映画『夢二 愛のとばしり』の概要:画家の竹久夢二は、妻のたまきと息子の虹之介の3人で暮らしていた。かつては妻のたまきをモデルに絵を描いていたが、最近は筆が乗らず絵が描けなくなってしまっていた。家計は火の車で、たまきは夢二に不満を持つ。
映画『夢二 愛のとばしり』の作品情報
上映時間:104分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:宮野ケイジ
キャスト:駿河太郎、小宮有紗、加藤雅也、黒谷友香 etc
映画『夢二 愛のとばしり』の登場人物(キャスト)
- 竹久夢二(駿河太郎)
- 実家は商家。人気画家。本当は詩人になりたかったが、食べていけないため画家になった。画家の仕事も好きだが、大衆向けの絵を描かなければならないことに苦悩する。
- 笠井彦乃(小宮有紗)
- 美術学校を卒業している。将来の夢は画家になること。夢二のことを尊敬している。夢二から「しの」という愛称をつけられる。
- たまき(黒谷友香)
- 夢二の妻。夢二が絵を描かないせいで家計が火の車になり、着物を売ることになる。かつては夢二の絵のモデルをしていた。
映画『夢二 愛のとばしり』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『夢二 愛のとばしり』のあらすじ【起】
明治43年。竹久夢二は妻のたまきと息子・虹之介と共に暮らしていた。たまきをモデルに絵を描いていたが、一向に筆は進まなかった。夢二が絵を描かないせいで、家計は火の車だった。たまきは不満を抱くが、非難されればされるほど夢二は絵を描く気をなくしていった。
夢二は絵を描けないことに苦しんでいた。だが、自殺する度胸もなかった。夢二が海をぼーと眺めていると、浜辺を美しい女性が歩いているのが見えた。女性は夢二が絵を描けないことで悩んでいることを知り、野に生えているマツヨイグサの花を見せた。夢二は毎日その花を描きに来るので、それを監視して欲しいと女性に頼んだ。そして、その女性に「おしまさん」と名付け、呼ぶことにした。おしまさんは本名を言おうとするが、夢二は聞こうとはしなかった。
夢二はたまきをモデルに絵を描こうとはしなかった。たまきはそんな夢二の態度に深く傷つく。別の部屋では、赤ん坊が泣いていた。ある日、夢二の父が訪ねてきた。その時、たまきは初めて、義父が夢二に金を貸していたことを知る。たまきは自分の着物を売って生活費に充ててきたため、夢二の勝手な行動に腹が立った。夢二の父はたまき達の生活を心配し、虹之介を預かっていった。たまきは虹之介と会えない悲しさから、夢二と喧嘩になり頬を殴られてしまう。夢二は泣き崩れたたまきを慰めることなく、その姿をスケッチした。
映画『夢二 愛のとばしり』のあらすじ【承】
夢二はたまきと離れたいと考えていた。だが、たまきは子供を身籠っていた。そこで、夢二は大衆人気を利用して商売を行うことを決める。大正3年。夢二が描いた絵柄の手拭いなどが販売され、女性達から人気を集めていた。たまきは店に立ち、夢二の絵柄がついた商品を販売した。店は繁盛していたが、夢二がたまきに抱く思いは冷え切ってしまっていた。
画家志望の笠井彦乃は絵を見て欲しくて、店を出て行った夢二を追いかけた。教会に入ったところで声をかけるが、断られてしまう。しかも、首筋にキスをされ、初心な反応をからかわれてしまう。夢二が出て行った後、彦乃は彼が聖書を忘れていったことに気づく。
彦乃はたまきに誘われたのもあって、店番の手伝いをしていた。一方、夢二は商品になるような絵は描かず、出かけて風景をスケッチしていた。そんな店に夢二を慕う、若い画家志望の男子学生が訪ねてくる。男子学生は彦乃の知り合いでもあった。男子学生は夢二が帰って来ず落ち込むたまきを見て、夢二の絵を模写した絵を見せた。その絵のモデルはたまきだった。たまきは喜び、男子学生を誘惑してアトリエに連れて行った。彦乃はそんなたまき達の様子に気づき目線で非難するが、たまきは気にした様子もなかった。
