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映画『逢びき』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『逢びき』の概要:それぞれに家庭を持つ男女が、何気ない出会いから実らぬ恋の沼に落ちてゆく。プロデューサーが自らの戯曲を原作に、デイヴィッド・リーン監督を迎えて映画化。セリア・ジョンソン演じるヒロインの回想によって物語が進んでゆく。

映画『逢びき』の作品情報

逢びき

製作年:1945年
上映時間:86分
ジャンル:ラブストーリー、ヒューマンドラマ
監督:デヴィッド・リーン
キャスト:セリア・ジョンソン、トレヴァー・ハワード、スタンリー・ホロウェイ、ジョイス・ケアリー etc

映画『逢びき』の登場人物(キャスト)

ローラ・ジェッソン(セリア・ジョンソン)
二人の子供と穏やかな夫を持ちながら、駅で出会ったアレックと不倫関係に陥る。何度も逢瀬を断ち切ろうと思うほど、彼を愛してゆく。
アレック・ハーヴェイ(トレヴァー・ハワード)
ローラと恋仲になる。開業医で、妻子を持つ。ローラとの関係が友人に知られてしまう。最後は、家族を連れて遠い地へ転勤することに決める。
フレッド・ジェッソン(シリル・レイモンド)
ローラの夫。長年連れ添った妻を信じきっており、彼女の苦悩にも気づかない。その一方で、アレックとの別れを乗り越えた彼女を見届けたかのような発言をする。

映画『逢びき』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『逢びき』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『逢びき』のあらすじ【起】

ミルフォード駅構内の喫茶室に、ひとりの駅員がふらりと入る。店の女主人と親しげに会話をするも、どこか冷たい彼女の態度に、訳を問いただしている。

その奥のテーブル席では、一組の男女が神妙な顔つきで座っていた。そこへ、大荷物を抱えた買い物帰りのドリー夫人がやってきて、女の方をローラと呼ぶ。夫人は二人の会話を遮ったことなど気にせず、饒舌に喋り出す。すると発車ベルが鳴り、ハーヴェイと紹介された医者の男は立ち上がる。夫人に愛想よく挨拶すると、ローラの肩に手を置き、目も合わせずに去ってゆく。

相変わらず夫人はまくしたてるが、ローラの大きな瞳には悲しみの色が広がり、彼女の声など耳に入らぬ様子だ。夫人が席を立った隙に、店を出て戻ってきたローラの顔は蒼白である。夫人はローラにブランデーを飲ませ、そのまま同じ列車に乗り込む。黙るということを知らぬ夫人に、ローラは内心怒りを爆発させながら、なお悲愴を漂わせている。

ローラが帰宅すると、夫・フレッドと賑やかな二人の子供がいつも通り待っていた。フレッドに労られ、思わず泣き出してしまうローラ。数週間前から始まった、罪深い恋の話を、心の内でフレッドに打ち明ける。

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映画『逢びき』のあらすじ【承】

それはある日の喫茶室で始まった。ホームの突風に煽られ、目を痛めたローラは、先ほどまでいた喫茶室に戻る。女主人に水をもらい、目を洗っていたところ、男が声をかけてきた。医者だと言う彼は、ローラの目に入ったゴミを難なく取り出し、颯爽と去ってゆく。

次の木曜日、二人はミルフォードの街角で鉢合わせたが、軽く挨拶を交わしてすれ違う。ローラの頭は、フレッドの誕生日プレゼントのことで持ちきりだ。二人はまだ名前も知らぬ仲である。

また木曜日が来る。ローラはフレッドのプレゼントを奮発し、上機嫌であった。昼食を取るためレストランに入ったところ、偶然医者の男もやってくる。店内が混雑しているため、相席になった二人は、初めて互いの名前を教え合う。彼はアレック・ハーヴェイと名乗った。店内で演奏が始まるが、チェリストのひどい演奏に笑い合う。ローラは、買い物のあとに映画を見るのが木曜の習慣だと話す。アレックは、彼女の映画鑑賞に付き合うことにする。

映画館に来た二人は、ピアノ奏者が先ほどのチェリストと同一人物であることに気づき、笑いを我慢できない。すっかり打ち解けた二人は、互いの配偶者について語り合いながら、例の喫茶室に向かう。

ローラが仕事について聞きたがるので、つい熱弁を始めるアレック。彼がふいに少年のように目を輝かせたので、ローラは心を奪われたように見入ってしまう。一方のアレックも、じっと耳を傾けるローラを見つめ返す。アレックは、発車ベルの音に名残惜しそうに立ち上がると、来週も同じ時間に同じ場所で会おうと言い残す。

帰路についたローラは、罪悪感に咎められる。家ではフレッドが待ち構えており、息子が軽い交通事故に遭ったと言うのだ。息子はすぐに元気になったものの、天罰を食らったかのような気持ちになったローラ。アレックと出会ったことをフレッドに打ち明ける。だが、フレッドはクロスワードパズルを解くのに夢中で、ローラの話など気にもしない。気に病んでいたことがばからしくなり、ローラは笑い出してしまう。

