映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』の概要:高校生の仲良し3人組又八・ジン・ジャンボは、高校卒業までの時間で何か成し遂げようと車で目的もなく走りまわる。 仲野太賀や中村蒼など、注目の実力派俳優が揃ったパワフルかつ日常的な青春ストーリー。
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』の作品情報
上映時間:90分
ジャンル:ヒューマンドラマ、青春
監督:廣原暁
キャスト:太賀、中村蒼、矢本悠馬、染谷将太 etc
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』の登場人物(キャスト)
- 又八(仲野太賀)
- 仲良し3人組のお調子者・運転担当。高校の卒業式をバンドでジャックすることをジンとジャンボ、そして中田に持ちかけ巻き込むが、途中でどうでもよくなってしまう。笑ったり悪巧みしたり泣いたりと感情が豊かで、憎めないタイプ。
- ジン(中村蒼)
- 仲良し3人組の中で最もまともで、唯一大学受験をしている。落ち着いた性格だが、又八とジャンボが繰り広げるおバカな遊びに巻き込まれることを楽しんでいる。
- ジャンボ(矢本悠馬)
- 仲良し3人組の1人で、又八と一緒にいつもはしゃいでいる。父の車を又八に運転させており、あとで怒られることをずっと心配している。性器が大きすぎることがコンプレックス。
- 中田(染谷将太)
- 仲良し3人の同級生で、又八に卒業式ジャックライブに誘われている。バンド練習のために物語の序盤から又八たちを探しているが、結局最後まで会えない。
- 愛(佐津川愛美)
- 見た目は可愛らしくグラビアアイドルを生業としているが、実際はタバコを吸いパンクロックが好きなカッコイイ系女子。物語の途中で3人組の車に同乗する。
- マリア(阿部純子)
- バナナクリニックという風俗に勤める、穏やかな性格の新人風俗嬢。ジャンボがバナナクリニックを訪れたことをきっかけに、3人の車に同乗する。
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』のあらすじ【起】
誰もいない食堂では、桜の開花や大学受験の合格発表を取り上げるテレビの音がする。とある車では「ポンチョに夜明けの風はらませて」という曲振りをするDJの声。車が向かうのは、大学受験の合格発表会場。ジンは合格者の張り紙を見て、無表情に学校を出る。車に乗っていた又八とジャンボは、出てきたジンの合格を祝うため華やかに迎えるが、ジンは受験に落ちていた。
中田は、又八を訪ねて食堂に来たが誰もいない。中田はギターを背負って自転車に乗り、又八を訪ねてバーに向かう。そこには、バーのママと客・ジャンボの父親しかいない。又八の行方を訪ねたが、ジャンボの父は卒業式でバンドをする又八たちに、やめるよう伝えとけとだけ言う。
又八・ジン・ジャンボの3人は、コンビニでペンキを買い、車に付けてしまったキズをごまかそうとしている。愛は、父が運転する車内でグラビアの成功を褒められるが、憂鬱そうな顔。愛は父に自分の作った曲をバカにされ、タバコも止められ、苛立って窓から火の付いたタバコを投げ捨て、暴走族に絡まれる。興味本位で助けに行った又八はあっさり逃げ、ジンとジャンボを含めた3人は車で逃走しようとする。愛はたまたま居合わせた3人の車に強気で乗り込み、逃走するよう命令する。暴走族たちにバイクで追いかけられ、車は散々殴られ落書きもされてボロボロになってしまう。愛だけが楽しそうである。
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』のあらすじ【承】
辺りが暗くなり車を止めると、愛は自分が作った曲を車から大音量でかけるが、愛がノリノリのその曲はパンクロックで愛のイメージとは正反対だ。ジャンボは父から電話で、車にキズ一つつけないよう念押しされてしまう。又八は近くの島でやっているペドロというバンドのライブにみんなを誘う。気まぐれな又八は、自身が提案したはずの卒業式ジャックライブをばっくれるつもりでいる。
又八たち4人は何かが吹っ切れ、暴走族にボロボロにされた車をさらに打撃して楽しむ。中田が1人でバンド練をしている一方で、3人組と愛の4人は車のフロントガラスを完全に壊す。4人はゴーグルをかけて車を走らせ、車内ではポテトやハンバーガー、新聞紙などが舞っている。
