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映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』の概要:13歳の少年ジュゼッペが突然行方不明になる。周りの大人たちが無関心を貫く中、ジュゼッペに想いを寄せる少女ルナが必死に捜索を続ける。2人が会えるのはいつも幻想の中。切なすぎる結末に、暫く余韻を引きずる映画である。

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』の作品情報

シシリアン・ゴースト・ストーリー

製作年:2017年
上映時間:123分
ジャンル:ラブストーリー、サスペンス、ミステリー
監督:ファビオ・グラッサドニア、アントニオ・ピアッツァ
キャスト:ユリア・イェドリコフスカ、ガエターノ・フェルナンデス、コリーヌ・ムサラリ、ロレンツォ・クルチョ etc

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』の登場人物(キャスト)

ジュゼッペ(ガエターノ・フェルナンデス)
13歳の少年。マフィアの父が仲間を警察に告発したことがきっかけで、マフィアに誘拐され779日の監禁の後、絞殺される。恋人ルナの手紙を心の励みに、開放されることを信じていたが、次第に気力を失くしていく。
ルナ(ユリア・イェドリコヴスカ)
ジュゼッペに想いを寄せる少女。ジュゼッペが行方不明になり、人生が狂い始める。無関心な周りの大人やクラスメイトに反発して、過激な行動を起こすようになる。ルナの見る幻想の世界が唯一ジュゼッペと通じ合える場所だが、現実と幻想の狭間で2回程自殺未遂を起こす。

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のあらすじ【起】

舞台はシチリアの大自然の中。ルナは同級生のジュゼッペに想いを寄せている。学校からの帰り道、ルナはジュゼッペの後を追って森の中を進む。森を抜けた道で、ルナはジュゼッペに気持ちを綴った手紙を渡す。ジュゼッペのバイクの後ろに乗り、町を駆けるルナは幸せな時を感じていた。

しかし、ルナの家族、特に母親はルナとジュゼッペとの交際を快く思っていなかった。ルナの母は交際を受け入れない理由を明確に述べないが、ルナがジュゼッペに向けて綴った手紙たちを破り裂いてしまう。ルナは、自分は好きな人に会う、として両親に反抗的な態度をとる。ルナの母は潔癖症で、ルナの前で平気でルナの父の悪口を言う。そんなルナの父は、ルナの良き理解者であろうと、ルナの話を聞き庇おうとする。しかし、ルナの母に言いなりで頼りない父に、ルナは心を開こうとしない。家族の溝は深まるばかりであった。

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映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のあらすじ【承】

そんなある日、突然ジュゼッペが行方不明になる。何日も学校を欠席するジュゼッペを心配したルナは、学校の先生に理由を聞くが、はぐらかされる。異変を感じたルナは、ジュゼッペの家へ向かう。しかし、ジュゼッペに会うことはできず、ジュゼッペの父に追い返されてしまう。ルナは去り際に、ジュゼッペの母が泣き叫ぶ声を耳にする。

ジュゼッペの身に何かが起きたことを悟ったルナは、家に帰り母に助けを求める。しかし、母はそんなことよりも勉強をするようにと、全く聞く耳を持たない。周りの大人たちも同様に、ジュゼッペの行方不明に無関心を貫き、関わろうとしなかった。

周囲の態度に不信感を抱くルナは、抗議の意志を示すために髪を青く染め、ジュゼッペを探す手がかりを掴むためにビラを配る。愛するジュゼッペがいなくなった世界で、絶望を感じるルナの行動は過激さを増していった。そんなルナを支えたのは親友ロレーダの存在であった。ロレーダはルナと一緒に髪を青く染め、ジュゼッペの捜索に協力する。

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』のあらすじ【転】

ルナがジュゼッペを捜索するために必死に藻掻く中、ジュゼッペはマフィアに誘拐され監禁されていた。ジュゼッペの父はマフィアの幹部で、警察に告発して仲間を売った。裏切られたマフィア達はこれ以上の告発を止めさせるために、ジュゼッペを人質に取ったのだ。

監禁されたジュゼッペは鎖で繋がれ、暴力を受け、食事もろくに与えられない、悲惨な状況であった。ルナから貰った手紙がジュゼッペの心の支えであったが、いつか解放されるという希望は虚しく、ジュゼッペは日に日に衰弱していく。

