『マトリックス』で国際的スターとしての人気を不動のものにしている俳優、キアヌ・リーヴスと、アカデミー賞ノミネート女優ウィノナ・ライダーが、4度目の共演を果たす。個性が強すぎて、引き際を失ってしまったこじれた男女を、一癖も二癖もある俳優2人組が、スパイスの利いた大人のラブストーリーに仕立て上げる。
映画『おとなの恋はまわり道』の作品情報
- タイトル
- おとなの恋は、まわり道
- 原題
- Destination Wedding
- 製作年
- 2018年
- 日本公開日
- 2018年12月7日(金)
- 上映時間
- 87分
- ジャンル
- ヒューマンドラマ
- 監督
- ビクターレビン
- 脚本
- ビクターレビン
- 製作
- エリザベス・デル
ゲイル・ライオン
ロバート・ジョーンズ - 製作総指揮
- ウェイン・マーク・ゴッドフリー
ジェームズ・ハリス
マーク・レーン
デビッド・ディナースタイン
ジェイソン・レスニック
ウィリアム・サドライエ
カシアン・エルウィズ
ジェーン・ワイマン - キャスト
- ウィノナ・ライダー
キアヌ・リーヴス - 製作国
- アメリカ
- 配給
- ショウゲート
映画『おとなの恋はまわり道』の作品概要
『マトリックス』シリーズで、世界を制した国際的スター・キアヌ・リーヴスと、『若草物語』のアカデミー賞主演女優賞候補となったウィノナ・ライダーが、4度目の共演に選んだ作品は、こじれた男女のこじれたラブストーリー。アメリカでもっとも幸せな都市と言われているカルフォルニア州はサンルイスオビスポの豊かな自然とのどかな街並みを背景に、確率論と運命論で対立をする男女がまさかの恋に落ちる。
映画『おとなの恋はまわり道』の予告動画
映画『おとなの恋はまわり道』の登場人物(キャスト)
- フランク(キアヌ・リーヴス)
- イケメンなのに、偏屈な性格のせいで恋人はできず、家族とも絶縁中のこじれた男。
- リンジー(ウィノナ・ライダー)
- 美人なのに、毒舌が止まらず、その口の悪さで人は寄ってこないくせに、運命の出会いを夢見ている。
映画『おとなの恋はまわり道』のあらすじ(ネタバレなし)
雄大な山々を背景に、集まった人々は並んでいる椅子に座り、美しく着飾った花嫁と花婿をお祝いする。人生のうちでもっとも輝けると言われている結婚式に、場違いな2人が招待されていた。
1人は、偏屈すぎてイケメンが台無しになっているフランク。彼は家族と絶縁していたはずなのになぜか招待状が送られ、無理やり結婚式に参加する羽目に。そしてもう1人は、常に毒舌が炸裂し、その口の悪さから美人顔が台無しになっているリンジー。彼女は、花婿の元婚約者であった。
式場のあるリゾート地へ向かう道すがら、そんな最悪の気分で出席することになっている2人が偶然出会う。出会った当初から口論が止まらない2人は、お互いが同じ結婚式に出席することを知る。そしてなぜか、ホテルでも食事テーブルでも隣同士と、顔のすぐ見える距離に配置されることに。
そうして口論を続けていくうちに、どこか憎めなくなり、なぜか心惹かれて始めていく。“おひとり様”歴が長すぎて、なかなか素直になれない大人のこじれた恋が、始まりを告げる。
映画『おとなの恋はまわり道』の感想・評価
まさかの26年前に結婚していた!?
