映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』の概要:1941年、ナチスドイツの占領下にあったチェコで、ヨゼフとヤンはナチス親衛隊大将ハイドリヒを殺害する計画を立てる。その名は「エンスラポイド作戦」。実在した作戦を基にした、大義に殉じた人々の愛と葛藤を描いた映画。
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』の作品情報
上映時間:120分
ジャンル:ヒューマンドラマ、歴史、戦争
監督:ショーン・エリス
キャスト:キリアン・マーフィ、ジェイミー・ドーナン、シャルロット・ル・ボン、アンナ・ガイスレロヴァー etc
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』の登場人物(キャスト)
- ヨゼフ・カプチーク(キリアン・マーフィ)
- ロンドンのチェコスロバキア亡命政府から送られたエージェント。冷静な性格で、大義のためには自分の命も捧げる覚悟を持っている。計画を成功させるためにレンカへの想いを隠していた。
- ヤン・クビシュ(ジェイミー・ドーナン)
- ヨゼフと共に任務を遂行するエージェント。チェコで出会ったマリーを愛しており、婚約していた。そのため、愛するひとの命と大義との間で葛藤する姿も見られる。
- レンカ・ファフコバー(アンナ・ガイスレロヴァー)
- チェコ内のレジスタンスの一員である女性。街に溶け込むためにヨゼフと行動を共にするが、次第に彼に惹かれていく。ナチスに居場所が見つかり、捕虜にされそうになるも、最後まで抵抗した誇り高い人物。
- マリー・コヴァルニコバー(シャルロット・ルボン)
- ヨゼフとヤンがチェコ内で下宿していた家で、お手伝いとして働いていた女性。ヤンと出会い婚約した。
- ヤン・セレンガ・ハイスキー(トビー・ジョーンズ)
- レジスタンスのリーダーの1人。ヨゼフの作戦を冷静に分析し、具体的な戦略を提案した視野の広い人物。ヨゼフとヴァネックの衝突を仲裁する姿も多々見られる。ナチスの操作が厳しくなると、情報漏洩を避けるために、青酸カリで自殺した。
- ラジスラフ・ヴァネック(マルチン・ドロンスキー)
- レジスタンスのリーダーの1人。ナチスの報復でチェコが消滅してしまうことを恐れているため、計画に対して消極的。
- アタ・モラヴェツ(ビル・ミルナー)
- ヨゼフとヤンが下宿していた家の一人息子。将来はバイオリニストになることを夢見ており、日々練習に勤しむ。ナチスの家宅捜索の際に連行され、拷問を受ける。
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』のあらすじ【起】
第二次世界大戦前夜、ナチスドイツが占領していたチェコには軍需工場が建てられ、ナチスにとって重要な土地になっていた。この土地を守るため、ナチスは親衛隊大将、ラインハルト・ハイドリヒに命じて、占領に不満を持つチェコのレジスタンスを大量虐殺し統治していたのだった。
1941年冬、ロンドンにあるチェコスロバキア亡命政府から派遣されたヨゼフとヤンは、パラシュートで山に降り立つ。着陸の際にヨゼフが足を負傷したため、二人は野宿で一夜を過ごす。
翌朝、山の猟師に誘われ彼の家についていく。家には猟師ともう一人の男性が住んでいたのだった。
彼らは食事を振る舞うフリをして、二人をナチスに売ろうとしていたのだった。これに気付いたヨゼフとヤンは猟師を殺害するが、もう一人の男性には逃げられてしまう。
その後、家にあったトラックに乗りプラハに移動した二人は、レジスタンスと関わりのある獣医を訪ね、ヨゼフの足の怪我を治療してもらう。
彼の紹介で、チェコ内のレジスタンスと合流した二人は自分たちに課せられた任務「エンスラポイド作戦」の概要を話すのだった。
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』のあらすじ【承】
彼らの任務が、ナチスドイツ親衛隊大将ハイドリヒの暗殺であると知った、レジスタンスのリーダー・ハイスキーとヴァネックは動揺するものの協力を了承する。
