン・グッチ
製作総指揮
シャーロット・ウォールズ
ギデオン・ライオンズ
グレアム・ベッグ
ヒューゴ・ヘッペル
ジギー・カマサ
ウィル・クラーク
アンディ・メイソン
マイク・ルナゴール
ピーター・バルム
バリー・ライアン
ナイアル・シャンマ
ジョレミー・ダイソン
アンディ・ナイマン
キャスト
マーティン・フリーマン
アンディ・ナイマン
ポール・ホワイトハウス
アレックス・ロウザー
製作国
イギリス
配給
トランスフォーマー

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の作品概要

2010年にイギリスで初上演され、その後、世界各国で100万人以上の観客を動員した話題の英国ホラー舞台劇がついに映画化された。監督・脚本は原作の同名舞台劇を生み出したジェレミー・ダイソンとアンディ・ナイマン。キャストにはイギリスの大人気テレビシリーズ『SHERLOCK シャーロック』のジョン・ワトソン役で人気急上昇中のマーティン・フリーマンや『イミテーション・ゲーム エニグマと天才数学者の秘密』(14)で主人公の少年時代を演じて注目を集めたアレックス・ロウザーが起用されている。

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の予告動画

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の登場人物(キャスト)

マイク・プリドル(マーティン・フリーマン)
貿易で財を成した地方の名士。もうすぐ第一子が生まれる予定。ある雪の日、自宅の豪邸で恐怖の体験をする。
フィリップ・グッドマン教授(アンディ・ナイマン)
オカルト否定派の心理学者。尊敬する博士から、どうしても解明できない3つの怪奇現象のトリックを暴いて欲しいと依頼され、その調査を始める。
トニー・マシューズ(ポール・ホワイトハウス)
精神病院だった倉庫の夜間警備員。最後の出勤日の夜、職場の倉庫で恐怖を味わう。
サイモン・リフキンド(アレックス・ロウザー)
真夜中の森で怪奇現象に遭遇した青年。家庭環境に問題を抱えている。

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』のあらすじ(ネタバレなし)

「どんな超常現象にもトリックがあり、自分はそれを説明できる」という持論を持つオカルト否定派のグッドマン教授は、偽物の超能力者や霊能力者と対峙し、彼らの嘘を暴いてきた。ある日、グッドマン教授は、尊敬するキャメロン博士から3つの怪奇現象の調査を依頼される。その3つの怪奇現象は、ベテランのキャメロン博士でもどうしてもトリックを見破ることができないのだという。グッドマン教授はその依頼を受けることにして、3つの怪奇現象の調査を開始する。

グッドマン教授は旅に出て、その怪奇現象を体験した3人の男性から話を聞く。精神病院だった倉庫で夜間警備員をしていた初老の男性。真夜中に1人で森へ行き、途方もない恐怖体験をした家庭環境に問題のある青年。そして、雪の日に自宅の豪邸で信じられない超常現象に遭遇した身重の妻を持つ男性。彼らの語る怪談は背筋の凍りつくような恐怖に満ちており、グッドマン教授もその恐怖を体験することになる。

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映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』のネタバレあらすじ結末と感想
映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』のネタバレあらすじと感想。ストーリーを結末まで起承転結で分かりやすく簡単に解説しています。映画ライターや読者による映画感想も数多く掲載。

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の感想・評価

心霊検証ものは日本人に馴染みやすい

本作はオカルト否定派のグッドマン教授が、どうしてもトリックが解明できない3つの怪談の謎に挑んでいくという物語。恐らく、グッドマン教授が3人の体験者から話を聞くという形で、それぞれの怪談が回想シーンの形式で再現されていくのだろう。その恐怖体験はグッドマン教授にも何らかの影響を与え、観客も教授と一緒に恐怖の世界へ引きずり込まれていく…という展開が予想される。これは日本人には馴染みのある展開だ。

