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映画『ぼくと魔法の言葉たち』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『ぼくと魔法の言葉たち』の概要:89回アカデミー賞 長編ドキュメンタリー賞ノミネート作品。それまで無邪気に言葉を発していた普通の子供が3歳になり、突如言葉を失った。一人の少年と家族の奮闘を描くドキュメンタリー作品。

映画『ぼくと魔法の言葉たち』の作品情報

ぼくと魔法の言葉たち

製作年:2016年
上映時間:91分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:ロジャー・ロス・ウィリアムズ
キャスト:オーウェン・サスカインド、ロン・サスカインド、コーネリア・サスカインド、ウォルト・サスカインド etc

映画『ぼくと魔法の言葉たち』の登場人物(キャスト)

オーウェン・サスカインド
3歳になり突如自閉症を患った主人公。ディズニー映画によって言葉を取り戻し、独立し始める。しかし、ディズニー映画にはない現実とのギャップが立ちはだかる。
ロン・サスカインド
オーウェンの父。息子の病気を受け止めつつ、家族の中で誰よりも回復を信じ続けた人物。言葉を取り戻すきっかけを見出し、積極的に会話を続けた。
コーネリア・サスカインド
オーウェンの母。医学的な視点から熱心にオーウェンの回復を手助けしていた。オーウェンの自立という苦難の決断にも踏み切り、母の目線で寄り添い支えていた存在。
ウォルト・サスカインド
オーウェンの兄。いじめられた弟を助けきれなかったことを悔やみ、両親の代わりに自分が支え続ける決心をしている。兄としてできることを全力で行っている。

映画『ぼくと魔法の言葉たち』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『ぼくと魔法の言葉たち』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『ぼくと魔法の言葉たち』のあらすじ【起】

ホームビデオに映るのはよく喋るやんちゃなオーウェンの姿。そこには父親と遊ぶ、ありふれた「親子」の姿が映されていた。その頃のサンスカインド一家は“夢の暮らし”を実現していたが、事態は一変する。オーウェンの身に素人でもわかるスピードで異変が生じていたのだ。それはオーウェンが3歳の時、突如言葉と運動機能を失ってしまった。何か所もの小児科を回り「手に負えない」と紹介された専門医では、モルモットのように観察された。原因不明の変化が愛らしい「普通」の3歳児であるオーウェンを誘拐していったように感じ、
両親は絶望の淵に立っていた。

専門医の診断では「広汎性発達障害」と病名をくだされた。自閉症に近い症状のオーウェンにとって、世の中にありふれた音や変化が刺激的すぎるのである。愛する息子の将来を案ずる両親は専門医の元で“沈黙”するオーウェンを見守った。その頃の一家の楽しみは、ディズニー映画を見ること。兄のウォルトも一緒に鑑賞し、唯一兄弟が共に遊べる時間であった。

言葉を失ってから1年。寝室で「リトル・マーメイド」を見ていたある日、とあるシーンで突然オーウェンがビデオを巻き戻した。いつもと異なる行動に、父のロンはオーウェンに向かってセリフを繰り返した。すると、オーウェンは「Just your voice」と同じセリフを繰り返したのだった。1年ぶりに返事をした息子に喜びを隠し切れない両親に対して、専門医は「反響言語」であると言葉ではないと現実を突きつける。しかし、あえてこのフレーズを放ったのは、息子からのメッセージであると信じ、両親はこれまで以上にオーウェンを“沈黙”から救い出すことに熱を上げるのであった。

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映画『ぼくと魔法の言葉たち』のあらすじ【承】

23歳になったオーウェン。同じように障害を抱える生徒が集う学校で「ディズニー・クラブ」を結成した。そこではディズニー映画を鑑賞し、互いに感想を語り合うのである。

両親が奮起した奇跡の日から4年。再度“沈黙”の世界に戻ってしまったオーウェンだったが、奇跡は一家に一筋の光を再び与えた。とある日、庭でひとり俯くウォルトを見ていたオーウェンがロンに「お兄ちゃんは子供でいたい。モーグリやピーター・パンだ」と一言呟いたのだ。以前の反響言語とは異なり、オーウェンなりの解釈で映画を理解し放った言葉に両親は成長と変化を感じ取った。映画を通じて学びを得ていると気づいたロンは、アラジンに登場するオウムのイアーゴのパペットを使いオーウェンに話しかけた。するとオーウェンはすらすらと話すのである。それらの言葉は全て映画内のセリフであった。オーウェンはかつて見たディズニー映画のセリフを暗記し、自分の中に経験として消化していたのである。

