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映画『風に立つライオン』あらすじとネタバレ感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『風に立つライオン』の概要:さだまさし原曲・原作『風に立つライオン』を基に、主演にはさだまさし作品の常連、大沢たかおが好演。監督にはVシネマ出身で、代表作『藁の盾』『クローズZERO』『悪の教典』と言った日本のアクション映画が得意な三池崇史。国際医療に従事する若き青年医師の視点から描かれる、切迫した医療現場の実情が垣間見える。

映画『風に立つライオン』 作品情報

風に立つライオン

  • 製作年:2015年
  • 上映時間:139分
  • ジャンル:アクション、ヒューマンドラマ
  • 監督:三池崇史
  • キャスト:大沢たかお、石原さとみ、真木よう子、萩原聖人 etc

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映画『風に立つライオン』 評価

  • 点数:75点/100点
  • オススメ度:★★★★☆
  • ストーリー:★★★★★
  • キャスト起用:★★★★☆
  • 映像技術:★★★☆☆
  • 演出:★★★☆☆
  • 設定:★★★★☆

[miho21]

映画『風に立つライオン』 あらすじ(ストーリー解説)

映画『風に立つライオン』のあらすじを紹介します。

2011年3月。あの東日本大震災に見舞われた年。被災地に一人の黒人青年がこの地に降り立った。津波で奪われた街並み。残されたのは瓦礫の山。その山の間を縫って歩く黒人青年。

24年前の1987年。日本人青年が日本の病院からケニアにある研究所に派遣されて来た。彼の名は島田航一郎(大沢たかお)。彼は、誰よりも優秀で知的で努力家。その反面、誰も寄せ付けないオーラを持ち合わせていた。派遣早々、彼はケニアの別の場所にある赤十字病院への派遣を命じられる。そこは、内紛で傷ついた多くの兵士の傷の手当を行う野戦病院。専ら、ほとんどの手術は、麻酔の出来ない深い傷を負った手や足の切断手術だった。また、この病院に送られてくる兵士の半分以上は、戦争で傷を負った少年兵士がほとんどだった。そんな凄惨な現場に赴任した航一郎と彼の同僚・青木克彦(萩原聖人)は、面食らうばかりだった。また日本人医師2人に看護師として草野和歌子(石原さとみ)が合流する。仕事の出来る航一郎と和歌子は、初めこそ事あるごとに衝突ばかりしていたが、航一郎の熱心な姿勢に、心動かされる和歌子であった。そんなある日、戦場で大傷を負った黒人少年ンドゥングが運び込まれる。頑なに航一郎の治療を拒否し、他の子どもと比べ心を開こうとはしない。彼は身体に負った傷以上に、心に負った傷があまりにも深かった。

アフリカ・ケニアを訪れる前、航一郎は故郷、長崎にある大学病院で医師として勤務していた。若い医師でありながら、手術の腕はよく、その頃から1000を超える手術をしてきた将来有望な医師の一人であった。日本にいた頃の彼には、恋人と呼べる女性がいた。彼女の名は秋島貴子(真木よう子)。彼女は、島医者を勤める父親の元に一人娘として生まれた。航一郎との関係性は順調だったが、ある日彼からこんな提案がされた。それは、航一郎と共に、アフリカに来て欲しいとのことだった。それは、逆に彼からのプロポーズでもあったが、貴子は一人悩んでいた。折しも、ほぼ同時期に、父親が脳梗塞で倒れ、島医者を続けられるかどうかの、瀬戸際だったのだ。貴子は父親を心配し帰郷した時、島全体が悪天候に襲われ、翌朝には診療所には多くの負傷した多くの島民で溢れかえっていた。その光景を見た貴子は、決意するのだった。その後、市内の大学病院に戻り、航一郎とアフリカには行けないこと、父親の跡を継ぐことを告げ、2人は別々の道を歩むことになった。

航一郎のアフリカでの国際医療のボランティア活動は順調だった。期間限定の赤十字病院の従事を終えて、最初の研究所に戻った彼だったが、野戦病院で経験したこと、その時の躍動感、そして唯一心を開いてくれなかった元少年兵士のンドゥングのことが忘れられなかった。航一郎は志願して、もう一度赤十字病院に戻るのであった。そんなある年のクリスマス。こんな辺鄙な場所にもサンタクロースが訪れました。それは、航一郎自身だった。子どもたち一人一人にプレゼントを贈り、職員には至福の一時を贈る航一郎は、最後に一番気に掛けていたンドゥングに玩具の拳銃を贈った。凍り付く空気に、彼は航一郎にポツリポツリと語り始めた。自身の身の上を。父親は教師、母親と姉がいたが、彼の目の前で家族全員が殺されたことを。そして彼自身も拉致られ、少年兵士にさせられ、人を殺すように教育された。過去に人を9人殺したと。航一郎はそんな彼にこう言い聞かせました。『人を9人殺したなら、一生懸命生きて10人の命を救え』と。彼の言葉を聞いて、ンドゥングの心は大きく変化しました。それは、航一郎のように医師になりたいと。

ある日、近くの村に診察に行きたいと野戦病院を出た航一郎。道中、武装した民間兵士に呼び止められた。アフリカ人を助ける日本人医師は、彼らから見れば、いわば敵。航一郎は銃撃戦に遭遇してしまった。同行していた現地のアフリカ人が目を覚ました時、彼の姿はどこにもなかった。彼の血溜りが道の向こうまで続いてはいるが、航一郎の遺体は見つからなかった。

映画『風に立つライオン』 感想・評価・レビュー(ネタバレ)

映画『風に立つライオン』について、感想・レビュー・解説・考察です。※ネタバレ含む

命のバトン、あなたは誰に渡しますか?

