女子大生のりんは、工場跡地に建つ集合住宅へと引っ越した。そこで、救急車で搬送される老婆の腕から、突然巨大な虫が出てくるところを目撃してしまう。りんは恐怖を抱きながらも、その虫について調べてみることにした。
映画『アラーニェの虫籠』の作品情報
- タイトル
- アラーニェの虫籠
- 原題
- なし
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年8月18日(土)
- 上映時間
- 75分
- ジャンル
- ホラー
アニメ - 監督
- 坂本サク
- 脚本
- 坂本サク
- 製作
- 福谷修
- 製作総指揮
- 不明
- キャスト
- 花澤香菜
白本彩奈
伊藤陽佑
片山福十郎
バトリ勝悟
福井裕佳梨
土師孝也 - 製作国
- 日本
- 配給
- プレシディオ
映画『アラーニェの虫籠』の作品概要
坂本サクが監督・原作・脚本・アニメーション・音楽を担当している。坂本が手掛けたアニメーションはとても美しく、不気味で奇妙な物語と音楽が絶妙にマッチした作品になっている。虫に纏わる怪奇現象に巻き込まれる主人公役は、『夜は短し歩けよ乙女』(17)のヒロインの声優を担当したことでも有名な花澤香菜が務めている。本作品は「カナダ・ファンタジア国際映画祭・最高賞(今敏賞)」にノミネートされており、海外でも高い評価を得ていることが分かる。
映画『アラーニェの虫籠』の予告動画
映画『アラーニェの虫籠』の登場人物(キャスト)
- りん(花澤香菜)
- 18歳。女子大生。怖がりで内気な性格。過去に何か秘密を抱えている。
- 奈澄葉(白本彩奈)
- 14歳。りんが出会う謎の少女。
- 時世(伊藤陽佑)
- 民俗学者。りんに「虫」についての情報を与える。
映画『アラーニェの虫籠』のあらすじ(ネタバレなし)
女子大生のりんは、工場跡地に建つ集合住宅へと引っ越しをしてきた。そこで、救急車で搬送される老婆を見かけたのだが、腕から突然巨大な虫が出てくるところを目撃してしまう。りんは衝撃のあまり、悲鳴を上げて驚いた。実は、りんが暮らすことになった場所は、女子高生の変死体が発見されたり心霊現象が目撃されたりするなど、奇妙な現象が多発していて周囲から恐れられている場所だった。
りんは恐怖を抱きながらも、自分が目撃した虫について調べることにした。図書館で情報がないか探しているときに、民俗学者の時世と出会い詳しい話を聞くことになる。昔、りんが暮らしている土地で、虫の目撃情報が多発していたことを教えられる。りんはさらに調査を進め、不思議な少女や謎の青年と出会うことになる。
映画『アラーニェの虫籠』の感想・評価
坂本サク
坂本サクは本作品の監督・原作・脚本・アニメーション・音楽を担当している。短編ならまだしも、長編のアニメーション作品をここまで1人で作業を行った人物は他にいないのではないだろうか。しかも、1人で作業をしたとは思えないほど映像は美しく、登場人物達の表情の動きもきちんと描かれている。
坂本が1人で作業を行ったことにより、作品の統一性がさらに高まったと言える。音楽の仕掛け方も巧みで、映像とぴったりマッチしている。この作品は、アニメだからと馬鹿にできない。下手をすれば、実写のホラー映画よりも怖いホラー作品だと言える。それぐらい、主人公の表情や音楽、物語の展開の仕方が絶妙なのである。特に、老婆の腕から虫が出てくる場面は、音と主人公の表情が相まって本当に恐ろしく不気味である。
虫の呪い
物語のキーとなるのは「虫」である。主人公のりんが暮らす土地では、「心霊蟲(しんれいちゅう)」と呼ばれる虫の目撃情報がある。しかも、その心霊蟲を見た者の中には変死を遂げる者もおり、「虫の呪い」として人々から恐れられていた。りんも老婆の腕の中から飛び出す虫を目撃してしまい、この呪いを恐れるようになる。
現実の世界にも、人体に悪影響を及ぼす霊的な虫の存在が信じられている。また、「蠱毒(こどく)」のように、人を呪うのに虫を用いることがある。虫とオカルトは意外と密接な関係がある。そのため、本作品もどこかリアリティがあり、不気味な気持ちにさせられる。実際に「虫の呪い」は存在してりんは呪われてしまっているのか、最後まで目が離せない展開になっている。
りん
主人公のりんを演じたのは、子役からバラエティ番組やドラマで活躍していた花澤香菜である。花澤は29歳の若手ながらも、アニメ映画『orange -未来-』(16)やスマートフォン用ゲームアプリ『消滅都市』など数々の作品に声優として出演している実力者である。
りんは内向的な性格で、本来なら怪異事件など恐れるような女子大生である。しかし、そんな自分から脱却しようと奮闘する。花澤の声とりんの見た目がマッチしているため、物語に違和感なく入っていける。花澤の恐怖を抱きながらも必死に走っている声や悲鳴などとても上手く、りんの心情がとても分かりやすくなっている。
りんには封印した過去があり、ただの内気な女性だけではなく、ミステリアスな部分も漂わせている。主人公ながら、「虫」と合わせて気になる存在である。
映画『アラーニェの虫籠』の公開前に見ておきたい映画
夜は短し歩けよ乙女
花澤香菜がヒロインの黒髪の乙女を演じているアニメーション作品。森見登美彦原作の小説『夜は短し歩けよ乙女』は、「第20回山本周五郎賞」を受賞するなど世間からの大きな注目を集めた作品である。累計売上130万部を超え、ベストセラー作品の仲間入りを果たした。
「先輩」は大学の後輩である「黒髪の乙女」に恋をしていた。そこで、「ナカメ作戦」を行い、彼女の気を引くことを思いつく。「ナカメ作戦」とは、ナるべく・カのじょの・メにとまるの頭文字を取ったものである。友人達はなかなか行動に移さない「先輩」に呆れた。だが、「先輩」は「黒髪の乙女」が気づいてくれるのをひたすら待つつもりでいた。果たして、「先輩」の恋の行方はどうなってしまうのか。
詳細 夜は短し歩けよ乙女
劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!