夢二は乳母と次男・不二彦の話とたまきの態度から、たまきと男子学生が怪しい間柄であることを知る。夢二自身も娼婦を買って気を紛らわせるが、悪夢を見るほど苦しむことになる。夢二は夢でたまきの浮気を見たと手紙を書き、何もなければ宿屋に来るよう伝えた。たまきは夢二に会うと、浮気を否定した。夢二はそんなたまきを抱くが、情事の後たまきが漏らした一言(「こんなによくしてくれるなら他でしない」)で浮気が事実だと思い、たまきを海に連れ出して懲らしめようとした。たまきは浮気を否定し続けるが、夢二は信じなかった。2人が揉み合いになっていると、たまきが腕を怪我してしまう。血を流すたまきを見て、夢二は我に返った。だが、怒ったたまきに襲いかかられる。
映画『夢二 愛のとばしり』のあらすじ【転】
夢二は男子学生に話しをつけ、家に来ないよう言いつけた。たまきは夢二に離縁を迫った。怒った夢二がたまきを殴ろうとすると、不二彦に涙ながらに母ちゃんを殴らないでくれと止められる。夢二の元にいることに疲れたたまきは、不二彦を置いて家を出て行った。
彦乃が自分で描いた絵を持って夢二の元を訪ねてくる。彦乃の絵は文句なしに上手かった。彦乃は夢二のような画家になるのが夢で、心から彼のことを尊敬していた。たまきが出て行って落ち込んでいた夢二は、純粋な彦乃の気持ちに救われる。
夢二は小さなことで彦乃に怒ってしまい、自己嫌悪に陥る。彦乃はそんな夢二を受け入れた。2人は見つめ合ってキスをすると、体を求め合った。2人はとても幸福を感じた。そんな中、たまきが家に戻ってくる。しかも、子供を妊娠していた。たまきは夢二が彦乃のことを愛していることに気づき、自分以外の女を愛することは許さないと夢二に伝えた。たまきは彦乃に許嫁がいることを突き止めており、証拠の写真を夢二の前で彦乃に見せた。彦乃は許嫁の存在を認めるが、それは父が勝手に決めた相手だった。だが、たまきが妊娠している以上、彦乃は家に戻り夢二はたまきの元に帰らなければいけなくなる。夢二は彦乃に「しの」と愛称をつけ、呼ぶことにした。
映画『夢二 愛のとばしり』の結末・ラスト(ネタバレ)
大正5年。たまきは子供を産んだ。その子は草一と名付けられた。たまきは既に夢二と離縁していたが、出て行こうとはしなかった。嫉妬に狂ったたまきは壊れており、しのを嫁にして皆で一緒に暮らそうと言い出した。夢二はたまきが怖くなり、縋る不二彦を置いて京都の展覧会に出かけた。その間に、たまきは彦乃の父に会いに行き、彦乃を夢二の嫁に欲しいと伝えた。彦乃の父は怒り、絶縁を言い渡した。たまきは微笑むと、子を置いて家を出た。近所の人は柱に括りつけられている、草一をおぶった不二彦を発見する。
大正6年。友人が不二彦を連れ、夢二の元を訪ねてきた。夢二は泣く我が子を抱き締めた。そんな夢二達の元にしのが訪ねてくる。しのは女学校の先輩がいる下宿先に行くと嘘を吐き、家を出ていた。夢二は会えなかったときを思い、しのの姿が少しでも見えなくなると不安に苛まれていたが、しのが一緒に暮らせて幸せだと微笑むのを見て落ち着きを取り戻した。
大正7年。しのが体調を崩した。そんなしの達の元に、彦乃の父が乗り込んできた。彦乃の父は夢二を援助する代わりに、しのを連れ戻そうとした。だが、夢二は援助を断り、愛しているからこそしのを連れて行かれまいと必死に縋った。そんな夢二に彦乃の父は土下座し、娘を返してくれと頼んだ。しのが出て行った後落ち込んでいた夢二だったが、しのが乳母に書いた手紙を見て再び絵を描くようになる。その手紙には、「寂しがるパパさん(夢二)をよろしくお願いします」と、夢二を案じる言葉が書かれていた。
しのが夢二の元に戻ってきた。だが、しのは吐血をして入院することになる。夢二はしのの傍に寄り添った。夢二はしのの未来を壊してしまったと、涙ながらに謝罪した。そんなしの達の元に、彦乃の父がやって来る。彦乃の父は激しく怒り、夢二を病室から追い出した。夢二はしのに会えない苦しみから、自分の部屋に帰ると暴れ回った。夢二はしのの幻影を見た。そして、自分を描いて欲しいと頼まれる。
夢二は女性の絵を描いた。モデルの女性に「お葉」という愛称をつけた。
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