映画『幸福都市(幸福城市)』の概要:近未来の台湾を想定し描いた世界。IT技術の発展により、チップですべての個人情報を収集できる時代で、高度な監視技術の元でも罪深き人間たちへ復讐していく男を追う。
映画『幸福都市(幸福城市)』の作品情報
上映時間:107分
ジャンル:SF、ヒューマンドラマ、ミステリー
監督:ホー・ウィディン
キャスト:リー・ホンチー、ホアン・ルー、ジャック・カオ etc
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映画『幸福都市(幸福城市)』の登場人物(キャスト)
- ジャン・ドンリン(ジャック・カオ)
- 主人公の老年期。常に監視されチップで管理されている時代で、様々な復讐を繰り返しながら生きている。過去に関わりのあった女性が忘れられずにいる。
- ジャン・ドンリン(リー・ホンチー)
- 主人公の青年期。幼少期に母親から捨てられたトラウマがある。刑事として働き始めたが、不運な出来事が立て続く中、奮闘する。
映画『幸福都市(幸福城市)』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)
映画『幸福都市(幸福城市)』のあらすじ【起】
澄んだ空を見上げると、一人の男性が落下してきたことに気付く。空中には男性を見下ろす一体の飛行物が浮いている。珍しい状況に集まる人だかりの横を、気にすることもなく通り過ぎたジャン。役所の人間に声をかけられても聞こえないような素振りをして向かった先は、妻が習っている社交ダンスの大会。突如一人の男性に殴り掛かったジャン。すぐに大会からつまみ出されてしまうのだった。
自動運転バスに乗り、夜も灯りが絶えない繁華街に出向いたジャン。ホーという男性の紹介で、とある風俗店に向かった。それは銃の取引をするためである。店を出て人気の無いシャッター街を抜けようとすると一人の男性が小声で話しかけてきた。当局の目を盗んで、未成年の女の子を売春させる商売をするこの男は、「外国の子もいる」と必死にジャンに売り込みをする。タブレットで見せてきた少女たちの顔写真の中に、一人気にかかるヨーロッパ女性を見つけたジャンは、すぐに会わせるように交渉した。一番高価だというこの少女と会うために金を惜しむ気はないジャンは手段を厭わない気迫であった。お金をちらつかせると男はすぐに少女が待機する部屋の情報を与えてくれた。
ネオンの灯る雑居ビルの一室を目指したジャン。昔の知人・アラに似ている少女に会うためではあるが、異様な空間に多少尻込みしていた。少女に会ってみると、偽のIDを利用しているため全く情報がなかった。完全に商売のために自分を売っている少女は、コースを選ぶように指示をする。話をするために仕方なくサービスを受けるジャンであったが、「疑似恋愛」のコースとして少女は熱心にジャンを悦ばせるのだった。過去の記憶に浸ってしまったジャンは、アラの子供なのではないかと疑うが少女には両親がいないようで気がかりを残したままビルを去ることとなった。
映画『幸福都市(幸福城市)』のあらすじ【承】
ジャンはある仕事を済ませに、とある病院に向かった。厳しく警備されている中ではあるが、仲間に用意された変装セットを使ってターゲットであるシー大臣のいる病室に忍び込み抹殺することに成功する。死体は右腕を切り取り、ゴミ箱に廃棄するのだった。
一仕事終えたジャンは、娘に会いに向かった。セキュリティが厳しいビルで働く娘は、自立しチャームポイントであるほくろを除去するほどの余裕があった。全情報をチップで管理されているこの世界では、顔の印象が変わろうとも見つけられるという娘。恋人ができたようで、ジャンは安堵するのであった。後日、娘が海外に転勤が決まり見送りに行ったジャン。娘は別れ際に「皆のために離婚するべき」とジャンに本音を残し去っていくのであった。妻のユー・ファンには不倫相手がすでにいた。
娘の言葉が気にかかり、妻に会いに出向いたジャン。タイミング悪く不倫相手と遭遇してしまい、怒りに身を任せたジャンは殴り殺してしまった。さらに、高価な美容アイテムを不倫相手に買ってもらったと悪びれる様子なく話す妻にも怒りが収まらず、首を絞めて殺してしまうのだった。
