この記事では、映画『羅生門』のあらすじをネタバレありの起承転結で解説しています。また、累計10,000本以上の映画を見てきた映画愛好家が、映画『羅生門』を見た人におすすめの映画5選も紹介しています。
映画『羅生門』の作品情報

上映時間:88分
ジャンル:ヒューマンドラマ、サスペンス、ミステリー
監督:黒澤明
キャスト:三船敏郎、京マチ子、志村喬、森雅之 etc
映画『羅生門』の登場人物(キャスト)
- 多襄丸(三船敏郎)
- 悪名高い女好きの盗賊。森で出会った夫婦を襲い、夫を縛り上げて妻を手籠めにする。
- 真砂(京マチ子)
- 夫と共に旅をしている途中、森の中で多襄丸に襲われる。多襄丸には気性の激しい女と評されていたが、本人の証言の中では弱々しい一面が強調されていた。
- 金沢武弘(森雅之)
- 旅の途中に出会った多襄丸に山の奥まで誘い出され、縛られる。その後、目の前で妻を手籠めにされた。死体で発見されたが、巫女の口を借りて証言を行った。
- 杣売り(志村喬)
- 男の死体の発見者として検非違使に呼ばれ、証言する。実は事件を目撃していたが、巻き込まれるのを避けるため黙っていた。
- 旅法師(千秋実)
- 旅をする夫婦の様子を目撃していたため、検非違使に呼ばれた。3人と杣売りの証言を聞き、人間不信に陥る。
- 下人(上田吉二郎)
- 雨宿りをしに羅生門を訪れる。そこで杣売りと旅法師から検非違使の庭で起きたことを知らされた。捨てられた赤ん坊の着物を剥いで羅生門を去った。
映画『羅生門』のネタバレあらすじ(起承転結)
映画『羅生門』のあらすじ【起】
雨が降りしきる中、羅生門の下で杣売りと旅法師が考え込んでいる。雨宿りをしにきた下人が訳を尋ねると、2人は不思議な話をし始めた。
森の中で、とある夫婦と悪名高い盗賊の多襄丸が出会った。多襄丸は夫の金沢を縛り上げ、妻の真砂を手籠めにする。その後、金沢は死体で見つかり、真砂が所持していた短刀は持ち去られていた。検非違使による取り調べで、多襄丸と真砂、そして巫女の口を借りることで金沢がそれぞれ証言を行った。だが、その証言は3人の間で大きく食い違っているのだった。
多襄丸は、金沢を殺したのは自分だと得意げに言い放った。真砂を手籠めにしたあと、多襄丸はその場から去ろうとした。すると後ろから真砂が追いかけてきて、このようなことになったからにはどちらかに死んでほしい、生き残った方に連れ添うと言った。多襄丸と金沢の太刀打ちが始まり、多襄丸が勝利した。しかし、恐れをなしたのか真砂は馬を残していなくなっていた。真砂の気性の激しさを気に入っていた多襄丸はそれに落胆し、探そうともしなかった。短刀の行方はわからないという。
映画『羅生門』のあらすじ【承】
次に証言をしたのは真砂だった。多襄丸は真砂を手籠めにすると、自分が悪名高い多襄丸であることを明かし、金沢を嘲るように笑った。真砂はすぐに金沢のところへ駆け寄ろうとしたが、多襄丸に張り倒される。そして、多襄丸は狂ったように笑いながら去っていった。
真砂は起き上がり、泣きながら金沢に抱きついた。それから金沢の目を見ると、真砂への蔑みで満ちていた。その目に恐ろしさを覚えた真砂は、短刀で金沢の縄を切り、殺してほしいと頼んだ。金沢は尚も真砂に軽蔑の眼差しを向けている。錯乱した真砂は、その場で気を失った。
目を覚ますと金沢の胸に倒れ込んでいて、そこには短刀が刺さっていた。恐怖のあまり、真砂は無我夢中で森から逃げた。気が付くと池のほとりに立っていた。真砂は池に身を投げて自殺を図ったが、失敗に終わる。それ以外にも試したが、死に切れなかった。
最後に、巫女に憑依した金沢が話し始めた。真砂を手籠めにし、多襄丸は自分と一緒にならないかと誘った。すると真砂はうっとりとした目で多襄丸を見つめた。その顔は金沢が今まで見たことがない程美しかった。真砂は承諾するも、夫を殺してもらわなければ一緒には行けないと述べた。これには多襄丸も唖然とし、真砂を地面に倒して足で踏みつける。多襄丸は、真砂を殺すか助けるかを金沢に選ばせようとした。このとき金沢は多襄丸を許してもいいと思った。
真砂は隙をついて逃げ出し、多襄丸もそれを追っていった。しばらくして多襄丸だけが戻ってきて、金沢の縄を切って解放した。多襄丸が去ってからも、金沢はそのまま留まっていた。気が付けば涙を流していた。真砂が置いていった短刀を手に取ると、自分の胸に刺した。薄れゆく意識の中で、誰かが近付いてきて短刀を引き抜くのがわかった。
映画『羅生門』のあらすじ【転】
以上が検非違使の庭で旅法師と杣売りの2人が見聞きしたことであった。実は杣売りも一連の流れを目撃していたが、関わり合いになるのを避けるため証言していなかった。下人に詰め寄られ、杣売りも自分の見たことを話し始める。
森の中を歩いていた杣売りは、市女笠を見つける。もう少し進むと女の泣き声が聞こえてきて、木々の間から覗くと、縛られた金沢と泣いている真砂と多襄丸が見えた。多襄丸は地面に手をついて、妻になってほしいと真砂に頼み込んでいた。自分からは何も言えないと答えると、真砂は夫の縄を解いた。多襄丸は男同士で対決して決めようと、金沢に太刀打ちを申し込む。しかし、金沢はこんな女に命を賭けたくない、望むならくれてやると言った。