新たに希望の光を取り戻した一家は、シチュエーションに合わせたディズニー映画を見ることで絆をより深めていくのだった。

映画『ぼくと魔法の言葉たち』のあらすじ【転】

オーウェンにはエミリーというガールフレンドがいる。人と会話をするために「台本」が必要なオーウェンはエミリーとのやりとりもいつも同じ内容であった。そんなオーウェンに現実世界を教える必要があると感じたセラピストは、23歳という年齢を迎えたオーウェンに一人暮らしをすることを勧めた。予想できない世界に飛び込む変化に対してオーウェンは不安を抱えており、その様子にコーネリアスは涙を浮かべるのであった。

卒業間近の「ディズニー・クラブ」にスペシャルゲストが登場した。それはオーウェンに言葉を再び与えるきっかけとなった「アラジン」の声優たちである。「夢みたいだ」とこれまでにない笑顔を輝かせるオーウェンであったが、小学校に進んだ頃には発達障害が壁になりいじめを受けていた過去もあった。言葉を素直に受け取りすぎてしまうオーウェンは日々苦しみ闇に襲われ続けていたという。そんな弟の様子を見ていたウォルトは、守れなかったことを今でも後悔しているという。いじめを受けていた当時、オーウェンのスケッチブックはディズニー映画の脇役キャラクターで溢れていた。そして「僕は脇役たちの守護神」「1人の脇役も見捨てない」と自らの人生を軸にした「迷子の脇役たちの国」という自叙伝を書き上げたのである。

ウォルトの26歳の誕生日。苦手な水を克服したオーウェンはケーキを前ににこやかに過ごしていたが、片隅に自身ももう23歳であることを思い起こし、一人暮らしへの不安を隠し切れずにいた。そして、ウォルトも両親にいつまでも甘えられないことを痛感し、自身ができることを全てやらなければならないと責任を背負い込むのであった。

映画『ぼくと魔法の言葉たち』の結末・ラスト(ネタバレ)

オーウェンは無事に卒業式を終えた。そして独り立ちの日もやってきたのである。オーウェンが最後に実家で父とともに見る一作に選んだのは「ダンボ」。荷造りを終え安堵していた矢先、エミリーにもらったミッキーのチャームが無くなっていることに気づいた。パニックになるオーウェンであったが、コーネリアが外に落ちていたのを見つけ無事に一件落着となる。新居へ向かったオーウェンは、「僕の家だ」とご満悦だった。そして壁際にディズニービデオのコレクションを並べ浮かれ切っていた。そんなオーウェンを心配しながらも良心は自宅へ戻っていく。本当に一人になったオーウェンが選んだ一作は「バンビ」。広い部屋に一人になった寂しさを表すように静かに眠りにつくのであった。

初めての週末。エミリーが遊びに来た。二人はクッキーを失敗しながらも焼き、一緒に映画を見て過ごした。後日、オーウェンはバイトの面接に臨んでいた。そんな前向きなオーウェンに悲劇は訪れる。最愛のエミリーから別れを告げられたのである。初めての失恋にたじろぐオーウェンだったが、コーネリアの助言やウォルトの支えもあり少しずつ前を向いていく。

一家は自閉症のセミナーに出席するため、フランスへ向かった。そこでオーウェンはスピーチをする機会を与えられたのである。オーウェンなりの言葉でこれまでの苦悩とこれからへの希望を述べた数分間、彼の初ステージは見事成功。拍手喝采の中、ステージを降りた。オーウェンはまだエミリーによる失恋の傷からは立ち直りきれてはいない。しかしアルバイトを通して社会と接し、大好きな映画とともに日々を着実に歩んでいる。

映画『ぼくと魔法の言葉たち』の感想・評価・レビュー

「言葉が音になる」オーウェンが陥った感覚は、学んでこなかった言語でぺらぺらと話される感覚に近いのだろうか。本人、そして彼を支える家族の苦悩は想像を絶するものであろう。他人との関わり方の台本を得たオーウェンの表情は、まさに水を得た魚。未来に立ち向かうという葛藤は健常者でも同じことである。立っているステップは違えど、目の前の壁に向かい合う姿勢から学ぶことの多い一作であった。(MIHOシネマ編集部)

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