映画『鬼が来た!』の概要:第二次世界大戦中、中国のとある村。日本の陸軍が駐屯しており村人とも特に問題ない関係を築いていた。そんな中、村の青年マーの元に姿を見せない謎の男が現れ、2つの麻袋を預け「日本兵には気付かれるな」と言い残し去って行く。
映画『鬼が来た!』の作品情報
上映時間:140分
ジャンル:戦争、ヒューマンドラマ
監督:チアン・ウェン
キャスト:チアン・ウェン、香川照之、チアン・ホンポー、ユエン・ティン etc
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映画『鬼が来た!』の登場人物(キャスト)
- マー・ターサン(チアン・ウェン)
- 中国の田舎の村に住む青年。ある晩、「私」と名乗る謎の男に銃で脅され目を閉じた上、謎の麻袋を2つ預かるよう命じられる。中に入っていたのは1人の日本兵と、そして通訳の中国人だった。2人を日本兵に知られず隠すことを条件に謎の男は去って行く。
- 花屋小三郎(香川照之)
- 拉致され、捕虜として麻袋に詰められていた日本兵。捕虜になった時点で自害することを望んでいる。マー達を始めとする中国人らを罵るが、言葉が通じないので彼らからは「何を騒いでいるんだ?」程度にしか思われていない。おまけに生かしておかなくてはいけないことから、手厚い保護を受け、次第に彼らに情が移ってしまう。
- トン・ハンチェン(ユエン・ティン)
- 花屋と共に麻袋に入っていた通訳。捕虜になるくらいなら死んだ方がマシだと中国人に対する差別的な言葉をぶつける花屋の言葉を、自衛のために全く別のポジティブな言葉に通訳し何とか死を逃れようとする。
- ユイアル(チアン・ホンポー)
- マーの恋人。マーと共に捕虜の生存に協力する。
- 酒塚猪吉(澤田謙也)
- 軍の隊長で、非常に厳しく、冷酷非道な性格。
映画『鬼が来た!』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『鬼が来た!』のあらすじ【起】
舞台は第二次世界大戦中。中国のとある村には、日本兵達(海軍)の小隊が駐屯している。そんなある晩、村の青年・マーは謎の男から2つの麻袋を預けられる。男が去った後、中を開けると通訳のトンと日本兵の花屋が拘束された状態で入っているではないか。謎の男は2人を村の日本兵達にばれることのないよう、晦日までに尋問しておけと言い去って行く。
村では早速2人をどうするか会議となり、ひとまず供述書を作るため2人に質問を始める村長やマー達村人。花屋は捕虜になった時点で全ては終わりだと思い、村人らを罵倒するような言葉を吐く。自分を殺せと挑発する花屋。当然、日本語の分からない村人らには通じないが通訳のトンは死にたくないので花屋の言葉を全て良い方向に訳して伝えるしかない。村人らはトン達を預けた男の正体についても問い詰めるがそれは不明らしい。
村人らに捕虜として捕まった花屋とトンだが、花屋は食料や下の世話をしてくれるマーに向かい差別的な言葉や態度を取るが、当然伝わらない。その度にトンは状況が悪くならないように通訳し、何とか殺されないよう上手くやり過ごす日々。花屋は死ぬことを望んでいるため自害しようとするのだが、そうするとマー含む村人の命が危ない。マーは彼らを守るため奔走する。一方で花屋はトンに中国語で最も酷い罵り方を教わる。彼らを煽り、殺されるためである。マー達は供述書を仕上げ、もうこれで大丈夫だろうと胸を撫で下ろす。
マーと恋人のユイアルがやってきたのを見計らい、花屋はトンから教わった「最も酷い罵り言葉」をぶつけ彼らに殺されるのを望む。マー達に向かい、花屋は中国語で叫ぶ――「お兄さん、お姉さん、新年おめでとう!」花屋はそれが彼らを煽る言葉だと信じ何度も叫ぶのだが、マーとユイアルは挨拶だと受け取り、意に介さない。花屋は何故彼らが怒らないのか当然気付かず、新年の挨拶を叫び続ける。彼らが怯みもしないことに花屋は不思議がるが、トンはこのくらいの罵倒は慣れているからだろうとまたもや誤魔化す。
