映画『アメイジング・グレイス』の概要:18世紀の英国。当時、英国では奴隷貿易が交易の要であった。主人公ウィリアム・ウィルバーフォースは、非人道的な奴隷制度廃止を訴え、奮闘する。名曲「Amazing Grace」が作られた秘話とともに、奴隷制度の悲惨さを訴える作品である。
映画『アメイジング・グレイス』の作品情報
上映時間:118分
ジャンル:ヒューマンドラマ、音楽、歴史
監督:マイケル・アプテッド
キャスト:ヨアン・グリフィズ、ロモーラ・ガライ、ベネディクト・カンバーバッチ、アルバート・フィニー etc
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映画『アメイジング・グレイス』の登場人物(キャスト)
- ウィリアム・ウィルバーフォース(ヨアン・グリフィズ)
- 英国の議員。奴隷推進派が多い中、先立って奴隷廃止を訴えた青年。弁論に長け、情熱を持って奴隷廃止を訴える。長年大腸炎を患っており、アヘンチンキを常用している。
- バーバラ・スプーナー(ロモーラ・ガライ)
- ウィリアムの妻。ウィリアムの奴隷廃止に対する熱意や、その他政治思想に賛同し、彼を支える。
- ウィリアム・ピット(ベネディクト・カンバーバッチ)
- ウィリアムの旧友。同じく議員として活躍し、奴隷廃止を訴えて首相にまで上り詰める。
- チャールズ・ジェームズ・フォックス(マイケル・ガンボン)
- 英国の議員。もともとは奴隷推進派だったが、ウィリアムの熱意に賛同し、奴隷廃止派となる。長年の政治家としての能力を発揮し、ウィリアムを陰で支える。
- ジョン・ニュートン(アルバート・フィニー)
- ウィリアムの恩師であり牧師。過去に奴隷船の船長をしていたことがあり、その時の罪悪感に苛まれ質素な生活をしている。名曲「Amazing Grace」の作者。
- トマス・クラークソン(ルーファス・シーウェル)
- ウィリアムと共に奴隷廃止を訴える青年。奴隷廃止法案を通過させるため、奴隷の証言など証拠集めをする。
映画『アメイジング・グレイス』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『アメイジング・グレイス』のあらすじ【起】
1797年。富裕層出身の議員、ウィリアム・ウィルバーフォース(通称:ウィルバー)は、同じく議員でいとこのヘンリー・ソーントンの邸宅に身を寄せ、療養生活を送っていた。ある日、ウィルバーはヘンリー夫婦の紹介でバーバラという女性と出会う。ウィルバーは、無理やり引き合わせられたことを嫌がり、バーバラに対しても冷たい態度を取ってしまう。
それから遡ること15年前。ウィルバーは他の議員とカードゲームに興じていた。同じ席でカードをしていたクラレンス公は負けが続き、借用書を要求する。しかし借用書が禁止だと聞くと、負けの分を補填するため、自分の奴隷をウィルバーに当てがおうとする。ウィルバーはその態度に憤慨し、席を立ってしまう。親友のウィリアム・ピットは彼を追いかけ、共に奴隷制度を廃止しようと訴えた。
後日、ウィルバーの家にはピットが招待した客人が訪れた。彼らは奴隷廃止を訴える人たちだった。彼らはウィルバーに、実際奴隷に対して行われている非人道的な現状を説明。改革をするよう訴えかけた。しかしウィルバーは、このまま政治家の道に進むか、聖職者の道に進むか悩んでいた。
ウィルバーは恩師であり、牧師でもあるジョンの元へ出向き、取るべき道を相談する。ジョンは奴隷船の船長をしていた過去があり、その時に目の当たりにした悲惨な経験から、奴隷制度を廃止してほしいと話す。そしてウィルバーには、政治家として世の中を変えてほしいと伝えた。
映画『アメイジング・グレイス』のあらすじ【承】
現在。ウィルバーの親友であるピットは首相に就任し、奴隷廃止の象徴的人物となった。同じ頃、ヘンリー夫妻の邸宅では食事会が開かれていた。ウィルバーとバーバラもその食事会に参加。そこで2人は奴隷廃止についてはもちろん、様々な政治的思想が合致し、距離が縮まった。そして、ウィルバーは奴隷廃止のため、ともに活動した人物、エクィアの話を始めた。
エクィアは、ウィルバー家に招待された奴隷廃止を訴える集団のひとりで、ウィルバーに奴隷制度の悲惨さを伝えた人物。エクィアはウィルバーを、東インド会社の船着場に案内し、実際に使われている奴隷船について細かく説明をした。奴隷船の中で、奴隷たちがどれだけ非人道的な扱いを受けているかを痛感したウィルバーは、心を痛めた。また、エクィア自身も、祖国では王子だったが、奴隷として英国にやってきたことを知らされた。
国会では、ウィルバーが奴隷廃止を唱え、奴隷推進派の議員たちを説得していた。しかし、貿易の要とされていた奴隷貿易に賛同する者はおらず、ウィルバーは、厳しい現実を叩きつけられる。
