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映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の概要:時は1966年の日本。日本刀を片手にした謎に包まれし少女・小夜。彼女が属する組織の命令により、横田基地にあるハイスクールに侵入し、潜伏している『翼手』と呼ばれる怪物を殲滅させるよう、命令が下されるのだが……?

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の作品情報

BLOOD THE LAST VAMPIRE

製作年:2000年
上映時間:48分
ジャンル:アニメ、アクション、ホラー
監督:北久保弘之
キャスト:工藤夕貴、中村佐恵美、ジョー・ロマーサ、スチュアート・ロビンソン etc

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の登場人物(キャスト)

小夜(工藤夕貴)
謎に包まれた日本人の少女。ほとんどと言って良い程に表情・感情を表には出さず、その行動ははた目から見れば冷酷にも映る。何らかの裏組織に雇われており、そこで『翼手(よくしゅ)』と呼ばれる怪物を日本刀で斬り殺すのを使命にしている。物語中では説明が省略されているが、彼女自身もどうやら人間ではないような描写がある。
デイビッド(ジョー・ロメルサ)
小夜と同じ組織にいる謎の男。ガタイの良い、黒い背広姿の白年の白人。主に小夜の武器の調達や、怪物の居場所を探る等と彼女のサポート的な役回りをする。
保健医(中村佐恵美)
小夜が体験入学としてやってきたハイスクールで出会う保健室の教師。中年の女性で、首から十字架を下げており神を信仰しているような部分がある。心優しい普通の教師だが、小夜達との出会いから惨劇に巻き込まれることとなり……。

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のあらすじ【起】

1966年、ベトナム戦争の真っ只中の東京から物語は始まる。とある電車の中、日本刀を持った1人の少女が座っている。電車の中には背広姿の中年が1人眠りこけているだけで、付近にあとは誰もいない――と、突如電車内で停電が起こる。刹那、何かに気付いたように立ち上がり、逃げ出そうとする中年を追いかける少女。少女は恐るべき速さで刀を抜き出すと、中年を背中から切りつけた。やがて終点、浅草。停電が復旧し、電車が止まる。

そこへ、現れたのは黒いスーツを纏った大柄な男が2人。男達は刀の少女の名を呼んだ。少女の名は小夜(さや)。組織からの命令により、翼手(よくしゅ)と呼ばれる怪物を狩っているようだ。男の内の1人が、列車内の遺体を見て驚愕する。これは一般人ではないのか、と慄いた。もう1人の男であり、小夜のサポートをしている白人の名はデイビッド。デイビッドは答える、まだ変異していないだけで怪物達は人間に擬態するのだと。男は上からの命令だと言い、小夜に米軍の施設である横田基地に潜入することを言い渡す。基地の中に潜んでいるという、翼手の討伐を命ぜられたのだ。

場所は移り、米軍基地の付近にある風俗街。スナックで働くマリという女性が手首を切り、浴槽で自殺しているのが発見される。警察はスナックのママや、付近の住人に聞き取り調査をするが、マリは米兵と付き合っていたそうだ。かつてのマリの水商売仲間達はあれこれ好き勝手な憶測を口にするが、先日も横田基地の中で自殺が起きたばかりらしい。立て続く事件に、どうも皆気が立っているようであった。

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映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のあらすじ【承】

基地への潜入を任命された小夜は、セーラー服に身を包み骨董品屋で刀を眺めていた。小夜は先の戦闘で刀の刃こぼれを感じていたのもあってか、新しい刀を欲していた。しかし、どうやら非売品のようで、小夜は刀に背を向けて去って行く。

そして、横田基地内のアメリカンスクールへと任務のため入学した小夜。日本人である彼女の姿は人目を引き、同じく日本人である中年の女性教師(保険医)が日本語で話しかけてくる。小夜の素性を聞こうとするも、小夜は寡黙な表情を保ったままでにべもなく「校長室はどこ?」と言い放つだけであった。不思議に思いながらも、保険医は小夜を校長室へ通してやると、中には例の組織の男・デイビッドが先客として待っていた。既に話は通っているようで小夜はすぐに学校へと向かっていった。保険医が校長に事情を尋ねると「知人の紹介で2~3日体験入学することになったんだ」とのこと。