気分転換にと、ルナの父はルナを釣りに連れて行く。釣りをしようと湖の水辺に立ったルナは、幻影に襲われる。幻影に導かれるように水の中を進んで行くと、そこにはジュゼッペが監禁されている小屋が現れた。目を覚ましたルナは、自殺を図ったと思われ病院に送られていた。

2人の精神が死の世界に近づくにつれ、幻想の世界で2人の魂は共鳴し合うようになる。

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』の結末・ラスト(ネタバレ)

幻想の中でジュゼッペの監禁されている小屋を見たルナは、警察や周りの大人に訴えて助けを求めるが、誰も信じてくれなかった。ルナの母は、ルナがこのままこの場所にいたらおかしくなってしまうと感じ、引っ越しを決める。信じられるものが何も無くなったルナは、孤独のまま深い闇に落ちる。

闇の中でジュゼッペがルナに、「一緒に来てはいけない」と語りかける。自宅のガレージで倒れた状態でロレーダに発見されたルナは、口から血を流し、水浸しになっていた。ルナは再び自殺を図り、死の寸前で助けられたのだ。

一方、ジュゼッペの状況は絶望的だった。移送された先で絞殺され、酸で溶かされて、ドラム缶に入れられ、湖に捨てられてしまう。そんな中で、ジュゼッペの魂が死の世界から、ルナに語りかけ、配管を辿りルナの自宅のガレージに水として流れていた。また、フクロウを通じてロレーダにルナの危機を知らせ、ルナの命を救ったのもジュゼッペの魂であった。

最後は、「マフィアに誘拐され、779日に渡って監禁され絞殺された、ジュゼッペ・ディ・マッテオに捧げる」というテロップで締めくくられる。

映画『シシリアン・ゴースト・ストーリー』の感想・評価・レビュー

絶望的な現実の中で、ルナとジュゼッペの魂が交信する世界は美しかった。しかし、最後のテロップで、ジュゼッペの身に起きたことが本当の事件だということを知り、辛い気持ちになった。さらに、この作品は孤独なまま死んでいったジュゼッペに捧げられた作品で、ルナという少女は実際には実在しない。作品中ではルナの存在こそが心の支えであったが、779日という長すぎるジュゼッペの孤独を思うと、胸が締め付けられ、暫く後を引く映画だ。(MIHOシネマ編集部)


本作は、想いを寄せていた同級生が誘拐され、13歳の少女が事件の真相を追う姿を描いたラブサスペンスミステリー作品。
シチリアで実際に起こった誘拐事件を基に作られている。
作品自体はファンタジックで夢と現実が入り混じったような雰囲気もありつつ、救いようのない現実的な描写もしっかり描かれていて胸が痛むところもあった。
そしてラストは、余りにも切なすぎる結末に言葉を失った。
幼い男女しか観ることのできない視点で描かれた秀逸な脚本で素晴らしかった。(女性 20代)


ルナがジュゼッペに向ける思いがとても純粋で、一緒にいるときの可愛らしい笑顔がとても素敵だった。だからこそ、二人に訪れるあまりにも過酷な出来事が、とても痛々しくて胸が苦しくなった。
幻想的なシーンがあるからこそ、残酷な現実と冷めた大人達の態度、マフィアの恐ろしさがより際立っていたと思う。実際に起きた事件を元に制作されていることもあり、救いのない結末が悲しくてたまらなかった。ジュゼッペを助ける術はなかったのか、考えずにはいられない。(女性 30代)


ジュゼッペとルナのお互いを思い合う関係性がとても純粋で、ただ普通に、幸せに生きていけるはずの2人なのに…と苦しくて胸が締め付けられる思いでした。様々な家庭環境があるのは仕方の無いことですが、無関心を貫き続けた周囲の人間はどんな気持ちだったのでしょう。きっとジュゼッペを見捨てた人間など1人も居なくて、自分や家族の危険を考えて「仕方なく」無関心を装っていたのではないかなと思います。
死が近づくにつれて心の距離を縮めるジュゼッペとルナは悲しくて切なくて、物凄く美しかったです。そしてこの物語が、ジュゼッペの身に起きた本当の出来事だと言うことを今でも信じられません。(女性 30代)

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