映画『幸せのレシピ』の概要:「幸せのレシピ」(原題:No Reservations)は、2007年のアメリカ映画。2001年のドイツ映画『マーサの幸せレシピ』のリメイク作品。監督は「シャイン」、「アトランティスのこころ」のスコット・ヒックス。主演は「エントラップメント」、「シカゴ」などのオスカー女優、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。共演に「サンキュー・スモーキング」、「ブラック・ダリア」のアーロン・エッカート。「リトル・ミス・サンシャイン」のアビゲイル・ブレスリン。「グリーンマイル」、「オール・ザ・キングスメン」のパトリシア・クラークソンなど。
映画『幸せのレシピ』 作品情報
- 製作年:2007年
- 上映時間:104分
- ジャンル:ヒューマンドラマ、ラブストーリー
- 監督:スコット・ヒックス
- キャスト:キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、アーロン・エッカート、アビゲイル・ブレスリン、パトリシア・クラークソン etc
映画『幸せのレシピ』 評価
- 点数:90点/100点
- オススメ度:★★★★☆
- ストーリー:★★★★☆
- キャスト起用:★★★★☆
- 映像技術:★★★★☆
- 演出:★★★★☆
- 設定:★★★★☆
[miho21]
映画『幸せのレシピ』 あらすじ(ストーリー解説)
映画『幸せのレシピ』のあらすじを紹介します。
ニューヨーク・マンハッタンのレストラン「ブリーカー22」で料理長を務めるケイト(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)は、完璧主義が過ぎて独善的で威圧的な態度が目に付くようになり、オーナーのポーラ(パトリシア・クラークソン)に忠告を受けセラピーに通っていた。ある日、姉が交通事故で亡くなったため、しばらく休暇を取り、孤児となった姪のゾーイ(アビゲイル・ブレスリン)を引き取る。休み明けに「ブリーカー22」へ向かうと、ポーラは副料理長としてニック(アーロン・エッカート)を雇っており、自分の城を踏みにじられたと思ったケイトはニックと衝突する。ケイトはプライベートでも心を開こうとしないゾーイへの接し方に頭を悩ませていた。彼女を夜遅くまで一人にさせておく訳にもいかず仕事場へ連れて行くと、ニックの機転によりゾーイは食事を取り始める。その日からゾーイは徐々に心を開き、彼女の要望によりケイトの部屋へニックを招いたことから二人の距離も縮まってくる。一方でケイトが休んでいる間に、ポーラはニックに正式に専属シェフにならないかと勧誘しており、それを知ったケイトはニックに激しく詰め寄り再び衝突する。その夜にニックからシェフになる話は断ったとケイトに電話が入る。翌日ニックが家に来ることはもうないと告げられたゾーイは、ショックを受け行方をくらましてしまう。慌てたケイトはニックに連絡し二人でゾーイを探したところ彼女は母の墓にいた。落着きを取り戻したケイトに、サンフランシスコで総料理長となるとニックは話した。再び厨房はケイトの世界へと戻ったが、自分がニックを必要としていることに気付き、彼の部屋へ引き留めに向かった。しばらくして、ケイトとニック、そしてゾーイのレストランが開店し、そこには仲睦まじく働く3人の姿があった。
映画『幸せのレシピ』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)
映画『幸せのレシピ』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む
個人的にはキャサリン・ゼタ=ジョーンズの方が好き
ドイツ映画『マーサの幸せレシピ』の主人公役をマーサを演じたマルティナ・ゲデックは、”鉄の女”というようなイメージが強かったが、本作のキャサリン・ゼタ=ジョーンズ演じるケイトは、ちょっと柔和なイメージがあって本家のマーサよりは観やすくなっている。ストーリーはほぼ同じだが、少し暗めのドイツの風景とニューヨークの風景を比べれば、本作の方がしっくりと馴染んでくるが、観る人により好みは分かれるところだろう。ゾーイを演じる子役も本作の方が子供らしく可愛気がある。しかし映画の空気感というところでは本家の方が勝っており、同じ内容の作品でも、制作国と役者と監督によってこうも違うんだと実感してしまった。作品的にどちらが好きというところの選択肢よりも、役者で観るなら本作を選択するという感じである。
