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映画『残像』のネタバレあらすじ結末と感想。無料視聴できる動画配信は?

映画『残像』の概要:ポーランドの画家、ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキの生涯を描いた作品。第二次世界大戦後の体制に抗いながら己の芸術を貫くが、最後まで恵まれない境遇のまま、世間に認められずにこの世を去ることになる。

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映画『残像』の作品情報

残像

製作年:2016年
上映時間:99分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史、伝記
監督:アンジェイ・ワイダ
キャスト:ボグスワフ・リンダ、ゾフィア・ヴィフワチュ、クシシュトフ・ピチェンスキ etc

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映画『残像』の登場人物(キャスト)

ヴワディスワフ・ストゥシェミンスキ(ボグスワフ・リンダ)
ポーランドの画家。社会主義の時代に、政治家からの芸術への支配に抵抗し、自身の形式主義を貫く。寡黙だが芸術を愛し、生徒たちにも慕われている。
ハンナ(ゾフィア・ヴィクラシュ)
ストゥシェミンスキの芸術や思想に魅了され、ストゥシェミンスキの視覚理論をまとめて著書にする。ストゥシェミンスキに憧れていたが、次第に憧れ以上の感情を抱くようになる。

映画『残像』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『残像』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『残像』のあらすじ【起】

画家のヴワディスワフ・ストゥシェミンスキはウッチ造形大学で教授をしていた。ストゥシェミンスキは戦争で左手と右足が無く、杖をついて暮らしている。ストゥシェミンスキの講義は面白く、生徒たちからの人気も高かった。

社会主義に向かうポーランドは、スターリンを崇め、労働者党が盛り上がっていた。ある日、政府はストゥシェミンスキの書いた文章に目をつけた。それは、遠回しに政府を批判する内容であった。政府は芸術家として才能があり、文章も巧みなストゥシェミンスキに、逆らわずに、変革に協力しないかと持ち掛ける。政府は、どの道に進むかで運命が決まるだろう、と意味ありげな言葉を残した。政府は芸術を支配しようとしていた。文化大臣がストゥシェミンスキの大学に訪れ、国家には芸術家に要求する権利がある、と演説を始めた。文化大臣は続けて、芸術は大衆の要求を満たすべきであり、陰鬱なものを作るべきでない、社会主義リアリズムやソ連の芸術家の功績、芸術と大衆の結びつきに目を向けろ、と訴えた。イデオロギーが欠如した芸術は労働者の敵ということであった。ストゥシェミンスキは文化大臣に、芸術とは何か、と投げかけ、芸術は薄っぺらなリアリズムではない、時代に合う芸術を求めて闘う、と主張した。ストゥシェミンスキの作品は、この時代には前衛的すぎた。

映画『残像』のあらすじ【承】

大学側は形式主義を貫き、政府に抗う主張を示すストゥシェミンスキを大学から糾弾する方針を固める。大学を追い出されたストゥシェミンスキは、ストゥシェミンスキの元で学びたいと熱くなる生徒に、冷静になろう、と別れを告げ、自身の作品に没頭する。

ある日、ストゥシェミンスキの元生徒たちが、作品の講評を求めてストゥシェミンスキの家へ押しかけてくる。ストゥシェミンスキの芸術論に生徒たちは大いに盛り上がった。その中でもハンナはひと際目を輝かせていた。後日ストゥシェミンスキの生徒達が開催した展示会は、労働党員たちに襲撃された。大学側はストゥシェミンスキの視覚理論を禁止し、美術館の作品も取り払われた。ストゥシェミンスキが、自身が手掛けた作品があるカフェに向かうと、丁度委員会の命令で作品が壊されているところであった。委員会はストゥシェミンスキの作品を、社会的リアリズムに基づく芸術モデルに反する、と判断したのだ。ストゥシェミンスキは抗議するが、聞き入られず従うしかなかった。

ストゥシェミンスキは娘のニカと2人で暮らしていた。ストゥシェミンスキの妻は入院していて、ストゥシェミンスキが教授をクビになって間もなく亡くなってしまう。娘のニカは母親の死をストゥシェミンスキに告げず、ストゥシェミンスキは葬式に参列できなかった。ストゥシェミンスキは、妻の目と同じ色の美しい青い花を墓に供えたかった、と悲しげに語る。

