映画『バイス』の概要:ジョージ・W・ブッシュ政権の時の副大統領ディック・チェイニーの生涯を描いた作品。クリスチャン・ベールが20㎏に及ぶ増量と、特殊メイクで挑む、裏の大統領と呼ばれたチェイニーの姿に大注目だ。
映画『バイス』の作品情報
上映時間:132分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史
監督:アダム・マッケイ
キャスト:クリスチャン・ベイル、エイミー・アダムス、スティーヴ・カレル、サム・ロックウェル etc
映画『バイス』の登場人物(キャスト)
- ディック・チェイニー(クリスチャン・ベール)
- アメリカで若いころから首席補佐官、国防長官、下院議員などの経験を経て、ジョージ・W・ブッシュ政権の時に、副大統領になる。同時多発テロの頃、大統領の権力を駆使し、政治統制や戦争を企て、裏で政治を操っていた。
- リン・チェイニー(エイミー・アダムス)
- チェイニーの妻。チェイニーが落ちこぼれの学生だった頃からの恋人で、苦楽を共にしたパートナー。特に、チェイニーが病気で倒れた時は代わりに選挙演説を行うなど、精力的に支える。
- ドナルド・ラムズフェルド(スティーヴ・カレル)
- ジョージ・W・ブッシュ政権の時に史上最高齢の68歳で国防長官に任命される。チェイニーにとって師にあたる存在。
映画『バイス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『バイス』のあらすじ【起】
2001年9月11日。アメリカ同時多発テロで、人々が恐怖と不安で混乱する中、副大統領のチェイニーはチャンスを見ていた。裏の大統領と呼ばれ権力を握るチェイニーは、いかにして上り詰めたのか。
1963年、チェイニーは恋人のリンの助けで大学に入るが、酒浸りの日々を送り、直ぐに退学となった。リンは、作業員の仕事をしながら相変わらず酒に溺れるチェイニーを見て、変わらないのなら別れる、と捲し立てた。チェイニーはその時、2度とリンを失望させないと誓った。
1968年、ワシントンD.C.で連邦会議のインターン生として働き始めたチェイニーは、ドナルド・ラムズフェルドのスピーチを聴き、彼に惹かれて共和党に付き、下で働くようになる。ドナルドは部下に、口が堅いこと、指示を示すこと、忠実であることを求めた。口が堅いチェイニーは、ドナルドに気に入られていた。今まで学業もスポーツも平凡な成績だったチェイニーは、権力の僕となることが天職のように思え、最高の気分だった。
映画『バイス』のあらすじ【承】
1973年、メリーランド州。ニクソン大統領がドナルドを見限ったことで、チェイニーは大手金融会社の政治顧問に転職することになった。チェイニーは大金を稼ぎながら、さらに政治手腕を磨いていった。
翌年、ニクソン大統領が失脚し、フォード大統領に変わった時、チェイニーとドナルドはホワイトハウスに返り咲く。ドナルドは史上最高齢の国防長官に、チェイニーは首席補佐官に任命された。法学者の助言を得て、チェイニーは一元的執政府論を唱え、大統領が絶対的権力を持つことを示した。しかし、間もなくして変革を求める国民により、共産党は破れ、チェイニーは職を失うことになる。
1から選挙活動を始めたチェイニーだが、心筋梗塞を患い活動を休止することになる。その間はリンがチェイニーの代わりに演説に立ち、支えた。リンの支えにより、チェイニーは下院議員になった。1980年代、時代の流れが目まぐるしく変化する中、新しい法令も次々と施行されていった。
ある日チェイニーとリンは、娘のメアリーに同性愛者であることを告白される。チェイニーは理解を示し、メアリーを抱きしめ、リンは、これからのメアリーの人生を危惧した。リンはそれからアメリカ史に関する著書を3冊執筆した。
映画『バイス』のあらすじ【転】
チェイニーは家族を守るために政界を引退し、公の場に姿を見せなくなった。チェイニーの家族はヴァージニア州で悠々自適に暮らしていた。そんなある日、チェイニーの元に電話がかかってきた。ジョージ・W・ブッシュの顧問からで、要件は副大統領にチェイニーを任命したいということであった。
チェイニーは副大統領になることは断り、代わりに候補を探す手伝いをする、とジョージに提案した。チェイニーが本当は何を企んでいるのか、リンでさえわからなかった。チェイニーは副大統領が大した権力を持っていないことに不服だった。どうしてもチェイニーに副大統領になってもらいたいジョージに、副大統領の政治決定権と、娘のメアリーのために同性愛者に寛容な社会が望めるならば、と持ち掛けた。2人は合意して選挙に臨むことになる。
映画『バイス』の結末・ラスト(ネタバレ)
2000年、ジョージとチェイニーは、アメリカ大統領と副大統領に正式に就任することになった。チェイニーはジョージと信頼関係を築き、大統領に入る機密情報や大統領のスケジュールを把握した。また、昔のコネを利用して、各所に執務室作り、あらゆる政治に介入し、メディア統制も行った。
そんな時期に、アメリカ同時多発テロが起こった。チェイニーは独自の判断で、戦争を示唆した。ジョージ大統領は経験不足のため、チェイニーに言われるがままであった。アメリカのあらゆる地でテロを警戒する状況のなか、テロを起こしたタリバンをCIAの手によって崩壊させた。テロ対策を謳い、国民全てのメールや情報が公開されることや、拷問を認める政策を打ち出した。情報統制によりイラクを敵国へと仕立て上げたチェイニーは、イラクと戦争の時だと考え、国民を半数が賛同した。イラク戦争の末、アメリカは勝利したが、イラク戦争の偽証が明らかになった。混乱の中、米兵の犠牲者増加や、捕虜たちの拷問、富裕層に対する減税や献金など様々な問題が浮き彫りとなり、国民たちはジョージ政権の退任を求めた。
チェイニーは最後のインタビューで、あなたの愛する人たちを守るためにしただけだ、と静かに語った。
映画『バイス』の感想・評価・レビュー
アメリカ史上、最強で最凶の副大統領と呼ばれているディック・チェイニーの生涯を知ることが出来た。特に、イラク戦争の裏側で政治統制やメディアを利用した偽証がチェイニーの手によって行われていたことに衝撃を受け、当時のアメリカ国民の不安や怒りはうかがい知れない。また、チェイニー役のクリスチャン・ベールは完璧な役作りで、知らされるまでクリスチャン・ベールだと気づかない程、完璧であった。(MIHOシネマ編集部)
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