映画『ロング・エンゲージメント』の概要:第一次世界大戦が終わっても帰還しない婚約者の生存を信じて、婚約者を探し出そうとする女性の姿を追ったラブストーリー。『アメリ』に続いてジャン=ピエール・ジュネ監督とオドレイ・トトゥがタッグを組んだ。
映画『ロング・エンゲージメント』の作品情報
上映時間:134分
ジャンル:ラブストーリー、戦争
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
キャスト:オドレイ・トトゥ、ギャスパー・ウリエル、ジャン=ピエール・ベッケル、ドミニク・ベテンフェルド etc
映画『ロング・エンゲージメント』の登場人物(キャスト)
- マチルド(オドレイ・トトゥ)
- 出征した婚約者のマリクが生きていると信じ続けている。幼い頃に両親を亡くし、伯父夫婦に育てられた。小児マヒを患い、片足を引きずって歩いている。
- マネク(ギャスパー・ウリエル)
- マチルドの幼馴染で、婚約者。父親が灯台守をしている。戦争に駆り出され、戦場で凄惨な死を目撃したために精神を病んでしまう。
- ティナ(マリオン・コティアール)
- 娼婦として働く女性。恋人でもあるヒモの男性がメネクと共に中間地帯に放り出された後に殺されてしまい、その復讐のために関係者を探し回る。
映画『ロング・エンゲージメント』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ロング・エンゲージメント』のあらすじ【起】
第一次世界大戦中、死刑を宣告された5人のフランス人兵士が塹壕の中を連行されていた。全員が除隊したくてわざと負傷したため、死刑を宣告されたのだ。一人は家具職人でドイツ兵から奪った長靴を履いていた。もう一人は溶接工で戦争への異議を感じていた。3人目は屈強な農夫、4人目は売春婦のティナのヒモだった。そして、5人目がマネクだった。マネクは、凄惨な戦場を見て精神を病んでいた。
マチルドはマネクに何かあれば自分で感じられるはずだと思い、マネクの生存を信じ続けていた。マチルドは、マネクについての情報を得るために5人を塹壕に連れて行った兵士に会いに行く。兵士は5人を大尉に引き渡したが、大尉は5人をドイツ兵とにらみ合いが続く中間地帯に置き去りにするように命じてしまう。5人は調達係が用意した食事を食べた後に中間地帯に送り出された。兵士はその後に5人が死んだと聞いたことをマチルドに告げる。そして、マチルドに5人の遺品を託す。その中には、5人の写真や手紙、懐中時計などが入っていた。
映画『ロング・エンゲージメント』のあらすじ【承】
マチルドは幼くして両親をバス事故で亡くし、伯父夫婦に育てられてきた。両親の保険金は弁護士によって管理されていた。小児マヒを患い、片足を引きずって歩いている。もっと情報を得る必要があると感じたマチルドは探偵を雇い、調達係とティナを探すように依頼する。そして、弁護士に会いに行き、軍の資料を閲覧するための手配をしてほしいと頼む。一方、ティナは5人の処刑に関わった連隊長をベッドに縛り付けると、鏡の破片を突き刺して殺してしまう。
軍の資料室に来たマチルドは機密書類の中に大統領が署名したものがあることを知る。マチルドはマネクと一緒に教会の鐘楼に上り、マネクが鐘に2人の愛の印である3つのMの文字を彫ったことを思い出す。情報提供を求める新聞広告のお陰で、マチルドの元にティナや調達係に関する手紙が届くようになる。マチルドはティナがドイツ軍の長靴を履いた人物が生き残ったとの情報を得たに違いないと確信する。そして、長靴を履いていた家具職人の親友の未亡人に会いに行く。未亡人は自分を巡って家具職人と夫が仲違いをしていたが、2人も戦死したことを説明する。
映画『ロング・エンゲージメント』のあらすじ【転】
弁護士から連絡があり、マチルダはマネクが集団墓地に埋葬されていることを知らされる。幼い頃、一人で下校していたマチルドに友達になろうと声を掛けてきたのがマネクだった。マネクがマチルドをおぶって灯台に上ったりし、2人はどんどん親しくなった。大きく成長して、2人はキスを交わすようになり結ばれた。マネクが出征することになり、マチルドはマネクが生きて帰ることを願って懸命に車を追い掛けて見送ったのだ。
マチルドは墓参りにやって来て、確信が持てるまでティナを探して情報を集め続けることを誓う。その頃、ティナは塹壕にいた上等兵を呼び出し、隠し持っていた銃で殺害する。ある夜、マチルドの元にバイクに乗った調達係がやって来る。探偵が見つけ出したのだ。調達係はマネクが枯れ木にMの字を彫っていたところを敵機に銃撃されて重傷を負ったことを説明する。さらに、ティナのヒモ、溶接工、家具職人の3人が死ぬところを直接目撃したと証言する。ティナのヒモは敵に降伏しようとして味方である上等兵に撃たれたのだ。家具職人が履いていた長靴は中間地帯に行く前に脱がされていたことも判明する。
映画『ロング・エンゲージメント』の結末・ラスト(ネタバレ)
マチルドは調達係の案内で塹壕があった場所を訪れる。その後、偶然ドイツ兵の遺族に会い、農夫が爆撃を受けても生き延びていたことを教えられる。さらにマチルダは、ティナが捕まって処刑されることを新聞で知る。面会に訪れると、ティナは5人には特赦が出ていたのに揉み消されていたことを明かし、復讐のために関係者を殺していたと説明する。
マチルドは遺品にあった農夫が妻に宛てた手紙が暗号であることに気付き、それを読み解いて記されていた場所に向かう。そこは生き延びた農夫が家族と隠れて暮らしている場所だった。マチルドの前に現れた農夫は全ての事情を説明してくれる。中間地帯にある地下室に隠れて生き延びた農夫は、重傷を負ったマネクを助け出す。そして、戦死した若い兵士の認識票と交換させた上で病院に運んでいたのだ。農夫はマネクを見たのはそれが最後だったと話す。
マチルドの元に探偵からマネクを発見したとの連絡が入る。実はマネクは記憶喪失になり、戦死した若い兵士の母親が息子の代わりとして引き取っていたのだ。マチルドは皆を連れてマネクの元に向かう。マチルドのことを覚えていないマネクは無垢な笑顔を見せ、マチルドは涙を浮かべながらマネクのことをじっと見つめる。
映画『ロング・エンゲージメント』の感想・評価・レビュー
『デリカテッセン』などで発揮された毒々しい雰囲気は完全になりを潜めてしまったが、ジャン=ピエール・ジュネ監督ならではの美しい映像を堪能できる作品。ロマンチックな雰囲気に酔い痴れたい時に観るのに最適だ。メルヘンチックだった『アメリ』と比べるとより正統派ラブストーリーという印象を受ける。登場人物が多く、矢継ぎ早に物語が語られるために人物関係を把握するのに苦労するが、全てが繋がった時の見事な語り口には舌を巻くばかりだ。(MIHOシネマ編集部)
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