又八・ジン・ジャンボの3人は青空の下で朝を迎え、愛はボロボロになった車の中でいびきをかいて寝ている。4人はゴーグルをかけて歌いながら、愉快に車を走らせる。自分の性器の大きさを又八とジンに指摘され、心配になったジャンボが訪れたのはバナナクリニックという名の風俗だった。ジャンボは、性器が大きすぎて女性器に入らず彼女に振られた過去を告白すると、マリアが試そうとするがいくら頑張っても入らない。その風俗では本番行為禁止のため、ジャンボとマリアは店から逃走し、手を繋いで街を逃げ回る。動物のための募金パレードに便乗し募金を集めた又八・ジン・愛と合流し、マリアも車に乗る。
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』のあらすじ【転】
一行は海にたどり着き浜辺を大はしゃぎで走るが、海に着く前に3月の気温と共に正気に戻り、海には入らない。
夜になると浜辺でキャンプを始める一行。マリアが着ていたナース服を着てはしゃぐ又八を、追い回すジン・ジャンボ・愛と、その動画を楽しそうに撮るマリア。明日近くの島で行われる、ペルー人のバンド・ペドロのライブに行きたがる又八に、ジンとジャンボは反対し卒業式までに帰ろうと提案する。反対され尋常じゃなく落ち込む又八に、ジンは心配の声をかける。又八は赤ん坊の頃の自分と母と外国人が、3人で写る写真を取り出す。又八がペドロに会いたがっていたのは、ペドロのメンバーの1人が自分の父だと信じていたからだった。そんなことは知らなかったジンとジャンボは、考え込んだような表情。愛とマリアは明るい歌を歌って盛り上げ、それに続いて男3人も焚き火の周りを回りながら、気が狂ったように全員で歌いはしゃぐ。
夜明け。又八・ジン・ジャンボが起きると、ジャンボの父の車はペンキで施されたカラフルなデコレーションの上に「GOOD BYE!」書き残され、愛とマリアが消えている。ペドロに会いに行く資金だったはずのお金も、一緒に消えていた。又八は、自分たちの運命を受け入れた諦めの早いジンに突っかかり、悪巧みをした表情を浮かべる。
3人は港に向かい、大型フェリーにこっそりロープを結びつけ、又八をペドロのライブが行われる島まで引っ張ってもらう作戦に出た。マリアのお店から持ってきたバナナボートに捕まり、順調に船に引っ張られる又八。しかしそれも束の間、結びつけたロープはあっさり切れ又八は港の沖に取り残されてしまった。島では予定通りペドロのライブが行われていた。その曲をバーのラジオでしみじみと聞いている様子の、又八の母。又八は、必死で海を泳ぐ。
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』の結末・ラスト(ネタバレ)
港でカラフルな車の上に乗り、黄昏れているジンとジャンボ。又八が必死に泳いでたどり着いた場所はペドロがライブをする島であったが、既にライブは終わっていた。しかし又八は父と信じる存在を見つける。言語は通じないが、歓迎してくれている様子の彼と熱い抱擁を交わす。彼はバンドメンバーに又八を紹介してくれ、着ていたペルーのポンチョを又八にプレゼントする。又八はジンとジャンボと再会すると2人に熱い抱擁をし、父についていくと言い別れの言葉を告げる。しかし、ペドロが乗る車は又八を送り届けると彼を置いて走り去っていった。又八の母がバーで聞いていたラジオは、なんでもない日本語のラジオであった。
又八と母、ペドロのメンバーが写る写真は、単にCDを買ったお礼であり、彼は赤の他人であった。いつものように突っ走ってしまった又八と、そんな又八に呆れるジンとジャンボ。車のラジオからは、卒業式をバンドでジャックするというハガキを読み、応援するDJの声。再びカラフルな車に乗って、3人は帰路につく。歌を口ずさみながら夜通し運転する又八と、それを黙って聞いているジンとジャンボ。
卒業式が始まっている体育館入り口では、中田がギターを抱えて呆然と座り込んでいる。閉式の辞のタイミングで、中田は1人で体育館のステージに演奏のセッティングを始める。中田が熱く歌い始めると、生徒たちも先生の反対を押し切ってノリ始め、中田のワンマンライブ状態になる。一方で又八、ジン、ジャンボの3人は車をぶつけて故障させてしまい、車を捨てて走って学校に向かっていた。
映画『ポンチョに夜明けの風はらませて』の感想・評価・レビュー
学生生活はこの映画のように、なんでもない日常が最高の青春だと思う。友達とくだらないことをして遊んだ思い出は、きっと大人になってもキラキラと蘇るのであろう。いま注目されている俳優を集めただけあって、それぞれの絶妙な表情や言葉遣いに、とても引き込まれる作品であった。特に仲野太賀は、作品によって変えるコメディとシリアスの表現力があり、今回はコメディ要素が最高に引き立っていた。(MIHOシネマ編集部)
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