映画『残像』のあらすじ【転】

ストゥシェミンスキはポーランド造形美術家協会からも強制的に除名された。家に籠り絵を描き続けるストゥシェミンスキの元へ、ハンナが頻繁に通うようになる。ハンナはストゥシェミンスキの作品の材料を入手したり、身の回りの手伝いをした。そんなハンナの存在をニカは心良く思わず、居場所がないからと、学校の寮に戻ってしまった。相変わらずハンナはストゥシェミンスキの家を頻繁に訪れ、やがてストゥシェミンスキの視覚理論をまとめて執筆するための準備を始めた。

ある日、友人で詩人のユリアンがストゥシェミンスキの家に訪れる。ユリアンは自身の詩が曖昧な表現で世に認められないことを嘆き、ストゥシェミンスキの、時代に左右されない態度を羨ましいと感じていた。

元生徒の推薦で、ストゥシェミンスキの元に全国食料品協同組合から、店舗内装の仕事が舞い込む。しかし雇用主はストゥシェミンスキの障害を見て難色を示した。ストゥシェミンスキは雇用主の態度に怒りを感じたが、工房を与えられ、そこで依頼された作品を作り始めた。

映画『残像』の結末・ラスト(ネタバレ)

美術協会から除名されていたストゥシェミンスキは、あっという間に新しい職場からも解雇されてしまった。職人の中で腕は1番だが、無認許の芸術家は雇えないとのことであった。職を失ったストゥシェミンスキは絵の具どころか、食料も満足に買えなくなった。

ある日、ハンナは反政府の冊子をタイプしていたという理由で逮捕された。政府はストゥシェミンスキを呼び出し、ハンナを許し、ストゥシェミンスキの職の面倒も見るから党の側につくように、と再び説得するが、ストゥシェミンスキは曖昧な返事をして立ち去った。役所からの帰り道、弱っていたストゥシェミンスキは街中で倒れ、病院に運ばれる。ストゥシェミンスキは見舞いに来たユリアンに、もう長くはないが視覚理論が完成したら世の中に何か残せるだろう、と伝えた。ストゥシェミンスキは結核であることが判明するが、やり残したことがある、と医師の制止を振り切り家に戻る。しかし最後までストゥシェミンスキを受け入れるアトリエや工房はなく、仕事場を探している途中で力尽き亡くなってしまう。

映画『残像』の感想・評価・レビュー

どんなにどん底な状況になっても芯を曲げずに、自身の芸術を貫くストゥシェミンスキの姿勢に心打たれた。所々で語られるストゥシェミンスキの芸術論がとても興味深かった。この作品の題名でもある、残像について、「像として認識されるのは君が吸収したものだ。物を見ると目に像が映る。見るのをやめて視線を逸らすと今度はそれが像として目の中に残る。残像はものを見た後に網膜に残る色なのだ。」と楽しそうに語るストゥシェミンスキの姿が印象的で、心から芸術を愛する人なのだと感動した。(MIHOシネマ編集部)


かつては革命を掲げた男。しかし、現在は時代に飲まれかけた片足で老いた芸術家。スターリンの侵略でソ連の社会主義に染まる世の中で、それでも足掻く姿が描かれる。芸術のコンセプトを曲げず職を失い、配給も止まり生活が苦しくなる。生きるための絵を描いても生活にならず、結核で病床に伏して最期を迎える。救いの無い結末である。だが、この作品は社会主義だからと切り離して考えるべきではない。SNSが普及し、他人の声が身近になった現代にも、同じ境遇に陥る人は多いのではないだろうか。警鐘を促している作品である。(男性 20代)


ストゥシェミンスキという男はこんなにも不器用で寡黙で、孤独だったのかと切ない気持ちになると同時にここまで誠実に彼のことを描いた作品として高く評価するべきだと感じました。
この作品を見る多くの人が知りたいのは、ストゥシェミンスキはどんな人物だったのかと言うこと、そしてどんな人生を送ったのかということ。それが物凄く真摯に真っ向から描かれていたので、軽い気持ちで見始めましたが大きく心を揺さぶられました。
退屈な作品だと思うか、静かな中に熱量のある作品だと考えるかは見る人によって変わるでしょう。(女性 30代)

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