映画『幸福都市(幸福城市)』のあらすじ【転】
この世界の監視は厳しく、チップに内蔵された映像で、いくつもの殺人事件はジャンの仕業だとすぐにバレてしまう。監視カメラのついたドローンに見張られたジャンは、反抗しようと必死になるうちにアパートの部屋から落下してしまった。意識がもうろうとする中で、アラとの出会いを思い返していた。
きっかけはジャンが若い頃、警察として働いているときであった。万引きが見つかり、逃げているアラを補導したのである。まだ新婚だった頃、美人で自慢の妻であったが、互いに仕事が忙しくすれ違うことがあった。とある日、早く帰宅したジャンは妻と上司の浮気現場に遭遇してしまう。残像が離れず、自殺することも考えたが子供もいるため離婚には至らず踏みとどまった。一人で考えことをしているとき、以前に補導したアラの姿を見かけ様子を観察しているとやはり万引きをしていた。うるさく注意するのではなく行動で指し示すジャンに、心を奪われたアラは話をしようと後をつけ始めた。すると、ジャンは何者かに車に連れ込まれ暴行を受けている現場を目撃してしまう。すぐに看病し、自宅まで送ろうとするアラ。心に大きな穴が空いているジャンにはありがたい優しさであった。ジャンを自宅まで送る途中、二人はゆっくりと話しながらお互いを知る時間を得た。気を落としているジャンを元気付けようと、アラは仲間が集まるたまり場に連れていくことにした。
映画『幸福都市(幸福城市)』の結末・ラスト(ネタバレ)
アルコールだけではなく、ドラッグも蔓延しておりとても開放的な環境。普段ならば正義感溢れるジャンは許すことはないが、アラの自宅に場所を移し二人は愛し合った。しかし、突如帰ってきた両親に金を盗んだと疑われてしまうアラ。自分の過ちが生んだ誤解ながら、両親に信じてもらえない哀しみがアラに襲いかかった。一緒に遠くへ行こうと提案したジャン。一度荷物を取りに職場へ戻ると、待ち構えていた同僚と上司に仕組まれ、同僚の金を盗んだ濡れ衣を着せられてしまった。服役6か月の処罰となったジャン。外で待っていたアラは、いつまでも戻らないジャンの身を案じながらもその場を離れ、二人は二度と会うことはなかった。
高校生の頃のジャンは、祖母と2人暮らしの貧しい環境で、警察に世話になることがあった。盗みがバレてしまい逃げていたある日、同じく警察から逃げている女性と鉢合わせる。派手な装いの女性は警察署内でもやたらに話しかけてくるが、名前を言った後から少し態度が変わった。自分と祖母を捨てた母親を許せないと話している矢先、警察はその女性を「チュイシア」と呼んだのだ。偶然にも母親と同じ名前の女性を前にして、動揺を隠せないジャン。いたずらにも二人は親子だったのだ。こんな形での再会を喜べないジャンは、別れ際に挨拶をしなかった。それぞれにパトカーに乗せられた二人だったが、道中チュイシアが乗ったパトカーが何者かに襲撃された。ジャンの執着心を生んだのは、幼い頃に一緒に遊んだ記憶しかない母親との再会を喜ぶ間もなく、別れを強いられた経験であった。
映画『幸福都市(幸福城市)』の感想・評価・レビュー
主人公が老年期の場合には、近未来設定で展開する物語。公共のバスにも飛行機のようなパッドが用意されているなど、日常を監視するためには用意周到すぎるほどの細かな設定が印象的であった。アジア独特の、湿度ある街並みと相まって、ひしひしと伝わる主人公ジャンの人生の悲壮感。青年期、幼少期にも渡りジャンのトラウマは止まず、目を離す隙を与えない展開であった。若干わかりづらさが否めず、モヤっとした余韻が残るのが多少残念ではあるものの、韓国に次ぎ中華圏の映像作品の今後に期待が高まる一作であった。(MIHOシネマ編集部)
チップにより全ての人間の行動が監視されている未来の台湾を舞台にした今作は、1人の男の生涯を丁寧に描いていて、技術が発達した台湾の描写はあまりにも緻密で繊細な作りをしていました。
自分の行動が監視されているので、何をしたかすぐバレてしまう世界でも復讐を続けるジャン。彼が本当に求めていたものは何なのか考えながら鑑賞していましたが、彼の心の中は彼にしか分からないような気がしました。(女性 30代)
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