この記事では、映画『クローズド・ノート』のあらすじをネタバレありで解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『クローズド・ノート』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『クローズド・ノート』の作品情報
上映時間:138分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:行定勲
キャスト:沢尻エリカ、伊勢谷友介、竹内結子、永作博美 etc
映画『クローズド・ノート』の登場人物(キャスト)
- 堀井香恵(沢尻エリカ)
- 小学校教師を目指し教育大学へ通う女子大生。音楽サークルに所属し、マンデリンを弾いている。文房具店のアルバイトで石飛と出会い、好意を抱くようになる。
- 石飛リュウ(伊勢谷友介)
- イラストレーター。痩身だが、高身長で人当たりは悪くない。独特な雰囲気を持ち、拘りのある人物。香恵と接する内に好意を抱くようになる。
- 真野伊吹(竹内結子)
- 香恵が引っ越したアパートに以前、住んでいた小学校教師。穏やかで優しい印象を持ち、日記の筆者。子供達の個性を大切にし、心の力を養う手助けをしている。隆に片思い中。
- 山崎星美(板谷由夏)
- 石飛のマネージャー的存在。イラストレーターとしての石飛を支え、仕事の斡旋をしたり食事の世話をしたりしている。
映画『クローズド・ノート』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『クローズド・ノート』のあらすじ【起】
小学校教師を目指し教育大学に通う堀井香恵は、母親の再婚を機に一人暮らしをすることにした。
春、引っ越し先へやって来た彼女は、親友の助けを借りて荷物の片づけを行う。そこで、前の住人が残していった1冊のノートを発見するのだった。
大学へ通いながら音楽サークルに、文房具店でのアルバイトと毎日が目まぐるしく過ぎる。
ある夜、香恵はふと思い立って発見したノートを開いてみた。筆者は真野伊吹という女性で、小学校の教師だったらしい。彼女は子供達に対し夢や希望を抱かせるには、どうしたら良いか試行錯誤していた。
そんなある日、アルバイト先の文房具店に石飛リュウという男性が訪れる。彼は書き心地の良い万年筆を探していたが結局、万年筆を買わずに帰った。そのことを国際電話で親友に話したが、友人はどうでも良い様子で真剣に取り合わず、電話を切ってしまうのである。
その日の夜も、伊吹の日記を開いた香恵。
伊吹は子供達を太陽の子と呼び毎日、観察。それぞれの個性を見出しては伊吹賞と称して表彰した。そんなある日、伊吹は子供達を連れて校外にスケッチへ。穏やかな陽気の中、彼女はふと空を仰ぎ、心の力という言葉を思い出し子供達にも伝えようと思うのだった。
先輩に頼まれて、文房具店の社長へ書類を持って来た香恵。彼女は社長から万年筆の書き心地を試すよう言われるが、違いが良く分からない。声をかけられ店舗へ戻った彼女は、石飛リュウが再び来店したことを知るのだった。
石飛は香恵の胸ポケットに入っている万年筆を勝手に取って、試し書きを始める。すると、彼はその万年筆を気に入ってしまう。だが、その万年筆は香恵が誤って、社長のところから持って来てしまった試作品の万年筆で、売り物ではなかった。

映画『クローズド・ノート』のあらすじ【承】
この文房具店ではオリジナルの万年筆を作っており、第一期はすでに売り切れ。第二期はこれから発売予定だった。先輩は発売前の第二期を試し書きするよう石飛へ渡すも、満足せず。やはり試作品が一番しっくりくると言う。困り果てた香恵たちだったが、そこへ社長が登場し欲しい者が持てば良いと許可をくれる。石飛はようやく目当ての万年筆を手に入れ、満足して帰って行くのだった。
その日の夜、開いた日記では図書館を訪れた伊吹が、隆という男性に再会したことが書かれている。どうやら息吹と隆は大学の同窓生で、伊吹が一方的に片思いしていたようだ。
試作品の万年筆を売って以降、石飛が気になっている香恵だったが、彼はあれ以来、店を訪れない。そこで、新聞を見ていた先輩が、石飛リュウの名前を発見。彼はなんとイラストレーターだった。
