映画『エタニティ 永遠の花たちへ』の概要:19世紀末のフランスの美しい風景とクラシックの調べに合わせ、全編ほぼナレーションで展開していくストーリー。繰り返される生と死を通して、人生の定めと儚さ、そして命の繋がりの素晴らしさに、感動が押し寄せる。
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』の作品情報
上映時間:115分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
監督:トラン・アン・ユン
キャスト:オドレイ・トトゥ、メラニー・ロラン、ベレニス・ベジョ、ジェレミー・レニエ etc
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映画『エタニティ 永遠の花たちへ』の登場人物(キャスト)
- ヴァランティーヌ(オドレイ・トトゥ)
- ブルジョア夫妻の娘。17歳で結婚をし、たくさんの子宝に恵まれる。
- アンリ(ジェレミー・レニエ)
- ヴァランティーヌの息子。幼馴染みのマチルドと恋に落ち、結婚をする。
- マチルド(メラニー・ロラン)
- ヴァランティーヌの息子アンリと幼い頃から惹かれ合い、妻になる。
- ガブリエル(ベレニス・ニジョ)
- マチルドの従兄弟であり、親友。同じ建物に住み、結婚後も互いの家を行き交う。
- シャルル(ピエール・ドゥラドンシャン)
- ガブリエルの夫。
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』のあらすじ【起】
19世紀末。ブルジョア夫妻には娘が5人いた。幼くして2人の娘は他界し、あとの3人は成長し、結婚をする。
ヴァランティーヌはそのうちの1人。17歳で同じ上流階級のジュールに見初められ、彼の熱心な希望で結婚することになった。夫はギターを弾くのが好きな、穏やかで誠実な男だった。結婚生活は平和であり、二人は、双子の息子に続き、息子2人と娘2人に恵まれる。幸せな時間は流れるように過ぎていった。
不幸は7人目の子供が産まれてすぐに亡くなったことから始まった。その後、また息子が産まれるが、その1年後に夫が他界。結婚20年後のことだった。双子の息子も戦争で亡くし、ヴァランティーヌは悲しみに打ち拉がれる。
娘2人は美しく成長する。ヴァランティーヌは同じ女性として、娘たちと深い結びつきを感じていた。しかし、死の影はまたヴァランティーヌを襲う。今度は、下の娘のエリザベットが病で亡くなったのだ。
姉のマルゴは妹と過ごした日々を思い返していた。共に寄り添いながら成長してきた二人。マルゴはその後、修道院に入ることを決意する。ヴァランティーヌは娘がいずれ自分と同じように母親になることを夢見ていたが、娘の心はすでに強く固まっていた。
夫と子供達が次々といなくなり「人生とは死者を見送ることなのだ」とヴァランティーヌは悟る。愛する家族の死と、マルゴがいなくなったことで、彼女は孤独に陥るのだった。
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』のあらすじ【承】
続く不幸の中にも、幸せな出来事もあった。息子が幼馴染みのマチルドと結婚したのだ。子供の頃から惹かれ合い、自然に結ばれた二人。互いの親からも祝福され、温かな家庭生活が始まった。
マチルドは5人の息子を産み、その後2度流産するが、待望の長女のルイーズにも恵まれた。マチルドは出産に喜びを感じていた。
同じ建物には、マチルドの従兄弟であるガブリエルとその夫のシャルルが暮らしていた。幼い頃から姉妹のように一つ屋根の下で暮らしていた二人。互いの結婚後も家を行き交い、夫婦で親しい付き合いをしていた。
ガブリエルと夫のシャルルは、たった一度の昼食会で婚約が成立した。初めは互いに愛し合っていたわけではなかったが、結婚生活の中で、いつしか深い愛を育んでいた。二人はたくさんの子供に恵まれたが、息子のフランソワを髄膜炎で亡くすという不幸もあった。だが、その苦しみを乗り越え、ガブリエルはより一層、家族への愛を募らせるのだった。
その1年後、修道院にいたヴァランティーヌの娘マルゴが、フランソワと同じ髄膜炎で亡くなる。彼女は修道院に入った後は一度も母親に会うことなく、神に仕え最後を迎えたのだった。