映画『鬼が来た!』のあらすじ【承】
マーは2人を生きて返さなくてはいけないので、餃子を振る舞う。花屋はすっかり自分がこの後、村人により殺されると思い込んでしまっている。食い終わったら麻袋に入れられるということに対し、死を覚悟し泣き始める。マーは例の男を待ったが、結局男は現れなかった。半年が過ぎても、男は現れる気配がない。
そんなある日、日本兵達が村へとやってきて村人らをからかい始める。日本語が花屋の耳に入り、花屋は助けを求めようとする。すかさずトンは聞こえる筈がないとそれを止め、入って来た鶏に花屋はお守りをつけ日本兵に届くよう鶏を放つ。慌てて鶏を回収し。マーや村人らは日本兵が2人のいる家に入るのを防ぐためあれやこれやと気を引こうとして奔走する。何とかその場は凌いだものの、村人達はいっそ2人を埋めてしまおうと計画を立てる。マーがその役割を担うこととなるが、ユイアルはマーのしたことに嫌悪感を覚え、彼と一線を引いてしまう。だが、マーは結局2人を殺せなかったと分かる。
マーはそのことで村人らから非難に遭うが、マーは怖くて殺せないと泣き出してしまう。ユイアルも自分達ばかりに汚れ仕事を押し付ける村人らに言い返すが、結局またマーが何とかする流れになってしまう。マーは伝説の首切り人・リウ老子を雇うこととなる。リウの剣術はもはや神の領域らしい。……が、リウは現役を離れすぎていたせいで花屋を殺せず終わり、自分の腕に限界を感じそのまま去ってしまう。トンの話を聞くうち、花屋はマーが彼らに食事を与えられ、死なないように施してくれたことに次第に情を抱くようになる。
映画『鬼が来た!』のあらすじ【転】
一方、花屋は食料の尽き欠けていた村人らに花屋は「自分を逃がす代わりに穀物を2つ用意する」と交渉を持ち掛ける。村人らは再び2人をどうするか協議にかけ、結果、彼らに契約書を作らせ2人を無傷で解放させるのであった。
花屋はマーと共に日本兵の陸軍隊長らの元へと戻るが、自決しなかったことを恥晒しだと兵や隊長に激しく責められる花屋。鬼のような隊長からはリンチに遭い、一方で彼らが自分を生かしてくれたことも訴える。怒り心頭の隊長であったが、マーの持っていた契約書を見つけマーの元へ駆けて行き日本人の気質ゆえ食料を6台分にして返すと言い出した。食料も底を尽きかけていた村人らは大喜び。
更にはその晩に、日本兵が主催となり宴会が村人らとの宴会が開催されることとなった。陸軍、海軍、村人らが集まり酒を酌み交わす。それぞれ歌や踊りを披露し、笑いが絶えない。和やかな雰囲気に「このまま二つの国は和平的に平和が訪れ、秩序が守られるのではないか?」とこちらに期待を抱かせる。しかし、隊長のある1言により雰囲気は急変する。
隊長は花屋を呼びつけ、彼が中国語を話していたことを尋ねる。そして、もう1度言ってみろと問いかける。花屋は中国語で罵り言葉だと教えられていた言葉を吐き、通訳は隊長に「お兄さん、お姉さん、明けましておめでとうございますと言っております。私はあんたのお兄さん、私はあんたの息子だと言っております」と正直に話す。それを聞いた隊長はライフルを置き、彼を射殺し酒の肴にしようと言い始める。一気に怪しくなる雲行き。
映画『鬼が来た!』の結末・ラスト(ネタバレ)