ちなみに明日はハロウィンパーティーが控えているそうだが保険医は浮かない顔をしている。例の自殺事件のことだろう。自粛すべきではないかと言う保険医に、校長はだからこそパーティーで明るい気分転換をすべきだと言い、聞き入れようとはしなかった。

小夜はセーラー服姿の自分を見るなり「何なんだこの格好は」と不満げだが、デイビッドは日本の女子学生の制服だと答える――と、そんなことよりデイビッドは夕べ近くで「偽装死体」が出たのだと言う。同じ手口だ、とつけ加えると小夜はペースが速まっているのではないかと危惧する。翼手――つまり怪物は複数いて、潜伏期に入られる前に何としてでも食い止めなくてはならない。次の死体が出る前にカタをつけようと言うデイビッド。小夜はそんなデイビッドに新たな刀を調達するよう告げる。

その日の授業が終わり、クラス中はハロウィンパーティーの準備に向けて沸き上がっていた。小夜の隣の席の少女・シャロンは「あなた日本人?」と興味津々に尋ねてくるが小夜は相変わらずの調子である。素っ気ない彼女に、シャロンはリンダという女子生徒の元へ行ってしまう。

学校内がパーティーの準備で盛り上がっているのをよそに、小夜は1人何か調べ物をしたり、また、保健室で何らかの異変を感じ取りすかさず刀に手をやる。近づいてくるその気配に、小夜の手に力が籠るが、姿を見せたのは昼間の保険医だ。驚く保険医に、「頭痛がしただけ」と言い、何事もなかったかのようにその場を去る小夜。

パーティーの当日、それぞれ仮装し楽しんでいる中、小夜はやはり任務のため怪物達を探し続けていた。ふと、教室の前へと戻ると隣の席のシャロンが、パーティーに行きたくともリンダの具合が悪そうだと教師に訴えているのを立ち聞きしてしまう。小夜は背を向けながらそれに耳を澄ます。シャロンはリンダを連れ、保健室へと歩き始めた。

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』のあらすじ【転】

やがてリンダは保健室で横になり、シャロンもその傍で介護するように腰かけている。保険医はハロウィンらしくジャックオランタンに火を灯しながら2人を励ます。何故かシャロンもリンダも視線は虚ろで、ぶつぶつと小さく何かを囁いている――やがて、リンダがおもむろにベッドから起き上がったので、不思議そうにする保険医。すると、扉が開き、小夜が刀を持った状態で入ってくる。かと思うと、瞬足でリンダを切り殺し、続いてシャロンを襲った。しかしシャロンは肩を攻撃されただけで、倒しきることはできなかった。保険医が悲鳴を上げ、小夜は「今見たことは忘れろ」と壊れた刀を持ち、シャロンを追い保健室を去る。怯えた保険医が再びリンダがいた筈のベッドを見ると、そこには得体の知れない化け物が息絶えていた。

そして、ハイスクールから離れ夜の街でも、異変は起きていた。例の、自殺したマリが働いていた店のママが酒瓶を持ったかと思うと虚ろな目で外へ出る。やがて酒の中身を出すと、火を放ち、周囲は炎に包まれる。そして、炎の中でその顔が、爪が、身体が――翼手と呼ばれる怪物のものに変異していた。

デイビッド達は翼主が3体もいたと知らせを聞き、早く仕留めなくては、と車を走らせながら焦る。一方、刀の折れた小夜は例の骨董品屋に忍び込み新しい刀を手にしていた。再び小夜は学校へと戻りパーティー会場に身を潜ませていた。保険医は血の跡を辿りシャロンを探していたが、垂れ幕に身を包み蹲ったシャロンらしき物体を見つける。しかし、姿見せたそいつはシャロンの姿をしておらず、リンダと同じく尖った牙の覗く、醜悪な怪物であった。すぐさま小夜が駆けつけるが、振るった刀は何と模擬刀であったために斬れずじまいに終わる。小夜は突き飛ばされ、保険医は翼手に攫われてしまう。しかし小夜が追いついて、欠けた模擬刀で何とか立ち回り保険医への逃げ道を作る。保険医は慌てて軍人を連れて来るが、信じて貰えるどころか、木の中に潜んでいた翼手に捕らえられ餌食になってしまう。軍人の持っていた銃が落ち、小夜がそこへ駆けつけた。銃を保険医に持たせ、彼女を連れ小夜はその場を離れる。