帰宅後、再び日記を開いた香恵。そこには、1人の女子生徒の不登校が本格的になったことが書かれていた。伊吹は生徒の自宅を訪ね、自分の理想が少女の負担になっていたことを知るのだった。
そんなある日、アパートの窓の下に石飛が来ているのを発見した香恵。声をかけると、部屋を見たいと言うので中へ案内。音楽サークルで弾いているマンデリンを一曲披露した。すると彼は突然、外へ出てスケッチを始めるのだった。
モデルの礼として、音楽サークルの定期演奏会へ石飛を誘った香恵だったが、せっかくの演奏会で何度もミスをしてしまう。しかも、石飛も来てくれず。代わりに親友の恋人が香恵に鞍替えし、人一倍大きな花束をくれるのだった。
その夜も伊吹の日記を読んだ香恵。伊吹は不登校を続ける生徒のために合唱コンクールへの参加を決めたが、彼女には受け入れてもらえなかった。どうしたら良いのか悩む伊吹だったが、そんな時にトイレを借りるため、隆が部屋を訪ねて来る。外は雨が降っていたので、2人はゆっくりと会話。彼のお陰で少しだけ、前向きになれた伊吹だった。
映画『クローズド・ノート』のあらすじ【転】
その後、伊吹のクラスでは学級新聞、太陽の子通信を作成。女子生徒の自宅を訪ねた伊吹は、彼女がコンクールの歌を聞いているのを耳にして、少しだけ前進しているのを感じる。伊吹は浮かれてスクーターを走らせ、ついつい隆の自宅まで向かってしまうのだった。
バイト先でも伊吹の日記を読んでいた香恵は、先輩から定期演奏会の日に花束を持った石飛が来ていたのを聞く。だが、大きな花束をもらった香恵を目撃し、遠慮してそのまま帰ってしまったらしい。
香恵は居ても立っても居られなくなり、走って石飛の自宅を訪ねた。だが、彼は外出中。がっかりした彼女は近所の公園で石飛が空を見上げているのを発見する。
そこで、石飛から個展を開く話を聞いた香恵。自分も何かできないかと話した。すると、彼はまたマンドリンが聞きたいと言う。香恵は頑張ってマンドリンの練習をした。
その後、日記を読み進めた香恵は、そこに書かれてあるウズラの卵入りの肉団子を作成。石飛に差し入れすることにした。すると、彼は一緒に食べようと中へ入れてくれる。しかし、そこへ山崎星美という人物が現れる。彼女は石飛のマネージャー的存在で、仕事の斡旋などの世話をしているようだった。
親密な2人の様子に居たたまれなくなった香恵は、荷物を片付け早々に退散。
隆に片思いを続ける伊吹と、石飛に片思いをする香恵。どこか似た境遇にある2人。
伊吹は隆からはっきりした答えを欲しがっていたが、そのせいで喧嘩口調になってしまい、以後はギクシャクとしていた。だがある日の帰り道、隆と偶然会った伊吹は、彼の言葉を聞いて惚れた弱みか、許してしまうのであった。
その川を見に来た香恵は、そこで石飛と遭遇。彼は自転車の後部席に香恵を乗せ、アパートまで送ってくれる。これは日記のお陰なのか。香恵はほくほくとして伊吹の日記を読み進めた。
そんなこともあってか、合唱コンクールの練習をしていたクラスに、とうとう不登校の生徒が登校して来る。そうして、全員揃ってコンクールに参加。伊吹は心から子供達に感謝し、諦めずに努力し続ければきっと叶う。前向きに歩き続けようと心に決めるのであった。
映画『クローズド・ノート』の結末・ラスト(ネタバレ)
そんな伊吹の心に勇気を得た香恵。石飛に告白しようと部屋を訪ねる。面と向かって告白するには、勇気が足りなかったため、壁に隠れて告白。だが、相手は星美だった。彼女は石飛にはずっと心に思う女性がいて、絵のモデルは香恵ではなくその女性だと明かす。
香恵は壁に貼ってあった女性のスケッチを目にし、その紙が答案用紙であることを知る。その答案用紙は、伊吹が失くしてしまった生徒のものだった。
ということは、石飛の思い人とはまさか。香恵は星美から石飛の本名を聞き、石飛が伊吹の片思いの相手であることを知ってしまうのだった。
恐らく2人は両想いだ。香恵はショックを受け、石飛の部屋から飛び出してしまう。
その日の夜、部屋に石飛が訪ねて来て今までのことを謝り、個展には来て欲しいと言い去って行く。香恵は咄嗟に自分ではだめなのかと問いかけたが、石飛の気持ちは変わらず断られてしまうのであった。
