今から約10万年も昔のお話・・・、宇宙から飛来したとある円盤が、地球の重力に引き寄せられ大気圏に突入。炎に包まれながらも、その円盤は南極大陸へと落下していった。1951年に上映されたSFホラー映画『遊星よりの物体X』のリメイク版が、1982年『遊星からの物体X』として上映される。そして36年の時を経て、2018年10月デジタルリマスター版で再び劇場に登場。
映画『遊星からの物体X』の作品情報
- タイトル
- 遊星からの物体X
- 原題
- The Thing
- 製作年
- 1982年
- 日本公開日
- 2018年10月19日(金)
- 上映時間
- 109分
- ジャンル
- SF
ホラー - 監督
- ジョン・カーペンター
- 脚本
- ビル・ランカスター
- 製作
- デビット・フォスター
ローレンス・ターマン - 製作総指揮
- ウィルバー・スターク
- キャスト
- カート・ラッセル
ウィルフォード・ブリムリー
リチャード・ダイサード
ドナルド・モファット
T・K・カーター
キース・デビッド - 製作国
- アメリカ
- 配給
- アーク・フィルムズ
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映画『遊星からの物体X』の作品概要
1951年にアメリカで製作された『遊星よりの物体X』は、宇宙からの来訪者をテーマに制作され、1982年リメイク版『遊星からの物体X』として、ウィルバー・スターク製作総指揮の元、上映された。リメイク版では、舞台をアラスカから南極大陸へと変更し、極寒の南極監査基地と言う閉ざされた空間内で、宇宙からやってきた物体と対峙する。監督は、ホラー映画作品で絶大な人気を誇るジョン・カーペンターがメガホンを取る。
映画『遊星からの物体X』の予告動画
映画『遊星からの物体X』の登場人物(キャスト)
- R・J・マクレディ(カート・ラッセル)
- ヘリコプター操縦士。南極大陸でノルウェー観測隊員に起きた事件の真相を調べるべく南極を訪れる。
- ブレア(ウィルフォード・ブリムリー)
- 物理生物学者。ノルウェー基地で保護された犬が実は宇宙からやって来た謎の「物体」であることを知り、外部へ漏らさないよう基地をシャットアウトする。
映画『遊星からの物体X』のあらすじ(ネタバレなし)
極寒の死の大陸、南極。そこへ、宇宙から飛来し地球の重力に引き寄せられ落下した謎の円盤が分厚い氷の下で眠っていた。そして時は流れ、南極を訪れていたノルウェー観測隊員たちは、とある「物体」によって瞬く間に全滅してしまう。
南極の地で一体何が起こったのか、ヘリコプター操縦士マクレディを含め、真相解明のための調査隊が編成され、一行は南極へ向かう。そこで隊員たちは、ノルウェー基地内で無残な死を遂げていたノルウェー隊員たちを発見する。
基地を捜索していたマクレディたちは、生き残り基地を徘徊していた1匹の犬を保護する。犬小屋へ他の犬と一緒に入れておくと、突如犬は変態し他の犬を襲い出す。それは、今から約10万年前に円盤に乗り地球に飛来し、分厚く閉ざされた氷の下で眠っていた「物体」だった。
物理生物学者のブレアは、事体を重く捉えコンピューターでシミュレーションを行う。物体が人間社会に放たれたら、約2万7千時間(およそ3年)で全人類が乗っ取られてしまうという結果に。その最悪な結果を回避するために、隊員たちと「物体」の熾烈な争いが始まろうとしていた。
映画『遊星からの物体X』の感想・評価
触れたものに同化し、成り代わる「物体」
日本が誇るゲーム会社任天堂が発売している「ポケットモンスター」は、誰しもその名を一度くらいは聞いたことがあるだろう。ゲームだけでなく、アニメや漫画や映画にもなり、ちびっ子から大人まで世界中にたくさんのファンを抱えている。
当初は151匹のモンスターを捕まえて、バトルさせる物語だったが、今やその数は第7世代まで発売され、800種類を超えている。そのモンスターたちの中で弱くあまり目立たないモンスターもちらほら存在する。「メタモン」もその1匹。
