映画『そして、私たちは愛に帰る』の概要:ドイツで暮らすトルコ人の父と息子、トルコとドイツで離れ離れで暮らす母と娘、ドイツ人の母と娘の3組の親子の人生が交錯する様を通して親子の関係性を見つめた作品。カンヌ国際映画祭で最優秀脚本賞に輝いた。
映画『そして、私たちは愛に帰る』の作品情報
上映時間:122分
ジャンル:ヒューマンドラマ
監督:ファティ・アキン
キャスト:バーキ・ダヴラク、トゥンジェル・クルティズ、ヌルギュル・イェシルチャイ、ハンナ・シグラ etc
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映画『そして、私たちは愛に帰る』の登場人物(キャスト)
- ネジャット(バーキ・ダヴラク)
- 大学で教鞭を執る寡黙な教授。父のアリが起こした事件を機にトルコに移り、本屋を営むことになる。
- アリ(トゥンジェル・クルティズ)
- ネジャットの父。性的に盛んで、娼婦の元に通う。激情からイェテルのことを殴り殺してしまい、服役する。
- アイテン(ヌルギュル・イェシルチャイ)
- トルコで人権運動に身を投じている過激な少女。デモ中に拳銃を拾ってしまう。警察から逃れるためにドイツに渡り、母を探そうとする。
- イェテル(ベン・メンデルソーン)
- アイテンの母。夫が殺され、トルコで暮らすアイテンを育てるためにドイツで娼婦をしている。アイテンには靴屋で働いていると嘘をついている。
- シャーロット(パトリシア・ジオクロースカ)
- ネジャットの教える大学に通う女子学生。偶然アンテンに声を掛けられたことで、親しくなる。アンテンを愛し、彼女を救うことに意義を感じている。
- スザンネ(ハンナ・シグラ)
- ロッテの母親。かつては冒険好きだったが今は保守的な生活を送っている。アンテンの態度に不快感を覚え、冷たく接してしまう。
映画『そして、私たちは愛に帰る』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『そして、私たちは愛に帰る』のあらすじ【起】
ネジャットはトルコを移動している途中でガソリンスタンドに立ち寄る。そして、用事を済ませると再び車を走らせる。
ドイツでアリはトルコ出身の娼婦イェテルと出会い、性的サービスをしてもらう。ネジャットはアリと夕食を共にする。そして翌日、アリは競馬で大当たりをし、ネジャットは大学で講義をする。教室の隅ではアイテンが寝ていた。再びイェテルに会いに行ったアリは、一緒に暮らして寝てくれれば、日々の稼ぎ分を払うと誘う。イェテルはその申し出を受け入れることにする。アリとイェテルとネジャットの3人は夕食を共にするが、酒を飲み過ぎたアリが倒れてしまう。
アリは入院することになり、イェテルはネジャットに娘の境遇について話し、娘に会えない寂しさを打ち明ける。アリは退院してくるが、イェテルとネジャットが関係を持ったのではないかと疑う。アリはイェテルを問い詰めるが、イェテルは嫌気が刺して出て行こうとする。怒ったアリはイェテルのことを殴る。転倒したイェテルは打ち所が悪く、その場で亡くなってしまう。アリは刑務所に収監される。
映画『そして、私たちは愛に帰る』のあらすじ【承】
イェテルの遺体はトルコに運ばれて埋葬される。ネジャットも葬儀に参列する。ネジャットはイェテルの情報提供を求めるビラをイスタンブール中に張り出す。ネジャットは売りに出されているドイツ書籍の本屋を見付け、そこを買い取ってトルコで暮らすことにする。
政府への抗議デモが行われ、デモ参加者と警官が揉める。その際に拳銃が放り出され、デモに参加していたアイテンはそれを拾って逃げる。アイテンは拳銃をアパートの屋上に隠して、仲間の元に戻ろうとする。しかし、仲間が全員逮捕されてしまい、アイテンはドイツに逃亡する。アイテンはイェテンを探し回るが見付けることが出来なかった。行き場のないイェテンは大学に侵入し、ネジャットが講義している教室で寝る。
お腹を空かしたアイテンはロッテに声を掛けて、食事代を借りる。アイテンの事情を聞いたロッテは自宅に居候させてあげる。しかし、スザンネはそのことが気に入らない。アイテンとロッテは一緒にディスコに出掛けてキスを交わして、親しい関係になる。
映画『そして、私たちは愛に帰る』のあらすじ【転】
アイテンはロッテにイェテンを探すのを手伝ってもらう。しかし、その途中で警官に車を止められてしまう。アイテンは逃げ出そうとして、警官に取り押さえられる。裁判の結果、政治亡命したいという訴えは認められず、アイテンは強制送還される。ロッテはアイテンを助けるために荷物をまとめてトルコに渡る。