失恋してしまった香恵は、日記の持ち主である伊吹へノートを返そうと考える。伊吹のお陰で人を思う心を教えてもらった。その礼のつもりだった。
そうして後日、伊吹が勤める小学校の生徒を発見し、伊吹のことを聞いてみた。すると、生徒が言うには、伊吹はもう亡くなっているらしい。
日記に貼ってあったプリクラから、伊吹が持っていたクラスの子を発見した香恵は、彼女たちから伊吹のことを聞き、不登校の子と会わせてもらう。
伊吹は終了式の日、スクーターでトラックと衝突して亡くなったと言う。香恵は少女と会って、これまでのことを全て話した。すると、彼女はお別れ会の日に伊吹が飛ばしたという紙飛行機を手渡してくる。それは、日記の最後の1ページだった。
香恵はその足で石飛の個展へ。そして、入ってすぐのところに飾ってある女性の肖像画を見た。タイトルは『ともしび』。万年筆1本で描かれたものだった。
女性はどこか、香恵と風貌が似ている。香恵はここで石飛のためにマンドリンを演奏する予定だったが、楽器を忘れてきたと言い訳し、その代わりに日記の最後の1ページを朗読することにした。そして、香恵は伊吹の日記を石飛に渡して去って行くのである。
後日、小学校へ再び向かい伊吹の最後の言葉を届けてきたと報告した香恵。すると、伊吹が受け持っていたクラスの子供達が、全員で窓から紙飛行機を飛ばす。それは、子供達から今は亡き伊吹へ送った言葉だ。そこへ石飛が現れ、伊吹のためにも絵を描き続けると言う。香恵も伊吹のような教師を目指すと約束を交わし、2人で紙飛行機が飛ぶ様を眺めるのであった。
映画『クローズド・ノート』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
堀井香恵と真野伊吹のそれぞれの恋が描かれているのだと思っていたが、石飛リュウを通じて交差しているのがおもしろかった。純粋に石飛に恋をしている堀井を応援したい気持ちと、真野のことを今でも大切に思っている石飛のことを応援したい気持ちで、胸がいっぱいになった。真野が亡くなっていたことは悲しかったが、前向きな終わり方だったのは良かったと思う。教師となった堀井も真野のように、子供達のことを真剣に考える先生になるのだろうなと感じた。(女性 30代)
沢尻エリカ主演の切ないラブストーリー。行定勲監督による映像がとにかく美しい。
教師を目指す女性・香恵が引っ越し後に、前の住人が残した日記を発見し、それを読んだことがきっかけで成長するというストーリー。日記の持ち主である伊吹がすでに亡くなっているという事実がわかった時、何とも切ない気分になってしまう。
恋人になれなかった伊吹と隆、好きになったリュウが隆だと知った香恵。悲しくも前向きに生きようとする登場人物たちに背中を押してもらえる映画である。(男性 40代)
沢尻エリカのワイドショーで見るようなイメージが先行してしまい、なかなか鑑賞できずにいた今作。あの沢尻エリカからは想像できないほど、優しくて温かみのある主人公を演じていました。
リュウという1人の男。彼を想う人や彼の周りの人間を通して描かれる心の繋がりがとても丁寧に描かれていて、作品を通して温かい気持ちで見ることが出来ました。
人と出会い、恋をすることは切ないことも勿論ありますが、優しい気持ちにさせてくれるのだと気付かせてくれました。(女性 30代)
静かな語り口の中に、深い感情が込められた作品でした。沢尻エリカ演じる香恵が、部屋に残されたノートを通してもう一人の女性・伊吹先生の人生や想いに触れていく過程が美しく描かれていました。ラストで伊吹先生が亡くなっていたことが明かされる場面には心が締めつけられました。(20代 男性)
“誰かの想い”が残されたノートが、時間を超えて人の心を動かす。この作品はファンタジーではなく、日常の中にある小さな奇跡を描いた物語だと感じました。伊吹先生の恋と、香恵の初恋が重なりながら、それぞれの成長へとつながっていく過程が丁寧に綴られていて、余韻が深いです。(30代 女性)
最初はゆっくりとした展開に退屈を感じましたが、読み進めるように物語が進んでいくうちに、だんだんと登場人物たちに感情移入していました。伊吹先生の手書きの言葉が、香恵の人生に変化をもたらしていく様子は、まるで手紙のように優しくて、観ていて心が温かくなりました。(40代 男性)