2018年8月24日に全米公開を控えたキアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーは、合同インタビューを受けた際に、仲睦まじい姿を記者たちに披露している。そのインタビュー中に、記者も驚く仰天エピソードが語られた。
と言うのも、26年前の1992年に公開された映画『ドラキュラ』で、収録中にキアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーは結婚したというのだ。この発言は、ウィノナによって語られ、監督のフランシス・フォード・コッポラが収録の最中にルーマニア人の神父を実際に撮影現場に呼び、挙式を再現したとのこと。
当初全く身に覚えのなかったリーヴスは驚きの声を上げていたが、よくよく話を聞くと、「僕たち結婚しているじゃないか」とウィノナに続きジョークを飛ばした。ウィノナ自身は「まだ結婚していると思っている」と発言しているが、独身貴族を貫いているリーヴスと約30年にも及ぶ仲なだけに、あながち嘘ばかりでもなさそうだ。
ウィノナ自身も恋人がいるので、実際に2人の仲が進展することはないだろうが、これからも仲睦まじい姿をファンに見せて欲しい。
役10年ぶり4度目の共演
今から26年前1992年公開の映画『ドラキュラ』で、キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーは初めて映画共演する。この映画は、ゲイリー・オールドマン演じるドラキュラ伯爵とウィノナ・ライダー演じるヒロイン・ミナのラブロマンスがテーマになっている。
キアヌ・リーヴス演じる皆の婚約者ジョナサンと、ドラキュラ伯爵がミナを奪い合う物語は、胸躍る展開である。
それから14年後の2006年、2人はSFアニメーション映画『スキャナー・ダークリー』で再会し、続く2009年『50歳の恋愛白書』にて3度目の共演を果たす。2人が4度目の共演を果たす今作は実に10年ぶりとなり、今も変わらぬ仲の良さでファンを驚かせている。
今作は、脚本を気に入ったウィノナ・ライダーがキアヌ・リーヴスに脚本を送ったことで共演が実現したとのこと。これまで多くの作品を共にしてきた2人だからこそ、実現できる作品だとウィノナが思ってのことだったのかもしれない。
個性の強いキャラクターを、名役者が好演
自分の考え方を変えるのはとても難しい、だけれど、良い人生を送りたいと誰もが思っている。良い仕事や良い恋人や良い環境に恵まれたい、そんなふうに誰しも願っている。
しかし、人生を何十年と生きてきて、そうならない現実があることも理解している。いつまでも、夢見ているばかりの子供ではいられない。そうして、キアヌ・リーヴス演じるフランクは、多くの不幸や痛みをもたらす「愛」について目を瞑り、関わらないようにすることで自分を守って生きている。
一方のリンジーは、恋人に裏切られたことでこれまで信じていた「運命の恋」にさえ裏切られ、何もかも信じられなくなってしまう。それでもキチンと決別したいからと結婚式に臨み、更に凹む結果を生んでしまう。あまりに多くのことに期待を寄せ、多くを信じすぎるがゆえに、苦しみから抜け出せないでいる。
今更自分の生き方を変えることはできないけれど、それでももがきながら自分を守りながら生きている。そんな素直になれない大人たちに贈る、回り道をしながらのラブストーリー。
映画『おとなの恋はまわり道』の公開前に見ておきたい映画
ドラキュラ
キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダーの付き合いが始まるきっかけとなった、1992年公開のファンタジードラマ『ドラキュラ』。これは、ブラム・ストーカー作のゴシック・ホラー小説『吸血鬼ドラキュラ』が原作となっている。
この映画で、ウィノナ・ライダーは、ドラキュラ伯爵の亡き妻エリザベートに瓜二つのミナを演じる。キアヌ・リーヴスは、ミナの婚約者ジョナサンを演じ、ミナはドラキュラ伯爵とジョナサンの間で恋心が揺れ動くストーリー展開となっている。
ドラキュラ伯爵の正体を知ってしまったことで、ドラキュラ城に幽閉されていたジョナサン。しかし、恋人のミナを助けるために城から脱出し、仲間たちと結託して伯爵に戦いを挑む様は、惚れ惚れしてしまう程かっこいい。
日本の千葉真一の大ファンで、千葉真一の出ているアクション映画を見て研究し、アクション俳優として活躍していた頃のキアヌ・リーヴスは、鋭い眼光にキリっとした眉が印象的である。ヒロイン役のウィノナは、ハッとするほど美しく、ドラキュラ伯爵が愛した女性だと言われても納得してしまうクオリティだ。
詳細 ドラキュラ
シザーハンズ
ウィノナ・ライダーの名が世に知られるようになったジョニー・デップ共演の名作である。1990年公開され、純真無垢な心を持つ両手がハサミの人造人間エドワード(ジョニー・デップ)と、美しい心を持った少女キム(ウィノナ・ライダー)の、ファンタジーラブストーリー。