その後、二人はレジスタンス協力者のもとで下宿し、身を潜めることになる。
彼らは周囲からの警戒を避けるため、下宿先に奉公するマリーと彼女の友人でレジスタンス組織のメンバーでもあるレンカと行動する。
生活にも慣れ、武器も調達できた頃、二人と同様に亡命政府から派遣された隊員たちと合流することに成功する。再開した喜びも束の間、情報漏洩を恐れた亡命政府から青酸カリを携帯するよう連絡を受ける。任務に対する覚悟を改めたメンバーは再び街に潜伏する。
ハイドリヒを尾行し、着々と暗殺を計画していたある日、下宿先の夕食会でヤンがマリーとの婚約を発表する。生き延びることができるかわからない今回の任務に対して恐れを持ち始めたヤンに、ヨゼフは本来の目的を思い出させるように無言の圧をかけるのだった。
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』のあらすじ【転】
亡命政府からエンスラポイド計画の決行が通達されると、ハイドリヒがチェコを離れ、パリに転勤することがわかる。次のチャンスがいつ来るかわからないと考えたヨゼフは、翌日に作戦決行することを提案。
しかし、ナチスドイツの報復で、チェコが消滅することを恐れたヴァネックは反対する。 それでもハイスキーがヨゼフに賛成したことにより作戦決行は翌日に決定する。
作戦決行日、仲間と合流した二人は襲撃地点でハイドリヒを待つ。予定通り、ハイドリヒが乗った車が現れると、仲間が車を足止めする。ヨゼフはその隙にハイドリヒを射殺する計画だったのだ。しかし、彼を撃とうと引き金を引いたその時、銃が故障していることに気づく。
異変に気付いたヤンは手投げ弾で車を爆破するも、暗殺は失敗。なんとかその場から逃げ切ったヨゼフとヤンは、下宿先で落ち合う。ほとぼりが冷めるまで息を殺して生活していると、マリーが訪れて来る。彼女は、ナチスの人質になることを拒んだレンカが殺されてしまったことを伝える。密かにレンカに愛情を抱いていたヨゼフは激昂する。
作戦失敗により、ナチスの捜索が激化。身動きが取れなくなった二人は、大聖堂に匿ってもらうことに。
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』の結末・ラスト(ネタバレ)
ペトレク神父の手引きで大聖堂の地下に身を隠した二人は、政府から送られてきた隊員たちと合流する。その矢先、ハイドリヒが死亡した情報が飛び込んでくる。
殺人犯を探すナチスは、情報提供者とその家族に完全赦免を約束。5日間で犯人を引き渡さなければ、3万人のチェコ人を殺害すると宣告するのだった。
そんな中、レジスタンスのメンバーが裏切り、二人の下宿先が捜査される。下宿先の青年アタとその母親が捜査対象となるが、母親は息子を残し青酸カリで自殺。アタも拷問され、教会の地下にレジスタンスが隠れていることを伝えてしまう。
続々と集まるナチス軍によって、大聖堂は包囲される。ヤンを含めた3人の見張りが応戦するも全滅。地下に隠れていたヨゼフたちも発見されてしまう。
ナチス軍は裏切ったレジスタンスを使い、彼らを降伏させようとするが失敗。
しかし、圧倒的な戦力差を前にできることは何もない。ナチス軍によって地下室に水を流し込まれると、ヨゼフはレンカの幻影を前に、穏やかに自らの頭を撃ち抜いたのだった。
映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』の感想・評価・レビュー
今作は、第二次世界大戦時にあったとされる「エンスラポイド作戦」に着想を得た作品である。
大義のために自らの命を捧げることと、自分が愛する者のために生き延びることの間で揺れ動く人々の葛藤が描かれており、戦争の悲惨さを感じた。
主人公の二人は正反対の性格であったが、彼らの内面の動きが巧妙に描かれていたため、非常に感情移入しやすく、見終わった後に心に残るものがあった。(MIHOシネマ編集部)
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