最近はあまり見かけないが、日本では心霊検証番組が人気を博していた時代がある。1970年前後から日本テレビで放送されていた『あなたの知らない世界』では、視聴者の恐怖体験を再現フイルムにして放送し、心霊研究家の新倉イワオが「これはこの湖で亡くなった女性の霊ですね、まだ成仏できていないんです」などと解説していた。これを夏休みの昼食時に見るのが、当時の子供たちの楽しみだったのだ。1980年代に入ってからは、霊能者の宜保愛子が全国各地の心霊スポットを訪ね、暗い建物の一角を指差しながら「ほら、あそこにいらっしゃいます、わかります?」などと言って、視聴者の恐怖心を煽っていた。オカルト否定派の大槻教授は宜保愛子の霊能力のトリックを暴こうと必死になっていたが、視聴者はそれも含めて楽しんでいた。つまり、日本人は本作のような心霊検証ものが大好物なのだ。

私たちは「多分、いる」と思っている

日本人は世界でも屈指のオカルト(怪談)好きな民族だ。それは、オカルト的なものは実在すると思っているからではないだろうか。日本では、夏になると怪談話やお化け屋敷で涼むのが風物詩のようになっているし、『四谷怪談』などの有名な怪談は何度となく舞台化や映画化されている。『四谷怪談』を迂闊に上演すると、お岩さんの祟りがあると言われており、今でも役者やスタッフは必ずお岩さんのお墓参りをして、彼女の霊を鎮めておくらしい。また、建物を新築する前には地鎮祭をして、土地の神様や地縛霊に「お騒がせしてすいません、どうかお許しください」と挨拶しておく。これは日本人が「幽霊や祟りや呪いのようなものはやっぱりある」と心のどこかで信じているからこその習慣だろう。

本作のキャッチコピーは「いるのか?いないのか?」になっているが、すでに多くの日本人は「多分、いる」と思っている。もちろん、何がいるのかというと幽霊、心霊の類。本作は「とにかく怖い」ということなので、「多分、いる」と思っている人にとっては耐えがたいほどの怖さになっているかもしれない。想像しただけでゾクゾクしてくるではないか。

ホラー映画マニアの監督と注目のキャスト

本作の監督・脚本はアンディ・ナイマンとジェレミー・ダイソン。彼らはホラー映画マニアであることを公言し、実際に原作となった舞台劇を大ヒットさせている。ホラー映画というのは、話の怖さもさることながら、その恐怖をどう表現するかが最も重要なポイントだ。例えば女の子の幽霊が出てくるシーンがあったとして、その子がどんな風に登場すれば1番怖いかを考えなければならない。本作の監督は、映画だからこそ可能な表現方法を駆使して、最高の恐怖を演出しているらしいので、その点はおおいに期待したい。

さらに本作で注目を集めているのが実力派のキャスト。恐怖体験をした地方の名士を演じるのは、どんなジャンルでも安定した演技を見せてくれるマーティン・フリーマン。最近では、テレビシリーズ『SHERLOCK シャーロック』の印象が強いが、『ラブ・アクチュアリー』(03)や『ホビット 思いがけない冒険』(13)での演技も高く評価されている。さらに、本作ではアレックス・ロウザーの不気味な存在感にも注目したい。彼は闇夜の森で何かを見てしまった神経質そうな青年を演じているのだが、ホラー映画向きの不安定な魅力がある。これから伸びそうな若手俳優だ。

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の公開前に見ておきたい映画

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の公開前に見ておきたい映画をピックアップして解説しています。映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』をより楽しむために、事前に見ておくことをおすすめします。

ローズマリーの赤ちゃん

本作でマーティン・フリーマンが演じる地方の名士の怪談では「妻が出産を控えている」ということが重要なキーワードになる模様。公式ホームページにある短いストーリー紹介の中でも、わざわざそのことが明記されており、公開された画像の中には意味深なベビーベッドの写真がある。出産を控えた女性が主人公のホラー映画と言えば、ロマン・ポランスキー監督の『ローズマリーの赤ちゃん』(68)だろう。

夫とニューヨークの高級アパートメントに引っ越してきた妊婦のローズマリーは、悪魔崇拝の隣人たちに振り回されるうち、自分は悪魔の子を身ごもったのではないかと疑い始める。ヒロインは妊娠ノイローゼなのだろうと思わせておいて、劇的なクライマックスで観客を恐怖のどん底に突き落とすというサイコホラー映画の名作だ。しかも、この作品には恐ろしい後日談がある。