アメリカンテイストの幸せレシピ
リメイクはオリジナルに敵わないというのが定説だが、本作に限ってはそうとは言い切れない。本作では母を事故で失ったゾーイの立ち直りが少々早く、そこからの展開に幸せ感が増しており、映画のタイトルに似つかわしいアメリカ映画らしい部分で好感が持てる。背景に流れる音楽でも作品のイメージは違ってくるが、本作は意図的に万人受けするような、明るい音楽が取り入れられているような感じも受ける。一方マーサの方はキース・ジャレットのピアノが流れるなど格調が高い。とにかく両者ともに良い作品なので、比べる事なく時間を空けて交互に鑑賞すれば良いだろう。
なにかと加減が丁度良い一本。
まず主人公はちょっとしたセレブ、生活もきらびやかで然るべきだがその加減がほどよく嫌みがない。母親を事故で失ってしまう女の子も、ほどよいタイミングで立ち直ってくれるので重くなりすぎない。恋人役とのあれやこれやも過不足なく、終始安心して観ていられるのだ。それでいて映画に必要な感情の上下は一通り味わえるし、オチも予想通りではあるがチャーミング。これを観て人生が変わったという類の映画ではないが、身構えずに見始めて2時間楽しんで気分爽快。文句なし。(男性 40代)
この内容なら姪の登場はいらなかったのでは……と思ってしまった作品です。姪とケイトがギスギスするシーンが長く、頭が痛くなります。姪のゾーイも初日からあんなに遠慮せず自己主張が強いのか……と意外でした。
一方、ニックは包容力のある男性として描かれていて、何も食べなかったゾーイにさりげなく自分の料理を持たせておいて食べさせるシーンはかなり印象的でした。
料理のシーンも美味しそうですが、ニックはケイトをどのあたりで好きになったのか、終わりの方でなぜゾーイがいきなり家出したのか、このあたりの描写が弱い気がしました。(女性 30代)
とにかく大好きな今作。どんな映画を見ていても、このキャストはあんまり…とかストーリーがいまいち…なんてことがあると思いますが、今作は全てにおいてちょうどいいです。
突然子育てをしなければいけないなんて、子供が嫌いな私にとっては想像も出来ないのでケイトが苦悩する様子が物凄く共感出来ました。しかし、ニックの登場により少しずつ歯車が噛み合って、ゾーイとの関係もニックとの関係も良い方向に進んでいくのが、見ていて本当に幸せな気持ちになりました。
オチはだいたい予想がつきますが、だからこそ安心して見られる作品だと思います。(女性 30代)
母の死を受け入れ、叔母のケイトの気持ちも理解しようとするゾーイが健気でした。
ケイトやリックとの仲が深まっていくうちに「ママを忘れそう」と涙を流す姿にはたまらなくなります。
仕事のときは頑固で我を通すケイトも、ゾーイとはきちんと向き合っていて愛情が感じられました。心が温かくなる素敵な作品でしたが、ひとつ気になったのはリックのケイトに対する思わせぶりな態度。女性慣れしていて軽い男に見えてしまい、残念でした。(女性 40代)
映画『幸せのレシピ』 まとめ
美味しい料理というものは何よりも魅力的であり、食事や料理のシーンというのは映画の中でもさりげなく取り入れられながらも、一種の見せ場として昔から多く採り上げられてきた題材である。その魅力的な場面に恋愛と子供が絡んでくれば、主人公がどんな役者であろうと悪い映画になるはずがないという見本のような作品。レストランという職場の日常に起こる、さりげない物語を巧みにドラマに仕立てた肩肘張らずに観ていられる秀作である。取り立てて料理の世界の裏側を大袈裟に誇張する表現もなく、お洒落な部分も鼻につかない程度に淡泊に仕上げられたところは、女性向きの内容というニュアンスでなく男性にも楽しめる雰囲気で好感が持てる作品である。
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