人間の手で作り出された人造人間のエドワードは、不器用ながらも植木を整え、氷の彫刻を掘り、人々を楽しませ助けになろうとする。だが、両手がハサミのため、事あるごとに人を傷つけてしまう人造人間を、人々はいつしか疎ましく思い化け物だと罵るようになる。
町中から忌み嫌われうる存在となっても、キムだけは変わらずエドワードを愛し、エドワードは変わらぬ思いを氷の彫刻に捧げる。人間と人造人間の間に芽生えた愛は、決して変わることなく2人の心に生き続け、クリスマスに雪を降らせ続ける。
ウィノナ・ライダーは、エドワードを愛するキムの役を好演し、更に、年老いて孫娘に人造人間の話を聞かせるおばあさんの役も務める。慈愛に満ち溢れているウィノナの演技が、多くの人の心に、温かな光を灯した作品である。
詳細 シザーハンズ
マトリックス
キアヌ・リーヴスの代表作と言えば、この映画を置いて他にはない。コンピューターに支配され、人間がコンピューターの動力のための培養体となっている世界。キアヌ・リーヴス演じるトーマス・アンダーソンは、コンピューターが造る仮想現実中で生活していたが、ある日、現実世界で目を覚ます。
そして、コンピューターから人々を開放するため、抵抗軍の一員としてコンピューターと闘うことを決意する。
この映画は、SF作品でありながらワイヤーアクションやバレットタイムなどビジュアルエフェクツも駆使し、その斬新な映像表現から「映像革命」とさえ言われている。日本のアニメでもある『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』や、『AKIRA』などもマトリックスに多大な影響を与えていると言われている。
更に、キアヌ・リーヴスは、アクションのためにジェット・リーの映画を研究したり、ブルース・リーの『燃えよドラゴン』に登場する「考えるな。感じるんだ」というセリフが、マトリックスに起用されたりと、多くの作品を参考に製作された。
詳細 マトリックス
映画『おとなの恋はまわり道』の評判・口コミ・レビュー
『おとなの恋は、まわり道』キアヌ・リーブスとウィノナ・ライダーの4度目の共演作は、恋愛に傷付いた者同士の会話劇で進行する。何度も共演し、息の合った2人だからこそ、劇中で繰り広げられる口論や毒舌の応酬はウィットが効いていて小気味よい。 https://t.co/ACu8HYPZOr
— 矢口晶一 (@tamagawajyousui) 2018年12月9日
おとなの恋はまわり道、すごい映画でしたねー。
セリフの量が半端ない!!
あれを全部覚えるのかと思うと俳優さんってスゴイ!
ワンカットずつ撮るなら、とかそんなレベルじゃないセリフ量。— えみly VanCamp (@egylime) 2018年12月9日
おとなの恋はまわり道
リゾート地の結婚式に招待されたこじらせ男女のドタバタラブコメ
登場人物は多数いるのに台詞があるのは主人公の2人だけという大胆な脚本!
キアヌとウィノナの皮肉たっぷりユーモア溢れる会話劇は最高だった
あのリズミカルなトークは長年の友人である2人だから成せる技なのかな pic.twitter.com/kOyJhGP7wL— oikawa (@o_atexgmtnnn) 2018年12月8日
「おとなの恋は、まわり道」、「ジョン・ウィック」のようにヒリヒリしたキアヌと、「ストレンジャー・シングス」のようにトゲトゲしたウィノナによるロマンチックコメディは、いい意味でちっともロマンチックでないところが面白かった! リンクレイターやロメール好きの方はぜひ。 pic.twitter.com/OZDuq05RUq
— Shinichi Ando (@andys_room) 2018年12月9日
”大人の恋は、まわり道”
ウィノナ・ライダー、キアヌ・リーブス、まるでお互いの傷に、マスタードを塗り込む様な、マシンガントークから、お互いしか頼る術の無い状況で訪れる変化。何時もは、颯爽としたキアヌが見せる、恋や変化への怯えに親近感を感じる。それでも、キアヌは、最高にカッコいい! pic.twitter.com/uWQHvtG2xp— 常山の住職 (@CinemaCLAIRfan) 2018年12月7日
映画『おとなの恋はまわり道』のまとめ
継続とは、大きな力を孕んでいるが、1つのことを継続することはとても難しいことである。今回、26年の長い年月の間、共に表現者として映画界をけん引してきた名俳優の10年ぶりの共演となり、それだけでこの映画の価値がいかに高いかを物語っている。ウィノナが脚本を気に入り、それをキアヌに連絡しなければ、成り得なかった映画であり、2人がこの26年の間、共に切磋琢磨し継続してきたからに他ならない。彼らの映画や役を愛する熱意が、映画を見る前から伝わってきそうである。
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