ロッテは総領事館で人権派団体を紹介され、そこに向かう。アイテンは刑務所に収監されており、判決待ちの状態だった。ロッテは面会のための手続きを頼む。ロッテはスザンネに電話して金銭的援助を頼むが、スザンネは助けることを拒む。ロッテはネジャットが経営している本屋に来て、トルコの司法制度に関する本を読み出す。ロッテが部屋探しをしていることを知ったジャネットは、自分の部屋を貸すことを申し出る。
ロッテは刑務所でアイテンと面会する。助けたいと言うロッテに対し、アイテンは銃を隠したアパートの地図を渡して、ある物を取って友人に渡してほしいと頼む。ロッテはアパートに向かい、銃を見付ける。しかし帰宅途中に、銃が入った鞄を子供に盗まれてしまう。ロッテは懸命に子供を追い掛けるが、子供に銃で撃たれて死んでしまう。事情を知ったアイテンは泣き崩れる。
映画『そして、私たちは愛に帰る』の結末・ラスト(ネタバレ)
ロッテの遺体はドイツに輸送され、スザンネがトルコを訪ねて来る。同じ便でアリも強制送還される。ホテルに着いたスザンネは泣き崩れてしまう。そして、ネジャットに連絡を取る。ホテルでネジャットに会うと、スザンネはロッテの部屋を見せてほしいと頼む。スザンネはロッテの服の匂いを嗅ぎ、マットレスに横になりながら日記を読む。そして、そのまま眠りにつき、ロッテの幻影を見る。一方、アリはネジャットに会うことなく田舎町に旅立つ。
スザンネはネジャットと一緒に食事に行き、ロッテの部屋にしばらく滞在させてほしいと頼む。スザンネはアイテンの面会に行く。アイテンは涙ながらに謝って許しを請い、スザンネはアイテンのことを助けたいと申し出る。モスクに礼拝に向かう人々見ながらスザンネとネジャットはイスラム教について話す。そのことでネジャットはアリが神を敵に回してもネジャットを守ると話してくれたことを思い出す。そして、本屋をスザンネに預け、父を訪ねるために車を走らせる。
アイテンは思想を改め、釈放される。そして、本屋にいるスザンネを訪ねて来て、2人は抱き締め合う。ネジャットは海辺の町に着き、釣りに出た父が戻って来るのを浜辺でじっと待つ。
映画『そして、私たちは愛に帰る』の感想・評価・レビュー
トルコ系ドイツ人のファティ・アキン監督が『愛より強く』に続いて撮った作品で、前作同様にドイツとトルコの2か国を舞台にした物語が描かれる。断絶された親子が肉親や知人の死を乗り越えて再生していく姿を優しく見つめており、絶望的なエンディングだった前作とは異なり、ここには救いが描かれている。また、3組の親子の本当の関わり合いを知っているのは最後まで視聴者だけという作りも秀逸だ。エネルギーに満ちたに作品に仕上がっている。(MIHOシネマ編集部)
本作は、ドイツとトルコを舞台に、3組の親子の不器用な関係性を描いたファティ・アキン監督によるヒューマンドラマ作品。
3組の物語がそれぞれ独立したオムニバスのように進行するが、それぞれの物語が段々交差して絶妙にすれ違う見せ方が面白かった。
タイトルの通り親子間で様々な感情があっても、結局最後は愛情に帰ってくる。
3組の親子の結末をはっきりと答えを提示せず鑑賞者に委ね、愛と希望を感じられる穏やかな終わり方が心に響いてとても良かった。(女性 20代)
作品に登場するのは、3組の親子。他人だったらこうはならないだろうなと思いながら、作品を見ていた。親子だから許せないこともあるし、親子だから許せてしまうのだろうと思う。作品を見終わった後、自分自身と親との関係について、いつの間にか考えていた。
ロッテが亡くなり、スザンネがアイテンに面会に行くシーンは一番切なくて悲しかった。涙を浮かべながら話すスザンネの目を見て、彼女が娘のことを深く愛している気持ちが伝わってきた。(女性 30代)
自分自身の親との関係を見つめ直そうと感じた今作。今作に登場する三組の親子。それぞれ異なる生活を送っていて、それぞれの日常がオムニバス形式で描かれていきますが、本人の知らない場所で絶妙にすれ違っていると言うのがすごく良かったです。観客である私たちだけがそれを目にしているので本人たちは知らないけれど、自分ももしかしたらこういう事があるのかもしれないと、希望や夢を与えてくれるような作品でした。
自分を愛してくれる親、家族のことをこれまでよりももっと大切にしようと思いました。(女性 30代)
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