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映画『精神』のネタバレあらすじ結末と感想

映画『精神』の概要:岡山県にある小さな精神科クリニックを舞台に、心の病に苦しむ患者たちと医師・スタッフの交流を追うドキュメンタリー。釜山映画祭での最優秀ドキュメンタリー賞を始め、世界でも注目された一作。

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映画『精神』の作品情報

精神

製作年:2008年
上映時間:135分
ジャンル:ヒューマンドラマ、ドキュメンタリー
監督:想田和弘

映画『精神』の登場人物(キャスト)

想田和弘
当作の監督。インタビュアーとして、撮影に協力してくれる患者たちと向かい合う。

映画『精神』のネタバレあらすじ(ストーリー解説)

映画『精神』のストーリー(あらすじ)を結末・ラストまでわかりやすく簡単に解説しています。この先、ネタバレを含んでいるためご注意ください。

映画『精神』のあらすじ【起】

岡山の小さなクリニックには時間を問わず多くの患者が身と心を委ねている。「周りから認められない存在だ」と自分を責め、泣き続ける女性や自殺衝動を抑えきれない女性。鬱と闘い続け来院する患者からは明るい言葉は出ない。一言ずつ受け止めて気を落ち着かせる道を示唆するのが山本医師である。

孤立をストレスに感じる男性には、「本を読み上げる」といった身近な短期目標を与えることで思考を切り替えるヒントを与えていた。クリニックに訪ねて来るのは、他の病院で見放された人もいる。家に居ると「出ていけ」という知らない男の人の声が聞こえ、逃げ出したがお金が無く野宿をしていたという女性が世話になることになる。まずは1日だけ寝る場所を提供してもらい安堵する女性。インタビュアーが一つ問いかけると、女性は待っていたと言わんばかりに過去の傷を話し続ける。父親への疑念、母親との確執、元夫への不満と自ら殺めてしまった子供のこと。その女性には全てが敵に見えていると訴えるのだった。

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映画『精神』のあらすじ【承】

自立支援法の改正が患者たちを追い詰める。治療費の負担が0から1割になるだけで、通院できなくなる患者も多くいる現実を知っているのは、現場で働く者だけであった。精神的な疾患を抱える患者たちを支援しようと集うNPO法人では、この緊急事態にどう打ち勝つべきか答えの見えない話し合いが続くのだった。

クリニックでは患者の診察だけではなく、社会保険事務所に提出する書類のフォローもしている。精神的な病から仕事に支障をきたした患者には「商業手当金」が付与されるが、医師の診断はもちろんのこと細かな質問にも対応しなければならないのである。市によっては審査が厳しく、処方できる薬の最大日数が決められている。生活環境に合わせて多めに処方すると、勝手に保険外と見なされてしまうのだった。

薬室で患者たちの薬を管理する女性もまた精神的に傷を負った女性である。人間関係に悩み、些細な言葉で深い傷を負ったと話してくれた。しかし、山本医師が与えてくれた役目のおかげで、自分の存在意義を感じ笑えるようになったという。

映画『精神』のあらすじ【転】

患者たちにも家族がいる。生活保護を受ける者も多く、法改正の度に現状が厳しくなっていく。娘のために身体を売ったシングルマザーや、発病により息子に拒絶されてしまった女性。親と暮らす人も多くいるが、先立たれた後には自立を余儀なくされる。料理を1度しかしたことがないという男性は、お嫁さんが欲しいとこぼし周囲を和ませるのだった。

市の家事援助を利用し、ヘルパーに料理を教わる男性。もので溢れた家には、両親の仏壇だけが整理されて置かれている。「インベイダーの声」が自分を支配するときがあると男性は語る。頻度は高くないものの、いつ自分を抑えきれなくなるかわからないという不安と、責任は取るべきだという意識と隣り合わせで生活しているのだった。

クリニックのスタッフたちは山本医師とは違う取り組みをしながら、患者と寄り添っている。患者からの何気ない報告の電話も対応し、外に出るきっかけを作ろうと県内で開催されるイベントを掲示しているのである。それは、自分の給料を削ってでも患者を優先する山本医師の姿勢を目の前で見ているからだった。

映画『精神』の結末・ラスト(ネタバレ)

軽快に冗談を並べる男性は山本医師に一生の恩を感じている。出会いは25年前、高校生の頃である。いくつになっても頑張りすぎてしまうたび、救い出してくれる人は山本医師だという。この男性は写真や詩を嗜んでいる。日常で撮りためた写真に自ら詩を付け小冊子にしているのである。仲間たちから感想をもらい、笑い合う日々があるのは山本医師と出会ったおかげなのだ。

統合失調症と40年付き合っている男性は、真の健常者はいないと言い切る。社会における役割は人により違うと知ったのは、度重なる不安定さから抜け出したときだというのだ。

サークル活動などに踏み込んで社会的に立場を得ようとする人もいる。健常者と付き合うことに不安を抱く男性に対して、目的大事にするべきだと背中を押した。さらにその男性は障害手帳を申請すべきか相談する。患者自身が偏見を持たないならば、いいのではないかと助言した。冷たい視線を送られることや病を抱える自分を特別だと思わないことが大事だと、山本医師は伝えていくのだった。

映画『精神』の感想・評価・レビュー

包み隠さず、色付けず、ひたすらに人と向き合った作品である。日々のニュースで時折特集のある心の病について、ではない。小泉政権下、障害者に「自立」を求める国の動きに翻弄される当事者。その人たちを支える人たちも含めて、暴力的に思えるほど真実を突きつけてくる。2時間超えのドキュメンタリーながら、なんだか不思議なリズムと軽やかさがあった。
正気とはなんだろう、健常者とは誰を指すのだろう。正解が見えない問いかけのようにも思える鑑賞記録である。(MIHOシネマ編集部)


日本は安全で、住みやすくて、恵まれた国だと思っていましたが、こんなにも「人に優しくないやり方」をすることがあるのだと気付かされました。
国民全員が同じように幸せを感じるのは無理な事だし、何かを決める際にはどこかで「線引き」をしなければならないのは理解しているつもりです。
しかし、心を病んでいる人、お金に余裕が無い人、障害を持つ人など弱い立場にいる人がさらに苦しくて辛い思いをしなければならないというのは、綺麗事かもしれませんがすごく悲しくなってしまいました。(女性 30代)

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