能力は、「へんしん」。この能力を使えば、バトル中相手のポケモンをそっくりそのままコピーし、姿かたちはおろか使える技までも同じになるのだという。仮に実社会でそんなモンスターが存在していたらどうだろう。社会が崩壊してしまうのは目に見えている。
物理生物学者のブレアが、状況を危惧し基地を孤立させることで、「物体」を人類社会に同化させないよう配慮したことはファインプレーとも言える。相手をコピーするだけの、一見すると地味な能力は、これほどまでに人類を脅かす。できるならば、人間社会に到達する前に倒してきて欲しい生物だ。
2重の密室で行われる極限任務
死の大地、南極。そこで起きた凄惨な事件。ノルウェー教唆隊員らを全滅させた「物体」と命を懸けたやり取りをするため、また、「物体」が人類社会への侵出を防ぐため、マクレディらは基地を孤立させる。これが第1の密室。
無線は繋がらず、移動のためのヘリコプターもない。生きるか死ぬか。巨大な施設の中で見たこともない「物体」と対峙する恐怖。もし「物体」がマクレディら調査隊員を全滅させたとして、孤立した基地から無線は繋がらず移動するための手段もない。近くの島まで何百キロ、何千キロもある海水を泳いでいく手段はあるだろうが、そもそも南極には生物があまり存在していない。
この大地で戦うことこそ、「物体」が人類社会への侵出を防ぐ第2の密室。大自然がもたらした極限の大地は、人間に味方するのか、はたまた「物体」が人間に成り代わり地球上に君臨するのか。隊員たちの働きぶりが地球の命運を分ける。
10万年の年月を超えて、果たされる目的
そもそもこの物体が地球に飛来してきたのは今からおよそ10万年前。10万年前と言えば、教科書や博物館でしか見たことのないマンモスがアフリカ大陸に生息しており、そろそろ現代の人間の先祖ホモ・サピエンスが出てきたころである。
この物体は、着地した場所が不運にも南極だったために氷漬けとなってしまい、10万年という途方もない時間を分厚い氷の下で眠って過ごすことになったのだが、他の大地に着陸していた場合、彼らの目的は何だったのだろうか。
そして現代に蘇り、文明社会の発展した人間たちと対峙することになったわけだが、「物体」は変わらず人間を殺戮し、成り代わろうとしている。ということは、生物の進化は「物体」にとって関係がないということになる。
地球と言う125万種以上の生物溢れる星に、一体「物体」は何の用ではるか遠い宇宙からやって来たのだろう。
映画『遊星からの物体X』の公開前に見ておきたい映画
遊星よりの物体X
2018年10月に公開されるデジタルリマスター版では、ストーリーなどに変化はない。なので、この映画を観る前にぜひ見て欲しい映画と言えば、おおもとになった『遊星よりの物体X』だろう。
アラスカの氷の下から発見された、円盤型の飛来物。研究所に持ち帰り、調べる中で「物体」が逃げ出し兵隊や実験動物が襲われる。始末したい軍部と、貴重な資料のため研究したい研究者が対立を始める。
知力・腕力共に人類より優れ、更に成長も早く人類の脅威となる存在。その存在を、野放しにするべきか、すべて焼き払うべきか。必要に迫られた際の選択は、誰が下すとしても非常に重い。人間の恐怖し対処する力と、もともと持つ好奇心と探求心。映画内ではどちらに軍配が上がるのか見ものである。
詳細 遊星よりの物体X
遊星からの物体X ファーストコンタクト
2011年、『遊星からの物体X』の続編が、幾度のとん挫を経てようやく公開される。内容はリメイク版ではなく、『遊星からの物体X』の前日譚が描かれている。『遊星からの物体X』では、ノルウェーの調査隊員が「物体」を追いかけ回し、結果基地内で全滅を迎えるが、ファーストコンタクトではなぜ「物体」を追いかけるに至ったのかについて言及している。
日本では配給が決まらないため、『遊星からの物体X ビギニング』という仮題のみが発表されていたが、アメリカでDVDが発売されたことを記念に、小規模上映された。1982年版の曲やタイトルロゴなどが再利用されているが、「物体」についての造形などは、細かな点に至るまで綿密に調整され制作されている。「物体」との最初の出会いが、10月に上映されるデジタルリマスター版を鑑賞するにあたって、見解の幅を広めてくれることは言うまでもないだろう。