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』のあらすじ【転】
ある晴れた日、ガブリエルとシャルル夫妻は家族で泳ぎに出ていたが、シャルルは一人海に入ったまま帰ってこなかった。ガブリエルは、夫が溺れるのを遠くから見ていたが、浜からは遠すぎて助けることができなかった。突然の夫の死。それはあまりに急な不幸で、ガブリエルは激しい寂しさに襲われる。
思い出すのは、まだ愛を知らなかった結婚当初の二人。気まずさだけで過ぎた初夜の翌日、シャルルは「愛は学ぶものだ」と言い、彼女を一生愛することを誓ったのだ。彼は無口で孤独な男だったが、彼女に誓った言葉は亡くなる日までちゃんと守られた。二人はシャルルが仕事に出ている時以外は、ずっと一緒に過ごすほど仲の良い夫婦だった。結婚生活は幸せだった。
ガブリエルが夫の死から立ち直るまで、ずっとそばで励まし続けたマチルド夫妻。しかし、そのマチルドにも不幸が襲う。40歳になるまで彼女は何人も子供を出産したが、もう体が限界だったのだ。そのことを夫に言えないまま、彼女はまた妊娠する。そして、自分の命と引き換えに、マリーという女の子を出産をし、その数時間後、静かに息を引き取った。
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』の結末・ラスト(ネタバレ)
マチルドの娘ルイーズは、母の死について父親のアンリを責めた。アンリは悲しみの中、一人で子供たちを育てていこうとしたが、それは現実的に難しかった。
ガブリエルは、親友が最後に命を懸けて出産したマリーを抱きながら、彼女が残したこの家族を、自分が支えたいと思うようになる。アンリもまた、ガブリエルに救いを求めていた。夫と妻を亡くした二人は、お互いを労わり合うように、人生を共に生きることを決める。
二人は共に子沢山であったため、大家族となる。マチルドの娘とガブリエルの息子は、再従兄弟同士で恋に落ちた。
孫も大きくなったヴァランティーヌは年老いていた。夫の死後、孤独の中で一人生きてきたヴァランティーヌ。彼女は人生の喜びと悲しみ、多くの生と死に向き合い、すでに死を待ち望んでいた。そしてある夜、ヴァランティーヌはたった一人眠れぬ夜を過ごし、静かに息を引き取った。
ある夫婦から産まれたヴァランティーヌとその姉妹。彼女達には18人の孫ができ、第2世代は43人に、第3世代は154人、第4世代は231人、第5世代は169人になった。生きている限り、死は必ず訪れ、命は繋がれていく。数え切れないほどの人生と愛の先に、今の自分があるのだ。
映画『エタニティ 永遠の花たちへ』の感想・評価・レビュー
風景がとにかく綺麗で、物語とマッチしていてとても良かった。他の作品のように激しい展開があるわけではないが、身近な人の一生を垣間見ているような気がしてとても興味深い作品だった。夫婦の愛、親子の愛、友達への愛。色んな愛と喪失が感じられる物語で、心が動かされる作品だった。特に、ガブリエルと夫のシャルルの関係が印象的だった。愛し合って結婚したわけではないが、真摯に向き合い、二人で愛を育んでいく様子が素敵だった。(女性 30代)
セリフが少なく、ものすごく「間」の多いストーリー展開に息を飲むほど美しい自然の風景。映像を見て目と耳で感じる作品でした。
19世紀末のフランスの美しい緑と暖かい太陽の元育まれていく「愛」。普通の結婚とは少し違う形で結ばれた夫婦でしたが、2人の愛はとても大きく揺るぎなきものになり、少しずつ「愛の形」が変化していくストーリーがものすごく感動しました。
自分たちの幸せよりも子供の幸せ、更に孫の幸せと「愛」と「幸せ」が連鎖していく暖かい作品でした。(女性 30代)
静かなピアノと、上品な西洋画のような映像に心のコリが解かされました。カメラワークがゆったりとしていることと、セリフが少なく間が十分あるため鑑賞中、永遠を感じます。ある一族とそのお隣さん家族の、結婚や子育てを淡々と描いています。誰かのアルバムを見せてもらっているような心持ちです。人の誕生、人の死を繰り返し眺める内に、人生は循環であることに気がつきます。「人生とは死者を送ること」という言葉に、深く頷きました。(女性 30代)
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