隊長は、村に閉じ込められている間どうして他の日本兵に助けを求められなかったか非難し、またマー達の世話になっていたことも責める。トンは必死に通訳しようとするが止められ、皆の前で花屋を「腐敗分子」だと判断し射殺するよう命じる。また、花谷達を連れて来た男についても問い詰めるが知らないと話す。やがて、酔っ払った村人はそんな殺伐とした空気を読まず馴れ馴れしく話しかけ怒りを買う。それが引き金となり、日本兵ら村人らを情け容赦なく惨殺し始める。村にいる間に親しくなった子供は、いつもなら飴をくれる海軍に助けを求めるが隊長に煽られ、躊躇いながらも子供を銃剣で刺す。軍艦マーチが流れる中で行われる、血で血を洗うような大虐殺が行われる。村人は火で焼かれ、井戸に逃げ込んだ村人は「手伝ってやるよ」と嘲笑いながらお重りを乗せられ、花屋はいよいよ堪えきれず「天皇陛下万歳!」の声と共に腹切りを決める。しかし、日本は既に敗北宣言と共に戦争は終結していたことが明らかになる。偶然、村を離れていたマーとユイアルは帰宅してみれば村が燃えているので呆然とする。
終戦後、日本兵は捕虜となった。国民党は見せしめのため処刑を行い、トンは日本に手を貸していたとされ射殺される。それを見て大笑いする市民達。
マーは路上で煙草を売る等の仕事をしていたが、故郷を日本兵によって焼かれ村人達を殺害された彼は日本兵への怒りを溜めていた。マーは煙草を求めて来た日本兵を怒りに身を任せ殺害したのを皮切りに、斧を片手に次々と日本兵に無差別に襲い掛かり殺害する。当然日本兵・中国兵の連合軍達は彼を追いかけ捕まえるが、花屋だけは彼を救うよう雨の中で訴える。
マーはトンが殺された処刑場へ連れて行かれ、ポツダム宣言の後、捕虜は殺害してはいけないという条件を破ったために斬首による処刑が決定する。そして何とも皮肉なことに、彼の首を切り落とす役割が花屋に回ってきてしまうのだ。花屋は何度も何度も躊躇いながら、やがて、それまで背を向けていたマーが振り返り、目が合うのと同時に叫びながらその刀を振るった。ここで視界がマーの切り落とされた生首の目線へと切り替わり、それまでモノクロだった世界に色が宿る。切り落とされたマーの首は、しばらくの間意識があったのか目を開けており、やがて、笑みを浮かべながらそっと安らかに目を閉じるのであった……。
映画『鬼が来た!』の感想・評価・レビュー
反日映画……なのだろうか。悪辣な日本兵の姿は悪者以外の何ものでもなく、村人・女子供を虐殺していく姿は外道だ。しかし、そう切り捨てるのは勿体ない。捕虜の日本兵と中国人との間に芽生える奇妙な友情、子供に優しくしていた日本兵が隊長の命で悲し気に殺す等、中国万歳映画では無い。香川照之の演技にせよ、鬼畜な隊長役の(恐らく中国側から見れば汚れ役であろう)澤田謙也が見事。ラスト、それまではモノクロだった世界に色が灯るのも余韻を残す。(MIHOシネマ編集部)
本作は、第二次世界大戦中の中国での中国人と捕虜の日本兵の交流を描いたヒューマンドラマ作品。
戦争映画と聞いて重圧で深刻なものだと想像したが、意外にもコミカルでテンポの良いストーリーで、戦争映画が苦手な人でも観やすいと思った。
しかし、後半から怒涛の展開で怖さの残る結末だったために感慨深く、反戦を訴えるようなメッセージ性を感じた。
それまでモノクロだったが、ラストだけカラーの映像に切り替わるシーンは頭から離れない。(女性 20代)
前半と後半で全く別の雰囲気になり、前半部分を微笑ましく見てしまっていた自分を後悔しました。
前半は捕虜になった日本兵が、匿ってくれた中国人に心を許し交流を深めていくストーリー。捕虜になった時点で「死ぬ」と決めていた香川照之演じる日本兵。彼の演技が素晴らしかったです。捕虜を守らなければいけないと、とても良い待遇をしてくれる村人たちでしたが、この後に待ち受けている展開は想像を絶するものでした。
中国映画ではありますが、本国では公開が禁止されたそう。それほど過激で残虐な「日本」の行為。これを理解し映像化したチアン・ウェンは素晴らしい監督であり、役者だと感じました。(女性 30代)
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