映画『ラースと、その彼女』の概要：リアルドールを恋人にして暮らし始めた内向的な主人公と田舎町で暮らす人々との関わりを温かく見つめたヒューマンドラマ。アカデミー賞を含む数々の賞でオリジナル脚本賞にノミネートされた。
映画『ラースと、その彼女』の作品情報
上映時間：106分
ジャンル：ヒューマンドラマ、コメディ
監督：クレイグ・ギレスピー
キャスト：ライアン・ゴズリング、エミリー・モーティマー、ポール・シュナイダー、ケリ・ガーナー etc
映画『ラースと、その彼女』の登場人物（キャスト）
- ラース（ライアン・ゴスリング）
- 内向きで社交が苦手の青年。ガレージで暮らし、ビアンカと名付けたリアルドールを恋人にする。出生時に母親を亡くしており、カリンが出産を控えていることを心配している。
- カリン（エミリー・モーティマー）
- ラースの兄嫁。ラースの身を案じており、ラースがリアルドールを連れてきても、ラースの話に合わせて接する優しい心の持ち主。
- ガス（ポール・シュナイダー）
- ラースの兄で、カリンと共に母屋に暮らしている。母親の死を機に父親が塞ぎ込んでしまい、それに耐えられずにラースを残して家を出た過去がある。
- ダグマー医師（パトリシア・クラークソン）
- 小さな町の開業医。リアルドールの存在を受け入れるようにカリンやガスに助言し、毎週ラースと会いながらラースの心の問題を優しく紐解いていく。
- マーゴ（ケリ・ガーナー）
- ラースの同僚女性で、ラースに好意を寄せている。ラースに積極的に声を掛けるが、いつもラースに逃げられてしまう。
映画『ラースと、その彼女』のネタバレあらすじ（ストーリー解説）
映画『ラースと、その彼女』のあらすじ【起】
ガレージで暮らすラースはカリンから母屋で一緒に朝食を取るように誘われる。ラースは先に教会に出掛け、そこでマーゴに声を掛けられる。しかし、ラースは距離を置いた態度を示してしまう。更に家に戻ったラースは逃げるようにして朝食もすっぽかす。週末が明け、ラースが出勤すると、同僚がリアルドールについてネットで調べていた。ラースはそれとなく同僚の説明に耳を傾ける。
ラース宛てに巨大な木箱が届き、カリンはそのことを職場にいるラースに伝える。帰宅したラースはめかし込み、カリンとガスに友人女性が訪ねに来たので母屋で寝泊まりさせたいと頼む。2人はラースに友達ができたことを喜ぶが、ラースが連れてきた友人女性とはリアルドールだった。ラースは彼女をビアンカと紹介するが、カリンとガスは返す言葉を失ってしまう。
カリンとガスは何とか平静を装い、ビアンカも含めて4人で食事をする。ラースはビアンカの身の上話を色々と披露する。カリンはビアンカが疲れているだろうからとダグマー医師に診察してもらうことを提案する。
映画『ラースと、その彼女』のあらすじ【承】
翌日、3人はビアンカを連れて病院に行き、待合室では奇異の目で見られる。ダグマー医師はビアンカを毎週治療のために連れて来るようにラースに頼む。そして、カリンとガスにラースが妄想を抱いており、しばらくはそれに話を合わせていくことを勧める。
ガスはビアンカを普通に扱う気になれないが、カリンはラースのことを気に掛けてこなかったことを反省してラースの話に合わせるようにする。そして、女友達や町中の人に事情を説明する。教会ではどうするかを話し合い、皆がラースの力になることを決める。ラースはビアンカを車椅子に乗せて教会に行き、皆に受け入れてもらう。マーゴはその様子を見てビックリする。
ダグマー医師は再びビアンカを診察し、それとなくラースの様子を伺う。ラースは人に触れられると痛みを感じてしまうと説明し、ダグマー医師はラースが人との接触に慣れるように手助けする。ラースはビアンカを連れて会社の受付女性の誕生パーティーに向かう。そして一生懸命に周囲に馴染もうとする。皆もビアンカの存在が当たり前のように振る舞う。
映画『ラースと、その彼女』のあらすじ【転】
ラースはビアンカを連れて両親の墓参りに行く。母はラースの出産時に亡くなり、父はその影響で死ぬまで人を遠ざけていた。ラースはダグマー医師と子供について話し、出産を控えたカリンの身を案じる。町の人々はビアンカに店番や病院のボランティアを頼んだりするようになる。そして、ガスは若い時にラースと父を残して家を出たことに問題があったと感じ始める。
マーゴは職場の別の男と付き合い始め、ラースは複雑な心境になる。ラースが家に戻ると、カリンがビアンカをボランティアに出掛けさせる準備をしていた。ビアンカと一緒に過ごしたかったラースはビアンカに怒鳴り、カリンはビックリする。ラースとビアンカの関係に変化が見られ、ラースはダグマー医師にビアンカにプロポーズしたが断られたと打ち明ける。
ラースはガスに大人になるとはどういうことかと尋ねる。ガス誠実に生きることだと答え、自分がラースを残して家を出たことを謝る。職場でマーゴは同僚の悪戯に遭って傷付いてしまう。ラースはマーゴを慰め、マーゴは恋人と別れたことを打ち明ける。
映画『ラースと、その彼女』の結末・ラスト（ネタバレ）
ラースはマーゴとボウリングに出掛ける。そこに職場の仲間達が加わり、皆で楽しい時を過ごす。そしてラースはマーゴと素手で握手を交わす。ある朝徒然、ラースはビアンカが意識不明だと言って騒ぎ始める。そして、救急車を呼んでビアンカを病院に搬送する。ダグマー医師はビアンカが重病だと話し、カリンとガスに全てはラースが決めていることだと説明する。
ラースは自宅でビアンカの看病をし、ビアンカを心配した町中の人々からお見舞いの花が届けられる。そして町民がラースと一緒に過ごすために顔を見せてくれる。カリンとガスは湖に散歩に行くことにし、ラースとビアンカを誘う。カリンとガスが水辺を散歩している間にビアンカが亡くなり、ラースはビアンカに別れを告げる。
ビアンカの葬式が営まれ、大勢の町民が参列する。そこでガスはダグマー医師に礼を言う。ビアンカの墓地の前に立つラースを慰めるためにマーゴが声を掛ける。ラースは悲しみを乗り越えるために心を強く持ち、マーゴに一緒に散歩をしようと誘う。
映画『ラースと、その彼女』の感想・評価・レビュー
リアルドールという際どいネタを扱った設定が秀逸の作品。リアルドールの奇抜さを巧みに上品な笑いに昇華しながら心に響く物語に仕上げている。『ラ・ラ・ランド』のライアン・ゴスリングが心を閉ざした青年の苦悩を見事に演じており、特に誕生パーティーのダンスシーンやテディベアに蘇生措置を施すシーンが印象的だった。町の人々が温かくラースに接し、意地悪なキャラクターが一人もいないことがとても安心できた。（MIHOシネマ編集部）
みんなの感想・レビュー