『ローズマリーの赤ちゃん』が公開された翌年、ポランスキー監督の屋敷にチャールズ・マンソンを教祖とするカルト集団が押し入り、現場にいた5人を惨殺するという凄惨な事件が起こる。ポランスキー監督はたまたま不在だったが、妊娠8ヶ月だった妻のテートは全身16カ所を刺され、お腹の中の赤ちゃんと一緒に殺害されてしまった。チャールズ・マンソンのカルト集団は翌日にも別の屋敷に押し入り、主人夫婦を惨殺している。そして、どういう偶然なのか、その夫婦の妻の名前がローズマリー。背筋の凍りつくような話である。

詳細 ローズマリーの赤ちゃん

シャイニング

名士の怪談の中には、もうひとつ気になるキーワードがある。彼が恐怖の体験をしたのが「雪に閉ざされた郊外の豪邸」だったということ。ホラー映画好きの方ならば、すぐにスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』(80)を思い出すのではないだろうか。

ジャック・ニコルソンの演じる小説家志望のジャックは、冬季休業期間限定の管理人に雇われ、妻と幼い息子と共に山奥のホテルで暮らし始める。そこは、以前の管理人が孤独に耐えきれずに発狂し、妻と幼い2人の娘を斧で惨殺して切り刻んだという事件の起きたホテルだった。自分は大丈夫だと豪語していたジャックだったが、ホテルが完全に雪に閉ざされた頃から、彼の様子がおかしくなっていく。

破壊したドアの隙間から、狂気のジャック・ニコルソンが顔を覗かせているシーンはあまりにも有名(ジャケット写真にもなっている)だ。水色のワンピースを着た双子の少女が手をつないで廊下に立っているだけで不気味なのは、やはりキューブリック監督の演出のうまさだろう。それでもこの作品で1番怖いのは、壊れゆくジャック・ニコルソンの顔かもしれないが…。

詳細 シャイニング

イレイザーヘッド

アメリカの映画メディア「IndieWire」は、『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の印象を「デヴィッド・リンチ的な悪夢」と表現している。これは聞き捨てならない。

デヴィッド・リンチは、彼にしか作り得ない独特な作風で知られる映画監督であり、長編映画監督デビュー作『イレイザーヘッド』(76)は、伝説的なカルト映画として今でも人気が高い。その作品世界は不気味な恐怖に満ち溢れていて、なぜか目を離せない不思議な引力を持っている。この作品で最も観客に恐怖を与えたのが異形の赤ん坊の存在。この赤ん坊があまりにリアルにできているので、どうやって作ったのかを誰もが知りたがったが、デヴィッド・リンチ監督は絶対に種明かしをしなかった。この赤ん坊が作り物なのかどうかさえ、今でもわかっていない。監督が「その話だけはしたくない」とまで言っているということは…あまり深く追求すると本当に気持ち悪くなるのでやめておこう。

デヴィッド・リンチ監督は、『ブルーベルベット』(86)、『ロスト・ハイウェイ』(97)、『マルホランド・ドライブ』(01)、『インランド・エンパイア』(06)などの作品でも悪夢的な恐怖を芸術的に表現しているので、興味のある方はぜひ鑑賞してみて欲しい。ホラー映画ではないが、『エレファント・マン』(80)もいい。

詳細 イレイザーヘッド

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』の評判・口コミ・レビュー

映画『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』のまとめ

サイコホラー映画の傑作『サイコ』(60)を作ったアルフレッド・ヒッチコックは、「観客を辛い目に遭わせるために映画作りをしている」という名言を残している。観客はホラー映画に、日常では味わえない(味わいたくない)恐怖を求めているのだから、泣くほど怖がらせてもらえれば本望なのだ。なぜか人間は実害のない恐怖が大好きなので、ものすごく怖いと言われる絶叫マシーンほど大行列かできる。『ゴースト・ストーリーズ 英国幽霊奇談』は、ジェットコースターのようなホラー映画になっているという評判なので、「恐怖」という刺激を求めている人は劇場へ行こう。

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