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映画『ヒポクラテスたち』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ヒポクラテスたち』の概要:医者を目指す学生達の苦悩や奮闘を描いた青春映画。主人公は医大の最終学年で臨床実習へ入る。だが、彼の恋人が妊娠してしまい悩んだ末に堕胎。それぞれに苦悩や問題を抱えながらも、医者を目指す様が描かれている。

映画『ヒポクラテスたち』の作品情報

ヒポクラテスたち

製作年:1980年
上映時間:126分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:大森一樹
キャスト:古尾谷雅人、伊藤蘭、光田昌弘、狩場勉 etc

映画『ヒポクラテスたち』の登場人物(キャスト)

萩野愛作(古尾谷雅人)
医学生だが、自信がない。8年付き合っている恋人が妊娠してしまい、思い悩んだ末に堕胎を決意。座学は優秀で外科医向きだが、実習は苦手。恋人の堕胎について罪悪感を深め、精神に異常をきたしてしまう。
河本一郎(光田昌弘)
産婦人科医院のドラ息子。ノリの軽い男でみどりといい仲になるも、そこに愛はない。大学卒業後は同大学付属病院の泌尿器科へ入局する。
王龍明(西塚肇)
野球が大好きで甲子園へ行くのが夢。性格は温厚でノリも良い。卒業後は地元へ戻り、地元の病院の整形外科に入局。高校野球部の付き添い医師として甲子園へ行く夢を叶える。
加藤健二(榎本明)
医学生だが、唯一妻帯者でチームの中では最年長。とても物知りで優秀。卒業直前に第3子が誕生し、その年の国家試験には落第。秋の試験へ向けて勉強中。
大島修(狩場勉)
真面目な性質で勉強家。正義に厚い人物で信念を持っている。卒業後は産婦人科へ入局する。
木村みどり(伊藤蘭)
チームの紅一点。優等生然としており、勉強熱心。人の生と死に関わる資格があるかどうかで悩み、試験中に退学届けを出す。その後、睡眠薬を大量に摂取し自殺してしまう。

映画『ヒポクラテスたち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ヒポクラテスたち』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ヒポクラテスたち』のあらすじ【起】

洛北医科大学付属病院に併設された洛北医科大学。そこには医学の礎を作った医学者ヒポクラテスを目指し、医学生たちが日夜、勉強に励んでいる。最終学年6回生である荻野愛作は座学の点数はほぼ満点であるものの、実習となると話は別でいまいち自信がない。

医学生の最終学年では臨床実習を行う。学生は6~7人のチームに分けられ、1週間毎のローテーションで各科を回り実習に臨むのだ。愛作のチームにはやる気のない河本一郎、野球青年の王龍明、唯一妻帯者で年長の加藤健二、真面目な大島修、紅一点の木村みどりがいた。そして、彼らが今週行く科は産婦人科。

医学生はまず患者の予診を行い、ある程度の病名をカルテに書き込む。そのためには患者から受診の動機や身体の状態など事細かに質問をして、果てにはパートナーとの性生活についても聞かなければならない。全ての状況を把握した上で予診するのである。

愛作には恋人がいたが、彼女はどうやら妊娠した様子。だが、病院の診察に不安を覚え月経予定日から4カ月も経過していた。
彼は現在、大学の寮に住んでいる。寮には18歳から29歳までの学生が住んでおり、それなりに厳しいルールが課せられていた。寮生は現在8人おり毎月、医学についての討論会議を行う。会議はいつも堂々巡りで終わりが見えず大概、長時間かかるため、疲れ果ててしまうのであった。

産婦人科での実習に合わせ、触診や出産の手順、出産時の赤子の引っ張り方など、人形や医療器具を使って練習する。そんな中、愛作は恋人のために妊娠検査薬をこっそり入手。当時は病院でなければ、妊娠検査ができなかった。
帰宅後、説明書を見ながら恋人の尿で検査。妊娠していることが判明する。

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映画『ヒポクラテスたち』のあらすじ【承】

診察の見学にて、高校生の女の子が妊娠を聞かされその場で堕胎を願い出た。このことで、休憩中にチーム内で討論が展開される。女の子の恋人は柄の悪い青年だったため、妊娠、堕胎はいかがなものかと考えさせられるのであった。

その話について愛作は口を出すことができない。なぜなら彼は恋人を妊娠させた上に堕胎させてしまったからである。罪悪感は尽きないが、自分が親になるなど考えられないし、責任を負う自信がなかった。

患者には様々な人がいる。その日、大島は背中に絵が入った男性から髄液の採取を行った。色々な意味で緊張してしまい汗が止まらない。
実際の手術の様子も見学させてもらえる。執刀医の手際の良さや、手順には学べるものが多く、医学生たちは見ているだけで疲れてしまう。
見学でこれだけ疲れるのに、実際に執刀したらどれだけの疲労なのだろうかと思わずにいられない。

術後、休憩していた学生達の元へ執刀を行った教授がやって来る。先生はぐったりしている学生達へ医者にはプライベートも労働時間も見境がなくなる。執刀での失敗や誤診などしてしまえば今の世の中、すぐに訴訟になる。若い内は体力で勝負するしかないのだから、しっかりしろと叱責するのだった。

