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映画『スプリング、ハズ、カム』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『スプリング、ハズ、カム』の概要:上京を控えた娘の物件探しに付き添った父。二人で過ごしてきた時間との卒業を目前にした、父娘の1日を描く物語。映画初主演の落語家・柳家喬太郎を迎えた、東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門上映作品。

映画『スプリング、ハズ、カム』の作品情報

スプリング、ハズ、カム

製作年:2017年
上映時間:102分
ジャンル:コメディ、ヒューマンドラマ、青春
監督:吉野竜平
キャスト:柳家喬太郎、石井杏奈、朴路美、角田晃広 etc

映画『スプリング、ハズ、カム』の登場人物(キャスト)

時田肇(柳家喬太郎)
娘を産んだ翌日に妻が亡くなり、男手一つで娘・璃子を育ててきた。自分を気遣う璃子を自由にしようと、東京の大学に進学させ一緒に物件探しに2日間の二人旅に向かう。
時田璃子(石井杏奈)
肇の一人娘。不器用な父親をいつも心配していて、本当は地元の大学に進学を希望していた。母親の死を自分のせいだと思っている部分があり、意識的に母親の話を避けている。
夏川真希子(朴ろ美)
肇の義理の妹。東京で百貨店の美容部員として働いている。璃子の「東京の母」として面倒を見ると肇と約束を交わした存在。
田所(柳川慶子)
璃子の住まいの大家。子供二人を育て上げ、夫に先立たれてからは一人で暮らしている。瑠子のような優しい子が入居してくれることを喜び、肇とも親心を共感しあう。

映画『スプリング、ハズ、カム』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『スプリング、ハズ、カム』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『スプリング、ハズ、カム』のあらすじ【起】

桜が満開の春らしい暖かな日に、広島から上京した瑠子。初めての住まいは、落ち着いた場所を選んでいた。近所には引っ越し業者の男性に懸命に声をかける、お節介な大家も住んでいる。不意に出た広島弁を聞き、引っ越し業者の男性は自分の若い頃を重ね「頑張ってね」と言い残し、去っていった。

上京前の家探しには、父・肇も同行していた。往復共に12時間の夜行バスを使い、たった2日間で決めなければならないハードスケジュールで臨んだ二人。肇の義理の妹・真希子と昼食を一緒にするために新宿駅へ向かうと、そこはまるでダンジョンである。璃子は人混みに目を丸くしながらも、百貨店の美容部員として勤める真希子の凛とした姿に憧れを抱くだった。

18年前、璃子が生まれたときに母親は亡くなっている。肇と妻の新婚旅行は東京だった。昔の話を昨日のことのように話す肇。亡くなった姉の話を聞きながら、真希子は璃子がそっくりになっていると話を切り替えた。全く反抗期が無かった璃子は、何か自分には言えない不満もあるのではないかと思っている肇。真希子に璃子のことを頼むのだった。

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映画『スプリング、ハズ、カム』のあらすじ【承】

母親に関する話を意識的に避けていた璃子。真希子から両親の馴れ初めを聞き、知らなかった父親の一面と、母親と同じ癖があることを知るのだった。璃子に片想いの相手がいると知った真希子は、不倫中であると明かして「恋バナをしよう」と約束をして去っていった。

物件探しに向かった肇と瑠子。最初に内覧した家は隣人が怪しく、2件目の新築物件は気に入ったもののタイミング悪く先に契約が決まってしまった。3件目は少し古びたアパートだった。内覧中に訪ねてきた大家の田所と肇は意気投合する。イメージしていた東京とは少し違う静かな街並みを眺める璃子を、肇は写真に残し記録しておくのだった。

ベランダで肇と並んで街並みを見た日を思い返す璃子。この部屋を決めたのは、“懐かしさ”があったからであった。物件探しをした日、田所の案内で家の付近を散歩した二人。住宅街の中にある畑や小さな商店街は、故郷である広島を思い返すような街並みであったのだ。

映画『スプリング、ハズ、カム』のあらすじ【転】

田所は亡くなった夫が好きだった飴を常に持ち歩いている。もちろん肇と璃子に初めて会った日も、飴を渡した。田所が夫とよく日向ぼっこした公園で少し休憩をする3人。肇はこの物件探しを妻と初めてアパートを探したときに重ねていたという。田所にだけ、璃子のために無理矢理東京の大学に入学させ地元から出したという本音を明かした。寂しそうにする肇を見て、田所は「会えるうちにたくさん会話をしておきなさい」とアドバイスをしてあげるのだった。

ドラマの撮影をしている現場を偶然見かけた瑠子。肇と田所を誘い、一緒に見に行った。すると、エキストラとして出演して欲しいと声をかけられる。居合わせた女性も参加し、「仲良し家族」役を請け負った4人。璃子にとっては母親のとの時間の疑似体験であった。無事に撮影を終えドラマの出演者と記念撮影をした後、田所とも別れ再び二人きりの時間となった。

喫茶店でうたたねをしてしまった肇。こっそりと写真を撮り、その日の撮影分を確認した璃子は、肇が自分ばかり写していることを知るのだった。

映画『スプリング、ハズ、カム』の結末・ラスト(ネタバレ)

夜行バスまでの時間、家具などを見て過ごす肇と璃子。偶然通りかかった迷子の外国人夫婦に話しかけられ、地図を頼りに目的地まで案内してあげることにした。目指していた店に着くと、そこでは案内した夫婦の妹の結婚パーティーが開かれているという。お礼に招待された二人は、インドの料理やお酒を堪能し、恥ずかしがりながらも一緒に踊り上げた。国と文化は違えど、父娘の愛情は同じだと分かり肇は上機嫌で別れを告げた。

不意に瑠子をおんぶしようとする肇。瑠子は恥ずかしがるが、頑固な肇に負け背中に身を委ねた。肇は、結婚前に妻をおぶったことがあると話し、瑠子の優しいところは母親譲りだとたくさん母親の話をした。「もう少しだけわがままを言ってほしい」と肇は最後のお願いをして、父娘の旅は終わりを迎えた。

一人暮らし初日、瑠子は肇の背中のぬくもりを思い出しながら「おやすみ」とつぶやく。目を覚ませば一人きりの新たな生活がはじまる。

映画『スプリング、ハズ、カム』の感想・評価・レビュー

「ヒューマンドラマ」らしい人情の温かさに満たされる時間であった。肇と璃子親子が街で出会う人々は実に特殊でチープにもなりかねない。しかしこの物語にはそんなことを気にさせない不思議な力があった。あえて触れてこなかった両親の思い出や父の心情を勘づく度に、璃子は離れがたいだろう。それでも互いに独り立ちするときは必要。多くの人が経験したであろう親離れと子離れをテーマに濃厚な1日を綴る作品であった。(MIHOシネマ編集部)


父と娘が一緒に生活する最後の一日をゆっくりと丁寧に描いた今作。流れていく日常の中のたった一日の出来事が、こんなにも濃密で愛おしい作品になるのだと予想外に涙してしまいました。
男手ひとつで育ててくれたお父さんのことを気にかける娘が本当にいい子で、娘を大事に思っているのがひしひしと伝わってくるお父さんの優しさも物凄く良かったです。こんな親子羨ましいなと思わせてくれるストーリーで、なんだか家族に会いたくなりました。(女性 30代)

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