しばらく黙っていた多襄丸がその場から去ろうとすると、真砂が追い縋った。多襄丸は拒絶し、真砂は突っ伏して泣き続けた。それから急に笑い出し、男たちの意気地のなさを詰った。そして、多襄丸と金沢は太刀打ちを始めた。いざ対決が始まると、真砂は怯えだした。金沢は徐々に多襄丸に追い詰められていき、太刀で胸を刺された。勝利した多襄丸は真砂に手を差し伸べる。しかし、恐れをなした真砂は逃げていった。不本意そうな多襄丸も、太刀を2本持って去っていった。
映画『羅生門』の結末・ラスト(ネタバレ)
自分に都合の良いことを真実とする人間の恐ろしさに、杣売りと旅法師は打ちひしがれていた。すると、赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。門の裏側に回ると捨てられた赤ん坊がいた。下人は赤ん坊に駆け寄り、肌着だけを残して着物を剥ぎ取る。杣売りがそれを非難すると、下人は杣売りが短刀を盗んだのに隠していることを指摘し、盗人呼ばわりするなと憤慨した。旅法師は赤ん坊を胸に抱き、さめざめと泣いていた。下人は土砂降りの中へ飛び出していった。
残された2人はしばらく立ち尽くしていた。ふいに杣売りが赤ん坊に手を伸ばすと、旅法師は肌着まで剥ぐつもりかと責めた。杣売りは、自身に6人の子供がいて、1人増えるくらいでは負担が変わらないため引き取るつもりだったと弁明する。旅法師は疑心暗鬼になっていた自分を恥じた。今日という日はそうなっても仕方がないと、杣売りが慰める。おかげで人間への信頼を取り戻した旅法師は、羅生門を去っていく杣売りの後ろ姿を見守った。
映画『羅生門』の感想・評価・レビュー(ネタバレ)
この作品では、当事者が3人共証言を行っている。しかし、もしも1人しか証言ができない状況であれば、その話が信じられてしまうのかと思うと怖くなった。3人は意図的に話を作り変えているが、おそらく無意識のうちに自分に都合が良いように話している部分もあるだろう。意図的なのも悪質だが、本人すら気が付かないうちに変えられてしまう真実があるというのも恐ろしいことだと思った。最後のシーンで赤ん坊を引き取ると言った杣売りの言葉は、果たして本当なのだろうかと見終わってからも考えてしまう。(MIHOシネマ編集部)
平安の世はその名に沿わず人間のエゴが蔓延し、人の死の真相も自分の都合に真実をゆがませようとする。
そこに最早、男も女も死者も関係がないのが恐ろしい。
誰も信じられなくなりそうな中で、最後、杣売りが羅生門に捨てられた赤ん坊を連れて帰る。このシーン、「本当に杣売りはこの赤ん坊を育てるのか」と不安に思うかもしれないが、私は最後の最後で、少なからず人間の持つ真心を示してくれたと信じたい。(男性 20代)
同じ事件を複数の視点で語る構成が非常に斬新で、誰の証言も信用できない不安感が最後まで続いた。多襄丸、妻、そして死者の証言まで食い違うことで、人間の自己正当化の怖さが浮き彫りになる。真実が分からないまま終わるかと思いきや、最後に木こりが赤ん坊を引き取ることでわずかな救いが示される点が印象的だった。(30代 男性)
人間の弱さや見栄がここまで露骨に描かれている作品だと思った。登場人物全員が自分を良く見せようとして証言を歪めているのが分かり、誰一人として完全に信用できない。だからこそ最後の木こりの行動が救いになっていて、少しだけ希望を感じられた。(20代 女性)
シンプルな事件をここまで複雑に見せる構成に驚いた。証言が食い違うことで、観る側が真実を考え続ける仕組みになっている。結局、何が本当だったのか分からないが、それこそが人間の本質を表しているのだと感じた。(40代 男性)
映像表現も含めて非常に完成度の高い作品。森の中の光の使い方や構図が美しく、物語の不安定さを強調している。ラストの赤ん坊のエピソードがなければ、完全に絶望的な印象になっていたと思うが、あの場面が全体の印象を変えている。(30代 女性)
正直、最初は何が起きているのか分かりにくかったが、観ていくうちに構造の面白さに気づいた。同じ出来事でも人によって全く違う解釈になるというテーマが深い。最後に少しだけ人間の善意が描かれるのも印象的だった。(20代 男性)
人間のエゴや虚栄心がこれほどまでに露呈する作品は珍しい。どの証言も自分を守るために作られており、真実が曖昧になる構造が見事。最後の木こりの行動により、人間の中にある善も描かれている点が救いだった。(50代 女性)
観終わった後に強く考えさせられる映画だった。真実が一つではないという考え方や、人間の主観の危うさがテーマとして伝わってくる。単なる時代劇ではなく、哲学的な問いを含んだ作品だと感じた。(40代 女性)
証言がどれも微妙に違うことで、観客自身が真実を探そうとする構造が面白い。誰も完全に正直ではなく、それぞれが自分の物語を語っているだけという点が印象的だった。ラストの小さな希望が余韻を残す。(30代 男性)
映画『羅生門』を見た人におすすめの映画5選
用心棒
この映画を一言で表すと?