本作『風に立つライオン』が日本のアーティスト、さだまさし氏の代表作の一つ。実在した日本人医師、柴田氏をモデルにした楽曲『風に立つライオン』を基に制作されました。曲の内容は、元恋人から数年ぶりに届いた手紙への返答を中心に、現地での経験、患者、医師として、そして一人の人間としての心情が、感傷的に綴られています。その曲に感銘した一人の俳優がいます。それが、本作で主演を演じた大沢たかお氏だそうです。きっかけ曲を聴いた同氏が感動し、さだまさし氏に小説化を直談判したところから、映画化への動きがあったそうなのです。小説が完成し、映画化の動きが本格化し、監督を担当するのが三池崇史と決まり、主演の大沢たかおを中心に、日本を代表する新旧ベテランの役者が集められ、ここに一つの映画作品が出来上がりました。一つの曲が、映画作品として公開されるまで、実に30年余りの時間を要しました。

医師・柴田紘一郎氏が蒔いた種を、その種を受け取ったさだまさし氏が楽曲にし、その曲を聞いた大沢たかお氏が、その種を育て一本の木に、そして監督の三池崇史氏を初めとする制作陣並びに俳優方がその木に実を付けました。命のバトンと言う小さな種が、多くの人との関わりで、壮大なストーリーに仕上がりました。次にそのバトンを受け取り、そのまた次に引き渡してゆくのは、他でもない私たちなのでしょう。私たち観客がこの作品を観て、何を想い、何を感じ、それをまた次の人にどう伝え、繋いで行くのでしょうか?それが私たちに託されたバトンなのです。

映画の中でのバトンは、医師・島田航一郎の命のバトンは、少年兵士でもあったンドゥングに渡され、そして数十年後、青年医師になったンドゥングが東日本大震災の場所に訪れ被災した一人の少年に話し掛けます。こうして、一つ一つのバトンが次の、そして次の世代、時代、そして国境を越えて受け継がれてゆくのです。映画の最後に、航一郎の幼少時代が語られます。彼の誕生日の日、プレゼントは約束したオモチャのプラモデルのはずが、手渡されたモノはある伝記書だった。それは、アフリカ医療に生涯を捧げた医師・シュヴァイツァーの本でした。劇中、航一郎は医師を目指すきっかけを話します。それは、シュヴァイツァーの本に触れたことから、彼が医師を目指すきっかけを与えたのです。その種を蒔いたのは、他でもない彼のご両親なのです。その点に、私は深く感動し、感銘を受けました。こうして、親から子へ、その子どもが成人し、多くの人間にそのバトンが渡ってゆくその出所が、彼の親と言うことに対し、親への感謝と尊敬の念を抱きました。


三池崇史はこんな素敵な作品も撮れるのかと正直驚きました。彼といえば『クローズZERO』などの激しい喧嘩やアクションシーンがふんだんに盛り込まれた過激な作品が得意なように思っていましたが、今作は彼のイメージとは真逆の「命」の重さや人の強さを描いています。
大沢たかおが演じた島田先生が本当にイメージにピッタリで、彼以外にこの役を演じられる俳優はいないだろうと感じます。優しさと強さを持った彼の生き方や行動、全てが周りの人、そしてンドゥングの気持ちを変えたのでしょう。
東日本大震災でンドゥングが日本にという設定は少しやりすぎな気がしましたが、実在の医師をモデルにした作品であることを考えると、非常にリアルで心に残るストーリーでした。(女性 30代)


さだまさしの楽曲『風に立つライオン』が好きで何度も聴いていたので、映像化した物語をいざ見てみると、一際深く心に沁み入りました。紘一郎が多用していた「大丈夫」という言葉は、人を励まし、希望をもたらす金言かもしれません。自分も周囲の人に、こんな風に声をかけたいと思いました。感染症は勿論、地雷等沢山のリスクがあるにも関わらず、真摯に医師の仕事を全うされた紘一郎先生。この映画を通して、後世に語り継がれることでしょう。(女性 30代)

映画『風に立つライオン』 まとめ

初めて、この作品が映画化されることを知ったとき、胸躍りました。好きなアーティスト・小説家、好きな楽曲、好きな役者、一体どんな作品が生まれるのか楽しみでした。ただ監督を務めるのが、三池崇史と知った時、正直不安でなりませんでした。彼はVシネマ出身で、得意ジャンルはアクション、任侠、ホラー、刑事モノ。本作『風に立つライオン』とまったく真逆の作風ばかりを作る監督に、この映画は成功するのだろうか、疑心暗鬼でした。近年も『藁の楯』がカンヌ国際映画祭で酷評されたばかりであって、どうしても監督に対する不安は拭えませんでした。

公開初日に観に行き、思ったことは実によく出来た素晴らしい作品でした。あの三池崇史が、これを撮ったとは思えません。銃撃戦など、アクションシーンは彼らしい得意な撮り方、それ以上に日本人が抱くアフリカのイメージを見事スクリーンに反映させている点は、一見する価値のある良作です。まだ観てない方は、一度観ることをオススメしたいです。

ただ映画として無理矢理感は否めない。東日本大震災を持ってくるあたりや、主人公を死なせてしまうあたりは、少し許せない箇所もあるが、伏線もしっかりしていて、映像も美しかったので、その点は目を瞑れば、素晴らしい作品でした。

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