ホラー×アニメーション作品。テレビシリーズ第5期の劇場版作品で、テレビアニメ化40周年記念の一環として作られた。本作品の時系列としては、テレビシリーズの最終話以降に起きた出来事となっている。主役の鬼太郎を演じたのは、アニメ『名探偵コナン』の江戸川コナンを演じていることでも有名な高山みなみである。
風祭華は学校にいるとき、鏡から伸びた無数の手に捕まり「鏡の中の世界」に連れて行かれそうになる。偶然他の生徒が現れたため、何とか逃げることができた。風祭は妖怪の「ゲゲゲの鬼太郎」に助けを求めることにした。だが、鬼太郎が現れる前に、妖怪の「鏡爺」に連れ去られてしまう。鬼太郎は仲間と共に学校に行き、調査を行うことにした。しかし、仲間のねずみ男が裏切り、鏡爺の策略に嵌ってしまう。
詳細 劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!
バイオハザード ディジェネレーション
ホラー×アニメーション作品。カプコンのホラーゲーム『バイオハザード2』の主人公を元に作られており、ホラーゲーム『バイオハザード5』へと繋がる物語になっている。限定公開だったにもかかわらず興行収入やDVDの販売実績が良かったことから、続編となる『バイオハザード ダムネーション』(12)が制作・公開された。
アメリカのラクーンシティでバイオハザードが発生した。大手製薬会社のアンブレラが開発した「t-ウイルス」が、外に漏洩したことが原因だった。「t-ウイルス」に感染した人々の体はゾンビ化した。アメリカ政府はこの問題を解決するため、核ミサイルを使ってラクーンシティを消滅させた。そのラクーンシティの惨劇から7年後。「t-ウイルス」の恐怖はまだ終わっていなかった。
映画『アラーニェの虫籠』の評判・口コミ・レビュー
アラーニェの虫籠を見てきました。設定の虫にまつわる、色々な要素は、興味を引きましたが、終盤にかけて、少し脈流のない展開が夢を見ているみたいになって、?になるところがありました。
— サブカル魂~男は辛いよ 中二病で廃墟 (@sabukarudamasii) 2018年8月19日
映画感想『アラーニェの虫籠』
妖艶・耽美・グロテスク、三拍子揃った本格ホラーアニメ。こんな私好みの作品を劇場で観られるとは…(嬉泣)そして恐ろしい事にこれを全て坂本サク氏が1人(!)で製作されたそうな。その成果が隅々まで美意識の行き渡った独創的な世界観に現れていると思います◎ pic.twitter.com/l1WggD5Yyk— SYL (@december_souls) 2018年8月19日
『アラーニェの虫籠』観た。なんかめちゃくちゃ出来の良い卒業制作作品を観たような気分。ホラーシーンの魅せ方も良いしこのレベルのアニメーションをほぼ一人で作ってるのは普通に化物だと思う
— 虎砲 (@torahou) 2018年8月19日
「アラーニェの虫籠」観てきました。これは難しい。ストーリーは断片的でごちゃごちゃしてて正直訳がわからないのだけれど、絵と雰囲気がすごく良い。ちゃんと怖い。本当に、言葉通りの意味で、悪夢をそのまま映画にしたって感じ。個人的にはストーリーがわからんところ含めて好きです。
— 秘密結社つたいブックスカルデア支部 (@Y_Tsutai) 2018年8月19日
アラーニェの虫籠乙女ゲームにならないかと思ったけど、そうなったら監督さんの想いに沿わないよなあ……もっと人間関係の構築してくところ見てみたかった
— モグリカナデ@原稿 (@car_richa) 2018年8月19日
アラーニェの虫籠、ほんとにフェチズムの映画なので、一般受けはまったくしないし、それどころかアニメ好きの人ですら「うーん」ってなる映画だと思うんですよ。でも何度も言いますけどフェチズムの映画なので、何かしら「癖(へき)」に刺さる人にはたまらない何かがある、かもしれない、そんな映画です
— じぇまん (@susan0smith1985) 2018年8月18日
映画『アラーニェの虫籠』のまとめ
ホラー映画と言うと、ただ怖い映画と思うかもしれない。しかし、この作品は「心霊蟲」とは一体何なのか、りんが封印した過去とはどんなものなのか、疑問や謎が物語の至るところに散りばめられているため、ただ驚くだけのホラー映画とは一線を画している。それを、坂本サクが監督や脚本などの作業をたった1人で行っているところが純粋に凄いと思う。アニメーションもすごく綺麗で、丁寧に作り込まれているのが分かる作品である。
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