人間の欲と駆け引きが交錯する、痛快で鋭い時代劇。
どんな話?
流れ者の浪人が、二つの勢力が争う荒れた宿場町に現れ、両者の間を巧みに渡り歩きながら事態を動かしていく物語です。単なる勧善懲悪ではなく、登場人物たちの思惑や打算が複雑に絡み合い、観る側は誰を信じるべきか迷わされます。緊張感とユーモアが絶妙に同居した作品です。
ここがおすすめ!
羅生門が好きな人なら、人間の本質を鋭く見つめる視点にきっと惹かれるはずです。善悪を単純化せず、欲望や保身で動く人々を活写する語り口が見事で、三船敏郎の圧倒的な存在感も大きな魅力です。時代劇としての面白さと、深い人間観察の両方を味わえる一本です。
生きる
この映画を一言で表すと?
人生の意味を問い直す、静かで力強い人間ドラマ。
どんな話?
市役所で長年働いてきた男性が、自らの余命を知ったことをきっかけに、それまでの惰性のような人生を見つめ直していく物語です。何も成し遂げてこなかったと感じていた彼が、小さな公園づくりに心血を注ぎ、限られた時間の中で本当に大切なことを見つけていきます。
ここがおすすめ!
羅生門が持つ“人間とは何か”という問いに惹かれた人には、この作品の深い余韻もおすすめです。派手な展開ではなく、一人の人間の内面の変化を丁寧に描くことで、観る側の心に静かに迫ってきます。観終わったあと、自分の生き方まで考えたくなるような名作です。
藪の中
この映画を一言で表すと?
証言が揺らぐたびに真実が遠のく、知的な心理劇。
どんな話?
ある事件をめぐって関係者それぞれの証言が語られますが、その内容は微妙に、あるいは大きく食い違っていきます。誰が本当のことを言っているのか、そもそも真実は一つなのか。人の記憶や自己正当化の危うさを通して、真実の曖昧さを浮かび上がらせる物語です。
ここがおすすめ!
羅生門の構造やテーマが好きなら、まさに直球で楽しめる一本です。同じ出来事が語り手によってまったく違う顔を見せる面白さがあり、人間の主観の怖さがじわじわ伝わってきます。ミステリーとして面白いだけでなく、観終わったあとに考察したくなる奥深さも魅力です。
乱
この映画を一言で表すと?
欲望と裏切りが壮絶に渦巻く、圧巻の歴史悲劇。
どんな話?
戦国の世を生き抜いてきた武将が、隠居を機に三人の息子へ領地を分け与えたことから、家族と権力の均衡が崩れ、取り返しのつかない悲劇へと向かっていく物語です。父と子の対立、裏切り、復讐が重なり、やがて国家規模の混乱へと発展していきます。
ここがおすすめ!
羅生門のように、人間の欲望や愚かさを容赦なく描く作品が好きな人に強くおすすめしたい映画です。壮大なスケールの戦乱の中でも、本質は人間ドラマにあり、登場人物たちの選択が悲劇を呼び込む構図が見応え十分です。映像美も圧倒的で、一本の絵巻物のような迫力があります。
12人の怒れる男
この映画を一言で表すと?
真実と偏見がぶつかり合う、極上の密室法廷ドラマ。
どんな話?
殺人事件の評決を下すために集められた12人の陪審員たちが、一人の異議をきっかけに議論を重ねていく物語です。証拠や証言を検証する中で、それぞれの先入観や感情があらわになり、事件の見え方も少しずつ変わっていきます。密室で進む会話劇ながら、強い緊張感が続きます。
ここがおすすめ!
羅生門の“証言は本当に信用できるのか”という面白さに惹かれた人には、この作品の対話の濃密さが刺さるはずです。真実を見極めようとする過程で、人間の偏見や思い込みが浮き彫りになる構造が非常に秀逸です。派手な演出がなくても、言葉だけでここまで引き込まれるのかと驚かされます。



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