女性同士の時間を超えた共鳴が美しく、涙が止まりませんでした。伊吹先生の純粋な想いと、それを受け取った香恵の葛藤、そして前を向く姿がとても印象的。ノートというアナログな手段が、こんなにも人の心を繋げるのかと思うと、現代にこそ必要なメッセージが詰まった映画だと感じました。(20代 女性)
喪失と向き合うこと、想いを受け継ぐこと。『クローズド・ノート』は、人が生きる中で忘れがちな“他者を感じる力”を丁寧に描いた作品だと思います。伊吹先生の死が明らかになるクライマックスで、一気にすべての意味が収束する感覚に感動。観た後、静かに涙が流れるような作品でした。(50代 男性)
原作も読んでいたので展開は知っていましたが、映像で観るとまた違った感動がありました。香恵がノートを開く瞬間ごとに、観ている私も心が震えました。誰かが心を込めて書いた言葉には、人の心を動かす力があるのだと改めて実感。ラストの別れの場面は切なさと美しさが同居していて忘れられません。(30代 女性)
伊吹先生の人生が、ノートを通じて少しずつ明らかになっていく展開に引き込まれました。香恵が感じた痛みや迷いは、きっと多くの若者が共感できると思います。自分も過去に残された言葉に救われたことがあるので、ノートの存在に特別な重みを感じました。とても静かで優しい映画です。(20代 男性)
映画『クローズド・ノート』を見た人におすすめの映画5選
いま、会いにゆきます
この映画を一言で表すと?
“愛する人に、もう一度会える奇跡”を描いた心温まるラブストーリー。
どんな話?
亡くなったはずの妻が雨の季節に戻ってくる――。記憶を失った彼女と過ごす日々を通して、家族の愛と再会の意味を丁寧に紡いでいく感動作。静かなファンタジーが現実を優しく包みます。
ここがおすすめ!
『クローズド・ノート』と同じく、大切な人の“存在”が物語を静かに動かしていきます。愛する人の不在をどう受け止めるか、その答えを優しく教えてくれる一作です。涙とともに心が洗われます。
世界から猫が消えたなら
この映画を一言で表すと?
“失って初めて気づく愛”が、静かに胸を打つ哲学的ヒューマンドラマ。
どんな話?
余命宣告を受けた青年が、「何かを消すことで命を1日延ばせる」と告げられ、世界からひとつずつ大切なものを消していく決断を迫られる。失うことの意味と、本当に大切なものに気づく旅。
ここがおすすめ!
『クローズド・ノート』のように、静かで内省的な物語の中で、自分自身と向き合うテーマが魅力。喪失から生まれる気づきや、人とのつながりの大切さを考えさせられます。
四月物語
この映画を一言で表すと?
“静寂と初恋のはざま”に揺れる、新生活を描いた珠玉の青春映画。
どんな話?
北海道から東京に出てきた大学生の少女が、新生活の中で淡い恋心を抱きながら、自分自身を見つめていく。わずか67分という短さの中に、春の空気感と優しさが詰まった作品。
ここがおすすめ!
『クローズド・ノート』と同じく、言葉少なに心の機微を描く作風が特徴。岩井俊二監督らしい映像の美しさと、優しく揺れる感情表現が心に染みます。観終わったあと、ふと手紙を書きたくなる映画です。
ツナグ
この映画を一言で表すと?
一度だけ“死者と再会”できる奇跡を描いた、涙のヒューマンドラマ。
どんな話?
“死者と一度だけ会わせる”役目をもつ少年が、さまざまな人の思いを受け止めながら、大切なものとは何かを学んでいく。死を通じて“生”を深く見つめ直す感動作。
ここがおすすめ!
大切な人に伝えられなかった想いを、静かに受け止めてくれる物語。『クローズド・ノート』と同じく、“誰かの記憶”と向き合う優しさが詰まっており、心の奥があたたかくなる一作です。
百万円と苦虫女
この映画を一言で表すと?
人生を“リセット”するために旅する女性の、小さな再生の物語。
どんな話?
とある理由で周囲とうまくいかなくなった女性が、「100万円貯めたら次の町へ引っ越す」というルールで全国を転々とする姿を描くロードムービー。移ろう土地と人間模様が描かれる。
ここがおすすめ!
『クローズド・ノート』のように、心の再生と“自分を見つける旅”がテーマ。蒼井優の繊細な演技が光り、静かに人生を見つめ直す時間をくれる映画です。派手ではないけれど、深く沁みる作品です。
みんなの感想・レビュー