ワイルド・スピード SKY MISSION
カート・ラッセルと言えば、今はアメリカを代表する名優。1970年代には野球選手をしていたというのだから、ファン以外には驚きの事実かもしれない。野球から離れ俳優に専念し、80年代の『ユーズド・カー』に出演以降、90年代では『バックドラフト』や『エグゼクティブ・デシジョン』など多数に出演しその名を知らしめている。
2015年に公開された人気カー・アクション映画『ワイルド・スピード』では、ヴィン・ディーゼルやポール・ウォーカー、ジェイソン・ステイサムにドウェイン・ジョンソン、ミシェル・ロドリゲスなどの大物俳優が出演する中、カート・ラッセルも「ミスター・ノーバディ」として出演している。
その名の通り、MIBばりの黒服とサングラスで怪しさ満点の特殊組織のボスであり、曲者ぞろいのドミニクファミリーに少しも動じないあたり、「大物感」が溢れている。映画を初めて見た人は、この怪しいミスター・ノーバディが敵なのか味方なのか大いに悩むだろうが、その見た目に反して彼はなかなかに男気溢れる存在で主人公ドミニクらの信頼を勝ち取る。
不思議な魅力を持つ人物に人は惹かれるものだが、ミスター・ノーバディは紛れもなく不思議な魅力を持つ人物の1人だろう。
映画『遊星からの物体X』の評判・口コミ・レビュー
『遊星からの物体X〈デジタル・リマスター版〉』観終わった。やー面白かった!だいぶ久々に観たけど、やはりただただ純粋に面白い。映画館のスクリーンで観るのは初めてだし、デジタル・リマスターで細部までしっかり見えて、なんかもうホントありがとうございます。 pic.twitter.com/Iba64oRQ3c
— もけタオorもけタロス (@moke_t) 2018年10月20日
『遊星からの物体X デジタルリマスター版』観てきたー!(°∀°)
VHSとDVDで何回も観てるけど、やっぱ大画面とドルビー音響だと違うね!!素晴らしかった~。— さんぢぇるまん・猿🔞C94新刊DBFZ21号本委託中 (@pepsitou) 2018年10月20日
今日は丸の内ピカデリーで公開中の「遊星からの物体X」を鑑賞♪
映像も音響も素晴らしかった!何より大画面の迫力は違う。
エンドロールが流れ始めても、このままずっとエンドロールの音楽に包まれていたいと思った。#遊星からの物体X— 憂鬱薔薇太郎(実はカレー好き) (@Nendo_Zaiku) 2018年10月20日
遊星からの物体Xリマスター、特殊技術や音響やそのすべてに感心しきりでした。うまくつくってあるなあ、という言葉しかない。初めて映画館で観た映画はたぶん、E.T.だと記憶してるんですが、同時期に公開された物体XはTVが初見だったので、今回映画館で観られてようやくcompleteした気分です!
— niki (@niki_shige) 2018年10月20日
丸の内ピカデリーで『遊星からの物体X』<リマスター版>、SFホラーの屈指の傑作!冒頭の南極の風景と重低音の音楽で一気に引き込まれる。ロブ・ボッティンのクリーチャー造形は未だに類を見ない完成度。極寒の中疑心暗鬼で絶望的な戦いを遂行する男たちのドラマも秀逸。上映後拍手が起こってました! pic.twitter.com/6AZtZkMqkk
— k_ohtsuki (@k_ohtsuki2016) 2018年10月20日
映画『遊星からの物体X』のまとめ
宇宙からやって来た謎の知的生命体に名前を付けて呼ばないあたり、普通のB級映画から逸脱しているようにも感じ、ポスターでは不朽の名作と題されるだけあり、80年代の映画ではあるが期待してしまうところがある。原題『THING』にもあるが、その「もの」が一体何なのか、正体がとてつもなく気になってしまう。ホラーファンからカルト的な人気を誇る監督ジョン・カーペンター氏の名作が36年ぶりの復活とは、ファンも喜び以外に感じえないだろう。
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