映画『逢びき』のあらすじ【転】

約束通り、先週と同じレストランで待つローラだが、アレックの姿は一向に見えない。彼の勤める病院を通って喫茶室にも滞在したが、無情にも発車ベルが鳴り響く。ローラがホームへ降り立ったところ、息急き切ってアレックが駆け込んできた。二人は慌ただしく言葉を交わしながら、再び同じ約束を結ぶ。

約束は、今度の木曜に果たされる。二人は映画館に行き、川辺を散歩してボートに乗る。池の中に足を突っ込んでしまったアレックを見て、大笑いするローラ。

アレックの洋服を乾かすため、小屋で暖をとる二人。彼は、胸に秘めていたローラへの強い恋心を告白し始める。返事を求められ、乱心したローラは泣き出してしまう。その帰り、駅構内の廊下を歩きながら、二人はキスをする。列車に乗り込んだローラは、少女のように胸をときめかせ、彼との幸せな毎日を想像する。

アレックとの関係を隠すため、ローラはフレッドに嘘をつき始める。そのアリバイを成立させるため、長らく会っていない友人にまで電話をかけ、口裏を合わせてもらうのだった。

ある木曜、ホテル内のレストランで昼からシャンパンを嗜んでいたところ、ローラは知り合いに遭遇する。アレックといたのを見られ、気が気でなく惨めにすら思われ始める。アレックは落ち込む彼女を、友人から借りた車でドライブに連れ出す。冷え込んだ橋の上で身を寄せ合う二人。絶望的な状況であるからこそ、ますます愛情が増してゆく。

友人宅に泊まるというアレックに別れを告げ、駅に向かうローラ。列車に乗るが、いても立ってもいられず飛び降り、アレックの元に戻る。そこへ、運悪く彼の友人が帰ってきてしまう。ローラは間一髪姿を見られなかったものの、雨の街を彷徨う羽目になる。一方のアレックも、不倫の関係を友人に感づかれたため、家を出る。

映画『逢びき』の結末・ラスト(ネタバレ)

ローラは途中の店で電話を借り、フレッドに帰りが遅くなると告げる。頭を冷やす時間が欲しかったのだ。雨は止み、公園のベンチでひとり座り込む。しばらくして、不審そうに警官が近づいてくる。罪人の気持ちになったローラは、足早にそこを去る。

終電間際の駅に着き、三時間も歩き回っていたことをローラは知る。喫茶室でブランデーを頼むと、便箋と筆を借りる。だが書く言葉に迷い、頭を抱えていたところ、アレックが現れた。ローラは取り乱した様子で、顔も見ずに追い払おうとする。アレックは、ローラへの気持ちは何一つ変わらないが、勇気ある別れが必要だと切り出す。転勤の命を受けて、家族と遠い地に引っ越すというのだ。来る木曜に、ローラの返事が聞きたいと言う。運命を呪いながら、ローラは列車に乗り、遠ざかる彼を見つめ続ける。

二人で過ごす最後の木曜が来た。いつものように待ち合わせ、ドライブをするが、二人の顔は沈んでいる。喫茶室に入り、残りわずかな時間を惜しんでいたところ、甲高い声に遮られる。ドリー夫人の登場だ。皮肉な展開を心から恨むローラ。彼と最後の挨拶もままならぬうちに、無情にも発車ベルが鳴り響く。アレックはそっと優しく、だが強く、ローラの肩に触れ、去ってゆく。ローラは夫人のことなど目もくれず、列車が走り去る音に耳を澄ませる。次の急行がやってくる音がして、思わず店を飛び出すと、線路に飛び込もうとして踏みとどまる。失神寸前の状態で、ふらふらと店に戻る。

ローラは心ここに在らずで、リビングのソファに座り込んでいた。するとフレッドは、そんな彼女の全てを悟っているかのように語りかけ、彼女を抱きしめる。彼の寛大な慰めの言葉に、ローラは熱い涙を流す。

映画『逢びき』の感想・評価・レビュー

円熟した色気と少女のような瞳を併せ持つ、セリア・ジョンソンの魅力に骨抜きだ。くどいほどのモノローグも、彼女のあくのない柔らかな声に語られると、たちまち心地よい朗読に変わる。ローラの人間らしい葛藤の事実を、誰も咎めることはできないだろう。男女の間にあるのは「破綻の恋」という真実のみだからこそ、より情熱を増し、まるで純愛のようだ。

物語は叙情的だが、カメラは叙事的に捉えていたように感じる。埋まらないその差が、来る本格的な冬の冷たさを一層引き立たせている。列車の往来を映した冒頭のカットが、なぜか私の目に焼きついて離れない。(MIHOシネマ編集部)


不倫は絶対ダメ。誰も幸せにしない。と思いながらも、映画で他人の背徳感たっぷりの不倫模様を鑑賞するのは面白いものです。しかも日本人じゃないからしっかり作品として観られるのがいいです。
お互いに結婚しながらも、一時の幸せを求める男女。なんでこういう人達って一つ一つの偶然を「運命」だと勘違いするのでしょう?そうでも思わないと、ふとした瞬間に何やってるんだろうって我に返って負けちゃうからでしょうか?
不倫する人の気持ちはわかりませんが、いけないことをしている時のハラハラドキドキはなんとなく感じられました。(女性 30代)

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