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の結末・ラスト(ネタバレ)

車両置き場の中へと入り、小夜は武器になるものがないか探して回る。保険医が銃を渡すと「それは自害用だ」と言われ、保険医は更に絶望する。あれは何者なのかと尋ねると、人の血を吸う鬼なのだという――そして自分の姿を見た者は必ず殺しに来る。やがて小夜はスコップを手にし立ち上がるが、その刹那、扉が勝手に閉まり閉じ込められてしまう。屋根の上からはシャロンの変貌した怪物が既に侵入しており、取り乱した保険医が銃を乱射してしまう。車の油か何かに引火し、爆発を引き起こす。その爆撃に巻き込まれた翼手だったが、そこへデイビッドが到着したことが分かる。何とか扉をこじ開け彼と合流を果たそうとする小夜だったが、先程の翼手は生きており保険医へと襲い掛かってこようとする。スコップで応戦する小夜だったが、保険医は絶望のあまり残る弾丸で自害を図ろうとする。すぐに小夜がそれを止め「諦めるな!扉を車で壊せ!」と指示を出す。

保険医は我に返り、言われた通りに車で頑丈な扉を破壊。デイビッドが駆け込んでくるなり小夜に刀を与え、小夜はそれを使い翼手を倒すことに成功する。しかし、街から現れた翼手は依然として生き残っており、飛ぶ気なのか屋根の上で翼を生やした姿へと変貌する。小夜達は車で追うことを決め、保険医をその場に寝かしたまま滑走路に移動する翼手を追った。デイビッドはヘリで飛んでいる仲間に、「翼手の目撃者として保険医を探せ」と指示し、空を飛ぶ翼手を追いかける。

小夜はスカーフを外し怪我を負った部分を止血しながら「もっとスピードを出せ」とがなる。そして刀を構えると、飛んでいる翼手めがけてその一太刀を浴びせかけ浮遊していた翼手は傷を負い落下する。小夜は車を降りると、既に致命傷を負っているその翼主に向け、自分の怪我から零れ落ちる血を与えていた。それが意味する行為は一体何なのか……?

惨劇の夜が終わり、昨日の保険医が事情聴取を受けていた。襲われたリンダのことや、そして、その遺体が忽然としたようにどこにもなかったこと、小夜と共に何とか翼手から逃げてきたこと――デイビッドに聞けばもっと何かわかるんじゃないか、と言う保険医に公安らは「その質問に答える権限はない」とはぐらかし、有耶無耶な思いだけが保険医の中に残される。そして、公安側は最後に古ぼけた1枚の写真を差し出してきた。写真に映し出されていたのは――、何と『小夜』の姿だった。そしてその下に添えられた、vampire(バンパイア)の文字……それの意図する所の意味は分からなかった。

それから結局、何の情報も得られることなく保健室へと戻る保険医。そこには、前までの日常と何ら変わりのない景色がそこにあるだけだ。何の変化もない、平和な保健室だけが。シャロンとリンダの件については「突然転校した」という扱いで済んだとのことである。……しかし自分は確かに見たのだ。あの悪夢のような惨劇を。『小夜』のことも、『小夜と戦っていた化け物』についても、何一つ明かされることはなかった――彼女は今でも、どこかで戦い続けているのだろうか? しかしそれを知る術はもうないのであった……保険医は無意識のうち、首に下げられた十字架にそっと手をやった。

映画『BLOOD THE LAST VAMPIRE』の感想・評価・レビュー

セーラー服の少女が日本刀で怪物を倒す、という構図は今やサブカル界における1つのジャンルのようなものだ。その先駆けというか、ルーツは本作なのではないだろうか?タランティーノが本作に惚れ、『キル・ビル Vol.1』にて本作を作ったProduction I.Gに外注しアニメパートを入れたのも有名なエピソードだ。また、寺田克也氏による今風な「萌」の文字からは程遠いリアル寄りのキャラクターデザインは、好みから外れる人も多そうだが無国籍な世界観に合っていて非常に渋くて格好いい。(MIHOシネマ編集部)

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