その後、奴隷廃止派の人たちで開かれた集会では、ウィルバーと同じく議員であり、奴隷推進派と思われたチャールズ・フォックスが現れた。彼はウィルバーの熱弁に賛同し、奴隷廃止派に加わると宣言。古株議員であるフォックスが加入することで、推進派を動かせると考えた。
映画『アメイジング・グレイス』のあらすじ【転】
ウィルバーは議員たちを奴隷船に招待し、奴隷制度の悲惨さを訴えかける。同じ奴隷廃止のために動いていたトマス・クラークソンも、奴隷廃止法案を通過させるための証拠をかき集めていた。また、過去に奴隷であったエクィアは自伝を出版し、庶民に奴隷廃止を訴えていた。奴隷廃止に賛同した庶民は、奴隷が作った砂糖ではなく、自由人が作った砂糖を買うなどして、奴隷廃止運動に貢献していった。
国会では、ウィルバーが庶民も奴隷廃止に賛同していると訴え、彼らからの署名を掲げた。そして、最後のひとりのサインとしてフォックスが立ち上がり、署名をした。フォックスが奴隷廃止の署名にサインしたことで、議員たちは驚き、議会は騒然とする。それでも奴隷廃止法案は議会を通過することなく、遂にウィルバーは病に倒れてしまう。
病に伏しながらも、無理に起き上がろうとするウィルバーに、ピットはしっかり休むよう促す。そして、ピットは世界情勢について話し始める。フランスでは革命が起こり、戦争が始まっていること。そして戦争が始まれば、奴隷廃止運動だけでなく、全てが変わってしまうことを説明した。ピットは、ウィルバーは奴隷廃止のことしか考えていないと言い、ウィルバーと衝突してしまう。
現在。ウィルバーとバーバラの結婚式が行われた。そこでは衝突して以来、疎遠となっていたピットも招待されており、2人は関係を修復することができた。そして、その結婚式では、恩師であるジョンが作った「Amazing Grace」が歌われた。
映画『アメイジング・グレイス』の結末・ラスト(ネタバレ)
ウィルバーとトマスは、ともにロンドンに戻った。そこで、ウィルバーは長年海外に出向いていたジェームス・スティーヴンスと会った。彼はウィルバーほか賛同者に対して、世界での奴隷制度の現状を説明。法案を成立させるためには、確固たる証拠が必要であり、失敗は許されないとして、作戦を練ることにした。
ウィルバーとトマスはピットの元へ出向き、今年は奴隷廃止法案を提出しないと宣言する。代わりに、アメリカ国旗を掲げた中立船の捕獲法案を提案する。中立船の8割は奴隷船であるため、その法案が通れば奴隷船の8割を窮地に追い込むことができるのだ。
国会では、ウィルバー達の作戦がバレないよう、別の議員が法案を読み上げていた。しかし、ウィルバーとトマスの策略に気付いた奴隷賛成派の議員は、同じく奴隷賛成派の議員たちに議会に戻るよう動く。しかし、つまらない法案に興味がなかった議員たちは、フォックスの仕掛けに乗り、議会に戻ることはなかった。
2年後、ウィルバーとバーバラの間には子供が生まれていた。子供と遊んでいる最中、ウィルバーは呼び出され、ピットの見舞いに行く。志半ばで病に伏したピットは、ウィルバーに必ず法案を通過させるよう頼み、亡くなった。
そして国会では、ウィルバーが熱弁を披露していた。彼はピットの思いと、それまでの仲間達の活躍を掲げ、奴隷廃止を訴えた。そしてその時、フォックスも立ち上がり、ともに奴隷廃止を訴えたのだった。結果、ウィルバーの奴隷廃止法案は通過し、見事勝利を勝ち取った。
映画『アメイジング・グレイス』の感想・評価・レビュー
奴隷廃止運動といえば、真っ先に思い浮かべるのはアメリカ合衆国のリンカーン大統領だろう。しかしそれよりも前の時代に、奴隷廃止を訴えていたウィルバーは、「奴隷制度廃止の父」とも言える活躍ぶりだった。奴隷推進派が多数を占めていた当時、奴隷制度廃止のために動くウィルバー達には険しい道だった。しかし、それでも大きな目標のため奮闘するウィルバー達の姿は、まさに英雄だった。そして、ウィルバーの恩師、ジョンが作った賛美歌「Amazing Grace」が誕生した秘話、そして、奴隷制度の悲惨さを訴える場面は、奴隷制度が廃止された現代に生きる私たちにとっても、忘れてはならない教訓と言える。(MIHOシネマ編集部)
「アメイジング・グレイス」という曲。誰でも1度は聞いたことがあるはず。そして口ずさむこともできます。そんな有名な曲の誕生の真実をあなたは知っていますか?
美しい歌というイメージが強いですが、実はこの歌は「贖罪の詩」。奴隷貿易船の船長であった牧師が書いた歌なのです。
この作品で描かれるのは、そんな誕生秘話のある曲とその曲に支えられた政治家、ウィリアム・ウィルバーフォースの戦いのお話。
戦う人の苦悩がすごくリアルに描かれていました。この曲の素晴らしさに、改めて気付かされました。(女性 30代)
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