堕胎して以来、恋人と連絡が取れなくなってしまう愛作。寮生は医療訴訟問題についてのデモに参加するなど、忙しくしている。彼もまた、勉強の合間にデモへ参加するようになるのだった。

映画『ヒポクラテスたち』のあらすじ【転】

そんな時、寮生同士で反対運動に参加することと、医者になるということに対して、意見が対立し騒動が起こる。愛作は寮から逃げ出し、恋人の家を訪ねた。すると、彼女は熱に浮かされ腹部の痛みを訴えていたのである。堕胎後から不正出血が続いていたと言う。自分の病院へは行きたくないだろうと考え、実家が個人病院である河本に助けを求めた。

河本は産婦人科病院のドラ息子だったが、いつしか病気と戦い続ける父親を尊敬し、医者を目指すようになったと言う。彼の新たな一面を垣間見た愛作。
翌日、愛作の元に18歳の医学生がやって来る。彼は昨夜、年上の医学生と殴り合いの騒動を起こした張本人である。彼は愛作に部屋の鍵を預け、外の世界を見て来ると言いそれっきり寮から姿を消した。

河本病院に入院していた恋人を父親が迎えに来て、故郷へ帰ることになった。彼女とは高校から8年の付き合いである。父親は愛作に対しとても友好的で、医者になったら地元に戻って活躍して欲しいと笑みを見せた。別れ際、恋人から手紙を受け取った愛作。手紙には故郷に戻ったら、もう二度と京都には来られないだろう。堕胎のことはあまり気にせず、勉強を頑張れと書いてあった。

そんなある日、18歳の医学生が東京集会のデモで逮捕されるという事態が発生。研修中であった愛作が急遽、呼び出され預かっていた鍵で部屋に入り整理をした。家宅捜索が行われるからである。愛作は彼が逮捕される原因になったのは、対立していた医学生が責め立てたからだと怒りを顕わにする。2人は殴り合いの喧嘩をしてしまうのだった。

映画『ヒポクラテスたち』の結末・ラスト(ネタバレ)

数日後の夜、救急医療の見学にみどりとやって来た愛作。急患が来たら呼ぶとのことで、仮眠室へ通される。先週の見学の時は酷い事故があり騒然としたらしい。だが、この夜はとても静か。2人は他愛無い会話で時間を過ごした。そして、朝方になりようやく急患がやって来る。しかし、運ばれて来た患者は呼吸停止の状態で、蘇生も虚しく死亡してしまうのだった。医者により死亡確認が取られた直後、みどりは倒れてしまう。

チームは内科の週に突入し、胃がん患者の診断を行う。救急医療の見学以来、みどりの様子がどこかおかしい。元気のない彼女は、どれだけ人の死を見るのだろうかと呟く。そして、彼女は王と愛作にだけ悩みを打ち明ける。みどりは自分が、他人の生と死に関わる資格があるのかどうかを思い悩んでいたのだった。

臨床実習も終わり、医師国家試験に向け勉強に打ち込み始めた愛作。大学を卒業できるか自信がないと言っていた彼だったが、試験勉強は真面目に行う。そんな中、他の寮生に誘われ息抜きに食堂へ。愛作はそこで、新聞に掲載された産婦人科の事件に瞠目した。

その産婦人科は無免許医が診察や手術を行っていたらしい。愛作も電話帳からこの産婦人科を選び、恋人に堕胎手術を受けさせた。無免許医なのだから、術後に異常をきたすのは当然のことだったのである。罪の意識に苛まれた愛作は、涙ながらに恋人の実家へ電話を入れ、責任を取って彼女と結婚すると言い出した。彼はそのまま、意識を失ってしまう。

しばらく後、意識を取り戻した愛作は壁にかけてある白衣を目にし、眩しいと呟く。そして、白衣を手にすると黒色のマジックペンで黒く塗り潰してしまうのだった。
そのまま、白衣を身に着け大学へ。チームの仲間と喧嘩騒ぎを起こし錯乱状態となった彼は、安定剤を注射され拘束されるのだった。

1年後、精神科へ入院を余儀なくされた愛作は、精神科医になった同窓生が担当となり、安定した状態で過ごしている。その2か月後、彼は大学へ復学。翌年の春、無事に大学を卒業するのであった。

映画『ヒポクラテスたち』の感想・評価・レビュー

医大生であった大森一樹監督の実体験を元に学生達の懊悩や奮闘を描いている。今や大物俳優と呼ばれる俳優たちがキャスティングされており、主人公は2003年に自殺した古尾谷雅人が演じ、初の一般作出演を果たした。他にも元キャンディーズ伊藤蘭の復帰作でもある。

現在の医療はもっと発展しているだろうが、作中で紹介されている実習内容で変わらない部分もあると思われる。人の生と死に密接に関わる医者として、どうあるべきかを問い、医術会の在り方や訴訟問題をも取り上げている。(MIHOシネマ編集部)

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